気の向くままに… (ボーナス・トラック)

オープニング…

「Intrusion」 Pepe Bradrock

https://youtu.be/v8LMXZ57A2c

 

舞台は、東京。

とある下町の高校…。

放課後美術室ではたった一人の美術部員にして部長の、天和聡也(あまが さとや)がデッサンの練習に励んでいた。

机の上に置いたバスケットの中のフルーツを、HBの鉛筆でスケッチ・ブックに写し取っていく…。

聡也は、ピカソゴッホムンクらの画家に憧れていた。

彼は愚かにもいきなり自分の画風を求めたりはしなかった…。

とにかく表現する為には、先ずは技術だともうわかっていたからだった。

この学校には、彼以外美術部員はいない…。

以前は名前だけ登録してある幽霊部員がうじゃうじゃいたのだが、みんな除籍にしてしまっていた。

聡也のいる美術室の外では、女子硬式テニス部員達がキャッキャやっている…。

「ほら美綱、早く行きなさいよ〜!!」

「だってさぁ…、ホントに本気にされたらどうすんのよ!」

「昨日の練習でアタシに負けたでしょ?罰ゲームよ!!!」

彼女達がハシャいでる理由は、こうだ…。

クラスで孤立している聡也に、自分達から声を掛ける。

すると人との付き合いに飢えているであろう聡也は、自分に気があるのだろうと勘違いする。

それを見てみんなで笑い、ヒマ潰ししようというのだ…。

「わかったから…。じゃあみんな見てて、私のウデを!」

彼女の名前は、竜崎美綱(りゅうざき みね)。

女子硬式テニス部の部長である。

この高校の女子硬式テニス部は、決して全国大会を目指して汗を流す様な本格的な部ではない。

ヒマを持て余した女子生徒らが群れ集う、いわば社交部の様な存在であった…。

「こんにちは…、聡也さん?ほとんど、はじめましてだけど…。」

美術室に入るなり、美綱は聡也に声を掛けた…。

「…?君は誰だっけ。記憶に、無いな…。」

これには美綱も、面食らった。

彼女は自分の容姿に、絶対の自信を持っている。

誰も、自分の存在を記憶しない者などいる筈もない。

「あの私、学級委員の竜崎美綱です…。話したコトないから、憶えてないですよね?」

美綱は、聡也の顔をジッと熱く見詰めた…。

もちろん、自分を印象付けようとしての事である。

「何の用だろう…?別に忙しいワケじゃないが、する事がない訳でもない。大体君だってその出で立ちを見れば、これから部活動なんだろう?」

彼女は、硬式テニス部のユニフォーム姿だった。

別に、これから練習しようと考えていたワケではない…。

ただこの方が可愛いから…、誘惑するのにちょうどいいだろうと思ったまでである。

「何の絵を描いてるんですか…?私も、絵に少し興味があって。」

美綱には、「絵画」への興味等まるでなかった。

そう言えば調子に乗って、聡也が何事か語り出すだろうと目論んだのだ…。

「何の絵かって…?君は、人をバカにしてるのか!?そこの机の上に、篭に入った果物が載ってるだろう!」

彼女は心の中で「このカタブツ!!」と毒づいたが、当然笑顔は崩さなかった。

それでも、美綱はもうウンザリだった。

何を言っても正論が帰って来るだけで、取り付く島もない…。

しかし仲間達の手前、このゲームを降りる事は出来なかった。

彼女には、まだ奥の手が有ったのだ。

それは…。

「もし良かったら…、私のコトデッサンしてもらえませんか!?」

美綱は、勝ち誇った…。

これだけの栄誉を与えられれば、どんな男だってよだれを垂らして彼女を求めるだろう!!

聡也は、アッサリと言ったモノだ…。

「ああ、いいね…。面白いかも知れない。いみじくも画家を志すならば、何だって描ける様でなくっちゃならないから…。」

美綱は椅子に座って、笑顔を作った…。

彼はスケッチ・ブックに向かい、鉛筆を走らせる。

彼女は、退屈で仕方なかった。

ハッキリ言って、自分の申し出を後悔していた…。

あくびをかみ殺すのに必死で、その間何が起きていたのか全く記憶にない。

彼は、リラックスしながらも集中した面持ちで彼女の人物画を仕上げていく…。

日も暮れていき、辺りは夕闇に包まれていった。

「出来たよ…、はい。」

聡也は彼女の笑顔が描かれたスケッチ・ブックのページを千裂ると、美綱に手渡した。

「これが…。私?」

スケッチ・ブックのページに描かれた彼女は、聡明で透明感があり間違いなく美しかった。

「まあ、何だね…。君は美しいと思うよ。古の偉大な美術者達も、皆美しい女性を求めた…。その気持ちは良くわかる。」

…彼女の心に…稲妻が落ち、今すぐこの場で…操を奪われたいという望みがもたげる。

美綱は、体の震えが抑えきれない程悔しかった…。

それだけ美に陶酔する資質がありながら、何故?私を口説かないのか!

日も既に落ちていたから、聡也は美綱を駅まで送って行った…。

駅までの帰り道、彼は彼女に美術論を語って聞かせた。

「美術というのは、定まったカタチ等ないのだと思うよ…。そこに表現されている本物の感情や情熱さえあれば、それは何でもアートなんだね。だが人間としてその段階に到達するためには、基礎・基本に裏打ちされた巧みな技術を必要とする…。つまりは簡単な事で、何でも練習なのさ。その辺は美術であってもスポーツであっても、まぁ変わらんね…。」

学校からの最寄駅…。

美綱は電車に乗ると、窓に反射する自分の顔を眺めた。

聡也が酔っている美とは私なのだという官能が…、美綱にジワジワと身悶えさせる。

…聡也を美的に陶酔させたという実感により、美綱のプライドは否が応にもたかまった。

しかし歪んだ窓ガラスに映る彼女の顔もまた、奇妙に歪んでいて滑稽な情緒を偲ばせた。

あ〜ぁせめて…、私でオ◯ニーでもしてくれないかなぁ。

もししてくれたなら、彼だったらきっと可愛い私を思い浮かべてくれるのに…。

胸がドキドキする、…もしかしたら私ってあんまり可愛いくないのかな。

…だって私、愛されたい。

だから美綱の自信は…、風に流されて散っていく桜のように揺らいでいた。

 

次の日の朝…。

高校に登校した美綱は、友達に挨拶する。

「おはよー!私さ、あの罰ゲーム続けてみようかと思うの…。アイツカタブツでさ、なかなかクリア出来そうもないから。もし私に靡いて来たら、サイッコー!!に笑えると思わない…?」

彼女の仲間達は、皆愉快そうに笑った…。

 

テーマ曲…

「You can be a star」 YMCK

https://youtu.be/S4es7Pr1xKI

 

おまけ

どうも、こんにちは。

鈴木雅之です。

この作品はこのオートマールスム・ブログでは、ミュージシャンのアルバムでいうトコロのボーナス・トラックになります…。

本編は全ての話に相関関係があり三層からなる一つの世界観を形成していますが、この物語はそ〜じゃありません。

この物語は、ある日風呂入ってたら何となく思い付いてヒマだったから話書くの好きだし書いたまでの事です…。

無理矢理関連づければ出来なくはないんですが、まぁそれは物語への冒涜かな?と。

ぼくの作品は基本的にいつも同じ一つのテーマです。

恋に落ちる瞬間が、どうしても書きたくて…。

やっぱり人間にとって、イチバン気持ち良いじゃないですか?

それが愛に成就する可能性を予感させて終わるという…。

まあどうなって行くのかは、勝手にしてねって言うね。

一人一人想像して違うだろうから…。

そこまでは、責任持てないよね?

何故?従順な女性を描かないのか?と問われれば、腐ったオタク共が吐き気がするホド妄想を撒き散らしているからです。

もう飽き飽きなんだわ、そ〜ゆうのは!!

何でも言うなりになる芯の折れた女性なんて、俺は欲しく無いよ!!!

"じゃじゃ馬"なくらいで、ちょ〜どいい…。

同時に彼らは絶対に手に負えないから、気位が高く気の強い美しい女性を描写出来ない…。 

男として、大したコトねーからだ!!

だから、ざまーみろと思ってカウンター・デザイン・カルチャーしてるんですよねー!

それを毎回切り口を変えたり、お話の展開を捻ったりして制作するのを楽しんでます。

ワン・パターンだと造ってるのに飽きちゃって、最後まで書き切れないので…。

物語を制作する手応えの一つの指標として、造ってるのがどれだけ楽しいか?とゆ〜のがあるのではないでしょうか?

やっぱり書いてる側が本当に楽しんで造ってれば、読んでくれてる方もきっと楽しめるハズだって信じてるんですよ…。

なので今回も…、表現の幅を広げる為に色々とトライしています。

もっと想像力へ訴求する作品を目指しているので、その練習なんです。

もっと文章のリズムだけで気持ち良くなれる表現を、身に着けたいモノですね…。

それでは、失礼します👋。

 

〜聖杯騎士〜パルツィバル☆伝説

オープニング…

「故郷」 島谷ひとみ

https://youtu.be/X-_J2a3aaxU

 

昔々…ソーファルゼカームスの国にあるユフレイトの森の中に、パルツィバル(黒いライオンの子の意)という少年がヘロツェライデ母さんと共に住んでいました。

パルツィバルはだから、ヘロツェライデ母さんの「ウィンナーじゃが」が大好きな元気な少年…。

パルツィバルが大好きだったのは…、ヘロツェライデ母さん特製の「ウィンナーじゃが」!!

