読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

帰ってきた男達 18

赤き竜は、天女の屍肉に頭からかぶりつき、骨ごと噛み砕いて飲み込みました。
赤き竜「うむ…、いい味だ。天使程ではないが…。地獄の亡者共は、ロクな味がせんからな。久しぶりに、楽しめたぞ。」
浦島太郎は、自分の策が上手くいったと、考えました。
浦島太郎「そうでしょうとも、赤き竜さん!しかし、あなたの大好物である天使の肉を腹一杯食べる、いい方法があるじゃありませんか?」
赤き竜の舌は、天使の味を思い出しました。
赤き竜「ふむぅ…。しかし、天使は天使でも、男の肉はダメだ。肉付きも劣るし、ゴツゴツしていて舌触りもよくない…。やはり、女の肉の方が上等だ。だがな、何よりいいのは子供の肉だ!」
浦島太郎は、手応えを感じていました。
浦島太郎「女のだろうと、子供のだろうと、幾らだって召し上がって頂けますよ!もしね、足りない様ならヤハに迫って、新しいのをこさえさせりゃあいい…。そうすれば、あなたの腹は満たされない事はない!」
赤き竜の口に、唾きが湧いてきました。
赤き竜「奴らの肉は、我が炎で軽く炙っても、美味い…。しかし、新鮮な肉を生で喰らう方が、ずっといいだろう。だかな、もっと美味い喰い方がある…。それは、生きたまま、バリバリと噛み砕いてやる事だ!」
浦島太郎の心に、暗い歓喜が湧いてきました。
浦島太郎「そりゃあ、そうでしょうよ!何だって、新鮮さが一番だ。地産地消!いいじゃないですか?先ずヤハに、その場で子供を造らせる…。そしたら、出来た先から、あなたがペロリと頂いていく。赤き竜さん、あなたは物の味わいが、よくお分かりでいらっしゃる!」
赤き竜は、自分の想像に満足しつつある様です。
赤き竜「子供は何がいいって、そりゃあ泣き叫んだり、恐がって喚いたりするところだ…。それが、最高のスパイスになる。干し肉にはコショウがいる様に、奴らには絶望と無力さが、よく合う…。大人の、特に男はダメだな。奴らは、力の限り戦おうとするし、負けると決まっても、潔く覚悟を決めて、死を受け入れようとする。せっかく、我が舌を楽しませるという栄誉に預かるというのに、それが分かっておらん…。」
赤き竜は、喜びにブォーッと一息、吐き出しました。
金時はその様子を、腕を組んでただ見守っていました。
赤き竜「小さき者よ…。汝は、この金時とかいう小賢しい者と違い、我を心から尊んでいるようだな。しかし…。ルシファーに付けられた傷は、癒えん。この、煩わしく飛び回る三匹の羽虫すら、我が手には余るのだ。小さき者よ、汝には、それについて何か策があるのだろうな?」
浦島太郎は、ニヤッと笑いました。
浦島太郎「赤き竜さん…。あなたの望みは、傷を癒し、かつての力を取り戻す事なんですね?この浦島…、承ってございます。」
赤き竜は、いい気分でした。
赤き竜「そうだ、我の偉大な力を取り戻し、再び天下に赤き竜の名を知らしめる事だ!我は、虫ケラの様な汝らに問おう。この世界に、君臨すべきは何者であるか、と。そうだ!この世界の支配者は、ヤハでも、マルド・グムでもない。この、赤き竜である。我が炎の息吹によって、世界中を焼き尽くしてくれるよう!」
浦島太郎は落ち着いた、しかし悪意をにじませた口調で、告げました。
浦島太郎「ならば、ルシファーの愛する女性、天使コピエルをあなたに生贄として捧げましょう…。それならば、あなたの腹立ちも、少しは治るというもの。その為にも、赤き竜さん?あなたの咆哮を、ほんの少しでいいのです…。止めては下さるまいか?」
赤き竜は、浦島太郎の提案が、いたく気に入った様でした。
赤き竜「よろしい…。汝の願い、聞き入れよう。この件は、汝に全て任せる。善き知らせを、待っておるぞ!」
桃太郎は、海鳴将軍に言いました。
桃太郎「浦島さんは、どういうつもりなんだ?ルシファー様は、何も知らないのに…。こんな事、私達で勝手に決めてしまって、問題にならないかな…?」
海鳴将軍は、憤慨していました。
海鳴「桃太郎殿、そんな事は問題ではござらん!問題は、道義でござる。浦島太郎殿の暴走で、この戦の大義は失われようとしている。こんな事では、世は治らんでござる…。金時殿、どうするでござるか?」
金時は何も言わず、帰り支度を始めていました。

コピンは、天国の自室で、鏡に向かっていました。
コピン「あなたの為に〜、きれいになるの〜。あなたの〜愛が、私をきれいにするぅ〜。私の〜心の玉座には、あなただけ〜がいる。私は、神の名も〜しら〜な〜い。でも、あなたの名前は〜、石板に〜刻まれてるぅ〜🎵」
コピンは、鏡に映った自分の顔に、話しかけました。
コピン「あら、コピンちゃん。あなたって、誰より素敵ね!そんなに愛らしいんじゃ、ルシファー様の逞しいお胸も、きっとキュンキュンしちゃう事よ。」
コピンは歌いながら、大空へと飛び立って行きました。