寸劇 ひな祭り

久し振りに気が向いたので…、以前勤めていた施設用の寸劇の脚本を追加しました。

よろしければ、楽しんで下さい…。

 

シーン1

…昔々、ある御殿にお勤めする…お内裏さまと御雛さまがいらっしゃいました。

お二人は…おしどり夫婦として有名でしたが…、最近ちょっとギスギスしておりました。

御雛さま「ちょっとあなた、…何なんですか最近!!御殿から帰れば…、ゴロゴロしてばかり!…少しは、シャンとして下さい!!!」

お内裏さま「何て、口うるさいんだろう…。コッチは、…御殿勤めで疲れているっていうのに。…休みの日もゆっくり出来ないなんて、チェッつまらん。」

 

シーン2

お内裏さまは、…御殿から帰る途中…咲いていた桃の花を眺めておりました。

お内裏さま「…何だろう、最近御殿勤めもウマく行かんなぁ。昔はあいつも…、あんなじゃなかったのにな。ただいま…。…今、帰ったよ。」

「あなた、…今日も遅いじゃありませんか!!どうして…、こんなにいつも遅いんですか!?家庭のコトは、どうでもいいって言うんですか…!」

「…仕様がないじゃないか。御殿勤めの…、付き合いだよ。俺だって、好きで飲んでるんじゃない…。これも、…仕事だよ。」

 

シーン3

…困ったお内裏さまは、部下の五人囃子(の一人)に相談しました。

お内裏さま「かくかくしかじか…、こういうワケなんだ。…どうだろう、何か上手く行く知恵を貸してもらえないだろうか?」

五人囃子「…私にいい知恵がありますよ。女性というのは、…花が好きなんです。何かキレいな花を贈って…、お礼の言葉を伝えるんです。それが一番ですよ。」

お内裏さま「うん…?そんなカンタンな事で、…ウマく行くのかな?」

五人囃子「女性というのはね、何より贈り物を喜ぶモノです…。…それにですね、何気ない一言を待ってるんですよ。家事をこなすのは…、あなたの為じゃありませんか?そのコトへの、…気持ちの込もったありがとうが大切なんですよ。」

 

シーン4

五人囃子の言葉を聞いたお内裏さまは、早速桃の花を手折ってお家に帰りました…。

お内裏さま「なぁ…、いつも家の事をしてくれてありがとう。…これは、俺の気持ちなんだが。受け取ってくれ…。」

御雛さま「まぁ、…ありがとうございます。…そう言えばあなたは、プロポーズの時も桃の花を贈って下さいましたね。この花は、…大切に活けておくとしましょう。」

お内裏さま「…すまんな。俺はお前がいてくれて…、当然だと思っていた。…でも、そんな事はない。だから本当に、ありがとう…。」

御雛さま「何て嬉しいお言葉でしょう…。私が元気でいられるのは、…あなたのお陰です。さぁさ…、これからはひな祭りの季節。…忙しくなりますよ!!」

こうして二人は、今年も並んでひな壇に座っているのです…。

 

テーマ曲…「Photograph」 Weezer

Weezer - Photograph - YouTube

 

銀の羊の笛の音

オープニング…

「Oui Oui」 Buffalo Daughter

Buffalo Daughter - Oui Oui - YouTube

 

ハウシンカは、妊娠していた。

それは勿論、…ゼクとの子供で。

国立聖三身一体研究所の仕事は…、まだ続けている。

当然の事だが、ゼクはほとんど家には帰って来なかった…。

冒険者の仕事が忙しく…、ほうぼうを旅して回っていたのだ。

ハウシンカにとって、それが寂しくないと言えばウソになる。

仕事が忙しいのはありがたい事だったが、一緒にいたい時もあったのだ…。

その点、…同僚のトルカがうらやましく思えてしまう。

…ローランドは既に冒険者を辞めていて、デ・シーカ工房を継いでいたから…仕事が終われば家に帰って来る。

トルカが妊娠したという話は…、まだ聞かない。

ある晩、ハウシンカは夢を見ていた…。

あちこちで花が咲き乱れる、…草原を歩いていた。

…気分が良かった。

日常の憂さを全て忘れられる様な…、そんな情景だった。

しばらく行くと、少年が立っていた…。

少年は…旅人の様な衣装に身を包み、…遠くを見詰めていた。

「あなたの名前は、ニル…。」

ハウシンカは…、思わず口にする。

…何故と問われても、これは夢なのだから答えようがない。

「…あなたは、ぼくに名前を着けて下さった。だからぼくは、…あなたを親しい人として歓迎しようと想う。」

ニルと名着けられた少年は、懐から笛を取り出すと…流れる様な息吹でそれを奏でた…。

ニルの笛に…まるで操られる様に…、ハウシンカの記憶は鮮やかに蘇り…その過去が走馬灯の様に映し出されていった。

…翌日ハウシンカは、国立聖三身一体研究所に出勤する。

ハウシンカの胸には…もう既に聖三身一体のお徴は無く、…ゼクから以前もらった崇高善メローミルネのそれが光っていた。

「おはようございます…、主任。体調は、…どうですか?」

トルカは挨拶をすると、ハウシンカの体調をいたわった…。

…あの冒険の旅が終わってから、トルカとは大分親しくなっていた。

ハウシンカは何事かあると…、トルカに相談を持ちかけている。

「…昨日、変わった夢を見ちゃって。」

ハウシンカは、昨日見た夢の話をトルカにする…。

トルカは黙って聞いていたが、…口を開くとこう言った。

「だから…きっと…、いい夢ですよ。産まれて来る赤ちゃんが、…お母さんにあいさつにやって来たんじゃないですか?」

ハウシンカにとって、トルカのこうしたある種のファンシーな解釈は…もう鼻につかなかった。

むしろ、…彼女の人柄の良さを示している様に感じられる。

次の日も…、同じ様な夢を見た。

ニルの吹く笛の音に合わせる様に、古い記憶が蘇った…。

…幼い頃のハウシンカ。

父であるガウェインも、…ゼクと同じだった。

時折しか帰って来ない父を…、ハウシンカは楽しみに待った。

ある時ガウェインは、瞳の青い人形を抱えて帰って来た…。

…幼いハウシンカは大層喜んで、その人形にメルリンちゃんと名着けて大切にした。

いつに間にか笛を吹く事を止めていたニルは…、ハウシンカに向き直って言う。

「あなたは、愛されている…。…多くの人達から、確かにだから。」

翌日…正統教会に提出するレポートをまとめているハウシンカに、…トルカがやって来て話しかけた。

「夢、…まだ見ます?」

こういう娘なのだ…。

いつも他人の心配をしていて…、自分の事は後回し。

「…見るわ。昨日は、こうだったの…。」

…だからハウシンカの胸に、母になる自信が…少しずつ育って行く。

 

テーマ曲…

「Ocean Of Night」 Editors

Editors - Ocean Of Night (Official Video) - YouTube

 

 

おまけ

こんにちは、森沢修蔵です…。

この作品は…、以前構想したアイディアが余っていたので…書いてみました。

妊娠という…割と男であるぼくにとって縁遠いモティーフを選んで書いてみましたが、…どうだったでしょうか?

…とても短いハナシですが、ある種の情景は描けたかなとは考えています。

久し振りなんですが…、やっぱりたまにはみなさんに読んでもらいたいなと想って…つい書いてしまいました。

そういえば…。

このブログの表題…、ootmarsumとは何なのか…わからない方もいらっしゃるかも知れませんね。

…ぼくの愛喫している、煙草の銘柄から取ってるんです。

その名も、…STAD OOTMARSUM。

だからぼくは、(白)を喫っています…。

とっても美味しい…、手巻き煙草です。

それでは、失礼します👋。

Tomorrow Never Knows "産声と呼霊(こだま)の息吹Re:Mix"〜明日のコトだから、誰も知らない…〜(ボーナス・トラック3)

オープニング…

「時雨前」「黒」 Downy

downy - 「時雨前」「黒」 - YouTube

 

初橋高矢は、帰り道を急いでいた…。

時間は、夜10時を回った頃。

ライヴ・ハウス「セラフィム・フェザー」からの帰りである。

出演していた3つのバンド全てが興奮を促してくれたが、お目当てはトリをとったオルタナティヴ・アート・パンクバンド「セカンド・プライズ」だった。

「セカンド・プライズ」は男女混成四人組のバンドで…。

メイン・ヴォーカルを取るキーボード奏者とベーシスト・コーラスは、女性。

ギター・コーラスの担当とドラムスは男だった。

乾いたノン・エフェクトのシンプルなギター・リフにファズを連結した音程感の無くなっているベースがウネウネと絡み、そこに子供の頃からクラシックに親しんでいるキーボードのメランコリックなメロディが乗ってそしてドラムスは変拍子バキバキなのだから…。

高矢は「ロッキン・オン」等の雑誌で、彼女達の事を追っていた。

メンバーのインタビューでは現在のレコード会社「4サイクル・レコーズ」の居心地が随分いいらしく、メジャー・レーベルに移籍するつもりは全くないそう。

「いやぁ…。ホント良かったなぁ。」

まだ耳鳴りが止まない高矢のメッセンジャー・バッグの中には、物販で手に入れた「セカンド・プライズ」のTシャツが温まっている…。

「セカンド・プライズ」のグッズは、メンバー自身がデザインしていた。

今日買った"犬がノビて、ウ◯コ漏らしている"Tシャツは、ギタリストくんの手描きだった。

明日からは、また仕事だ…。

高矢の「心」は、まだ夢から覚めてない。

この夢がずっと続けばいいのに…、と高矢は月に想う…。

高矢は今年32歳。

自営業で、親父から受け継いだ喫茶店をやっていた。

店の名前は「ブルー・トレイン」…。

偉大なるジャズ・ジャイアント、ジョン・コルトレーンのアルバムから取って喫茶店の名前を変えてしまったのだった。

親父の代ではフツ〜の街の喫茶店だったが…。

高矢は何とか資金をやり繰りして、本格的では無いがカンタンなジャズ喫茶に改装した。

「ブルー・トレイン」の店内では、ジャズの名門「ブルー・ノート」のレコードしか掛からない…。

その為フツーのジャズ喫茶に比べれば圧倒的にレパートリーに欠けたが、高矢は気にしなかった。

お客さんもそれなりに着いている。

郊外の喫茶店で"Jazz"を聴かせているというコトで、それなりに話題にもなりそこそこ遠方からもお客さんがやって来る…。

高矢にとってイチバン嬉しいお客は、高校生だ!!

面白半分で「ブルー・トレイン」の扉を潜った一グループの高校生の一人が…。

「スンマセン…。このアルバム、何ていうタイトルですか?」

と聞きに来る瞬間といったら!