…これは作り方はカンタン、フツーの肉じゃがでは小間肉やバラ肉を使いますが。

代わりに、…ウィンナーを入れてしまう。

ぼくは、野田市民だからキノエネ醤油の「人形町今半すき焼きのたれ」で味を決めてしまうけれど…。

自分で味つけされたい方は…、しょう油なら窪田味噌醤油の「昆布醤油」がおススメ(これも野田市で作られてます)。

パルツィバルのお父さんはガムレットという騎士で…、それはそれは立派な騎士でしたが大きな戦争で命を落としたのです。

だからヘロツェライデ母さんは、パルツィバルにはガムレット父さんと同じ道を歩ませたくありませんでした。

それでこんな森の奥深くで、ひっそりと暮らしていたのです。

しかし血は争えません…。

だから…パルツィバルの体の中にも立派な騎士ガムレット父さんの勇敢な熱い血潮が、ドックンどくんと音を立てて脈々と流れていたのですから。

ある日パルツィバルがユフレイトの森の中でリスやシカそれにウサギといった森の仲間達と遊んでいると、キラキラと輝く人影が目に入りました。
森の仲間達は驚いて逃げてしまいましたが、パルツィバルはキョ〜ミしんしん!
だから、近づくと思い切って話しかけてみたのです。
「なんでそんなにキラキラしてるの?聖書に出て来る天使なの!?」
キラキラと輝くオジさんは、笑って言いました。
「私の名前は、レイオルコン…。ハッハッハ…、ぼうやの言う"キラキラ"とはこの甲冑のコトかな?だから、オジさんは天使じゃない、騎士という者だ。王様のいいつけに従って、悪者と戦うんだよ。私は王の中の王者、聖杯王アンフォルタス様に仕えているんだ。騎士第五等で、"覇騎士"なのさ!」
それを聞いたパルツィバルは、もういてもたってもいられなくなってしまったのです。

ヘロツェライデ母さんが夕ごはんの買い物から帰って来ると、待っていたパルツィバルは元気よく宣言しました。

「母さん!!オイラ、だから…騎士になるよ!」

とっても心配したヘロツェライデ母さんは懸命に止めましたが、パルツィバルの決意は固くひるがえりません。

だからヘロツェライデ母さんは、パルツィバルと三つの約束を交わしました。

一つ目は、騎士は王の命に生命を捧げる事…。

二つ目は、騎士はむやみにペチャクチャとおしゃべりしない事…。

三つ目は、騎士は愛する女性にだけキスをして愛を表現する事です。

「わかったよ母さん!!ダイジョ〜ブだから、任せて!」

そう言うとパルツィバルはガムレット父さんの残した神馬「オー・ソレナ(夢幻の露滴)」に乗り、形見の槍「プレシオ・サウルス」と剣それに藍色の甲冑「アレガサメイア(穂影の霧雨)」と盾「スワローテイル」に身を固めて旅立ちました。

ガムレット父さんの剣は、伝説の聖剣「ディフュレクション(星々の瞬きを戴く冠鷲)」です。

つばの部分に星型の意匠が凝らしてあり、岩をも両断する斬れ味でした。

だから後ろ姿を、…「手が荒れたらユースキン塗るのよ」とヘロツェライデ母さんは送り出しましたが。

…しかし、パルツィバルがあまりに心配でついにだから寝込んでしまったのです。

パルツィバルは悪い騎士や盗賊をやっつけながら、高名なアンフォルタス王の元・聖杯城プリンシパルを目指して冒険の旅を続けました。

パルツィバルの旅には、こんな冒険があったのです。

ある時、盗賊団「ハゲタカの眼つき」と戦いました。

「ハゲタカの眼つき」団の頭領カマヤンタは、卑怯にもパルツィバルに遠くから爆弾を投げつけてきたのです。

しかしパルツィバルは飛んで来る爆弾を伝説の聖剣「ディフュレクション」で次々に斬り落として愛馬「オー・ソレナ」で突撃し、遂には盗賊団「ハゲタカの眼つき」の頭領カマヤンタをこらしめたのでした。

また、パルツィバルはお祈りが大好きだったのです…。

イエス・キリスト様の教会での、聖体礼儀(ご聖餐をいただくコト。則ち"イエス様の血と肉"、ワインとパンですね)だけではありません。

昔々に祀られた旧〜い神様であろうとお寺の仏様であろうと、神殿の柱だろうと何だろうとありがたい神仏は何でも拝んでしまうのです。

色々な神柱仏(えっ?柱はそんなにエライのか…、ですって?この事は、誰にも言ってはいけませんよ…。柱というのは、エル・エルヨンやミトラス等数多なる神々のコトで、人間の首・肩から背中と腰を支えているのは実は"柱"なのです。人間の智・仁・勇をお護り下さる御方々なので…、だからたくさん感謝しなければなりませんね!!因みにキリスト様の聖三位一体や神ヤハウェは、"唯一なる御方"なので数えるコトは出来ません…。)を熱心に拝んでいると、パルツィバルは何だかだんだんと気持ち良くなってしまうのでした。

するとある日、控えめで上品な天幕の側を通りかかります。

パルツィバルが何となく目をやると、天幕の側に立っている女性のキレイなコト、キレ〜なコト…。

パルツィバルがぼんやり貴婦人を眺めていると、天幕の貴婦人はニッコリとパルツィバルに微笑みかけました。

その笑顔は、まるでヒヤシンスの花が風になびいて揺れた様で…。

パルツィバルは思わず馬を降りて、貴婦人にキスしてしまったのです。

そしてこう言いました。

「オイラ、あなたを愛しています…。だから…だから、オイラと結婚して下さい!!」

貴婦人は自分の名前をアルヴィーレウと名乗り穏やかにパルツィバルから身を離すと、こう諭したのです。

「あなたの申し出はとても嬉しいのですけれど…。あなたはまだ、"愛"というモノがわかっておられない様子です。もしあなたが"愛"を知る時、今の言葉と行為をきっと恥ずかしく思い返すでしょう。…私は毎朝湖や川で身を清める時、こう祈るのです。"天にいまします私の神さま…、私の夜毎の密やかな愉しみをお赦し下さい"と。だから私は、その際にあなたの罪が赦されるよう神ヤハウェにお願い致しましょう…。あなたは何故か、憎めない人なのですから。」

パルツィバルも、何となく自分は悪いコトをしてしまったのだと閃きました。

そして貴婦人アルヴィーレウに精一杯丁寧に謝ると、再びアンフォルタス王の元を目指したのです。

しかしパルツィバルは精一杯丁寧に謝ってはみたモノの、"愛"という「何か」についてはサッパリわかりませんでした。

だからパルツィバルは高名なアンフォルタス王のプリンシパル城へと向かう冒険の旅の途中、片っぱしから手当たり次第に困っている人達を助けて周ったのです。

するとだんだん、パルツィバルは立派な騎士として有名人になってしまいました。

まだ主君を持たないパルツィバルは、ご褒美こそもらえませんでしたがその名前はこっそりと有名になっていったのです。

しかし…、それを面白く思わない男がいました。

魔術師のクリングゾールです。

パルツィバルは、みんなから感謝され好かれていました。

それは…。

どんなにタイヘンな思いをして助けたとしてもパルツィバルの要求するお礼は、そのお宅の夕ごはんのご相伴に預かり肉じゃがを美味しくお腹いっぱい食べさせてもらうコトだけだったからです。

魔術師クリングゾールは何とかしてパルツィバルをいじめたいと考えて、魔法陣を描き悪魔を喚び出しました。

悪魔召喚の呪文「タワームド」を唱えて、何とあの恐ろしい悪魔…、誘惑のアシュタロトを喚び出してしまったのです。

魔術師クリングゾールは、悪魔アシュタロトにこう言いました。

「俺様と二人で、あのパルツィバルとかいう小僧をいじめてやろう…。そうすれば、ずい分と気分がいいだろうぜ!」

しかしいかに魔術師クリングゾールに魔力が備わっていようと、悪魔に勝てるハズがありません。

悪魔アシュタロトは、誘惑の悪魔…。

悪魔アシュタロトがエッチにウインクすると、もう魔術師クリングゾールはメロメロで言うなりになってしまったのです。

力の入らなくなった魔術師クリングゾールの首筋に、プツっと悪魔アシュタロトが二本の牙を可愛く刺し通しチュチュチュのチュ〜♪と血を吸い上げてしまいました。

「ぺっ…、ツマんない!全部啜って、アンデッドにしようかしら…?ダメねぇ…、そんなんじゃ。ペットにすらなりゃしない…!…ホントに、◯つの?アタシのおしっこでも、…飲んでれば。…それとも、痛ぁ〜いムチでしっ叩いてあげた方がいい?どちらにせよ、…おさるさんみたいなアンタにはお仕置きが必要だわ!!だからって、汚いモノ◯てないでよね…。あ〜…、マズい!!!吸ってあげたんだから、感謝してよね….!フフ…、もっとエッチな眼で見てたいんでしょ?何が見たいのか、言ってみたら?さぁ…、早く。アンタの眼じゃあ、エッチな気分になれないわ!!だからアタシの溢美なる花弁を、聖杯だと思って拝みなさい…!きっと、ご利益があるから!アタシが魅力的過ぎて、もう好きになっちゃったのね!!神様だって…、アタシのパシリなんだから。でもそのパルツィバルをいじめるっていうアイディアは、アタシ気に入っちゃった!あ〜いう血の色鮮やかな…勘違いした熱血漢の血って、おいし〜のよね!!あー、美味しそう!…ガマン出来ないわ。そしたら、じ〜っとずっと見詰め続けて…アタシだけになってエッチな気分になれるかもね?いいわ、アンタをアタシのパシリにしてあげる…。アタシの言うコトを聞いて、せいぜいパルツィバルをいじめなさい!!アンタの働き次第では…、ムフフ❤️な秘密を見せてあげなくもないわ!ちょっとだけね…。アタシと、…エッチしたいんでしょ?…だからオ◯ニーしてもいいわよ、しょ〜がない人。アンタは…、アタシの前でそれをするの!あなたには、それがお似合いなんだから…。アタシに嫌われてそれが気持ちい〜なんて、…あら変態ね。…おおかたモテたいんでしょうケド、そんなんだからマゾになっちゃうのよ!!ホ〜ント罪な女だわ…、アタシって。」

こうなると、もういけません…。

魔術師クリングゾールは、悪魔アシュタロトのエッチな秘密見たさに何でもするようになってしまいます。

こうして悪魔アシュタロトの言うなりになってしまった魔術師クリングゾールは、まずアンフォルタス王を狙いました。

アンフォルタス王は、パルツィバルが仕える事を夢見る王の中の王者…。

その王者アンフォルタスをやっつければ、さぞかしパルツィバルはがっかりするだろうと悪企みしたのです。

ここだけの秘密ですが、アンフォルタス王はダンナさんのいる女性を好きになってしまっていたのでした。

その心の隙に、悪魔アシュタロトの魔力を借りた魔術師クリングゾールの魔術が襲いかかります。

すると聖杯王アンフォルタスは、魔術師クリングゾールの魔術の力で思わずダンナさんのいる女性に、"愛"を打ち開けてしまいました。

さあ、大変です!!

聖杯王アンフォルタスは、罪に堕落してしまったのでした。

その結果、聖杯「フェイオーナルネ(白雲影走りの航海伝寄書)の三日月うた」は悪魔アシュタロトと魔術師クリングゾールの物となり世界は暗闇に包まれてしまいます…。

「フェイオーナルネ」とは…。

現在をもって尚神ヤハウェに仕える天使で、全ての天体・銀圏・宙空の運巡と解像と軌導を司っています。

あの偉い偉い天使…、天使ミハイル(ミカエル)とも大親友にしてライヴァルなのですよ!!!

