寸劇 最高のプレゼント

以前勤めていた施設の友人に頼まれて、クリスマス会の演劇用の脚本を書いてみました。
ついでなので、アップしときます

シーン1
今夜はクリスマス。
サンタのおじいさんは、トナカイの引くそりに乗って、夜空を忙しく駆け巡っておりました。
(サンタ、そりに乗っている。)
サンタ「ふ~、忙しい忙しい。どれどれ、どうやらこの子で最後だな。」
(サンタ、手帳を覗き込む。)
サンタ「ふ~む。どれどれ…。(孫、回想のように舞台に登場して)"ぼくは、プレゼントはいりません。代わりにおばあちゃんの願いを叶えてあげて下さい。一人で寂しいだろうから。"か。何と立派な心掛けだろう。こりゃあ早速、おばあさんの家に、行ってみんとな!行くぞトナカイ、おばあさんの家までな!」
こうしてサンタさんは、おばあさんの家にむかいました。
一方その頃、一人で暮らしているおばあさんは。
(ちゃぶ台の上に、湯のみと急須)
おばあさん「ふう、よっこらしょ。いやだ、いやだ!全く年は取りたくないもんだ。何をするのだって、容易じゃないよ。」
その時、ドアをノックする音が聞こえました。
おばあさん「おや、こんな時間にお客さんかね?開いてますよ、足が悪くてね…」
(ドアを開ける音)
サンタ「ごめんください、わしはサンタクロースじゃよ。お前のお孫さんの願いでな、お前さんの願いを叶えに参ったんじゃ。」
おばあさん「わたしにはもう、願う事なんかありゃしないんだが、どんな願いでもいいのかい?」
(サンタ胸を張って)
サンタ「そりゃあ、もちろん!わしはサンタクロースだから、この魔法の袋から何だって取り出せるさ。」
おばあさん「そうかいそうかい、じゃあこれをお願いしよう。」
(おばあさん、サンタに耳打ちする。)
サンタ「よくわかった。それは、魔法の袋から取り出す訳にはいかんから、少し待っていなさい。」
そういうと、サンタさんはそりに乗って、夜空に飛び立って行きました。

シーン2
孫のカン太は、一人部屋でプレゼントの包みを開けておりました。
カン太「わあ~、妖怪ウォッチじゃないか!嬉しいな。」
(妖怪ウォッチで、一しきり遊ぶ、とその辺に置いて。)
カン太「今日のケーキも美味しかったし、フライドチキンも美味しかった。お父さんもお母さんも優しいし、ぼくは幸せだ…。」
(カン太舞台の上を、ゆっくりと回る。)
カン太「でも、おばあちゃんは、今頃一人ぼっちで寂しい思いをしているだろうな。」
(カン太、立ち止まって部屋に飾ってある、自分の描いたおばあさんの似顔絵を見上げる。)
カン太「でも、ここは東京。おばあちゃんの家は宮代だ。会えるものなら、今すぐ会いたい。そうた!サンタさんに、それをお願いすればよかったかな?でも、いいんだ!おばあちゃんが好きな物を選べば。その方が、きっと幸せなんだ!」
その時、サンタさんが窓をノックしました。
サンタ「こんばんは、カン太君。」
(カン太、驚いて。)
カン太「わあ~サンタさんじゃないか!どうだろう、おばあちゃんは何をお願いしたの?もう叶えてあげた?甘い物は、駄目なんだよ!」
(サンタクロースは、ニッコリ笑って。)
サンタ「まあ、落ち着きなさい。まだ、叶えている途中なんじゃよ。」
カン太「そうなんだ。よかった!でも、何を願ったんだろう?」
サンタ「それなんじゃが、カン太くん。わしのそりに乗って、大空をドライブしてみたくはないかね。そりゃあもう、いい気分じゃよ?」
(カン太、大喜びで)
カン太「本当!?うん、乗ってみたい。(乗り込むゼスチャア)落ちないように、気をつけないと…。」
サンタ「飛ばすから、しっかりつかまっていなさい。そら、走れトナカイ。行くぞ!」
こうして、カン太はサンタさんに連れられて、大空に飛び立って行きました。