高矢はつい熱意を帯びてしまって…。

「このピアノ奏者はね、トミー・フラナガンと言って…。名盤請負人と呼ばれる程…。」

ついついウンチクが口の端から、ボロボロとこぼれ落ちてしまう。

店の業績は人に誇る程の物では無かったが、それなりに遊びながら食っていく分には不足しなかった…。

ある日高矢は店番をしながら、インスタグラムをチェックしていた。

誰もいない店内で、眺めているのは「セカンド・プライズ」のメンバーのアップする写真である。

高矢は「セカンド・プライズ」のメンバーの中でも、特にベースの如月真由美が好きだった。

理由は簡単で、おとなしく可愛らしかったからである。

彼女のベースは伝え聞くトコロによるとアイバニーズの…、Nirvanaクリス・ノヴォセリック使用機材と同じモデルらしい。

真由美は、まだ20才だ…。

ハッキリ言って彼女に催していたし、夜中に想像してそ〜ゆうコト☆をしたりもしている。

高矢には恋人がいなかった。

別に、どうしてもというホドモテなかったワケではない。

ただまぁ、メンドくさかっただけのハナシだ…。

だってそうだろう?

実際に付き合ったりすれば、金も掛かるし時間だって拘束される。

それだったら一人でノンキにプラプラして、好きなコトしてたホーがいいじゃないか!!

好きなコト想像する分には、自由なんだし!

程度の、面倒くさがり屋だっただけである…。

ともかく彼は、真由美のインスグラムにアップした写真を眺めていた。

秋らしく何輪もの"コスモス"が、風に揺れている。

そこに青白いフィルターが掛けられている、何の変哲も無いインスタグラムであった…。

しかし高矢は、「何か」違和感を感じた。

彼女の色彩感覚は独特だとの、専らの評判である…。

高矢も他の誰とも変わらないただ単純に面白がって、真由美の"不思議ちゃん"っぷりを可愛らしく思っていた。

しかし…。

しかしである。

普通の人間の感覚で、こんな風に"コスモス"から印象を受けるのだろうか…?

多分に違和感を感じはするが、説明は出来ない。

「こんにちは。マスター…!」

カランカランと入口の扉に括りつけた呼び鈴が鳴り、お客さんがやって来ると高矢はもうその事をわすれてしまった…。

また別なある日…。

高矢は油井正一氏の「Jazz歴史物語」をお客さんを待ちながら、煙草を吹かしてよんでいた。

そこにはニュー・オリンズで始まったクレオールのジャズ・バンドが、どうやって今日呼ばれる様な形態の"Jazz"に成ったのが逐一丁寧に追ってある。

様々な興味深いエピソードが列挙されていたが、彼が気になったのはビ・バップ、ハード・バップの頃のジャズ・メン達のライフ・スタイルだった…。

その頃のジャズ界隈には相当な麻薬汚染が進んでおり、才能があり卓抜した技術を誇る歴史にその名をきざんだジャズ・ジャイアント達もドラッグで数多く命を落としたと書かれていた。

そこまで読んだ時、高矢にはある閃きが訪れた。

「あれ…。彼女、ドラッグキメてんじゃないの?」

高矢がそんなコトありっこないよなぁと考えるより早く、彼女が今までにアップして来た写真が走馬灯の様に想いを巡らせる…。

彼は間違いないと思った。

しかし間違いないと言ったって、何もしようがないし出来っこなかった。

それからの日々もいつもと何も変わらず、喫茶店「ブルー・トレイン」を経営したまに「セカンド・プライズ」が近くのライヴ・ハウスに来れば観に行った…。

そんな過ぎて行く日々の中、真由美のインスタグラムは徐々にエスカレートしたある種のショッキングな過激な写真になっていったが、誰しもがそれは彼女の表現でありチャーミングな魅力であると誰しもが受け入れている。

そしてそんな日々が、およそ一年過ぎた。

そしてある日、彼は心に決めた。

真由美を止めようと…。

何故なら、そんなのヤだったからだ!!

彼は、真由美はおとなしい清純な娘でいて欲しかった。

どうしたらいいかわからなかったので、手紙をプレゼントに添えてライヴ・ハウスに預ける事にする。

何の意図で書かれた文章なのか説明出来なかったので、店の住所を書いて"宣伝"であるという体裁を取った…。

すると、不思議な事が起こった。

何と、数日後彼女が喫茶店「ブルー・トレイン」に現れたのである!

 

「Mirador」 Efterklang

Efterklang Mirador - YouTube

 

カランカランと呼び鈴が鳴った時…、真由美の姿がそこに現れたのだから彼が度肝を抜かれるのも無理はない…。

高矢は、すぐにでも話したかった!!

すぐにテーブルに飛んで行って、「俺、あなたの大ファンなんです…!!是非握手して下さい!」とか何とか言いたかった。

だが常識で想像すればわかる通り、そんなコトをする人間はいない…。

高矢は普通の態度で接客し、彼女は窓際の席に座り外を眺めてコーヒーを飲んでいる。

その間もお客さんは入れ替わり立ち代わり何組も入ったが、「セカンド・プライズ」の存在はそこまでメジャーではない。

誰も、真由美の存在に気を留める者はいなかった…。

やがて日も暮れ、閉店の時間になった。

真由美はあれからずっと同じ席に座り、何も言わず何もせずただ黙って窓の外を見詰めていたのである。

彼は、真由美に声を掛けた…。

「あのお客様…、そろそろ閉店の時間になりますので…。」

その時、真由美は初めて口を開いた!!

「あなた、幾ら欲しいの…?払える範囲内で払ってあげるから、言って!!」

高矢は、真由美が何を言っているのかわからず首を傾げる。

「現在はね…、私達"セカンド・プライズ"にとって大事な時期なの…。"E"のコト黙っててくれるなら、お金は払うから!さぁ、言いなさいよ!!」

彼は言った。

「"E"って、ナンです…?ぼくには、何の事だかサッパリ…。何か、話があるんですか?」

真由美はカッとなって、テーブルをドンッ!!と鳴らす。

「話が…あるですって!?あなたでしょう、先に仕掛けて来たのは!!いいわ…、受けて立って上げる!」

高矢は今更になって、自分の手紙の内容を思い出した。

「ああ…、あの手紙のコトですか。いや、お金とかじゃ無くて…。そのぼくは…、あなたにドラッグを止めて欲しくて。」

彼女は、顔を真っ赤にして立ち上がった。

「そんなの、私の勝手じゃない!!あなたにどうこう言われる筋合いは、無いわ!」

高矢は恥ずかしそうに頭をかく。

「いや〜、そうだとは思うんですけど。ぼく…、あなたのファンなので。」

「ファン」…。

その一言は、真由美にとって痛かった。

プロ意識の高い彼女にとって、「ファン」の意向は無下には出来ない…。

「わかったわ…。取り敢えず話を聞かせてちょうだい。幸い今日は空いてて、時間はあるから…。」

高矢は有頂天になって、飛び上がりそうになる。

「じゃあ、先に閉店業務終わらせてきちゃっていいですか…?一時間で終わらせますんで!」

真由美はもう半分ヤケクソで…、なるようになれ!!と思いながら頷いた。

彼の心はもうウキウキして、そのまま翼が生えて飛んで行ってしまいそうだ。

いつもは嫌で嫌でしょ〜がない閉店業務も、まるで次に掛けるレコードを選ぶ様な夢見心地で時間が過ぎて行く…。

一方の真由美の心は、ソワソワして落ち着かなかった。

どうやらこの高矢というのは、それホド悪い人間であるようには見えないが…。

それでも意図の全く読めない言行に、警戒を解く訳にはいかない。

彼女が既にシャッターの降りた同じ窓際の席に腰掛けていると、ニヤニヤとだらしなく笑いながら高矢が缶コーヒーを差し出しながら席の向かい側に腰を落とした…。

「あなた、喫茶店のマスターなのに…。そんなモノ飲むワケ?」

高矢は缶のプルタブを音を立てて開栓し、ゴクゴクと飲み始める。

「あの〜…。煙草吸っていいですか?」

彼女はイライラして、キツい口調で返事をした。

「いいわよ?"ファン"、ならね…?」

真由美の皮肉を真に受けた高矢は、遠慮せずに火を点ける…。

「よかった…。やっぱ、いい人なんだ…。」

彼女は、今の言い方が気に喰わない。

ミュージシャンに求められているのは音楽に携わる才能であって、人間としての道徳性ではない…。

事実破天荒であったり、明らかな社会不適合者であっても才能があれば否定されない。

「ぼくね…、思ってたんです。あ〜いう激しい音楽を演るのは、決して気が狂ってるからじゃないんだ。世の中は、何か間違ってる…。だからその歪みを表現してるぐらい、ちゃんとした人達なんだ!!って…。」

真由美は思わずイラ立ちを、口に出してしまった。

「あなたね…。何言ってるのよ!!私なんて、…ヤク中じゃない!何がマトモなのよ…!!常識で、考えなさいよ!」

彼は、キョトンとして問うた…。

「えっ?だって、多分何かツラいコトがあるんでしょ…?」

真由美の背筋を電撃が疾った…!!

そして図星を突かれたが故の、逆上した怒りが湧く!

「アンタねぇ!!初対面の人間に向かって、そんなの失礼でしょ!!誰だってツラいコトなんて、あるのよ!自分だけが特別だなんて思わないでよね!!」

高矢はよくわからず、ボンヤリとして話した…。

「いや…、ぼくのコトじゃなくて…。」

真由美は、呆然として自問していた。

何故この男は、私の感情をかき回すのだろう…?

何故私はそれに、抗えないのだろう…?

考えてみれば、今日今ここにいるのだってワケがわからない…!!

「いいじゃない…!!そんな事、何のカンケーがあるのよ!大体あなた、何様よ!?ファンだか何だか知らないけど、ただお金払ってるだけじゃない!!それが、何だって言うの!どれだけ偉いのよ…!!」

彼女は、ハッとした…!!

いけなかった。

思わず言い過ぎてしまった…!

「どう…?失望した?これが、私のホントウの姿なのよ…!!ステージの上で見せてる姿は、単なる"可愛い娘ブリッ子"ってワケ!」

プロとして失格だという想いに真由美が恥じらっていると、高矢はノ〜ンビリ答えた。

「いや〜…。やっぱ顔が可愛いと、何しても可愛いなと。」

真由美は、ある特異な事実に気がつく…。

おっとりとしていておとなしいのは、別に作ったキャラクターじゃない。

私のフダンの姿なんだ…。

でもそれがなぜ…。

という問いが思い浮かぶよりも速く…、自分でも予想もしなかった言葉が口から溢れ出ていた。

「私…、レイプされたのよ。」

高矢は、しまった!!と思う。

踏み込んではいけない領域に、軽率に足を踏み入れてしまった!

