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美しき詩人の愛 4

マグダレーナは、書きかけの原稿から、目をあげて、いいました。
マグタレーナ「うん、面白いと思うわ。地上に生きる人達の、喜びや悲しみが、描かれていて…。でもそんな事、言っちゃいけないわね。私達だって、かってはそうだったんだから。」
ヨハネはそういう、マグダレーナのどこかで聞いたような言葉を聞くと、この場で押し倒して、辱めてやりたい気持ちに、なりました。
ヨハネ「それは、君の本心かい?」
ヨハネは、激しい気持ちを抑えて、平静を装って、尋ねました。
マグダレーナは、微笑んでいいました。
マグダレーナ「変な事、聞くのね?私、何かおかしい事、言ったかしら。」
マグダレーナはティーセットを、カチャカチャと音を立てて、お盆の上に乗せ、立ち上がりました。
マグダレーナ「さあ、私の休憩は、もう終わりよ。仕事に、取り掛からなくっちゃ!じゃ、詩人さん。また、続きが書けたら、読ませてちょうだいね。」
マグダレーナも、また行ってしまいました。

ヨハネは、鬱屈とした日々を過ごしました。
何日経っても、霊感は降りて来ません。
ヨハネの仕事には、特に期日などはなかったのですが、なんとなく焦りの様なものを、感じていました。
ヨハネは、この気分の憂さが、原因だと考え、それを晴らすために、誰にも告げずに、地上に降り立ちました。
そして、地上の人々に紛れて、やたらと高い酒を飲んだり、競馬場に行って、めちゃくちゃな金額を賭けたり、娼婦を次から次に、抱いたりしました。
それでも、一向に憂さは晴れず、ヨハネの心は、暗く、暗く沈んでいきました。
ある時ヨハネは、天国でキリストと行き合いました。
キリストは、人相の悪くなったヨハネを心配して、言いました。
キリスト「どうした、ヨハネ!最近、お前さんの悪い噂ばかり、聞くぞ。門番に悪態を吐いたり、ミイヤやサリムを侮蔑したり…。一体、何があったんだ?私に、話してみなさい。」
ヨハネは、キリストと目を合わせずに、下を向いたまま、言いました。
ヨハネ「キリスト様…。私達、天国にある者は、自殺すればどこに行くのでしょう?」
キリストは、びっくりして言いました。
キリスト「何をバカな!我等は、もう死んだりはせん。だから、自殺など出来んよ。どうしたんだ、ヨハネ。事情を話してくれ。」
ヨハネは、暗い目をして、呟きました。
ヨハネ「しかし、重い罪に堕落して、地獄に堕ちる事は出来る…。」
ヨハネはそのまま立ち去り、後にはキリストが一人、取り残されました。