シーン3
サンタさんとカン太は、そりに乗って空を飛んでおりました。
サンタ「どうじゃ、空のドライブは気持ちいいじゃろう。ほら、あれがスカイツリー。こっちにあるのはロビンソン。」
カン太、下を見下ろして。
カン太「うん、気持ちいい。ぼくも、大人になったらサンタさんになって、空を自由に飛び回りたいな。」
サンタ「そうかそうか。サンタはいいぞ。毎年毎年、良い子達の笑顔に出会えるからな。
ところでカン太、お前さんおばあさんに何かプレゼントしたい物はないのかい?」
(カン太、うつむいて。)
カン太「おばあちゃんはね、甘い物が大好きなんだ。だから、一緒にケーキを食べたかったんだけど…。サンタさん、トーニョーって知ってる?」
(サンタ、重く頷く。)
サンタ「知っておるよ。サンタは、何でも知っておるんじゃ。」
カン太「その病気にかかっちゃうと、甘い物が食べられなくなっちゃうんだって。だから、何が欲しいのかわからないんだ。」
(サンタ、ひげをさすりながら。)
サンタ「その袋の中を探してみなさい。おばあさんの、1番喜ぶ物がきっとら出てくるじゃろう。」
(カン太袋の中を探って、一枚の画用紙を取り出す。それは、さっき部屋に飾ってあったおばさんの似顔絵だ。)
カン太「あっ、これはぼくが幼稚園で描いた、おばあちゃんの似顔絵じゃないか!先生は言ったんだ。何でも、自分の好きなものを描きなさいって…。でもこんなもの、おばあちゃん喜ばないよ。」
(サンタ、しみじみと首を横に振る。)
「プレゼントはな、心が込もっておればそれが一番なんじゃ…。そら、もう着くぞ!到着じゃ!」
(カン太、不思議そうに)
カン太「ここは、どこだろう?ぼくの家じゃないぞ。あっ、わかった!ここは…。」
そうです。ここは、カン太のおばあさんの家の前でした。


シーン4
おばあさんは、やって来たカン太とサンタさんを出迎えました。
おばあさん「おやまあ、カン太!よく来たねぇ。」
カン太「おばあちゃんに会えるのは、ぼく本当に嬉しい。でもサンタさん、これはどういう事?」
サンタ「まあ、よく聞きなさいカン太くん。
わしはね、お前さんの願い通りに、おばあさんの願い事を聞きに行ったんだ。そうしたら…。」
おばあさん「私はね、カン太おまえに一目会えれば、それで充分。そう願ったんだよ。」
(カン太、大はしゃぎで。)
カン太「なあんだ、そうだったんだ!それなら、初めからぼくがおばあちゃんに会いたいって、そう願えば良かったよ。」
サンタ「ほらカン太、おばあさんに渡す物があるだろう?」
(カン太、もじもじしてためらう。)
カン太「おばあちゃん、下手くそでごめんなさい!」
(おばあさん、カン太から似顔絵を受け取り、涙を流す。)
カン太「先生が、何でも好きなものを描きなさいっていうから、おばあちゃんを描いたんだ!」
おばあさん「本当にもう、なによりのプレゼントだよ。さあカン太!私はケーキは作れないけど、お前の大好きなカレーライスを沢山作っておいたから、お腹一杯食べなさい。」
カン太「おばあちゃん、ありがとう。でも、今日はもう…。」
(サンタさん、ウインクする。)
サンタ「わしが魔法で、お前さんのお腹がペコペコになるようにしておいたよ。」
カン太「やったー!ぼく、おばあちゃんのカレーが世界で一番好きなんだ。」
おばあさん「もしよかったら、サンタさんも一緒にどうですか?一晩働いて、お腹が空いてるでしょう?」
(サンタさん、ひげをひねくって。)
サンタ「わしも、今年の仕事はもう終わりだし、そんなに美味しいんじゃご相伴に預かるとしようかな?」
(カン太、おばあちゃんに抱きつき)
カン太「おばあちゃん、大好き!今夜は、最高のクリスマスだ!!」
おしまい。

テーマ曲「Last Nite」The Strokes