だが真由美は止まらない…。

「18の時に参加したレイヴ・パーティーで、ちょっとね…。あの時はもう、グデングデンに酔っ払ってたから。誤解しないで…。あの時は、まだクリーンだったわ…。その後よ。"E"に手を出したのは…。」

彼は苦しかった…。

あれこれと想像を巡らせてみても、実感が追い着かない。

何しろ、マイペースで地味な人生を送って来ている…。

遊んでおかなかった事を真剣に後悔している。

もしあの時…、ソープ・ランドに行っておけば…。

真由美の独白は続く。

「それ以来…、私セックスが出来なくなったの。そんな時よ、今の彼が"E"をくれたのは…。今だって"E"が無きゃ、セックスなんて出来っこない…!!ペ◯スなんて、見るだけでも吐き気がする…!どう…?これが私の…。」

高矢は、真由美の顔を引き寄せて…。

キスをした。

もちろん、思わずだ。

テーブルの上に並んだ、二本の缶コーヒーは二つとも地面に落ちて転がった。

「それは…、愛じゃない。」

顔を引き離した真由美は、うつむくと言った。

「もう、なんでもいいじゃない…。取り敢えず、メアド教えてよ。」

高矢はカウンターの中に引っ込むと、ボール・ペンでメモに自分のスマホのメール・アドレスを書き記す。

その様子を見ていた彼女はメモをひったくる様に受け取り…。

「じゃあ…。私は…、帰るわ。コーヒー、ごちそうさま。」

真由美を店の外に送り出すと、もう辺りは真っ暗になっていた。

煙草を吹かしている高矢に、戻って来た彼女の姿が目に留まる…。

「愛してる…って、今言ってくれたら…。付き合ってあげてもいーよ。」

高矢は煙草の煙を長〜く吐き出すと、胸を張って言った。

「君みたいな可愛い〜娘の"ファン"のぼくがさ…、夜君を想い浮かべてする事って言ったら一つしかないよね?」

真由美は背伸びして、彼に口づけすると甘い吐息を漏らす。

「じゃあ、許してあげる…❤️。あなただったら、もしかしたら…。想像出来るの…、何となく。…だから、ちょっと覗いてみたいな。」

そう言うと真由美の影は、暗い夜道に混じって消えた。

落ち着かない高矢が何本も煙草をモクモク吹かしていると…、ポケットのiPhone7がメールを着信する…。

「だから…あなたに愛されたくて、仕方ありません…。付き合って下さい!!」

彼女からのメールだ。

高矢は、小さくガッツ・ポーズをつくった!!!

 

テーマ曲…

「My Girls」 Animal Collective

Animal Collective - My Girls (2009) - YouTube 

 

おまけ

こんにちは、森沢修蔵です。

技術力向上の目的の為…。

つまりは「腕だめし」のボーナス・トラックも、第三弾です。

この作品は「心を傷付けられた女性」を男が話を聞く事で癒すという、割とありがちな物語にあえてトライしています…。

作品としては結構フィクショナルな無理のありそうな展開をわざと折り込んで、ストーリーのバリエーションを増やそうと試みました。

文章表現も、今までに培った技術を総動員して盛り上げるコトを狙っているんです。

色んな意味で、現在のぼくの全力投球がここにあります…。

ちゃんとしたホントに「シアワセ」が感じられるハッピー・エンドを構想したんですが、上手く出来てるでしょうか?

つまらないかも知れませんが…。

やっぱ恋人出来た時の、「やった〜!!」感って割と「最高」かな?と。

出来に関しての評価は、いつも通りみなさんにお任せします…。

少しでもプッと笑ったりホッとしていただけたら、もう言うコトありません。

物語書くのって楽しいなぁ!!!と、いつも改めて実感していま〜す!!!

それでは、失礼します👋。

今宵も、一杯(ボーナス・トラック2)

オープニング…

「Midnight Special」 Jimmy Smith

Jimmy Smith - Midnight Special - YouTube

 

「おーう、従二!!遅くまで、お疲れな!明日も、よろしく頼むよ!!」

時刻は、夜11時。

「佐々木運送」の第二倉庫だ…。

アルバイトの近藤従二(こんどう じゅうじ)はロッカー・ルームに引き上げ、ユニフォームから私服に着替える。

「あー…、今日も疲れたなぁ。」

従二が出勤したのは朝の7時だから、延べ16時間働いていた事になる…。

彼の休日は水曜日と日曜日だけだから、当然労働基準法には違反していた。

近くのバス停で、バスを待ちながらタバコを喫う。

タバコの銘柄は、"わかば"…。

従二はいわゆるヘビー・スモーカーで、一日に30本は喫った。

だから安くて沢山喫えるタバコをと、これに落ち着いたのだ…。

隣にOL風の、タイト・スカートの女性が並んだ。

別に催さない…。

疲れてそれどころではなかった。

やがて、バスがやってくる…。

乗り込むと、乗客は一人だけ。

サラリーマン風の男が、座席に腰掛けてノート・パソコンに何事か打ち込んでいる。

真ん中らへんのシートに座った従二は、車内に貼り出された広告に目を走らせる…。

バス特有の煙った様な色合いのライトに照らしだれた安っぽい広告は、何の感興も起こさせなかった。

発進→停車を繰り返すバスに揺られながら、彼は特に何も想い起こさない…。

疲れていてそれどころではなかった。

やがてバスは駅前のターミナルに乗り入れ、停車して扉がプシュゥと開く。

従二はバスから降りると、すぐにタバコに火を点けフラフラ歩き出した。

彼の一人暮らしのアパートは、ここから歩いて20分…。

しかし、そちらの方には足を向けない。

彼には帰る前に、寄るトコロがあったからだ。

従二はタバコが燃え尽きると、すぐに次のタバコに燃え継ぎながら歩き続けた…。

かつては賑わったのであろう商店街の跡を抜けて15分程すると、目的の店の前に着いた。

この店の名前は、ライヴハウス兼洋風居酒屋「ライオン・キング」…。

従二は、階段を降りて地下にあるお店の扉を開き中に入る。

「ああ…、従二さん!!いらっしゃい!いつもヒイキにしてくれて、ありがとうございます!!」

チケットの代金を払い、店の奥へと進んで行く…。

ライオン・キング」の店内では、"ISO 14001"というバンドが演奏していた。

演っている曲目は、「オー!ピラミッド」…。

フューチュアされているシンセサイザーの音色を耳にしながら、彼は注文する為にカウンターの列に並ぶ。

カウンターの中ではアルバイトの店員が、ビールを注いだりカクテルのシェイカーを振っていた。

しばらく待っていると従二の番が来て、注文を告げた。

"バス・ペール・エールの1パイント"…。

従二はいつもこれだった。

彼はバスのペール・エールが並々と注がれた1パイント・ジョッキを手に、店の隅っこの壁際の席を探して腰掛けた。

店の中には、「オー!ピラミッド」のコーラスに差し掛かった歌声が大音量で響いている。

従二は"わかば"に火を点けると、1パイント・ジョッキに口を着けた…。

「ふぅ…。疲れた。」

この時初めて、今日一日のコトが脳裏をよぎった。

人員と時間を明らかに超過した荷量…。

夏という季節柄…、圧倒的に不快な"倉庫"というロケーション。

決して恵まれているワケでない、体躯。

苦しかった…、毎日が。

しかし何故だろう?

今の「佐々木運送」を、辞めようと考えた事は一度も無かった…。

彼はチビリチビリと少しづつ、舐める様にペール・エールを愉しんだ。

何故だと思う?

ここには人生の深奥…、崇高にして絶対の真理が宿っている…。

それは!!!

もったいなかったからだ。

彼はどれだけ長時間働いていようとも、一介のアルバイトに過ぎない…。

だから飲みたいけども音楽が聴きたいけども、お金があんまり無かったのだ!

だからもうホント、意地汚いだろ!!!ってツッコミたくなる程に一口一口を大切にしていた…。

"ISO 14001”は、いつの間にか「となりのしばふ」を演奏している。

熱いソウル・ビートを繰り出しながらクールなエレクトロ・サウンドを響かせるこの曲が、従二は大好きだ。

明日になれば、また同じ様な業務を繰り返す…。

特に大変だったのは、午後イチでやり過ごさなければならない通称"水積み"だ…。

夏という季節柄、ミネラル・ウォーターの出荷が捗っていた。

一日1000ケースは出荷される2ℓ×6本のミネラル・ウォーターを、従二は一人で約三時間かけて出荷用のコンテナに積み上げる。

笑い話がある…。

黒いTシャツを着て一日の作業を終えると、潮を吹いて白いTシャツになっているというのだ。

バスのペール・エールも、半分ホド無くなっている。

"ISO 14001"の演奏も、佳境に入って来た…。

ライヴの盛り上がりが最高潮に達する曲、「サンキュー!!次元」だ。

この曲は歌詞こそルパン三世次元大介の働きに感謝の意を表明する、ワケのわからない内容だったが…。

曲と演奏は本格的なダンス・パンクで、所々に即興も取り入れた前衛的な音楽だ。

従二には、恋人はいなかった…。

忙しくて疲れていて…、そんなヒマなかった。

…エッチビデオは、TUTAYAで借りる。

好きだったAV女優は、乙葉ななせさん。

彼女がキレイだと思った。

ルー・リードとデヴィット・ボウイのファンで、マーカス・ミラーを「天才」だと考えている。

彼は「佐々木運送」の課長から、正社員にならないか?との誘いを受けていた…。

彼は、「佐々木運送」のみんなが好きだった。

みんなの為に、「何か」したかった…。

でも従二には、作家になりたいという夢があった。

休みの日には、近所の喫茶店にお入り浸り「作品」を書き溜めていた…。

従二は現在、28才。

その「夢」を、まだ…。

いつかの話は、まだわからない。

それでもでも、まだ裏切れなかった…。

 

テーマ曲…

「Arabeske」 R.Schumann/W.Kempff

Wilhelm Kempff plays Schumann. Arabeske in C major, Op. 18 - YouTube

 

おまけ

こんにちは、森沢修蔵です。

基本的にボーナス・トラックの二作品は、技術力の向上を促す為に文章力=演出の練習を狙って創作しました。

この「今宵も、一杯」は、音楽でいうトコロの「ブルース」・フィーリングを特に意図して書いています。

それで主人公を労働者にして、舞台を酒場にしたんです。

テーマとしては…。

実は書いた後でお風呂入っていて気が付いたんですが、以前書いた「アリとキリギリス」と同じなんですねー。

労働者とショー・マンの相互リスペクトによる、共存共栄という…。

"ISO 9001"というバンドが、本気で音楽に取り組んでいるというのが伝われば嬉しいです。

内容について、ちょっと一言…。

…始めて、恋愛が絡まない作品を書きました。

この…、近藤従二くん。

決してモテないワケではございません…。

恋愛しない理由は、…忙し過ぎるからでしょう。

ぼくが期待している読み方は…。

女性の恋人のいない方が…、いつか出会う彼が今こうして過ごしている。

…そんな風に、読んで欲しいんです。

現在という時を、…とにかく夢中に生きている。

彼が女性として認識してるのは、エッチ・ビデオの向こうの女優さんだけ…。

…そんな男があなたとの出会う運命にあり、その途上をさすらってるんです!!