さて何も知らないパルツィバルはついに聖杯城プリンシパルに、アンフォルタス王の元を訪れました。

パルツィバルはすでに隠れた有名人でしたから、多くの騎士達の賞賛と知己と期待の中アンフォルタス王の元へと案内されたのです。

しかし、高名なアンフォルタス王は何も語らず顔色は優れません。

パルツィバルが困っていると王様のご不調に代わって指揮を下す、アンフォルタス王の次に偉い礼拝・祭儀・婚姻大臣トルモールドが事情を説明してくれたのです。

「ようし!!オイラ、やるぞ!」

それを聞いたパルツィバルは、絶対に魔術師クリングゾールをやっつけて聖杯「フェイオーナルネの三日月うた」を取り戻そう!と決意しました!!

その夜聖杯城プリンシパルでは、パルツィバルの出発を祝って酒宴が開かれたのです。

大人にはお酒、パルツィバルには牛乳で割ったホット・カルピスとミルキー…。

それに美味しい美味しいポテトチップスとポッキーとマルセイのバター・サンドにレディ・ボーデンのバニラ・アイス、それからカレー、ハンバーグに海老フライ、それにから揚げの他にもたくさんた〜っくさんのごちそうがパルツィバルの為に用意されました。

 

「Symphony No.1」 J.Brahms/W.Furtwangler

https://youtu.be/uGexRHe2iBk

 

パルツィバルは、アンフォルタス王の元・聖杯城プリンシパルから再び冒険の旅に出発したのです。

しかし「愛」を知らないパルツィバルには、王者アンフォルタスの苦悩がわかるハズもありません…。

だからパルツィバルは、強くなろう!!!と決心しました。

誰よりも強くなれば、きっとアンフォルタス王を"男らしく"立派に支えられる!!と考えたのです。

今度の旅は、本当にタイヘンなモノでした。

何と、何と!!

魔術師クリングゾールの喚び出した魔物達が、次から次へと襲いかかって来るのです。

しかぁ〜し!!

パルツィバルは勇気を奮って戦い、またドンドンと強くたくましくなっていったのでした。

特に手強かったのは、マンティコア・ライタウロスです。

ライタウロスは、体長がガムレット父さんの残した神馬「オー・ソレナ」の三倍もありパルツィバルの何倍もの力がありました。

始め、マンティコアの大きな体と強い力に苦戦したパルツィバルでしたが…。

しかしパルツィバルはライタウロスの尾の毒針を形の良い盾「スワローテイル」でキチンと防ぎ、愛馬「オー・ソレナ」の脚を活かして素早い動きで翻弄して、マンティコア・ライタウロスの急所を的確に愛用の槍「プレシオ・サウルス」で貫きました。

マンティコアの急所は、右のわき腹にあります。

魔物なので、心臓の位置が動物とは違うのでした。

そんなある日生まれ故郷ユフレイトの森とは別な、タリシタインの森の中を通りかかったパルツィバルは、寂れた庵「ベテルギウスの台所」を見かけます。

不思議に思ったパルツィバルが戸を叩くと、中から長〜い白ひげの隠者タンデムイセズが顔を出しました。

森の隠者に案内されて庵「ベテルギウスの台所」の中に入ると、伊藤園の「お〜いお茶」を2ℓのペット・ボトルだから注いで出してくれたのです。

自分の分のお茶を飲みながら、隠者タンデムイセズはパルツィバルに語りました。

「お前さんは、もう充分強くなった…。しかし騎士は強いだけではいけない。優しくなければならない。お前の母ヘロツェライデの事を、憶えているか?彼女は、お前が旅に出てから心配で体調を崩しておる…。お前はお母さんの為に、何かしてやりなさい。それもまた、騎士の道じゃ…。」

パルツィバルは忙しさにかまけ、ヘロツェライデ母さんをすっかり忘れていたのです。

そうして改めてヘロツェライデ母さんのカレー・ライスの味を思い出すと、悲しくなって涙を流しました。

しかし今はお家に帰るワケにはいきません。

あの悪い魔術師クリングゾールを、やっつけなければならないからです。

それからしばらく経って…、今度はパルツィバルは小さな村に立ち寄りました。

その村はホリゾンタライミ村といい魔物達に襲われて困っており、パルツィバルは勇敢に戦い退治したのです。

ホリゾンタライミ村の宿の娘は、ブランシュフルールと言いました。

パルツィバルよりちょっとだけお姉さんのブランシュフルールは、不思議な娘だったのです。

ブランシュフルールのお父さんの名前はファイトマイカ…、お母さんはピートリヌ。

パルツィバルは、何故かブランシュフルールの前に出るとドキドキしてしまって上手く話せません。

一方ブランシュフルールは村を助けてもらった恩もあり、かいがいしくパルツィバルのお世話をしました。

「私…、パルツィバル様の為なら何でもさせていただきますから。いつでも何でもご用をおっしゃってください!!」

ブランシュフルールはカレー・ライスを作るのが大得意で、…その名もだから「肉じゃがカレー(フツーカレーははお肉とお野菜を炒めをお鍋で炒めてお水を張って煮ますね?そこに肉じゃがの調味料を垂らしてしまうのです。あとはカレー・ライスと一緒。あ〜ら不思議肉じゃががいつの間にかカレー・ライスに!!!ブランシュフルールのおウチではカレーはいつもS&B"ゴールデン・カレー")」を、パルツィバルにごちそうしたのです。

ブランシュフルールはいつも近所のスーパー…、ヤオコーホリゾンタライミ店でお買い物は済ませていました。

みなさん、もうおわかりですよね?

パルツィバルは、"愛"を知ったのです。

パルツィバルはブランシュフルールに愛を告白し、ブランシュフルールはパルツィバルの愛を受け容れたのでした。

だからそうして…二人は、密かに口づけしたのです。

パルツィバルは昔、貴婦人アルヴィーレウにしてしまった事を思い出して顔を赤くしました。

でもだからそれは女性に恥ずかしい想いをかせてしまった恥ずかしい秘密なので、ブランシュフルールには話せなかったのです…。

パルツィバルはブランシュフルールと出会って、「愛の苦悩」を知りました。

男は…、愛している女性さえいれば死ぬコトは怖くなくなってしまうのです。

…では何を恐れているのか。

それは愛している彼女を、…本当に自分の力で守り切れるのかとゆ〜コト。

だから、愛している誰かを自分の力で守り抜くコトが男にとっては真実の名誉だと悟ったのでした…。

もう一つ、パルツィバルには嬉しいコトがありました。

何とブランシュフルールは、ヘロツェライデ母さんの面倒を見てくれると言うのです。

早速二人は馬で、パルツィバルの生まれ故郷のユフレイトの森の中に戻りました。

そうして久し振りにヘロツェライデ母さんに会うと、やはり元気がありません。

しかしパルツィバルは、悔しいの振り切ってヘロツェライデ母さんに告げました。

「母さん…。ぼくはこれから、聖杯を取り戻す為に魔術師クリングゾールと戦いに行く。でも心配しないで。…だから、きっと生きて戻って来るから!!」

「すまないね…。情けない母さんを許しておくれ。お前は男なんだから、だから…余計な事は考えずに自分の道をキチンと歩みなさい…。」

「私、ブランシュフルールって言います!!私のコトは実の娘だと思って、だから…何でも言いつけて下さい…。家の事なら、一通りは出来ますから!!」

こうしてパルツィバルは、魔術師クリングゾールの潜む「悪魔城コルネオイタス(歓喜の落日)」に赴いたのです…。

「悪魔城コルネオイタス」は恐ろしい所でした。

今までパルツィバルが戦ってきた魔物の倍も強い魔物が、倍の数もいたのです。

しかしパルツィバルは負けませんでした。

ゆっくりと休息を取りながら決して自分のペースを崩さずに、じっくりと「悪魔城コルネオイタス」を攻略していったのです…。

そうしてついに天守閣までやって来ました。

今宵は満月…。

満月の夜は、魔術の力が最も高まる夜。

それでもパルツィバルは、怖れずに天守閣に足を踏み入れたのです。

「フッフッフ…。俺様の名は魔術師クリングゾール!!実はな、俺様はお前をいじめる為に聖杯を奪ったのだ!どうだ、恐ろしいか!?恐ろしければ、ホレホレ…!お前も、悪魔アシュタロト様を崇めるがよい!!俺様の様な"偉大"な男をパシリに出来て、悪魔アシュタロト様もさぞかしシアワセであろう…。俺様は悪魔アシュタロト様が何をしても…、かわいいと呟く。忠誠を誓えば…、怖い気持ちが無くなるのだ!怖くなくなれば、何だって出来るのだぁ…!!」

パルツィバルはクリングゾールに、"神聖な義憤"でワナワナと体を震わせました…。

「何てバカな事を!聖杯"フェイオーナルネの三日月うた"が無くなったせいで、どれだけ多くの人達が苦しんで困っていると思うんだ!?罪が赦されるという、"救い"を君は奪ってしまった…。それが、どれだけ悲しいコトなのかわかるかい?ぼくは、知っているぞ!!怖い気持ちがなくなってしまったら、"勇気"も無くなってしまうコトを!怖さは、敵の強さと自らの"心の隙"を知る事に始まる…。君には、人の心を傷つけてはいけないという考えが足りない!!人の気持ちは、何より大切なモノだ…。愛を知らない者の罪は赦されない!!決着をつけよう、勝負だ!!!」

すると、何と恐ろしい事でしょう!!

魔術師クリングゾールは、魔法陣を描いて竜を召喚する呪文「マギャルスト」を唱え、…ドラゴン・グルンガンドを喚び出したのです!!

しかしパルツィバルは、不思議と怖しいとは感じませんでした。

ここまで来たら、やるコトをやるだけだ!と考えたのです。

ドラゴンはものすごい勢いで炎の息を吐いたり、長く力の強いしっぽで攻撃してきました。

その様子を見ていた悪魔アシュタロトは、もう大興奮です。

「やっちゃえ、やっちゃえ!あ〜いうマジメぶった顔したヤツ見ると、胸がムカムカすんのよね!!でも真面目ぶったヤツが言うなりになるから、…愉し〜のよね。イマ、思い知らせてやるんだから!ほ〜ら、アタシが欲しいんでしょ…?早く、そう言ってみなさい!!ウットリするから、アタシの"黄色"の瞳を覗きなさい…。血を吸われればアタシの"毒"が混じって、良心の呵責なくウソが吐けるのよ!!!…ペットにしてあげるんだから♪。そしたらアンタも、パシリにしてあげるわ!!それでアンタは…、アタシを抱くの。…だからアンタは、アタシの物になる。それが、アンタのシアワセなの!」

パルツィバルは懸命に戦いました。

まず、無理に攻撃しようとはしない方針に決めたのです。

どんなに手強い敵であっても、必ずクセやパターンがあるからです。

そしてムリに攻撃に転じれば、必ずスキが生じてしまう…。

パルツィバルは、待ちました。

チャンスを…。

するとグルンガンドは、こんなチビすけ相手にいつまで決着が着かないのか?とだんだんじれてきたのです。

それに炎の息を吐くのにもしっぽを振るうのも、疲れてきてしまいました。

戦いの途中でしたが悪魔アシュタロトは思わず、我慢出来ずにパルツィバルに背後から抱きつきました…。

そして首筋に、…カプッと牙を突き立てたのです。

…チューチュー吸った、その血の美味し〜コト美味し〜コト!

