物語の更新が、途絶えてしまっていて…。
施設のレクで寸劇をやる事になって、金太郎をノーアレンジで、台本にしました。
基本みんな、認知症が入ってますからね。
作家性ゼロなので面白くはありませんが、記念にアップしたいと思います。
司会進行
さて、皆々様。
これよりお目に掛けます物語は「金太郎」。
今は昔の物語。
時はお公家様の支配する平安の時代。
彼の地に住んでいた、八重桐という娘とその父。
八重桐は父が亡くなったその折、遥々京の都へと上った。
運命とは不思議な物。
八重桐は京の都で猛き若武者、坂田蔵人(さかたのくらんど)との恋に落ちる。
二人は幾多の困難を乗り越え、やがて晴れては夫婦となり、八重桐の故郷足柄山へと帰ることとなった。
しかし運命は、与える事もあれば奪う事もあるのが世の常。
愛する夫、坂田蔵人は旅の途中で病に命を落とす。
八重桐は夫の死を、それはそれは深く悲しんだ。
それでも八重桐にはまだ、希望があった。
お腹の中に新しい命が、煌々と宿っていたのである…。
シーン1 出産
お母さん「う〜ん、苦しい。誰か、助けて…。」
赤ん坊、産まれる。
金太郎「おぎゃあ、おぎゃあ!」
お母さん、赤ん坊を抱き抱えて。
お母さん「まあ、何て可愛らしい子でしょう。それに、凛々しい顔立ち…。」
お母さん、客席に呼び掛ける。
お母さん「私はこの子を、金太郎と名付けましょう。さあ金太郎、あなたの為に用意した腹掛けですよ。」
お母さん、とても大きな腹掛けを、金太郎に着せる。
お母さん「この腹掛けは、赤ん坊のあなたには、とても大きいでしょう。でもね、金太郎。いっぱいお乳を吸って、この腹掛けがちょうどよくなるくらい、大きくなるのですよ。」
シーン2 薪割り
お母さん、庭で薪を割っている。金太郎、元気に登場する。
金太郎「やあ、おいら金太郎!おっかさん、薪割りはおいらがやるよ。おいら、おっかさんを手伝いてえんだ!」
お母さん手を止めて、金太郎の方を向いて。
お母さん「では、金太郎。私が使っている小さなまさかりではなくて、このお父さんの形見の、大きなまさかりを使いなさい。金太郎、ご飯を沢山食べて、力をつけて、この大きなまさかりを使いこなせる様になるのですよ。」
金太郎、大きなまさかりを持ち上げようとするが、持ち上がらない。
金太郎「おっと、こいつは重てえや!こりゃあ、生半可な事じゃ持ち上がんねえぞ。」
金太郎、何とか持ち上げるが、あっちへフラフラ、こっちへフラフラ。
金太郎「こいつは、大事なおっとさんの形見だ。落っことす訳にゃあ、行かねえぞ。それ、よいしょお!」
金太郎、薪を割る。それを見て、お母さん涙を流す。
お母さん「金太郎…。こんな重い物を持たせる悪いお母さんを、許してちょうだい。全ては、あなたを立派な男に育てる為なのです…。」