だから、…素敵だと想いませんか?

であるにも関わらず(であるコトから)、何とな〜く彼がオートマールスム・ブログの登場人物中最も幸福な男である気がします。

その訳は従二くんの様な生き方こそ、真の"英雄"だからでしょう…。

だからそして彼は"英雄"であるが故に、自らの男らしさを描けない。

だからこそ"詩人"としての、ぼくの生き方があるのだ!!!とアイデンティティを発見した作品でもあります。

"英雄"、"詩人"それに"記者"…。

人間には…。

男には、色々な「男らしさ」があるのですね!!!

いや〜、やはり物語を書いているのは色々な意味で楽しいモノです。

それでは、失礼します👋。

 

気の向くままに… (ボーナス・トラック)

オープニング…

「Oh Yeah」 noodles

noodles / OH YEAH PV - YouTube

 

舞台は、東京。

とある下町の高校…。

放課後美術室ではたった一人の美術部員にして部長の、天和聡也(あまが さとや)がデッサンの練習に励んでいた。

机の上に置いたバスケットの中のフルーツを、HBの鉛筆でスケッチ・ブックに写し取っていく…。

聡也は、ピカソゴッホムンクらの画家に憧れていた。

彼は愚かにもいきなり自分の画風を求めたりはしなかった…。

とにかく表現する為には、先ずは技術だともうわかっていたからだった。

この学校には、彼以外美術部員はいない…。

以前は名前だけ登録してある幽霊部員がうじゃうじゃいたのだが、みんな除籍にしてしまっていた。

聡也のいる美術室の外では、女子硬式テニス部員達がキャッキャやっている…。

「ほら美綱、早く行きなさいよ〜!!」

「だってさぁ…、ホントに本気にされたらどうすんのよ!」

「昨日の練習でアタシに負けたでしょ?罰ゲームよ!!!」

彼女達がハシャいでる理由は、こうだ…。

クラスで孤立している聡也に、自分達から声を掛ける。

すると人との付き合いに飢えているであろう聡也は、自分に気があるのだろうと勘違いする。

それを見てみんなで笑い、ヒマ潰ししようというのだ…。

「わかったから…。じゃあみんな見てて、私のウデを!」

彼女の名前は、竜崎美綱(りゅうざき みね)。

女子硬式テニス部の部長である。

この高校の女子硬式テニス部は、決して全国大会を目指して汗を流す様な本格的な部ではない。

ヒマを持て余した女子生徒らが群れ集う、いわば社交部の様な存在であった…。

「こんにちは…、聡也さん?ほとんど、はじめましてだけど…。」

美術室に入るなり、美綱は聡也に声を掛けた…。

「…?君は誰だっけ。記憶に、無いな…。」

これには美綱も、面食らった。

彼女は自分の容姿に、絶対の自信を持っている。

誰も、自分の存在を記憶しない者などいる筈もない。

「あの私、学級委員の竜崎美綱です…。話したコトないから、憶えてないですよね?」

美綱は、聡也の顔をジッと熱く見詰めた…。

もちろん、自分を印象付けようとしての事である。

「何の用だろう…?別に忙しいワケじゃないが、する事がない訳でもない。大体君だってその出で立ちを見れば、これから部活動なんだろう?」

彼女は、硬式テニス部のユニフォーム姿だった。

別に、これから練習しようと考えていたワケではない…。

ただこの方が可愛いから…、誘惑するのにちょうどいいだろうと思ったまでである。

「何の絵を描いてるんですか…?私も、絵に少し興味があって。」

美綱には、「絵画」への興味等まるでなかった。

そう言えば調子に乗って、聡也が何事か語り出すだろうと目論んだのだ…。

「何の絵かって…?君は、人をバカにしてるのか!?そこの机の上に、篭に入った果物が載ってるだろう!」

彼女は心の中で「このカタブツ!!」と毒づいたが、当然笑顔は崩さなかった。

それでも、美綱はもうウンザリだった。

何を言っても正論が帰って来るだけで、取り付く島もない…。

しかし仲間達の手前、このゲームを降りる事は出来なかった。

彼女には、まだ奥の手が有ったのだ。

それは…。

「もし良かったら…、私のコトデッサンしてもらえませんか!?」

美綱は、勝ち誇った…。

これだけの栄誉を与えられれば、どんな男だってよだれを垂らして彼女を求めるだろう!!

聡也は、アッサリと言ったモノだ…。

「ああ、いいね…。面白いかも知れない。いみじくも画家を志すならば、何だって描ける様でなくっちゃならないから…。」

美綱は椅子に座って、笑顔を作った…。

彼はスケッチ・ブックに向かい、鉛筆を走らせる。

彼女は、退屈で仕方なかった。

ハッキリ言って、自分の申し出を後悔していた…。

あくびをかみ殺すのに必死で、その間何が起きていたのか全く記憶にない。

彼は、リラックスしながらも集中した面持ちで彼女の人物画を仕上げていく…。

日も暮れていき、辺りは夕闇に包まれていった。

「出来たよ…、はい。」

聡也は彼女の笑顔が描かれたスケッチ・ブックのページを千裂ると、美綱に手渡した。

「これが…。私?」

スケッチ・ブックのページに描かれた彼女は、聡明で透明感があり間違いなく美しかった。

「まあ、何だね…。君は美しいと思うよ。古の偉大な美術者達も、皆美しい女性を求めた…。その気持ちは良くわかる。」

…彼女の心に…稲妻が落ち、今すぐこの場で…操を奪われたいという望みがもたげる。

美綱は、体の震えが抑えきれない程悔しかった…。

それだけ美に陶酔する資質がありながら、何故?私を口説かないのか!

日も既に落ちていたから、聡也は美綱を駅まで送って行った…。

駅までの帰り道、彼は彼女に美術論を語って聞かせた。

「美術というのは、定まったカタチ等ないのだと思うよ…。そこに表現されている本物の感情や情熱さえあれば、それは何でもアートなんだね。だが人間としてその段階に到達するためには、基礎・基本に裏打ちされた巧みな技術を必要とする…。つまりは簡単な事で、何でも練習なのさ。その辺は美術であってもスポーツであっても、まぁ変わらんね…。」

学校からの最寄駅…。

美綱は電車に乗ると、窓に反射する自分の顔を眺めた。

歪んだ窓ガラスに映る彼女の顔もまた、奇妙に歪んでいて滑稽な情緒を偲ばせた。

次の日の朝…。

高校に登校した美綱は、友達に挨拶する。

「おはよー!私さ、あの罰ゲーム続けてみようかと思うの…。アイツカタブツでさ、なかなかクリア出来そうもないから。もし私に靡いて来たら、サイッコー!!に笑えると思わない…?」

彼女の仲間達は、皆愉快そうに笑った…。

 

テーマ曲…

「Polynasia」 石野卓球

Takkyu Ishino - Polynasia 【PV】 - YouTube

 

おまけ

どうも、こんにちは。

森沢修蔵です。

この作品はこのオートマールスム・ブログでは、ミュージシャンのアルバムでいうトコロのボーナス・トラックになります…。

本編は全ての話に相関関係があり三層からなる一つの世界観を形成していますが、この物語はそ〜じゃありません。

この物語は、ある日風呂入ってたら何となく思い付いてヒマだったから話書くの好きだし書いたまでの事です…。

無理矢理関連づければ出来なくはないんですが、まぁそれは物語への冒涜かな?と。

ぼくの作品は基本的にいつも同じ一つのテーマです。

恋に落ちる瞬間が、どうしても書きたくて…。

やっぱり人間にとって、イチバン気持ち良いじゃないですか?

それが愛に成就する可能性を予感させて終わるという…。

まあどうなって行くのかは、勝手にしてねって言うね。

一人一人想像して違うだろうから…。

そこまでは、責任持てないよね?

何故?従順な女性を描かないのか?と問われれば、腐ったオタク共が吐き気がするホド妄想を撒き散らしているからです。

もう飽き飽きなんだわ、そ〜ゆうのは!!

何でも言うなりになる芯の折れた女性なんて、俺は欲しく無いよ!!!

"じゃじゃ馬"なくらいで、ちょ〜どいい…。

同時に彼らは絶対に手に負えないから、気位が高く気の強い美しい女性を描写出来ない…。 

男として、大したコトねーからだ!!

だから、ざまーみろと思ってカウンター・デザイン・カルチャーしてるんですよねー!

それを毎回切り口を変えたり、お話の展開を捻ったりして制作するのを楽しんでます。

ワン・パターンだと造ってるのに飽きちゃって、最後まで書き切れないので…。

物語を制作する手応えの一つの指標として、造ってるのがどれだけ楽しいか?とゆ〜のがあるのではないでしょうか?