「もっと欲しいパルツィバル…、もっとちょうだい!!あなたの血が欲しい、全部吸わせてちょうだい…。あなたは、…アタシの血の奴隷よ。…どっちがご主人様か、わかってるわよねぇ?気持ちがいいわ…、ゾクゾクする!あなたのコトだけを、支配したいの…。アタシに血を吸われると、…何も考えられなくなってハッピーな気持ちになれるのよ!!…それこそが、"共感"なんだから。ねだから…、アタシにキスしなさい?あなたの"愛"を、血の生贄に捧げるの…。あなたに受け容れて欲しいのよ、…アタシの激しく乱れる全ての淫らさを!…ナメたいでしょ吸いたいんでしょ、いいわだったらあなたにアタシのヴァージンを捧げて上げる!!アタシの恥ずかしい姿を見なさい…、これは命令よ。だから、逆らうコトは赦されないわ…!」

パルツィバルは相手が女性なのであまり気が進まなかったのですが、…状況が状況です。

「…あなたは、何を言ってるんだ。あなた自身が危険なコトが…、わからないのか!!今は、そんな事をしてる場合ではない…!」

止むに止まれず、…悪魔アシュタロトを力ずくで引き剥がすと。

…そのままグルンガンドとは正反対の方向に、突き飛ばしました。

その時です!!

パルツィバルは、グルンガンドは炎の息を吐き出す際に必ず動きが止まる事を見切ったのです。

「今だ…、だから…ぼくはこの時を待っていた!!隙ありだぞ、グルンガンド…!これがぼくの"全ての力"だ、受けてみろ!!」

ドラゴンが炎を吐き出そうと息を吸い込んだ時、まるで電撃の様に素早く跳び上がったパルツィバルはドラゴンの眉間を伝説の聖剣「ディフュレクション」の必殺技「エレメンタリア・コロナ・デュアル・ディストーションズ」で撃ちました!!

火の玉と化したパルツィバルは、天から轟く雷鳴と共にドラゴン・グルンガンドをボガガ〜ン!!と征ち…。

その時、もう一つ不思議なコトが起きたのです。

パルツィバルが跳び上がった瞬間、悪魔アシュタロトの胸がドキッ❤️としました。

ドラゴン・グルンガンドはどぅッと倒れます。

「覚えてろよ!まぐれは二度も続かんからなぁ〜!!」

魔術師クリングゾールは怖じ気づいてブルブル震え…、負け惜しみを叫びながらどこかへ姿を消しました。

後に残された悪魔アシュタロトは、エッチなウインク攻撃でパルツィバルを誘惑しようとします。

「あれ…、あれ?何だろう…?胸がドキドキして、ウマく出来なくなっちゃった。ね…?あっイヤダメそんなやめないで、血を吸わせて…お願い?…いや、だから血を吸い上げて…。美味しく、味わって…だから☆。見せてあげるから…アンデッドにして欲しいの、…だから♪。…痛ぁ〜いムチ、しっ叩いて。でアタシのコト…、抱きたいんでしょ?そうだと、言って…。お願い、…だから。…だからアタシ、あなたのペットになるの。可愛いって…、だから呟いてくれないかしら?何でアタシとエッチしたくないの、だってそんなのって絶対狂ってる…!!どーしてもそれだけは許せない、…そんな考え。だって、アタシ可愛い〜のにっ…!」

そうなのです。

悪魔アシュタロトはパルツィバルの瞳を覗き込む度、ドキッ❤️としてエッチな目つきにならないのでした。

だから何となく…、血を吸いたい気持ちがなくなってしまったのです!

…だから何人もいた手下のコトも、もうどうでもよくなってしまって。

すると悪魔アシュタロトの瞳は、いつのまにか"黄色"から元のブラウンに戻っていました…。

「あなたは悪魔だとわかっている…。でもそれでも女性なのだから、ぼくは手出しはしない。女性の体を傷つけるのは、男として恥じなければならない…。間違っているかも知れないけど、それがぼくの考える騎士道だ!!」

そう言ってパルツィバルは聖杯「フェイオーナルネの三日月うた」を手に、コルネオス城を後にします。

だからこうしてパルツィバルは"死にたくない!!!"という人間としては当然の弱い気持ちを、「勇気」をもって乗り越えたのでした。

聖杯「フェイオーナルネの三日月うた」の秘密とはこうです…。

「…このままでは世界が滅びてしまう、などと考えてはいけません。そ〜ゆう人は…、いかにも私は真剣なんだと周りにアピールしたいだけなのです。そしてその実、神ヤハウェへの仕事への尊敬が足りません…。いーですか、…神ヤハウェは全知全能なのです。…その御方が創造された世界が、中途で滅びてしまうハズないではありませんか。その絶望は…、あまりにも神ヤハウェをナメている。だからいつも、何とかなるさ〜と考えて日々を過ごしなさい…。そう生きるには、…贅沢を慎むコトです。…モチロン、鬱憤を溜めない程度には愉しみも必要ですが。ストレスが溜まると…、他の人に対してガミガミしてしまいますからね。けれど慎み深く毎日を過ごせば、自然とみんなを信じられるのですから…。心からそう想っている人のトコロに、…自然と幸いは訪れるモノですよ。」

一生懸命がんばった人が幸せになれるように、神ヤハウェ様は世界を創造したのですから…。

それを知ったパルツィバルは驚きました!

「なにィ〜!!そうだったのか!みんなに教えてあげようっと!!そんな素敵な秘密が、隠されていたなんて…。やっぱり神様に従うのが、確かな道なんだなぁ〜!!!」

でもちゃんとお礼はしなくちゃいけないな!お金もらわなくちゃ生活出来ないし!!、とちょっと大人になったパルツィバルは考えたのです。

そして残された悪魔アシュタロトは、胸の高鳴りをどうしていいのかわかりませんでした。

アンフォルタス王の居城、プリンシパル城に帰ったパルツィバルは城の礼拝堂に聖杯「フェイオーナルネの三日月うた」を安置したのです。

そうしてアンフォルタス王の前に通されると、こう問いかけました。

「何故、あなたはそんなにも不幸なのですか…?」

それは再生の理力「ソーマオイル」の聖言の力を秘めた、力強くも温かい問いかけでした…。

アンフォルタス王は、溢れんばかりに涙を流しながらこう答えたのです。

「私は、愛を得たいと望んだのだ!」

そうしてアンフォルタス王は、今までの苦衷をさめざめと涙を流しながらパルツィバルに語り続けました。

それは三日三晩続き…、終わった後アンフォルタス王の顔に永く見られなかった笑顔が輝いたのです。

アンフォルタス王は回復し、パルツィバルは大臣トルモールドから騎士第一等の聖騎士に任ぜられました。

新たなる英雄の誕生に、アンフォルタス王に仕えるプリンシパル城の騎士・司祭・神様の乙女・侍女達はみ〜んな拍手喝采で大盛り上がり!!!

中でも魔術師クリングゾールとの戦いを通じて親友になった、聖杯探求のライヴァルである同じ騎士のガラハッド(白き猛虎の士の意。騎士第二等で、階級は"義騎士"でした。)は、特に大きくとてもとてもジャンプして喜んでくれました。

「おめでとう、パルツィバル…!!君は真に…、無双に名立たる天下一の騎士…騎士の中の聖騎士だ!だから…ぼくも君に負けないよう、立派な騎士を目指そう!!」

「ありがとう…、ガラハッド。ぼくが強くなれたのは、君というライヴァルのお陰だ…。ぼくだって、負けないよ!だから二人で競い合って、グングン強くなろう!!」

晴れてパルツィバルは、王の中の王者アンフォルタスに仕える事が出来ました。

生きて還って来たパルツィバルに、ブランシュフルールは涙を流して喜びます。

「パルツィバル様…!!私は、神を信じてました。神を信じるあなたが、負けるハズは無いと…。それなのに、…だからそれで…それでもッ!、どうか…どうかこれからは…、しばらくゆっくりなさって旅の疲れをお癒し下さい。」

「ブランシュフルール…、心配をかけたね。でももう、大丈夫だ!!これから世の中は、平和になるよ…!ぼくが君に捧げるミンネは、…君が安心して暮らせる毎日さ。…ぼくは一人の騎士として、ミンネにこの身を捧げる。この平和な生活を…、みんなと協力して守るよ。だから…だからさ、ぼくは君の為に戦った。だから、強くなれたんだ…。」

戦いに明け暮れていたパルツィバルは、…ブランシュフルールの流す涙を見た時気がついたのです。

…何も特別なコトの起きない、何でもない平和な日常こそが本当の幸せだと。

彼が愛している女性の願いは…、そこにある。

その為に自分は、剣を振るってひたすら勝利を求め戦い抜いたのだから…。

そうしてヘロツェライデ母さんもブランシュフルールも聖杯城プリンシパルに招き、みんなで仲良く末永く幸せに暮らしたと言う事です…。

パルツィバルは、いつかブランシュフルールをお嫁さんに迎えたいと考えていて…。 

だからブランシュフルールも、いつもパルツィバルを想って過ごしていました。

でもそれは、まだずっと先の事。

もちろんだからパルツィバルは、ヘロツェライデ母さんの「ウィンナーじゃが」もブランシュフルールの「肉じゃがカレー」もどちらも大大大好きですよ!!!

