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かぐや姫 前編

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昔々あるところに、おじいさんとおばあさんが、住んでいました。

おじいさんは山へ入り、竹を取るのを、生業としていました。

ある日おじいさんが、山へ分け入っていくと、不思議な輝きを放つ、竹を見つけました。

おじいさん「はて、これは不思議な竹だ。この鬱蒼とした竹林に、陽の光は射さんし…。それに、外から光が当たっているのではなく、内側から光っている様にも、見える。どれどれ…。」

おじいさんが竹を割ると、中から三寸程の、小さな可愛らしい女の子が、顔を出しました。

おじいさん「おや、これは可愛らしい女の子だ。ここに、残していくわけにもいかんし…。家に連れて帰って、ばあさんに相談するとしよう。」

おじいさんが、女の子を家に連れて帰ると、おばあさんは大層喜びました。

おばあさん「こりゃ、めんこい子だねぇ!お前さん、この子はどうしたんだい?そうかい、竹の中に…。こうして出会ったのも、何かの縁だ。うちで引き取って、育てる事にしましょう。名前は…、どうしましょうか?」

かぐや姫「あたしの名前は、かぐやです。」

おばあさんは、驚きました。

「まあ、そんなに小さいのに、もう口がきけるのかい!こりゃあ、偉い子だ。将来が、楽しみだ。」

この日以来、おじいさんが竹を取りに山へ入ると、度々、黄金色に輝く竹と出会いました。

そして、その黄金色に輝く竹の中には、必ず、その輝きと同じ、黄金が入っていたのです。

そうして、おじいさんとおばあさんは、大金持ちになり、大きなお屋敷を構え、豊かに暮らす様に、なったのです。

ところで、かぐや姫といえば、どんどん、どんどん大きくなり、三月も経つ頃には、立派な美しい女性に、育ちました。

おばあさんは、言いました。

おばあさん「一体、どうしたモンだろう?いくら何でも、こんなに早く育っちまうなんて。確かにこのところ、いい物を食べさせてはいるが、それにしたって、こんなに早く育つなんて、私には訳がわからないよ。」

おじいさん「まあ、いいじゃないか。何も悪い事は、起きてはいない。人より少しくらい、成長が早いからって、何も言うことはあるまい。それより、わしが心配なのは、かぐやの婿選だ。考えてみなさい。この美貌を、うちの財産を。こりゃあ、たちの悪い男が、ワンサと寄ってくるぞ!よぅく見定めて、しっかりとした考えの男を、選ばんとな。」

そしてある日、おじいさんとおばあさんが、たまげる様な事が、起きたのです。

 

お供「誰か、いないかぁ!この屋敷には、誰もいないのか!」

おじいさん「はいはい、どちらさまでしょう。」

お供「かぐやとかいう娘の家は、ここでいいのか?」

おじいさんは、侍の偉そうな態度に、ムッとしましたが、それは顔に出さず、丁寧に言いました。

おじいさん「ええ、そうでございますが…。しかし、あなた様のような、お侍様がこんな貧しい屋敷に、何の用でございましょう。」

お供「貧しい屋敷か…。よく言ったものだ!卑しい身分の分際で、小金を溜め込みおって…。フン、まあいい。聞いて驚くな?わしは、あの都中に名の轟いておられる、安倍右大臣様の家来のものである!どうだ、ジジイ。驚いたか!」

おじいさんは、肝を潰して答えました。

おじいさん「ひえ〜!あの安倍様の…。ますます、わからなくなってしまいました。一体、何の御用でありましょうか?」

お供「安倍様はな、お前の娘であるという、かぐや姫とやらの、噂を聞きつけられて、わざわざこんな田舎まで、いらっしゃったのだ!」

おじいさん「うちのかぐやに!?申し訳ありませんが、それはきっと何かの間違いで、ございましょう。うちのかぐやは、噂になる様な、そんな悪い事は何一つ、しておりません。平に、平にご容赦のほどを…。」

お供「ワッハッハ!何を勘違いしておるのだ。ジジイ、お主かぐや姫の、顔を見た事がないのか?」

おじいさん「ええ、朝な夕なに、見ておりますが、特にこれと言って…。親が言うのもなんですが、まあまあの器量良しかとは存じますが、何も変わったことは、ございませんで。」

お供「忌々しい、ジジイだ。親の口から、言えるはずもないが…。いいか、お主の娘は、大層な美人だよ。今都ではな、そのかぐや姫の噂で、持ちきりなのだ。老いも若きも、男であれば誰でも、一度はその名を口にした事があろう。そんな訳で、遂には安倍様までが、こんな田舎のゴミ屋敷まで、わざわざ結婚を申し込まれに来たわけだ。わかったか?わかったなら、さっさとお通ししろ、このクソジジイ!」

可哀想に、おじいさんは余りに驚き過ぎて、遂には腰を抜かしてしまいました。

おじいさん「安倍様と、うちのかぐやが結婚…!?こりゃあ、どうした事だ。わしは、こんな昼間っから、夢でも見ているんじゃないだろうか?もし、そんな事になったら、わしは貴族の仲間入りを、する事になる…。こりゃ、大変だ!おい、かぐや、かぐや〜!」

おじいさんは慌てて、かぐや姫のところに行きました。

おじいさん「大変だ、、かぐや!気をしっかり持つんだよ。何とあの、あの安倍様が、お前に結婚の申し込みに、来ているんだよ。どうしたら、よかろう。ほら、かぐや!もっと、綺麗な服に着替えないか。こんないい話は、もう二度とあるまい。」

しかしかぐや姫は、落ち着いて言いました。

「おじい様、大丈夫ですよ。私がちゃんと、お話を致しますから。すぐに、奥の間に通してあげて下さい。」

おじいさん「お前、こんな一大事に、何故そんなに落ち着いているんだい?もしかしたら、お前の人生で、最も大切なチャンスなのかも、知れないと言うのに…。」

かぐや姫「確かに私にとって、これは名誉な事に、違いありません。しかし、おじい様。私には、私の事情があるのです。ここは、私の好きな様に、させて下さい。」

おじいさん「うん、そうだな…。慌てたって、仕方がない。それに、お前だってバカじゃないんだから…。よし、わかった。お前に任せると、しよう。」

かぐや姫「ありがとうございます。おじい様。」