やっぱり書いてる側が本当に楽しんで造ってれば、読んでくれてる方もきっと楽しめるハズだって信じてるんですよ…。

なので今回も…、表現の幅を広げる為に色々とトライしています。

もっと想像力へ訴求する作品を目指しているので、その練習なんです。

もっと文章のリズムだけで気持ち良くなれる表現を、身に着けたいモノですね…。

それでは、失礼します👋。

 

〜聖杯騎士〜パルツィバル☆伝説

オープニング…

「Symphony No.104」 F.J.Haydn/S.Chelibidache

Joseph Haydn - Symphonie no 104 en ré majeur ( Londres) - Sergiu Celibidache - YouTube

 

昔々…ソーファルゼカームスの国にあるユフレイトの森の中に、パルツィバル(黒いライオンの子の意)という少年がヘロツェライデ母さんと共に住んでいました。

パルツィバルはだから、ヘロツェライデ母さんのカレー・ライスが大好きな元気な少年…。

パルツィバルのお父さんはガムレットという騎士で…、それはそれは立派な騎士でしたが大きな戦争で命を落としたのです。

だからヘロツェライデ母さんは、パルツィバルにはガムレット父さんと同じ道を歩ませたくありませんでした。

それでこんな森の奥深くで、ひっそりと暮らしていたのです。

しかし血は争えません…。

だから…パルツィバルの体の中にも立派な騎士ガムレット父さんの勇敢な熱い血潮が、ドックンどくんと音を立てて脈々と流れていたのですから。

ある日パルツィバルがユフレイトの森の中でリスやシカそれにウサギといった森の仲間達と遊んでいると、キラキラと輝く人影が目に入りました。
森の仲間達は驚いて逃げてしまいましたが、パルツィバルはキョ〜ミしんしん!
だから、近づくと思い切って話しかけてみたのです。
「なんでそんなにキラキラしてるの?聖書に出て来る天使なの!?」
キラキラと輝くオジさんは、笑って言いました。
「私の名前は、レイオルコン…。ハッハッハ…、ぼうやの言う"キラキラ"とはこの甲冑のコトかな?だから、オジさんは天使じゃない、騎士という者だ。王様のいいつけに従って、悪者と戦うんだよ。私は王の中の王者、聖杯王アンフォルタス様に仕えているんだ。騎士第五等で、"覇騎士"なのさ!」
それを聞いたパルツィバルは、もういてもたってもいられなくなってしまったのです。

ヘロツェライデ母さんが夕ごはんの買い物から帰って来ると、待っていたパルツィバルは元気よく宣言しました。

「母さん!!オイラ、だから…騎士になるよ!」

とっても心配したヘロツェライデ母さんは懸命に止めましたが、パルツィバルの決意は固くひるがえりません。

だからヘロツェライデ母さんは、パルツィバルと三つの約束を交わしました。

一つ目は、騎士は王の命に生命を捧げる事…。

二つ目は、騎士はむやみにペチャクチャとおしゃべりしない事…。

三つ目は、騎士は愛する女性にだけキスをして愛を表現する事です。

「わかったよ母さん!!ダイジョ〜ブだから、任せて!」

そう言うとパルツィバルはガムレット父さんの残した神馬「オー・ソレナ(夢幻の露滴)」に乗り、形見の槍「プレシオ・サウルス」と剣それに藍色の甲冑「アレガサメイア(穂影の霧雨)」と盾「スワローテイル」に身を固めて旅立ちました。

ガムレット父さんの剣は、伝説の聖剣「ディフュレクション(星々の瞬きを戴く冠鷲)」です。

つばの部分に星型の意匠が凝らしてあり、岩をも両断する斬れ味でした。

しかしヘロツェライデ母さんはパルツィバルがあまりに心配で、ついにだから寝込んでしまったのです。

パルツィバルは悪い騎士や盗賊をやっつけながら、高名なアンフォルタス王の元・聖杯城プリンシパルを目指して冒険の旅を続けました。

パルツィバルの旅には、こんな冒険があったのです。

ある時、盗賊団「ハゲタカの眼つき」と戦いました。

「ハゲタカの眼つき」団の頭領カマヤンタは、卑怯にもパルツィバルに遠くから爆弾を投げつけてきたのです。

しかしパルツィバルは飛んで来る爆弾を伝説の聖剣「ディフュレクション」で次々に斬り落として愛馬「オー・ソレナ」で突撃し、遂には盗賊団「ハゲタカの眼つき」の頭領カマヤンタをこらしめたのでした。

また、パルツィバルはお祈りが大好きだったのです…。

イエス・キリスト様の教会での、聖体礼儀(ご聖餐をいただくコト。則ち"イエス様の血と肉"、ワインとパンですね)だけではありません。

昔々に祀られた旧〜い神様であろうとお寺の仏様であろうと、神殿の柱だろうと何だろうとありがたい神仏は何でも拝んでしまうのです。

色々な神柱仏(えっ?柱はそんなにエライのか…、ですって?この事は、誰にも言ってはいけませんよ…。柱というのは、エル・エルヨンやミトラス等数多なる神々のコトで、人間の首・肩から背中と腰を支えているのは実は"柱"なのです。人間の智・仁・勇をお護り下さる御方々なので…、だからたくさん感謝しなければなりませんね!!因みにキリスト様の聖三位一体や神ヤハウェは、"唯一なる御方"なので数えるコトは出来ません…。)を熱心に拝んでいると、パルツィバルは何だかだんだんと気持ち良くなってしまうのでした。

するとある日、控えめで上品な天幕の側を通りかかります。

パルツィバルが何となく目をやると、天幕の側に立っている女性のキレイなコト、キレ〜なコト…。

パルツィバルがぼんやり貴婦人を眺めていると、天幕の貴婦人はニッコリとパルツィバルに微笑みかけました。

その笑顔は、まるでヒヤシンスの花が風になびいて揺れた様で…。

パルツィバルは思わず馬を降りて、貴婦人にキスしてしまったのです。

そしてこう言いました。

「オイラ、あなたを愛しています…。だから…だから、オイラと結婚して下さい!!」

貴婦人は自分の名前をアルヴィーレウと名乗り穏やかにパルツィバルから身を離すと、こう諭したのです。

「あなたの申し出はとても嬉しいのですけれど…。あなたはまだ、"愛"というモノがわかっておられない様子です。もしあなたが"愛"を知る時、今の言葉と行為をきっと恥ずかしく思い返すでしょう。だから私はあなたを許します…。あなたは何故か、憎めない人なのですから。」

パルツィバルも、何となく自分は悪いコトをしてしまったのだと閃きました。

そして貴婦人アルヴィーレウに精一杯丁寧に謝ると、再びアンフォルタス王の元を目指したのです。

しかしパルツィバルは精一杯丁寧に謝ってはみたモノの、"愛"という「何か」についてはサッパリわかりませんでした。

だからパルツィバルは高名なアンフォルタス王のプリンシパル城へと向かう冒険の旅の途中、片っぱしから手当たり次第に困っている人達を助けて周ったのです。

するとだんだん、パルツィバルは立派な騎士として有名人になってしまいました。

まだ主君を持たないパルツィバルは、ご褒美こそもらえませんでしたがその名前はこっそりと有名になっていったのです。

しかし…、それを面白く思わない男がいました。

魔術師のクリングゾールです。

パルツィバルは、みんなから感謝され好かれていました。

それは…。

どんなにタイヘンな思いをして助けたとしてもパルツィバルの要求するお礼は、そのお宅の夕ごはんのご相伴に預かりカレー・ライスを美味しくお腹いっぱい食べさせてもらうコトだけだったからです。

魔術師クリングゾールは何とかしてパルツィバルをいじめたいと考えて、魔法陣を描き悪魔を喚び出しました。

悪魔召喚の呪文「タワームド」を唱えて、何とあの恐ろしい悪魔…、誘惑のアシュタロトを喚び出してしまったのです。

魔術師クリングゾールは、悪魔アシュタロトにこう言いました。

「俺様と二人で、あのパルツィバルとかいう小僧をいじめてやろう…。そうすれば、ずい分と気分がいいだろうぜ!」

しかしいかに魔術師クリングゾールに魔力が備わっていようと、悪魔に勝てるハズがありません。

悪魔アシュタロトは、誘惑の悪魔…。

悪魔アシュタロトがエッチにウインクすると、もう魔術師クリングゾールはメロメロで言うなりになってしまったのです。

力の入らなくなった魔術師クリングゾールの首筋に、プツっと悪魔アシュタロトが二本の牙を可愛く刺し通しチュチュチュのチュ〜♪と血を吸い上げてしまいました。

「ぺっ…、ツマんない!全部啜って、アンデッドにしようかしら…?ダメねぇ…、そんなんじゃ。ペットにすらなりゃしない…!…ホントに、◯つの?あ〜…、マズい!!!吸ってあげたんだから、感謝してよね….!フフ…、もっとエッチな眼で見てたいんでしょ?何が見たいのか、言ってみたら?さぁ…、早く。アンタの眼じゃあ、エッチな気分になれないわ!!アタシを、神様だと思って拝みなさい…!い〜い?アタシの名前に、様をつけるのよ?朝晩毎日…、唱えてね!きっと、ご利益があるから!アタシが魅力的過ぎて、もう好きになっちゃったのね!!神様だって…、アタシのパシリなんだから。でもそのパルツィバルをいじめるっていうアイディアは、アタシ気に入っちゃった!あ〜いう血の色鮮やかな…勘違いした熱血漢の血って、おいし〜のよね!!あー、美味しそう!…ガマン出来ないわ。そしたら、じ〜っとずっと見詰め続けて…アタシだけになってエッチな気分になれるかもね?いいわ、アンタをアタシのパシリにしてあげる…。アタシの言うコトを聞いて、せいぜいパルツィバルをいじめなさい!!アンタの働き次第では…、見せてあげなくもないわ!ちょっとだけね…。」

こうなると、もういけません…。

魔術師クリングゾールは、悪魔アシュタロトのエッチな秘密見たさに何でもするようになってしまいます。

こうして悪魔アシュタロトの言うなりになってしまった魔術師クリングゾールは、まずアンフォルタス王を狙いました。

アンフォルタス王は、パルツィバルが仕える事を夢見る王の中の王者…。

その王者アンフォルタスをやっつければ、さぞかしパルツィバルはがっかりするだろうと悪企みしたのです。

ここだけの秘密ですが、アンフォルタス王はダンナさんのいる女性を好きになってしまっていたのでした。

その心の隙に、悪魔アシュタロトの魔力を借りた魔術師クリングゾールの魔術が襲いかかります。

すると聖杯王アンフォルタスは、魔術師クリングゾールの魔術の力で思わずダンナさんのいる女性に、"愛"を打ち開けてしまいました。

さあ、大変です!!

聖杯王アンフォルタスは、罪に堕落してしまったのでした。

その結果、聖杯「フェイオーナルネ(白雲影走りの航海伝寄書)の三日月うた」は悪魔アシュタロトと魔術師クリングゾールの物となり世界は暗闇に包まれてしまいます…。

「フェイオーナルネ」とは…。

現在をもって尚神ヤハウェに仕える天使で、全ての天体・銀圏・宙空の運巡と解像と軌導を司っています。

あの偉い偉い天使…、天使ミハイル(ミカエル)とも大親友にしてライヴァルなのですよ!!!

さて何も知らないパルツィバルはついに聖杯城プリンシパルに、アンフォルタス王の元を訪れました。

パルツィバルはすでに隠れた有名人でしたから、多くの騎士達の賞賛と知己と期待の中アンフォルタス王の元へと案内されたのです。

しかし、高名なアンフォルタス王は何も語らず顔色は優れません。

パルツィバルが困っていると王様のご不調に代わって指揮を下す、アンフォルタス王の次に偉い礼拝・祭儀・婚姻大臣トルモールドが事情を説明してくれたのです。

「ようし!!オイラ、やるぞ!」

それを聞いたパルツィバルは、絶対に魔術師クリングゾールをやっつけて聖杯「フェイオーナルネの三日月うた」を取り戻そう!と決意しました!!