 

テーマ曲…

イカリを揚げよう」 明和電機

https://youtu.be/ce1xmzKAYPA

 

〜後日譚♪〜

聖杯「フェイオーナルネの三日月うた」が聖杯城プリンシパルに安置され、…神ヤハウェ様の奇跡「セライエーノ📲ミーフトオシムの祝福」が世界に満ち充ちて…、各地のキリスト教会で聖体礼儀と奉神礼に聖詠が復活し平和が戻ったある日…。

パルツィバルが他の騎士達と一緒に戦いの練習を終えて、ブランシュフルールとヘロツェライデ母さんの元に帰ろうとすると。

宿舎の入口に、何と!!あの悪魔アシュタロトがうつむいて待っていたのです。

「君との決着は、もう着いたハズだ!ぼくは女性には、手を上げない…。帰ってもらおう!!」

しかし悪魔アシュタロトは、タッパに詰めた豚丼を差し出してこう言いました。

「アタシが考えて、…隠し味にラー油を振ってあるの。美味しく出来たかどうか、わからないケド…。だから食べて…、欲しいの。」

驚いたパルツィバルが思わず受け取ると、そこには…。

❤️のシールで封をした、手紙が添えてあったのです。

「こんちにはあたしととだもちになってだくさい 」

それは、悪魔アシュタロトが初めて書いた手紙でした。

パルツィバルが目を上げると、そこには真っ赤な顔をした悪魔アシュタロトがモジモジしていたのです。

「いいよ。どうもありがとう…、とっても美味しそうだなぁ。ところで何して遊ぶ、オセロ?すごろく、それともドンジャラ?」

そんな悪魔アシュタロトに、食パンの香りの汗のにおいのするパルツィバルはアッサリと言いました。

「キャー!!やったぁ…、誘惑しちゃった!アタシ、ドンジャラ大好きなの〜!!」

思えばこれが…、悪魔アシュタロトの「初恋」であった。

悪魔アシュタロトはこうもりの羽根で天高く舞い上がると、だからそのままクルクルと旋回しましたとさ…。

パルツィバルは悪魔アシュタロトから渡されたタッパを開けて、…中の豚丼のたれに指を突っ込んでナめてみました。

「…や、こりゃあなかなか美味しいぞ!!どれ…、早速ブランシュフルールに頼んで温めてもらって食べてみなくっちゃ!だから母さんとブランシュフルールと、四人でオバQドンジャラやろうね…。」

 

「流星ダンサー」 月刊プロボーラー

https://youtu.be/Nn3X4q17ZIc

 

おまけ

どうも、こんにちは。

鈴木雅之です。

作品の元ネタは…。

誰が読んでもわかる通り、「ドラゴンボール」でっす!!

作品の下敷きにはうろ覚えの「パルチヴァール」があり、それを「ドラゴンクエスト」の様な舞台にしました。

そこに「天空の城ラピュタ」の健全な少年像をドッキングしてます。

でも何より意識してイメージしたのは、「ドラゴンボール」の孫悟空…。

ドラゴンボール」の孫悟空で示された少年のヒーロー像って、まだ誰も越えていない。

純真な心で、いつも誰かの為にがんばっていて、夢中で生きている…。

本当にどんな少年も思わず憧れてしまう、ヒーローですよね!

例えば重ね合わせた掌から「気合い」を光線として発射する、というアイディアを素晴らしい!!

性に執着がないから、女性の羞恥心に配慮出来ないというダメさ…。

そして何より、大食漢という一般的にみっともないというレッテルを張られていた個性を「可愛らしさ」として詩的に昇華した点がマーベラス!!!

これを乗り越える為に必死に知恵を絞って、パルツィバルの「お母さんのカレー・ライスが大好き!!」というアクセントを付けたんですから…。

パルツィバルの必殺技名は、とにかくカッコよく!!!をコンセプトにつけました。

そうじゃないと、グノーシス主義が…。

あっ!

それは、いいや…。

それと聖杯「フェイオーナルネ(白雲影走りの航海伝寄書)の三日月うた」という言葉が見つかって、なかなかお気に入り。

造語も含め、言葉の扱いを練習した甲斐がありました。

だから…鳥山明先生の詩的に異常に精密な画風に対抗する為に、何度も自分で読み返しては句点の位置まで調節。

堀井雄二氏もそうですが、鳥山明先生の造語のセンスも面白いですよね〜。

誰でも知っている言葉を、カッコよかったり恐ろしかったり何となくそれっぽいのに、どこかユーモラスで愛嬌があり笑いたくなってしまう…。

いや〜!!

真似出来ません。

自分のセンスで勝負勝負!!!

だから孫悟空をモティーフにして、新しい違った(オルタナティヴ)なヒーロー像を再構築したいと考えて作品を創作しました。

昔の少年ジャンプには、子供達の憧れを背負えるだけの本当の「ヒーロー」がたくさんいた。

それこそ孫悟空、ジョナサン=ジョースター(ぼくはジョセフが好きなんですよね〜。彼は天才なんだと思う。…エッピだし!!因みにぼくは今孫悟空より、ベジータが好きなんです…。こらはぼくの想像だけど、彼は努力家なんじゃないかな?孫悟空っていう燃えられるライヴァルが出来たことで、多分ベジータのハートに火が点いたんだと思う…。過酷な練習の成果が、彼のプライドの根拠でしょう。孫悟空は戦ってて強いから、ベジータのコト好きなんでしょうね。真剣に競い合って本気で認め合うのが、男同士の友情ですから…。そういう物語だったんでしょう!!!)、大空翼…。

みんな子供の頃に夢中で読んで、こういう大人になりたいなぁっ!!って夢に見たと思うんです。

だからぼくはブログで、現代の「ヒーロー」をデザインしたつもり!

それでやっぱり「ヒーロー」といえば、ラブ・ストーリーだろ?と。

女性が愛されたいと憧れを掻き立てられる様な、そんな「いい男」とはどんなか?にこだわりがありました。

あんな新世紀工場ンゲリオンの碇シン・のすけ(親父の名前は怒り言動だから)なんて、腐れマ◯かきオタク野郎に惚れる女性なんているワケねぇだろう、バカたれ!!!

"読売ジャイアンツ"みたいな顔した監督が、作ってっからだな!!!

さらにさらに…。

伝説の聖剣「ディフュレクション(星々の瞬きを戴く冠鷲)」は、「モンスターランド」の"伝説の剣"のパクリです!!

名前が付いてなかったから、ぼくが勝手にそう付けて読んでたのを思わず引っ張り出してしまいました…。

だからこの「〜聖杯騎士〜パルツィバル☆伝説」は、「モンスター・ワールド(ランド)」シリーズの後の時代なのかも知れません…。

なんてね!!!

だったらいいなぁ…。

いやぁ大好きです!!!

UPL(スカラベ)と、WESTONE!!

ライヴァルだかんね!!!!

カックい〜!!!

これからもご健闘をお祈りしてます!!

みんなのもね!

だから俺にとっては、みんながライヴァルだぁ〜!!!

誰にも負けないぞ!!!

人間に造り出された、キャラクターもな!!!

俺…、インスピレーションをかき立てられるデザインとかシステムとかプログラム、サウンドが好きだから!!!

だから、カ◯コン嫌いなの…。

暴力的だから。

そーゆうの「爽快」って言わない!!!

ちょっと、「謎解き」をしましょう…。

何故自らの「エッチさ」に思い上がる、悪魔アシュタロトの「罪」は赦されるのか?

例えば彼女は、こう発言している…。

「だからアタシのヴァ◯ナを、聖杯だと思って拝みなさい…。」

頭の固いおバカちん!には、これは神の冒涜に聞こえるでしょう?

でも実際には違う…。

彼女は「神様は偉大である…。」と知って「信じているから」、私を神様の様に大事にしなさい。と要求しているのです。

そして本質的に…、女性が異性である男に対し自らを大切にする事を望むのは決して恥ずかしくはない。

ただその「愛され方」が、わからないだけなのです…。

この辺が以前に記述した「唯物論者向けのオーマールスム・ブログ」に登場する、悪魔アシュタロトに成ってしまった天使ケルブ「ラファリーム」の行く末なのですよ。

ここに聖三位一体を奉ずるイエス・キリストに率いられた、「キリスト教」が悪魔をサタン(敵対者)を呼んだ所以があるのですが…。

「善」とは「神の義しき」に正直であり、「悪」とは率直に言って「自らの心情」に素直である事。

「善」と「悪」が戦いお互いを磨き合うコトが、結局は両者の「価値」を高め来るべき天国を豊かにしたのです…。

まぁですから「作品の解説」というのは、親切に見せ掛けて不粋以外の何物でもありませんからこの辺にしましょう。

さて、ここで問題です…。

魔術師クリングゾールは、悪魔アシュタロトの「何か」を見たかったのでしょうか?

ヒントは…、ぼくは「ドラゴンボール」の特に初期のファンだと申しておきましょう…。

こーゆーコトを連想出来るかどうかで、エロスの健全性が問われますよ!!!

多分堀井雄二氏なら、絶対わかってくれるハズ!!!(あと、ゲイリー・ビッチェさん。)

こうしたエロスが、最近の作品では本当に希薄になってしまいました…。

本当の意味で、自らのエロスを客観化出来るぐらい夢中になって欲しいですね!!

客観化とはシラけるのではなく、愛し尽くしてこそ始めて出来るのだという事をしってもらいた〜い!

エッチなコトに夢中になるのは、健全なコト…。

そしてまた…、そこに指弾が集まるのもまた然りです。

そうした非難に負けず挫けない心が、本当の強さだと思ってまっす!!

その時始めて、魅力溢れる女性達が決してエッチな男を本心では嫌ってないという悟りに至るのでしょう…。

下心は下世話なもの。

しかし愛する女性を「抱く」事で愛したいと本音で欲するのは、下心でも何でもありません。

それが、「愛」ですよ…。

ぼくなんかさ、…パルツィバルがもっと大きくなったら。

…きっと悪魔アシュタロトは、エッチして欲しいって気持ちが抑えられなくなっちゃうんじゃないかなって想うの。

そしたらきっと…、パルツィバルは彼女を抱くよね。

それは浮気なんじゃないのって、考える人もいるだろうケド…。

悪魔アシュタロトのパルツィバルへの気持ちは、…多分本当。

…だからそれは罪かも知れないケド、パルツィバルは彼女の愛に誠で応じようとしてそーする。

モチロン社会はそれを許さないだろう…、でもそれが認められなかったら。

その時は運命をもたらした神さまの所為とゆ〜か、神は呪われるんじゃないかな…?

ブランシュフルールはきっと気がつくよね、…女性だから。

…でも、それは黙ってる。

パルツィバルの魅力が原因だから…、そこに惚れたんだし。

それにしても悪魔アシュタロトの作ったカレーを温めるブランシュフルールの気持ちって、どんなだろう…?

火花が散るよね、…バチバチッと。

…ヘロツェライデ母さんも、心配でハラハラしちゃう。

だから騎士にしたくなかったんだよ彼女は…、パルツィバルはモテちゃうってわかってるから。

愛する女性を不幸にするんじゃないか、ってね…。

これは、…ホント〜におまけの「設定」です…。

騎士第三等は仁騎士、第四等は勇騎士でした。

実はこの「〜聖杯騎士〜パルツィバル☆伝説」は、現在構想しているプロの作家になる為の持ち込み作品「パルツィファルとガラハット〜星々のシンフォニィ〜」の土台であり練習作品です。

みなさん…。

今まで、オートマールスムブログ「手の中の麦、彼方の星、…そしてここで流れる涙」を読んでくれてありがとう!!!!

