クリスマスの奇跡 9

シーン6 再びお春(おばあさん)の家

お春、おばあさんに戻って、目を覚ます。

お春「私は、夢を見ていたのだろうか…。しかし、私自身が庄助さんを裏切り、罪なる思いに身を委ねてしまった事は、はっきりと覚えている。」

お春、立ち上がって。

お春「私は、私自身の弱い心に誘われて、罪を犯した。悔やんでも、悔やみきれない。」

お春、舞台上を歩きながら。

お春「思えば私は、いつも庄助さんに、迷惑ばかりかけていた。つまらない事で意地を張ったり、わがままを言っては、困らせていた。」

お春、立ち止まる。

お春「今になってみれば、庄助さんという人が、どれだけ温かく、いつも誠実だったのか、私には身に染みてよくわかる。」

その時、遺影が目に入る。

お春「そうだ、庄助さんはいつも笑っていた。私が何をしても、よく諭してくれて、最後には笑って許してくれていた…。」

お春、観客の方を向き。

お春「私はこれから、一人で生きて行かなければならない。しかし、どんなに苦しい事があっても、どんなに悲しい事があっても、庄助さんの笑顔が、私の心をいつも明るく照らしてくれる事だろう。」

お春、天を仰ぎ。

お春「庄助さん、天国に行ったら、また私を妻に迎えて下さい。沢山迷惑をかけると思うけど、その時はよろしくね。」

 

キリスト登場し。

キリスト「これは後の世に、良い教訓が出来た。実際、神の愛は素晴らしいが、人間同士の愛もまた、素晴らしい。真実の愛によって結ばれた絆は、死によっても分かたれる事はない。誠を胸に抱いた二人にとっては、どんな苦労も笑い話になってしまうだろう。私も、人々がそうした相手と、結ばれる事が出来るよう、神に祈るとしよう。」

 

テーマ曲 「Layers」 Asobi Seksu

https://youtu.be/HcsIYaQE7DE

 

 

 

 

 

おまけ

どうも、こんにちは。

オートマールスムです。

介護士を、しています。

元ネタは、ゲーテの小説「ファウスト

キャラクターの名前は…。

溝口健二監督の「西鶴一代女」より、お春。

清水宏監督の「小原庄助さん」より、庄助。

山中貞雄監督の「人情紙風船」より、新三。

と、なっております。

ウチの施設で、演劇をやろうという事になり、せっかくだからオリジナルはどうか?と、思って書いた作品です。
内輪ネタもあり、キリストが黒光りしていたり、新三が連れている女性が、子供にまちがえられるほど小さいのは、キャストの都合です。
余談ですが、iphone5で書いてるんですが、新三を変換してくれなくて、困りました。
昔、作家になりたいと思っていた、自分にとっては、とても楽しい仕事でしたね。

それでは、さようなら👋。