その夜聖杯城プリンシパルでは、パルツィバルの出発を祝って酒宴が開かれたのです。

大人にはお酒、パルツィバルにはカルピス…。

それに美味しい美味しいポテトチップスとポッキーとクッキーにアイス・クリーム、それからカレー、ハンバーグに海老フライ、それにから揚げの他にもたくさんた〜っくさんのごちそうがパルツィバルの為に用意されました。

 

「冷たい情熱」 中塚武

冷たい情熱 / 中塚武 - YouTube

 

パルツィバルは、アンフォルタス王の元・聖杯城プリンシパルから再び冒険の旅に出発したのです。

しかし「愛」を知らないパルツィバルには、王者アンフォルタスの苦悩がわかるハズもありません…。

だからパルツィバルは、強くなろう!!!と決心しました。

誰よりも強くなれば、きっとアンフォルタス王を"男らしく"立派に支えられる!!と考えたのです。

今度の旅は、本当にタイヘンなモノでした。

何と、何と!!

魔術師クリングゾールの喚び出した魔物達が、次から次へと襲いかかって来るのです。

しかぁ〜し!!

パルツィバルは勇気を奮って戦い、またドンドンと強くたくましくなっていったのでした。

特に手強かったのは、マンティコア・ライタウロスです。

ライタウロスは、体長がガムレット父さんの残した神馬「オー・ソレナ」の三倍もありパルツィバルの何倍もの力がありました。

始め、マンティコアの大きな体と強い力に苦戦したパルツィバルでしたが…。

しかしパルツィバルはライタウロスの尾の毒針を形の良い盾「スワローテイル」でキチンと防ぎ、愛馬「オー・ソレナ」の脚を活かして素早い動きで翻弄して、マンティコア・ライタウロスの急所を的確に愛用の槍「プレシオ・サウルス」で貫きました。

マンティコアの急所は、右のわき腹にあります。

魔物なので、心臓の位置が動物とは違うのでした。

そんなある日生まれ故郷ユフレイトの森とは別な、タリシタインの森の中を通りかかったパルツィバルは、寂れた庵「ベテルギウスの台所」を見かけます。

不思議に思ったパルツィバルが戸を叩くと、中から長〜い白ひげの隠者タンデムイセズが顔を出しました。

森の隠者に案内されて庵「ベテルギウスの台所」の中に入ると、お茶を出してくれたのです。

自分の分のお茶を飲みながら、隠者タンデムイセズはパルツィバルに語りました。

「お前さんは、もう充分強くなった…。しかし騎士は強いだけではいけない。優しくなければならない。お前の母ヘロツェライデの事を、憶えているか?彼女は、お前が旅に出てから心配で体調を崩しておる…。お前はお母さんの為に、何かしてやりなさい。それもまた、騎士の道じゃ…。」

パルツィバルは忙しさにかまけ、ヘロツェライデ母さんをすっかり忘れていたのです。

そうして改めてヘロツェライデ母さんのカレー・ライスの味を思い出すと、悲しくなって涙を流しました。

しかし今はお家に帰るワケにはいきません。

あの悪い魔術師クリングゾールを、やっつけなければならないからです。

それからしばらく経って…、今度はパルツィバルは小さな村に立ち寄りました。

その村はホリゾンタライミ村といい魔物達に襲われて困っており、パルツィバルは勇敢に戦い退治したのです。

ホリゾンタライミ村の宿の娘は、ブランシュフルールと言いました。

ブランシュフルールは、不思議な娘だったのです。

ブランシュフルールのお父さんの名前はファイトマイカ…、お母さんはピートリヌ。

パルツィバルは、何故かブランシュフルールの前に出るとドキドキしてしまって上手く話せません。

一方ブランシュフルールは村を助けてもらった恩もあり、かいがいしくパルツィバルのお世話をしました。

「私…、パルツィバル様の為なら何でもさせていただきますから。いつでも何でもご用をおっしゃってください!!」

ブランシュフルールはカレー・ライスを作るのが大得意で、隠し味にソースとケチャップを入るのですがそれはそれはほっぺたが落ちそうなホド美味しいのです。

みなさん、もうおわかりですよね?

パルツィバルは、"愛"を知ったのです。

パルツィバルはブランシュフルールに愛を告白し、ブランシュフルールはパルツィバルの愛を受け容れたのでした。

だからそうして…二人は、密かに口づけしたのです。

パルツィバルは昔、貴婦人アルヴィーレウにしてしまった事を思い出して顔を赤くしました。

でもだからそれは女性に恥ずかしい想いをかせてしまった恥ずかしい秘密なので、ブランシュフルールには話せなかったのです…。

パルツィバルはブランシュフルールと出会って、「愛の苦悩」を知りました。

それは愛していると、彼女を傷付けるモノ全てから守りたくなってしまうのです。

しかし男というの者は、みんな全員の事を考えて生きていかなければなりません…。

だから恋人にも、自分のコトは自分でがんばってもらわないといけないのが心苦しいのでした。

パルツィバルは凡そ男というのはみんな優しくて、愛している女性の事をいつも気に掛けているモノだ!!!と悟ったのです。

もう一つ、パルツィバルには嬉しいコトがありました。

何とブランシュフルールは、ヘロツェライデ母さんの面倒を見てくれると言うのです。

早速二人は馬で、パルツィバルの生まれ故郷のユフレイトの森の中に戻りました。

そうして久し振りにヘロツェライデ母さんに会うと、やはり元気がありません。

しかしパルツィバルは、悔しいの振り切ってヘロツェライデ母さんに告げました。

「母さん…。ぼくはこれから、聖杯を取り戻す為に魔術師クリングゾールと戦いに行く。でも心配しないで。…だから、きっと生きて戻って来るから!!」

「すまないね…。情けない母さんを許しておくれ。お前は男なんだから、だから…余計な事は考えずに自分の道をキチンと歩みなさい…。」

「私、ブランシュフルールって言います!!私のコトは実の娘だと思って、だから…何でも言いつけて下さい…。家の事なら、一通りは出来ますから!!」

こうしてパルツィバルは、魔術師クリングゾールの潜む「悪魔城コルネオイタス(歓喜の落日)」に赴いたのです…。

「悪魔城コルネオイタス」は恐ろしい所でした。

今までパルツィバルが戦ってきた魔物の倍も強い魔物が、倍の数もいたのです。

しかしパルツィバルは負けませんでした。

ゆっくりと休息を取りながら決して自分のペースを崩さずに、じっくりと「悪魔城コルネオイタス」を攻略していったのです…。

そうしてついに天守閣までやって来ました。

今宵は満月…。

満月の夜は、魔術の力が最も高まる夜。

それでもパルツィバルは、怖れずに天守閣に足を踏み入れたのです。

「フッフッフ…。俺様の名は魔術師クリングゾール!!実はな、俺様はお前をいじめる為に聖杯を奪ったのだ!どうだ、恐ろしいか!?恐ろしければ、ホレホレ…!お前も、悪魔アシュタロト様を崇めるがよい!!俺様の様な"偉大"な男をパシリに出来て、悪魔アシュタロト様もさぞかしシアワセであろう…。俺様は悪魔アシュタロト様が何をしても…、かわいいと呟く。忠誠を誓えば…、怖い気持ちが無くなるのだ!怖くなくなれば、何だって出来るのだぁ…!!」

パルツィバルはクリングゾールに、"神聖な義憤"でワナワナと体を震わせました…。

「何てバカな事を!聖杯"フェイオーナルネの三日月うた"が無くなったせいで、どれだけ多くの人達が苦しんで困っていると思うんだ!?罪が赦されるという、"救い"を君は奪ってしまった…。それが、どれだけ悲しいコトなのかわかるかい?ぼくは、知っているぞ!!怖い気持ちがなくなってしまったら、"勇気"も無くなってしまうコトを!怖さは、敵の強さと自らの"心の隙"を知る事に始まる…。君には、人の心を傷つけてはいけないという考えが足りない!!人の気持ちは、何より大切なモノだ…。愛を知らない者の罪は赦されない!!決着をつけよう、勝負だ!!!」

すると、何と恐ろしい事でしょう!!

魔術師クリングゾールは、魔法陣を描いて竜を召喚する呪文「マギャルスト」を唱え、…ドラゴン・グルンガンドを喚び出したのです!!

しかしパルツィバルは、不思議と怖しいとは感じませんでした。

ここまで来たら、やるコトをやるだけだ!と考えたのです。

ドラゴンはものすごい勢いで炎の息を吐いたり、長く力の強いしっぽで攻撃してきました。

その様子を見ていた悪魔アシュタロトは、もう大興奮です。

「やっちゃえ、やっちゃえ!あ〜いうマジメぶった顔したヤツ見ると、胸がムカムカすんのよね!!イマ、思い知らせてやるんだから!ほ〜ら、アタシが欲しいんでしょ…?早く、そう言ってみなさい!!ウットリするから、アタシの"黄色"の瞳を覗きなさい…。血を吸われればアタシの"毒"が混じって、ウソが吐けるのよ!!!…ペットにしてあげるんだから♪。そしたらアンタも、パシリにしてあげるわ!!…アンタは、アタシの物になる。それが、アンタのシアワセなの!」

パルツィバルは懸命に戦いました。

まず、無理に攻撃しようとはしない方針に決めたのです。

どんなに手強い敵であっても、必ずクセやパターンがあるからです。

そしてムリに攻撃に転じれば、必ずスキが生じてしまう…。

パルツィバルは、待ちました。

チャンスを…。

するとグルンガンドは、こんなチビすけ相手にいつまで決着が着かないのか?とだんだんじれてきたのです。

それに炎の息を吐くのにもしっぽを振るうのも、疲れてきてしまいました。

その時です!!

パルツィバルは、グルンガンドは炎の息を吐き出す際に必ず動きが止まる事を見切ったのです。

「今だ…、だから…ぼくはこの時を待っていた!!隙ありだぞ、グルンガンド…!これがぼくの"全ての力"だ、受けてみろ!!」

ドラゴンが炎を吐き出そうと息を吸い込んだ時、まるで電撃の様に素早く跳び上がったパルツィバルはドラゴンの眉間を伝説の聖剣「ディフュレクション」の必殺技「エレメンタリア・コロナ・デュアル・ディストーションズ」で撃ちました!!