本当にアマチュアとして、ブログで物語を執筆するのはここまでです。

これからぼくは少し休んだ後、持ち込み作品「パルツィファルとガラハット〜星々のシンフォニィ〜」に取り掛かります。

だからもしこれまでにブログで読んだ物語が面白かったら、応援して下さい。

ではいつか、本屋さんでお目に掛かる日を夢見て…。

ありがとうございました!!!

 

さらに、…後日譚です。

…悪魔アシュタロトは毎日々々パルツィバルの元に通いました、訓練の時はチア・リーダーとして応援し。

午後の休憩の時間には…、必ずおヤツやぶたキムチを炒めたあと火を止めてパイナップルとあえたのや。

味噌煮込み肉豆腐を食べさせてあげたり、チキン・ナゲットの卵とじ(これはゆわばカツ丼のとんカツをチキン・ナゲットにしただけで作り方は同じです)を届けたのです…。

パルツィバルはそれを、…「この娘は何て性格がいいんだろう」と受け取りました。

…しかしある時、そんな日々も終わりを告げたのです。

「あたし気持ちゆくなって来ちゃった…、責任取ってキスしてパルツィバル?そしたら、そのまま…」

そうゆって、…悪魔アシュタロトは瞳を閉じました。

…しかしパルツィバルはあまりにビックリしてしまって、思わずヘロツェライデ母さんのトコロに逃げてしまいました。

残された悪魔アシュタロトは…、もうカンカンです。

「コラー、パルツィバル…!乙女の純潔を踏みにじるなんて、…許されないんだから!!!」

…悪魔アシュタロトはこの日パルツィバルがキスしてくれるまで帰らないと誓いを立ててゆたのです、すぐさまあとを追いかけました。

そこにたまたま通りかかったのが…、義騎士ガラハット。

ガラハットはおなかが空いていたので、悪魔アシュタロトが置いていったクッキーを何気なく口にします…。

一口食べた義騎士ガラハットは、…その美味しさに目を見張りました!!

…「何て美味しいクッキーだろう、これはきっと類い稀なる美しい女性の焼いたモノに違いない!」

さてさてこの恋の行方は🏎ど〜なりますやら…?、だから。

 

 

気になる二人

オープニング…

「Star」 The Roots

https://youtu.be/8Z9HvjbAYtA

 

西澤龍平(ゼロム)と坂本優奈(さかもとゆな、ファロム)が長野県の藤沢村でそッと結ばれてから、数年の月日が流れた。

二人の現在は…。

龍平は運送会社の倉庫で正社員として働き、優奈は大学生に成っていた。

龍平が高校時代に軽音楽部の友人達と立ち上げたバンド、「Offtones」は幾度かのメンバー・チェンジを繰り返し今に至る。

「Offtones」は地元ではそこそこ有名な存在になっていて、小さなライブ・ハウスなら満員に出来た。

あれから龍平は実力を付け、バンドのメイン・ソング・ライターとしてもギタリストとしても日々奮闘している。

メインのギターは、相変わらずジャパニーズ・ヴィンテージのTokai Silver Starだ…。

龍平のTokai Silver Starは、主に電気系統とペグ・ブリッジ周りをカスタムしている。

ギターの価値もわかる様になってきた。

それなりに色々試してはみたのだが、何のかんのと言って結局これに落ち着くのである。

優奈は作詞はしていたが、ステージに上がる事はなかった。

さて、優奈は昔からある古〜い喫茶店で人を待っていた。

その人物は龍平ではない。

龍平の運送会社での同僚で、優奈と共通の友人でもある石塚虎彦である。

「だからもう…、遅いなぁ。」

優奈が腕時計に目をやると、待ち合わせの時間から15分が経過していた。

「いつもなんだよね。まぁ私が呼び出してるから、あまり文句は言えないんだけど…。」

するとカランカランと喫茶店のドアが開き、ディスク・ユニオンのレコード・バッグをパンパンに膨らませた虎彦が入って来る。

「おう!悪かったな…。ユニオン(ディスク・ユニオン)を、三件ハシゴしててな。時間が掛かっちまったよ。」

優奈は、プリプリとほほを膨らませた。

「もう、遅ーい!!15分も待たせて…。私を何だと思ってるの?」

虎彦は早速ゴールデン・バットを取り出すと、火を点ける。

「だから謝ってるじゃないか…。悪かったな、でも15分だろ?死ぬワケじゃあるまいし、小さな事にコダワるなよ。」

これだ…。と優奈は思った。

虎彦は、時間の感覚に疎い。

「レコードよりさ、友達の方が大事でしょ?」

やって来た店員さんに、虎彦はブレンド・コーヒーを注文する。

「いや…。レコードの方がいいさ。レコードは、ペチャクチャおしゃべりしないしワガママを言う事もない。針を落とせば、素直に美しい音楽を流す…。」

虎彦はレコードであれば、何のジャンルだろうと構わなかった。

ジャズ、エレクトロ、オルタナティヴ…。

何でもいい。

レコードの音色が好きだったのだ。

「その話は、まぁいいんだケド…。あのね、龍平のコトなの。」

虎彦は、おしぼりで入念に手を拭いている。

「どうした、痴話ゲンカか…?犬も食わないとは、よく言ったモノだ。それにしても珍しいな。あんな誠実な男が…。」

優奈は、首を横にブルブルと振るった。

「違うの…。そんなんじゃないの!!龍平はいつも優しいし…。」

虎彦は、置いてあるマッチをポケットに二つ入れる。

「じゃあ、何だ…。会社では、一番よく働くよ。人の二倍は働くな。アイツが来てから、ずい分と助かってるよ…。」

優奈はうつむいて、ポツリポツリと切り出した。

「あのさ…。何か最近、元気ないと思わない?」

運ばれて来たコーヒーに、虎彦は口を付ける。

「そりゃあ、疲れてるだろうよ。平日はウチで仕事だし、休日はライヴだろ?いくら若いったって、限界はあるからな…。」

優奈はもう一度、首をブルブル振るう。

「そうじゃなくて…。何かさ、後ろめたいから優しいっていうか。いつもと違うっていうか…。」

虎彦は、優奈の悩みをさほど汲み取らなかった。

「後ろめたい?おいおい…。そう回りくどく言われても、何の事だかさっぱりわからんよ。ハッキリ言ってくれ。何がおかしいんだ?」

優奈は、そッと打ち開ける様に呟いた。

「龍平…、きっと他に好きなコがいるの…。わかるでしょ?」

虎彦は、コーヒーにムセた。

「お前バカか、またそんな!?あんな一本気な奴を捉まえて…。男として言わせてもらうがな、アイツが浮気するなんて金輪際存在しない!!」

虎彦の断定に、優奈は食い下がる。

「だって、…だから証拠があるモン!!」

虎彦は、テーブルをバン!と音を立てて叩いた。

「そんなモンあるか!!この話はオシマイだ!」

優奈は下を向いたまま、まだ何かをブツブツ言っている。

そんな優奈の様子を見て、虎彦はニヤリと笑った。

「ホラな…。これを見ろ。」

それは何と!!

Cannonball Adderleyの名盤、Somethin' Elseだったのだ!

「これはな…。オリジナル盤なんだぜ?それが見ろよ…。」

虎彦はSomethin' Elseのジャケットに、手を入れる…。

「ホラ、見ろよ…。ここだよ、ここ!!ここのインナー・スリーブがちょこっと裂けてるだろ?たったこれだけの傷で…。幾らだと思う?」

虎彦の話は尽きる事を知らない…!

 

テーマ曲…

「Family stoned beat」 Tiny Panx Organization

https://youtu.be/OeZCrs-Cs7Q

 

ごめんライダー

オープニング…

マクロス・プラス〜Information high〜」 CMJK

https://youtu.be/uU0HIfoNkGk

 

大学生の金代健次は、街中を自転車で疾走している…。

「くっそ!!今日も間に合わねぇ!」

彼の自転車は、MIYATAのロード・バイク(ランドナー)。

シックな、深い緑の車体のアイガー…。

一見カジュアルに見えるカーキ色のカーゴパンツは、rin project製のサイクル・パンツ。

上着は、re coqの黒とオレンジのジャージであった。

…頭にはBuffの黄色のヘッド・ウェアに、サイクル・パンツと同じくrin project製の黒のカスクを着け。

それにCHROMEの黒と灰色のメッシュの、ビンディング・シューズ。

TIMBUK2の紺、赤、黄の、カラフルなメッセンジャー・バッグを背負っていた…。

「この野郎!どきやがれ!!」

道路と車の狭い隙間に滑り込み、車に幅寄せして走るスペースを確保する。

車は、思わずクラクションを鳴らした。

「悪りぃな!!今なら、まだ間に合わねぇが…。」

健次は中指を立てて、走り去る…。

桝谷晴麗(ますたにうらら・ラフィーネ)は、大学で講義を受けていた。

教授は小さな声で滑舌も悪い。

どうやら内気で、人見知りらしい…。

だが、講義の内容は抜群に面白かった。

単なる法知識の羅列ではなく、一つ一つの法が人間の生活に何故?必要なのか?

そしてまた、一つ一つの法がお互いにどう関連しているか?を丁寧に解き明かしてくれてたのだ。

今日も内容は非常に充実していて…。

正直晴麗にとっては、弁護士になる上で非常に有利な自分にとって有益である事を見抜いて選択した講義だったが、いつの間にか「法」というモノの知的な遊戯性に引き込まれている。

晴麗がノートに細かく講義の内容を書き込んでいると、講義室の扉がバン!と音を立てて開いた。

「スイマセン!遅刻しました!!」

「ああ、いいからいいから…。早く席に着いて。」

また、あの男だ…。

金代健次。

彼は遅刻の常習者で、もうその話題で有名人になっていた。

「自転車バカ」

それが晴麗が、心の中で彼に付けたアダ名である。

晴麗はせっかくの知識欲を満たせる楽しい時間が、こんなに野暮な男に中断されるのは我慢がならなかった。

晴麗やその他の学生達からの憎しみの視線を浴びながら、彼は席に着いた。

その日のお昼…。

晴麗は学食でスパゲッティ・ナポリタンを食べていると、何と!!あの男「自転車バカ」がいるではないか!

見ると手にはプレートを持ち、「何か」を探す様にキョロキョロとしている。

目を逸らそうとした瞬間、両者の目が合ってしまった!!

