我等キリシタン 前編

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使徒パウロは、天国と地上を結ぶ仕事を、していました。
天国の議会で決まった事を、地上の法皇様に伝える。
また、法皇様の困っている事に、耳を傾け、それを天国に伝え、皆で協議するのです。
他にも、天国で刊行されている、信徒向けの雑誌に寄稿したり、地上の教会を、お忍びで尋ね、信徒達の生の声を、聞き出したりしていたのです。
パウロには、彼女がいました。マルタの妹マリアです。
マルタの妹マリアは、みんなから略して、マルタリアと呼ばれていました。
二人は、長く付き合っていましたが、結婚はしていませんでした。
彼女は、ペトロの補佐をしていました。
書類を作成したり、それを整理したり、いわゆる事務の仕事です。
でも彼女は、仕事にはそれほど、熱心ではなかった。
時折、友達のかぐや姫と地上に降りて、ディズニー・ランド(彼女は、シーの方が好きでした。)に行く事はあっても、
彼女にとって何より大切なのは、TVゲームで遊ぶ事。
それも古いファミコンが、大好きだったのです。
マルタリアは、正規品ではない、携帯ゲーム機を持っていて、それはファミコンのカセットが、ささるのです。
それを、肌身離さず持ち歩き、暇があればビン底メガネの向こうに、覗き込んでいたのです。

二人はいつも、忙しかった。
パウロは、仕事に。
マルタリアは秋葉原に、ゲーム漁りに行くのに。
すれ違う日々が、続いていました。
だから二人は話し合って、一緒の日に連休を取ったのです。
パウロは昼休みに、パソコンの前に座り、何やらカタカタやっていました。
その後ろから、マグダレーナが声を掛けました。
マグダレーナ「あら、パウロさん!昼休みまで、お仕事?少しは休まないと、体に毒ですよ…。」
パウロは、照れて言いました。
パウロ「いやあ、マグダレーナさん。こりゃあ、仕事ではないんです。最近、マルタリアを構ってやれんから、温泉にでも、連れてってやろうかと、思っての。わっしらは二人とも、温泉がすっきじゃから…。」
マグダレーナは、溢れるような笑顔で、手を叩きました。
マグダレーナ「あら、素敵ね!二人っきりで温泉…。いいわね、素敵なカップルだわ!」
パウロは、頭を掻き掻き、言いました。
パウロ「いやいや、わっしは彼氏失格じゃい…。優しくも、できとらんしのう。」
それでもパウロは、まんざらでもない気持ちでした。

ちょうど同じタイミングで、マルタリアは「デビルワールド」で、遊んでいました。
そこに、マグダレーナの部下の、サリムがやって来て、話しかけました。
サリム「ねぇねぇ聞いたよ、マルタリア!今度、パウロと一緒に、連休取るんだって?どこ、行くのよ〜。」
マルタリアのタマゴンは、順調に、ステージ上に散らばるボワボワを、消していきました。
マルタリア「温泉…。」
サリムの顔が、曇りました。
サリム「またぁ!?あんた達ってさあ、温泉か教会にしか、行ってないじゃん。どうなってるの?」
マルタリアのタマゴンは、十字架を上手く取ることが出来ず、ウロウロしているメダマン達に、次第に追い詰められていきました。
マルタリア「それは、そうだけど…。」
サリムは強い調子で、ピシャリと言いました。
サリム「もう、ダメ!ありえな〜い。マルタリア、真剣に考えなきゃ、ダメだよ!パウロは偉いけど、女の気持ちなんて、てんでわかんないんだから。そんなんで、幸せになれるの?」
マルタリア「わかってる…。」
マルタリアのタマゴンは、ローラーと壁に挟まれて、潰れてしまいました。