火の玉と化したパルツィバルは、天から轟く雷鳴と共にドラゴン・グルンガンドをボガガ〜ン!!と征ち…。

その時、もう一つ不思議なコトが起きたのです。

パルツィバルが跳び上がった瞬間、悪魔アシュタロトの胸がドキッ❤️としました。

ドラゴン・グルンガンドはどぅッと倒れます。

「覚えてろよ!まぐれは二度も続かんからなぁ〜!!」

魔術師クリングゾールは怖じ気づいてブルブル震え…、負け惜しみを叫びながらどこかへ姿を消しました。

後に残された悪魔アシュタロトは、エッチなウインク攻撃でパルツィバルを誘惑しようとします。

「あれ…、あれ?何だろう…?胸がドキドキして、ウマく出来なくなっちゃった。ね…?あっイヤダメそんなやめないで、血を吸わせて…お願い?…いや、だから血を吸い上げて…。美味しく、味わって…だから☆。見せてあげるから…アンデッドにして欲しいの、…だから♪。」

そうなのです。

悪魔アシュタロトはパルツィバルの瞳を覗き込む度、ドキッ❤️としてエッチな目つきにならないのでした。

だから何となく…、血を吸いたい気持ちがなくなってしまったのです!

…だから何人もいた手下のコトも、もうどうでもよくなってしまって。

すると悪魔アシュタロトの瞳は、いつのまにか"黄色"から元のブラウンに戻っていました…。

「あなたは悪魔だとわかっている…。でもそれでも女性なのだから、ぼくは手出しはしない。女性の体を傷つけるのは、男として恥じなければならない…。間違っているかも知れないけど、それがぼくの考える騎士道だ!!」

そう言ってパルツィバルは聖杯「フェイオーナルネの三日月うた」を手に、コルネオス城を後にします。

だからこうしてパルツィバルは"死にたくない!!!"という人間としては当然の弱い気持ちを、「勇気」をもって乗り越えたのでした。

聖杯「フェイオーナルネの三日月うた」の秘密とはこうです…。

「やってるコトが楽しければ、見返りはいらないよ!!夢中になってやりたいコトが見つかれば、それで"シアワセ"なんだ!「何か」を与える"シアワセ"は、何ものにも代えがたいから!!そうして…愛し合って、誰かの心に残る"何か"を〜永遠の生命〜と言うんだね!」

一生懸命がんばった人が幸せになれるように、神ヤハウェ様は世界を創造したのですから…。

それを知ったパルツィバルは驚きました!

「なにィ〜!!そうだったのか!みんなに教えてあげようっと!!そんな素敵な秘密が、隠されていたなんて…。やっぱり神様に従うのが、確かな道なんだなぁ〜!!!」

でもちゃんとお礼はしなくちゃいけないな!お金もらわなくちゃ生活出来ないし!!、とちょっと大人になったパルツィバルは考えたのです。

そして残された悪魔アシュタロトは、胸の高鳴りをどうしていいのかわかりませんでした。

アンフォルタス王の居城、プリンシパル城に帰ったパルツィバルは城の礼拝堂に聖杯「フェイオーナルネの三日月うた」を安置したのです。

そうしてアンフォルタス王の前に通されると、こう問いかけました。

「何故、あなたはそんなにも不幸なのですか…?」

それは再生の理力「ソーマオイル」の聖言の力を秘めた、力強くも温かい問いかけでした…。

アンフォルタス王は、溢れんばかりに涙を流しながらこう答えたのです。

「私は、愛を得たいと望んだのだ!」

そうしてアンフォルタス王は、今までの苦衷をさめざめと涙を流しながらパルツィバルに語り続けました。

それは三日三晩続き…、終わった後アンフォルタス王の顔に永く見られなかった笑顔が輝いたのです。

アンフォルタス王は回復し、パルツィバルは大臣トルモールドから騎士第一等の聖騎士に任ぜられました。

新たなる英雄の誕生に、アンフォルタス王に仕えるプリンシパル城の騎士・司祭・神様の乙女・侍女達はみ〜んな拍手喝采で大盛り上がり!!!

中でも魔術師クリングゾールとの戦いを通じて親友になった、聖杯探求のライヴァルである同じ騎士のガラハッド(白き猛虎の士の意。騎士第二等で、階級は"義騎士"でした。)は、特に大きくとてもとてもジャンプして喜んでくれました。

「おめでとう、パルツィバル…!!君は真に…、無双に名立たる天下一の騎士…騎士の中の聖騎士だ!だから…ぼくも君に負けないよう、立派な騎士を目指そう!!」

「ありがとう…、ガラハッド。ぼくが強くなれたのは、君というライヴァルのお陰だ…。ぼくだって、負けないよ!だから二人で競い合って、グングン強くなろう!!」

晴れてパルツィバルは、王の中の王者アンフォルタスに仕える事が出来ました。

生きて還って来たパルツィバルに、ブランシュフルールは涙を流して喜びます。

「パルツィバル様…!!私は、神を信じてました。神を信じるあなたが、負けるハズは無いと…。それなのに、…だからそれで…それでもッ!、どうか…どうかこれからは…、しばらくゆっくりなさって旅の疲れをお癒し下さい。」

「ブランシュフルール…、心配をかけたね。でももう、大丈夫だ!!これから世の中は、平和になるよ…!天下が泰平にならないと…、女性というのは傷付いてしまうモノだから。だから…だからさ、ぼくは君の為に戦った。だから、強くなれたんだ…。」

そうしてヘロツェライデ母さんもブランシュフルールも聖杯城プリンシパルに招き、みんなで仲良く末永く幸せに暮らしたと言う事です…。

パルツィバルは、いつかブランシュフルールをお嫁さんに迎えたいと考えていて…。 

だからブランシュフルールも、いつもパルツィバルを想って過ごしていました。

でもそれは、まだずっと先の事。

もちろんだからパルツィバルは、ヘロツェライデ母さんのカレーもブランシュフルールのカレーもどちらも大大大好きですよ!!!

 

テーマ曲…

「What A Wonderful World」 Sam Cooke

Sam Cooke - What A Wonderful World (Official Lyric Video) - YouTube

 

〜後日譚♪〜

聖杯「フェイオーナルネの三日月うた」が聖杯城プリンシパルに安置され、…神ヤハウェ様の奇跡「セライエーノ📲ミーフトオシムの祝福」が世界に満ち充ちて…、各地のキリスト教会で聖体礼儀と奉神礼に聖詠が復活し平和が戻ったある日…。

パルツィバルが他の騎士達と一緒に戦いの練習を終えて、ブランシュフルールとヘロツェライデ母さんの元に帰ろうとすると。

宿舎の入口に、何と!!あの悪魔アシュタロトがうつむいて待っていたのです。

「君との決着は、もう着いたハズだ!ぼくは女性には、手を上げない…。帰ってもらおう!!」

しかし悪魔アシュタロトは、タッパに詰めたカレーを差し出してこう言いました。

「美味しく出来たかどうか、わからないケド…。だから食べて…、欲しいの。」

驚いたパルツィバルが思わず受け取ると、そこには…。

❤️のシールで封をした、手紙が添えてあったのです。

「あたしととだもちになってください 」

それは、悪魔アシュタロトが初めて書いた手紙でした。

パルツィバルが目を上げると、そこには真っ赤な顔をした悪魔アシュタロトがモジモジしていたのです。

「いいよ。何して遊ぶ、オセロ?すごろく、それともドンジャラ?」

そんな悪魔アシュタロトに、汗のにおいのするパルツィバルはアッサリと言いました。

「キャー!!やったぁ…、誘惑しちゃった!アタシ、ドンジャラ大好きなの〜!!」

思えばこれが…、悪魔アシュタロトの「初恋」であった。

悪魔アシュタロトはこうもりの羽根で天高く舞い上がると、だからそのままクルクルと旋回しましたとさ…。

 

「You Can't Hurry Love」 The Supremes

You Can't Hurry Love (from The Supremes at the Copa '67) - YouTube

 

おまけ

どうも、こんにちは。

森沢修蔵です。

作品の元ネタは…。

誰が読んでもわかる通り、「ドラゴンボール」でっす!!

作品の下敷きにはうろ覚えの「パルチヴァール」があり、それを「ドラゴンクエスト」の様な舞台にしました。

そこに「天空の城ラピュタ」の健全な少年像をドッキングしてます。

でも何より意識してイメージしたのは、「ドラゴンボール」の孫悟空…。

ドラゴンボール」の孫悟空で示された少年のヒーロー像って、まだ誰も越えていない。

純真な心で、いつも誰かの為にがんばっていて、夢中で生きている…。

本当にどんな少年も思わず憧れてしまう、ヒーローですよね!

例えば重ね合わせた掌から「気合い」を光線として発射する、というアイディアを素晴らしい!!

性に執着がないから、女性の羞恥心に配慮出来ないというダメさ…。

そして何より、大食漢という一般的にみっともないというレッテルを張られていた個性を「可愛らしさ」として詩的に昇華した点がマーベラス!!!

これを乗り越える為に必死に知恵を絞って、パルツィバルの「お母さんのカレー・ライスが大好き!!」というアクセントを付けたんですから…。

パルツィバルの必殺技名は、とにかくカッコよく!!!をコンセプトにつけました。

そうじゃないと、グノーシス主義が…。

あっ!

それは、いいや…。

それと聖杯「フェイオーナルネ(白雲影走りの航海伝寄書)の三日月うた」という言葉が見つかって、なかなかお気に入り。

造語も含め、言葉の扱いを練習した甲斐がありました。

だから…鳥山明先生の詩的に異常に精密な画風に対抗する為に、何度も自分で読み返しては句点の位置まで調節。

堀井雄二氏もそうですが、鳥山明先生の造語のセンスも面白いですよね〜。

誰でも知っている言葉を、カッコよかったり恐ろしかったり何となくそれっぽいのに、どこかユーモラスで愛嬌があり笑いたくなってしまう…。

いや〜!!

真似出来ません。

自分のセンスで勝負勝負!!!

だから孫悟空をモティーフにして、新しい違った(オルタナティヴ)なヒーロー像を再構築したいと考えて作品を創作しました。

昔の少年ジャンプには、子供達の憧れを背負えるだけの本当の「ヒーロー」がたくさんいた。

それこそ孫悟空、ジョナサン=ジョースター(ぼくはジョセフが好きなんですよね〜。彼は天才なんだと思う。…エッピだし!!因みにぼくは今孫悟空より、ベジータが好きなんです…。こらはぼくの想像だけど、彼は努力家なんじゃないかな?孫悟空っていう燃えられるライヴァルが出来たことで、多分ベジータのハートに火が点いたんだと思う…。過酷な練習の成果が、彼のプライドの根拠でしょう。孫悟空は戦ってて強いから、ベジータのコト好きなんでしょうね。真剣に競い合って本気で認め合うのが、男同士の友情ですから…。そういう物語だったんでしょう!!!)、大空翼…。

みんな子供の頃に夢中で読んで、こういう大人になりたいなぁっ!!って夢に見たと思うんです。

だからぼくはブログで、現代の「ヒーロー」をデザインしたつもり!