すると何と、彼は晴麗の方に向かって来るのだ。

「…アンタ、名前は?」

彼のプレートには、カツ丼が大盛りで乗っている。

「バカの大食い」

晴麗の頭に浮かんだ言葉だ…。

「アナタね…、人に名前を聞くのに。相手に先に尋ねるなんて、そんなバカなコト許されると思ってるの?」

キツい言い方をしていると、自分でもわかっている。

ただ、積もりに積もったうっぷんがそうさせただけだ。

「あ?何だよ…。よくわかんねぇけど、俺は健次。金代健次っつうんだよ。もうみんな知ってるんだと思ってたんだが…。」

晴麗は何てバカな男だろう!と考えて、もう一歩で張り倒すトコロであった。

それをグッと飲み込み、彼女は尋ねる。

「で…、何の用よ?」

健次は晴麗の向かいの席に腰を下ろすと、カツ丼の大盛りを食べ始めた…。

そして…、食べながら話した。

「ノート写さしてくれよ。」

晴麗の頭に瞬時に閃いた言葉は、こう。

「試験の点取り虫」

健次は付け合わせのタクアンを、ガリガリかじりながら言う。

「俺の見立てじゃさ…、アンタが一番熱心に授業を聞いてるよ。だからきっと、一番いいノートを持ってるだろう…。」

晴麗はもう本当に頭にキてしまって、どうやってこの不埒者を懲らしめるかしか頭に無かった。

「ありがと…、でもね…。」

健次は手で制した。

「待てよ…、最後まで聞け。俺はあの講義が本当に受けたいんだ、面白いからな。だが起きられん。時間がどれも早過ぎる…。だが講義の内容は知りたいんだ。面白いからな。だからアンタのノートを借りたい。内容が知りたいんだよ。面白いから…。」

晴麗の中で、何かムクッと起き上がる。

それはかつてもう、決別したハズの感情だった。

「じゃああなた、ここで土下座して…?みんなの前で、私に謝って。」

すると、した。

健次は椅子から立ち上がると、そのまま両膝を地面に着き頭を下げた。

「スマン!!寝坊なんてのは、俺の怠惰さでしかない事は重々わかってる。だが…。」

晴麗は、思わず健次のほほを張ってしまう。

「バカ!!止めてよ!!私に、恥をかかせる気!?」

学食は騒然として、中々静まらなかった。

そんな事があって、晴麗は健次にノートを貸す日々が始まる。

健次は相変わらず毎回遅刻するし、晴麗がその事にイライラし続けている事も変わらない…。

ある時イライラが絶頂に達した晴麗は、健次に健次のノートを見せる様要求した。

あのノートは、私が丹精込めて造りあげたノートなんだ…。

教授の意見をキチンと理解して(それが一教授の主観であっても)、正確に記述する。

それが、今の私に出来る精一杯の事なんだから!!

「取り敢えず、昼メシだ!!学食へ行こう…。」

晴麗は、スープ・セットを頼む。

健次は、晴麗が確認した限りカツ丼の大盛りしか食べていない…。

席に着いた彼女は、健次のノートを受け取りテーブルの上に開いた。

すると、そこには…。

先ず晴麗の書いた内容が、全て正確に書き込まれていた。

誤字脱字まで、書き写してある。

そして何と…!!

そこに倍以上の量で、批判が加えられていたのだ。

批判は、的外れな事もあるし明らかに見当違いの内容もある。

しかしそれは間違いなく、彼の…健次くんが自分で考えた意見であり主張であったのだ。

晴麗は、ある事実に気が付く。

「あなた…。あなたこれ書いてるから、朝起きられないんじゃ…?」

健次は既にカツ丼の大盛りを、ご飯粒を一粒も残さずに食べ終わっている。

勿論タクアンも味噌汁も…。

健次は腕を組み、ある種の威厳を湛えて言った。

「知らん!!」

晴麗の中で、「何か」が動き始めた…。

 

テーマ曲…

「Children go where I send thee」 The Fairfield Four

https://youtu.be/040tPQc8zsg

 

空色のクーパーに乗って(使徒行伝・リメイク)

オープニング…

Summer smile」 Ronny Jordan

https://youtu.be/JlwWShfbOig

 

坂内璃瑠香(さかうち りるか)は、25才である。

タワー・レコードのバイトだ…。

「えっ?久美さん、いや猿田店長…。私がやるんですか?いらっしゃいませ…。ああ?はい、はい。え〜っと3,888円になります。はい、ありがとうございました…。」

いつか正社員に…、といった漠然とした希望は持っていたが別に未来に「何か」を託していたワケじゃぁない。

どうせ毎日が同じ事の繰り返しであり、人生なんて退屈なモノだ…。

あるバイトの休みの日、スマホがメールを着信した。

「うっさいなぁ…。いい気分で寝てんのにさ!何なんだよ、一体もう…。」

それでも何のかんのと言いながらも、一応はチェックする。

メールの主は古い友人の門仲亜由夢(かどなか あゆむ)だ。

今日…、これからどこかに出掛けよう。といった内容である。

「どこかって、どこなのさ!?いっつもそう!!どこかどこかって、何にも決めないで…!!」

今回もいつも通り。

漠然とした提案をするだけして、内容と言える内容は特にない。

それでも、O.K.と返事はして着替えを始める。

The Strokesの黒いバンドTに、色の濃くもなく薄くもないスキニーのジーンズ…。

それに赤・白・青のトリコロールのシャツを、腰に巻いて。

愛車の空色のミニ・クーパーのエンジンをかけ、発車する。

「ゴメンね…、いつも急で。でも、本当に良かった。スケジュールが合ってさ!!」

亜由夢は、黒の薄手のレザー・JKを羽織っている。

青と白のギンガム・フレアスカートに、マーク・バイ・マークジェイコブスパステル・ピンクのモティーフのパール・ピアス。

助手席に座る亜由夢は、何の歌かわからない鼻歌を歌っていた…。

車内には、璃瑠香のかけるBob Marleyの「Soul Revolution」のカセット・テープが流れている。

A面が終わると、亜由夢は言った。

「これ、かけていい…?最近のお気に入り!!マイ・ブームなの!」

Blurの「Parklife」のCDだ。

珍しい事もあるモノだ…、と璃瑠香は面食らう。

亜由夢は音楽にはあまり興味がない。

好きなコト、キョーミあるコトと言えばガーデニングにそれに料理…。

「どーしたの、このアルバム?よく知ってたね。ケッコー、通じゃない?私もキライじゃない!」

「ウン?ダンナの影響よ…。ウチのダンナ、洋楽好きだから。」

亜由夢は既婚者だ。

大学時代の同級生と結婚した。

年齢は相手の方が、一コ上。

亜由夢のダンナとの面識は、璃瑠香にはなく…。

子供ももう設けている。

男の子で…。

亜由夢は「Parklife」をバックに、ダンナや子供の話をしていた。

決して愚痴という程重くはないが、誰にでもある生活の苦労話だ。

「どこに向かってる?まぁ私は…、特にどこでもいいんだケド。」

「どうしよう?行くトコないなぁ…。いっか?浅草で!」

浅草寺から離れた所にあるコイン・パーキングに車を停めて、二人は歩き出した。

勿論、料金は割り勘…。

言うまでもない事だ。

二人は空いたお腹を抱えて、すぐに天丼で有名な「まさる」さんに向かう。

少し並んで待ってから通される店内は落ち着いていて、外の人でごった返した喧騒とは無縁であった。

「璃瑠香はさ…。恋人は作らないの?」

「いらないよ!!いらない、いらない!!ウッサいメンドくさいだけじゃんか?」

天丼のえび天は大振りな上に、プリッとした歯応えで上々の味わいである。

「何て言うのかな?女性ってさ…、何のかんの言っても愛されて初めてシアワセなんじゃないかなぁ?って思ったりするのよ。」

「つまり、F××kでしょ…?だからさ、そんなの愛とは関係ないって!!みんなしてるコトなんだから…。私は、キョーミないだけ!そんだけだよ!!」

「まさる」さんの、お茶は美味しかった…。

亜由夢は、サービスについてこう考えている。

サービスの本質は、このお茶なのだ。

だってご飯が美味しかったら、欲しくなるモノなんて一つしかないじゃない?

それがエロスなのよ…。

 

「Dimensions」 Computer Magic

https://youtu.be/nD-Gp_e0WlU

 

璃瑠香と亜由夢は「まさる」さんを出ると、プラプラきび団子食べたり焼き立てせんべいをかじったりしながら浅草寺の境内へと向かう。

「誰かに写真撮ってもらおうよ…、璃瑠香!!」

亜由夢の提案は、璃瑠香には受け付け難いモノだ。

「ドーデもよくない…?そんなコト。別に自分なんて映さなくても、境内は充分キレイじゃない。」

亜由夢は近くで観光している外国人さんの夫婦にスマホを渡し、操作方法を説明している。

「英語話せるんだね…。せっかくの特技を、そんなムダなコトに。」

外国人さんの夫婦は笑顔で承諾し、カメラのレンズをコチラに向けてくる。

そうなるとさしもの璃瑠香も、思わず一応それなりのポーズを付けピース・サインを出してしまった。

色々なお店を覗いては覗くだけでお金は落とさず、二人は夕暮れの浅草寺を後にする…。

日も暮れつつある「雷門」のちょうちんをバックに、璃瑠香は亜由夢にこれからどうする?と尋ねた。

「今日はウチのダンナ遅いの…。遅番だからさ。まーくんも、お母さんに預けて来たし。」

話は決まった。

璃瑠香は「捕鯨船」さんで飲んでみたかったが…。

給料日前で、もうあんまりお金が無い。

コンビニで飲み物とつまみを購入して、晴海埠頭に車を走らせる。

入り組んだ埠頭の奥まった所に、灯台の様な誰もいない建物があった。

サントリー「オール・フリー」の缶を開ける璃瑠香。

亜由夢は、「ソルティ・ドッグ」。

カクテルだ…。

スナック菓子をつまみながら、おしゃべりに興じる。

「璃瑠香さぁ…。ホントに好きな人もいないの?そんなハズないと思っちゃうな〜!」

「うるさい!!う〜る〜さい!いないいない!!誰もい〜な〜い!!」

ソルティ・ドッグ」のホンノリした塩味が、亜由夢のノドを刺激した。

「だって、モテるじゃない…、璃瑠香って。高校生だった頃だってさ。私、そこそこ大変な想いしてるのよ?」

「うるっさいのはね…。いっぱい来るよ、そりゃあ!!」

璃瑠香は立ち上がって、縁石の上でバランスを取る。

ヨタヨタと歩く様を、亜由夢はカルビーの「うすしお」をパリパリ食べて見守った。

「一人だけ…。そう一人だけいるんだ。絶対話し掛けて来ないし、近寄って来ないのが。」

それからは音楽の話に、スライド・シフトしてしまう。

ダンナの影響で、音楽に興味を抱き始めた亜由夢。

それでもそうなると璃瑠香の独壇場で…。

今日の、カウンター・カルチャーの在り方について。

セックス・ピストルズが、パンクを殺してから何が起きているのか?延々語る。

「結局もう、ポップ・ミュージックはポップ・ミュージック。オルタナティヴはオルタナティヴで、やってくしかないんじゃないかな?やってる事が離れ過ぎちゃって、元の鞘には収まんないからさ!!」

亜由夢は、ニコニコしながら頷く。

こんなマニアックな話…、何が面白いのかはわからない。

The Killersとかなんか、亜由夢にはオススメかな?聴き易いと思うんだ、ロックン・ロールとはちょっと違うんだけど…。」

亜由夢は、何か納得した様に頷いた。

その瞬間に、璃瑠香は「オール・フリー」の缶をベンチに叩きつけたのだ!!

「だからさ…。そいつが好きなんだよ!!気になるんだ!!」

「やっと…、本音が聞けたわね。」

亜由夢は、笑顔でヤキモチをやいている…。

テーマ曲…

「ハミングがきこえる」 カヒミ・カリィ

https://youtu.be/jgxmgtJ2Lc8

 

 

 

視覚的な音楽性について[水晶のドクロ]

「True faith」 New Order
 

物語ではないんですが、ちょっとした思いつきについて考えをまとめて記録しておこうと思い筆を執りました。

以前シーケンサーで作曲をしている時、スコア(の音符記号)を視覚的にデザインして配置し曲を書く事は出来ないか?と考えていたことがありました。
現在になって思い返せば、多分それはムリでしょう…。
ただそれでも、この"視覚的な音楽性"という発想・アイディア自体は面白いな!と心の中に留めておきました。
それから物語を書き始めて、最初はテーマをどう伝えるか?という技術にこだわっていました。
テーマをストーリーに織り込んでいくという作業を繰り返す内にそれが段々と自分の納得出来るモノになっていくと、次は文章表現が気になって来ます…。
文章というのは、当たり前ですが言葉・文字を連続させて構成します。
だからその意味を接げていって、ある種の説明を形造る行為を繰り返して行きました。
でも、ある時ちょっと気がついたんです。
言葉というのは、視覚的な音楽性を持っていると。
何て言えばいいんだろう…?
物語を文章で読む時、そこに書かれている言葉を目で見て確認しますよね?
その視認される言葉、つまり文字という「何か」はデザインとして人間の心にある印象をもたらすのではないか?と。
一つ一つの言葉・文字が読者の心に灯す「印象の火」を連ねていって、まるで幻燈のシンフォニーを奏でる…。
それがある時期から、ぼくが文章をデザインする際に目指している到達点になりました。
ぼくのブログを読んで下さってる方はもう既に知っていると思いますが、ぼくの文章は漢字・ひらがな。
カタカナと英語表記。
記号と、youtubeサウンド等を使い分けて書いていきます。
個人的な雑感として、句点の使い方がずっと掴めずに苦労した思い出がありますね。
句点というのは、楽譜で言えば休符に当たります。
そして時間軸が一方向に連続している音楽という芸術ジャンルにとっては、リズムを作り出すのはこの休符…。
芸術というイメージを表現する創作活動に於いて、最も基本的であり且つまた最高の指針になるのがぼくはリズムだと考えています。
だから文章を構築していくにあたり、最もその表現の精度を高めてくれるのは"句点"であると、ぼくは結論を出しました。
物語の流れというグルーヴは、句点の打ち方で醸し出すのでしょう。
ちょうど、ギリシャのオリュンポス神殿に住まう神々の様に…。
少し、話が逸れましたね。
物語は、あくまで目で見て文章を読み進めるモノ。
ですから物語文学上の優れた文章表現とは、視覚から読者が思い浮かべる幻想としてのリズム・アンド・グルーヴではないでしょうか?
ぼくの作品は言葉・文字で奏でる、"想像"の音楽なのです…。
夢で流れる、言葉のシンフォニー。
 
Acid jazz」 Herr Krank
 
この視覚的な音楽性というアイディアのインスピレーションは、John Cageの「Water Walk」という作品に端を発します。
後で動画をリンクしますので、ここでは細かく説明はしませんが…。
氏の「Water Walk」という作品は、楽器を殆ど用いない生活音とパントマイムの様な身体表現で物語を紡いでいくという画期的で斬新な音楽作品でした。
一切の言葉を語らないのにも関わらず、そこには叙情性豊かな小説がまるで朗読されているかの様です。
素晴らしい…。
感動しました。
John Cageの音楽のテーマは、非常にシンプルなんだ!!と思っています。
例えば有名な、「4'33"」…。
あれはつまり、「男は言葉で語らずに、背中で語るのが男らしい。」という事でしょう?
一般的に芸術のテーマは、それ程複雑ではない…。
それは家族で過ごす時間の大切さであったり、恋人を待つ電車のホームでの時間だったり…。
例えそれが宗教的なテーマであったとしても、毎日の日常の気分から乖離してはいけない。
何気なく空を見上げる瞬間と、神の偉大さを偲ぶ祈りには共通したノリがある。
それを結びつけていくのが、聖職者本来の仕事でしょう?
個人的には立派な信仰心を持つ方もいらっしゃるとはお見受けしますが、教会という社会勢力を形成した時そこには必ず権力への指向が内在し個性を殺そうとする…。
まあそれでも宗教的な"神の権威"は教会という社会集団にあるのではなく、個人的な信仰心にあるのですからね。
だって、イエスがそうだったでしょう?
そしてその道を歩みなさいと、彼は説いているのですから…。
ただし恋人に伝える愛の表現に無限のバリエーションがあるように、芸術とは技巧を凝らすモノだとは考えています。
ぼくの視覚的な音楽性というモティーフは、このJohn Cageの「Water Walk」の逆再生でした。
生活音とパントマイムからオペラの様に物語が書けるのならば、文章表現に寄って音楽が再生出来るハズ…。
そんなおもいつきで、毎日物語の文章をつづっています。
このコラムも、タイトルで示した通り「視覚的な音楽性」を奏でる技巧を尽くして執筆しました。
因みにかつて存在したTVゲーム・メーカーUPLの故・藤沢勉さんの駆使するテクニック、宗教的な啓示をエンターテイメント作品に面白可笑しく織り込んでしまうという手法もスゴいんですが…。
その話はまた、今度にしましょう。
楽しんでいただけたら、幸いです。
それでは、テーマ曲をお聞き下さい…。
ありがとうございました、失礼します。
 
テーマ曲…
「Water Walk」 John Cage
 

寸劇 かぐや姫

またまた、以前勤めていた施設のレク用の脚本です。
 
シーン1

昔々、ある所におじいさんが一人で住んでいました。

おじいさんは毎日、山に入って竹を取っていたのです。
それで、竹取の翁と呼ばれていました。
ある日おじいさんが山に行くと、ピッカピカにに光る竹があったのです。
おじいさん「何だろう、この輝きは…?どれ、切ってみるとしよう。」
かぐや姫「オギャー!アタシ、かぐや姫です。おじいさん、アタシを娘にして下さいな!」
おじいさん「おうおう、何て可愛らしい女の子だろう。よしいいよ…。ワシも、独り者だから。」
かぐや姫「ありがとう、おじいさん!アタシ、いい子にしますから!」
おじいさん「うんうん、じゃあこのカゴに乗りなさい…。」
かぐや姫「失礼します!だからよっこらしょ…。」
こうして、かぐや姫はおじいさんと一緒に暮らしました。
 
シーン2
かぐや姫はスクスクと成長して、とても美しい娘になりました。
だからかぐや姫と結婚しようと、沢山の貴族達が押し寄せて来たのです。
貴族1「私は、とてもイケメンです…。かぐや姫さん、私と結婚しましょうよ。」
かぐや姫「あなたは、アタシのタイプじゃありません!お断りします!」
貴族2「私は、とってもお金持ちでして…。かぐや姫さん、私と結婚しませんか?」
かぐや姫「アタシ、お金なんてキョーミありません!お断りします!」
貴族3「私は、とても偉いのじゃ…。かぐや姫、私と結婚しなさい。」
かぐや姫「アタシ、あなたみたいにエラそーな人はキライです!お断りします!」
かぐや姫は、どんな人がやって来ても断ってしまうのです。
おじいさんは、かぐや姫の将来を心配しましたがどうにもなりませんでした。
 
シーン3
かぐや姫が大人になったある十五夜の日に、かぐや姫はおじいさんに言いました。
「おじいさん、今まで育ててくれてありがとう!アタシ、ホントは月の都の姫なんです!だから、今夜月に帰ります!」
「おお、そうか…。誰かいい人がおるのだな。元気に暮らしなさい…。」
しかし貴族達は、大変に怒りました。
そして迎えに来た月の王子様に、武器を用意して立ちはだかったのです。
王子様「かぐや姫、迎えに来たよ…。」
貴族1「かぐや姫は、渡さない!」
貴族2「かぐや姫は、私の物だ!」
貴族3「かぐや姫に相応しいのは、私じゃ!」
王子様「かぐや姫の為だったら、ぼくは勇気を出して戦うぞ!えいっやあっ!」
貴族達「うわっ、やられたあ〜!」
かぐや姫「さようなら…、だから…おじいさん!」
おじいさん「達者でな、かぐや姫…。」
王子様「おじいさん、かぐや姫を大事にしてくれてありがとう!」
こうして、かぐや姫は月に帰って行きました。
 
シーン4
かぐや姫は月で幸せに暮らしていましたが、心配な事がありました。
かぐや姫「王子様!アタシがいないから、おじいさんは一人ぼっち…。…だから、かわいそうじゃありませんか!?」
王子様「ぼくも、そう思っていたんだ。よし!二人でおじいさんを迎えに行こう!」
かぐや姫と王子様は、おじいさんを迎えに行きました。
かぐや姫「おじいさん!これは、命の薬です。これを飲めば、アタシ達と月で暮らせます…。三人で、月で暮らしましょうよ!」
おじいさん「そうだのう…。ワシも独り者だし、何の未練もない。よし、命の薬を飲むとしよう!」
王子様「おじいさん!月の都は、おじいさんを歓迎しますよ!」
こうして三人は月の都に帰り、末長く幸せに暮らしたという事です…。
 
テーマ曲…「I'll meet him」 Tiroleantape