それでやっぱり「ヒーロー」といえば、ラブ・ストーリーだろ?と。

女性が愛されたいと憧れを掻き立てられる様な、そんな「いい男」とはどんなか?にこだわりがありました。

あんな碇シ◯ジなんて、腐れマ◯かきオタク野郎に惚れる女性なんているワケねぇだろう、バカたれ!!!

"読売ジャイアンツ"みたいな顔した監督が、作ってっからだな!!!

さらにさらに…。

伝説の聖剣「ディフュレクション(星々の瞬きを戴く冠鷲)」は、「モンスターランド」の"伝説の剣"のパクリです!!

名前が付いてなかったから、ぼくが勝手にそう付けて読んでたのを思わず引っ張り出してしまいました…。

だからこの「〜聖杯騎士〜パルツィバル☆伝説」は、「モンスター・ワールド(ランド)」シリーズの後の時代なのかも知れません…。

なんてね!!!

だったらいいなぁ…。

いやぁ大好きです!!!

UPL(スカラベ)と、WESTONE!!

ライヴァルだかんね!!!!

カックい〜!!!

これからもご健闘をお祈りしてます!!

みんなのもね!

だから俺にとっては、みんながライヴァルだぁ〜!!!

誰にも負けないぞ!!!

人間に造り出された、キャラクターもな!!!

俺…、インスピレーションをかき立てられるデザインとかシステムとかプログラム、サウンドが好きだから!!!

だから、カ◯コン嫌いなの…。

暴力的だから。

そーゆうの「爽快」って言わない!!!

ちょっと、「謎解き」をしましょう…。

何故自らの「エッチさ」に思い上がる、悪魔アシュタロトの「罪」は赦されるのか?

例えば彼女は、こう発言している…。

「アタシを、神様だと思って拝みなさい。」

頭の固いおバカちん!には、これは神の冒涜に聞こえるでしょう?

でも実際には違う…。

彼女は「神様は偉大である…。」と知って「信じているから」、私を神様の様に大事にしなさい。と要求しているのです。

そして本質的に…、女性が異性である男に対し自らを大切にする事を望むのは決して恥ずかしくはない。

ただその「愛され方」が、わからないだけなのです…。

この辺が以前に記述した「唯物論者向けのオーマールスム・ブログ」に登場する、悪魔アシュタロトに成ってしまった天使ケルブ「ラファリーム」の行く末なのですよ。

ここに聖三位一体を奉ずるイエス・キリストに率いられた、「キリスト教」が悪魔をサタン(敵対者)を呼んだ所以があるのですが…。

「善」とは「神の義しき」に正直であり、「悪」とは率直に言って「自らの心情」に素直である事。

「善」と「悪」が戦いお互いを磨き合うコトが、結局は両者の「価値」を高め来るべき天国を豊かにしたのです…。

まぁですから「作品の解説」というのは、親切に見せ掛けて不粋以外の何物でもありませんからこの辺にしましょう。

さて、ここで問題です…。

魔術師クリングゾールは、悪魔アシュタロトの「何か」を見たかったのでしょうか?

ヒントは…、ぼくは「ドラゴンボール」の特に初期のファンだと申しておきましょう…。

こーゆーコトを連想出来るかどうかで、エロスの健全性が問われますよ!!!

多分堀井雄二氏なら、絶対わかってくれるハズ!!!(あと、ゲイリー・ビッチェさん。)

こうしたエロスが、最近の作品では本当に希薄になってしまいました…。

本当の意味で、自らのエロスを客観化出来るぐらい夢中になって欲しいですね!!

客観化とはシラけるのではなく、愛し尽くしてこそ始めて出来るのだという事をしってもらいた〜い!

エッチなコトに夢中になるのは、健全なコト…。

そしてまた…、そこに指弾が集まるのもまた然りです。

そうした非難に負けず挫けない心が、本当の強さだと思ってまっす!!

その時始めて、魅力溢れる女性達が決してエッチな男を本心では嫌ってないという悟りに至るのでしょう…。

下心は下世話なもの。

しかし愛する女性を「抱く」事で愛したいと本音で欲するのは、下心でも何でもありません。

それが、「愛」ですよ…。

これは、ホント〜におまけの「設定」です…。

騎士第三等は仁騎士、第四等は勇騎士でした。

実はこの「〜聖杯騎士〜パルツィバル☆伝説」は、現在構想しているプロの作家になる為の持ち込み作品「パルツィファルとガラハット〜星々のシンフォニィ〜」の土台であり練習作品です。

みなさん…。

今まで、オートマールスムブログ「手の中の麦、彼方の星、…そしてここで流れる涙」を読んでくれてありがとう!!!!

本当にアマチュアとして、ブログで物語を執筆するのはここまでです。

これからぼくは少し休んだ後、持ち込み作品「パルツィファルとガラハット〜星々のシンフォニィ〜」に取り掛かります。

だからもしこれまでにブログで読んだ物語が面白かったら、応援して下さい。

ではいつか、本屋さんでお目に掛かる日を夢見て…。

ありがとうございました!!!

 

気になる二人

オープニング…

「少女ジャンプ」 東京カランコロン

東京カランコロン「少女ジャンプ」 - YouTube

 

西澤龍平(ゼロム)と坂本美姫(ファロム)が長野県の藤沢村でそッと結ばれてから、数年の月日が流れた。

二人の現在は…。

龍平は運送会社の倉庫で正社員として働き、美姫は大学生に成っていた。

龍平が高校時代に軽音楽部の友人達と立ち上げたバンド、「くつしたず」は幾度かのメンバー・チェンジを繰り返し今に至る。

「くつしたず」は地元ではそこそこ有名な存在になっていて、小さなライブ・ハウスなら満員に出来た。

あれから龍平は実力を付け、バンドのメイン・ソング・ライターとしてもギタリストとしても日々奮闘している。

メインのギターは、相変わらずジャパニーズ・ヴィンテージのTokai Silver Starだ…。

龍平のTokai Silver Starは、主に電気系統とペグ・ブリッジ周りをカスタムしている。

ギターの価値もわかる様になってきた。

それなりに色々試してはみたのだが、何のかんのと言って結局これに落ち着くのである。

美姫は作詞はしていたが、ステージに上がる事はなかった。

さて、美姫は昔からある古〜い喫茶店で人を待っていた。

その人物は龍平ではない。

龍平の運送会社での同僚で、美姫と共通の友人でもある石塚虎彦である。

「だからもう…、遅いなぁ。」

美姫が腕時計に目をやると、待ち合わせの時間から15分が経過していた。

「いつもなんだよね。まぁ私が呼び出してるから、あまり文句は言えないんだけど…。」

するとカランカランと喫茶店のドアが開き、ディスク・ユニオンのレコード・バッグをパンパンに膨らませた虎彦が入って来る。

「おう!悪かったな…。ユニオン(ディスク・ユニオン)を、三件ハシゴしててな。時間が掛かっちまったよ。」

美姫は、プリプリとほほを膨らませた。

「もう、遅ーい!!15分も待たせて…。私を何だと思ってるの?」

虎彦は早速ゴールデン・バットを取り出すと、火を点ける。

「だから謝ってるじゃないか…。悪かったな、でも15分だろ?死ぬワケじゃあるまいし、小さな事にコダワるなよ。」

これだ…。と美姫は思った。

虎彦は、時間の感覚に疎い。

「レコードよりさ、友達の方が大事でしょ?」

やって来た店員さんに、虎彦はブレンド・コーヒーを注文する。

「いや…。レコードの方がいいさ。レコードは、ペチャクチャおしゃべりしないしワガママを言う事もない。針を落とせば、素直に美しい音楽を流す…。」

虎彦はレコードであれば、何のジャンルだろうと構わなかった。

ジャズ、エレクトロ、オルタナティヴ…。

何でもいい。

レコードの音色が好きだったのだ。

「その話は、まぁいいんだケド…。あのね、龍平のコトなの。」

虎彦は、おしぼりで入念に手を拭いている。

「どうした、痴話ゲンカか…?犬も食わないとは、よく言ったモノだ。それにしても珍しいな。あんな誠実な男が…。」

美姫は、首を横にブルブルと振るった。

「違うの…。そんなんじゃないの!!龍平はいつも優しいし…。」

虎彦は、置いてあるマッチをポケットに二つ入れる。

「じゃあ、何だ…。会社では、一番よく働くよ。人の二倍は働くな。アイツが来てから、ずい分と助かってるよ…。」

美姫はうつむいて、ポツリポツリと切り出した。

「あのさ…。何か最近、元気ないと思わない?」

運ばれて来たコーヒーに、虎彦は口を付ける。

「そりゃあ、疲れてるだろうよ。平日はウチで仕事だし、休日はライヴだろ?いくら若いったって、限界はあるからな…。」

美姫はもう一度、首をブルブル振るう。

「そうじゃなくて…。何かさ、後ろめたいから優しいっていうか。いつもと違うっていうか…。」

虎彦は、美姫の悩みをさほど汲み取らなかった。

「後ろめたい?おいおい…。そう回りくどく言われても、何の事だかさっぱりわからんよ。ハッキリ言ってくれ。何がおかしいんだ?」

美姫は、そッと打ち開ける様に呟いた。

「龍平…、きっと他に好きなコがいるの…。わかるでしょ?」

虎彦は、コーヒーにムセた。

「お前バカか、またそんな!?あんな一本気な奴を捉まえて…。男として言わせてもらうがな、アイツが浮気するなんて金輪際存在しない!!」

虎彦の断定に、美姫は食い下がる。

「だって、…だから証拠があるモン!!」

虎彦は、テーブルをバン!と音を立てて叩いた。

「そんなモンあるか!!この話はオシマイだ!」

美姫は下を向いたまま、まだ何かをブツブツ言っている。

そんな美姫の様子を見て、虎彦はニヤリと笑った。

「ホラな…。これを見ろ。」

それは何と!!

Cannonball Adderleyの名盤、Somethin' Elseだったのだ!

「これはな…。オリジナル盤なんだぜ?それが見ろよ…。」

虎彦はSomethin' Elseのジャケットに、手を入れる…。

「ホラ、見ろよ…。ここだよ、ここ!!ここのインナー・スリーブがちょこっと裂けてるだろ?たったこれだけの傷で…。幾らだと思う?」

虎彦の話は尽きる事を知らない…!

 

テーマ曲…

「Take The A Train」 Duke Ellington

Duke Ellington, "Take the A Train" - YouTube