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Black Swan -overload- 24

「ゼクさん、大変です…!」
あれからしばらく経って、若い騎士は慌てて駆け戻ってきた。
「どーした?何があった。」
若い騎士はゼク達の所まで来ると、ゼイゼイと荒く息をして報告した。
「この先で、サモン・ジェネレーターを発見しました!」
ゼクとソクロは、顔を見合わせる。
「ソクロ、行くぞ。」
「行きましょう…。これで、決着がつくといいんですが。」
ゼク達が若い騎士に案内されて先へ進むと、壮年の騎士が山道から崖下を覗き込んでいる。
壮年の騎士はゼク達に気がつくと、崖下のある地点を指差した。
「あそこです…。木の陰になっている。赤黄色い光が見えますか?」
ゼクは膝を突いて、指し示された辺りを覗く。
成る程、間違いない。
「崖はそれ程高くはないな…。ソクロ、サモン・ジェネレーターの解除は出来るか?」
ソクロは、頭を掻いた。
「残念ですが、わたしはまだ助祭の身でして…。サモン・ジェネレーターの解除は、司祭以上の位階でないと行えない奇跡なんです。」
ゼクは考えた。
「そうか…。それなら、司祭が必要だな。」
壮年の騎士はゼクに言った。
「それに、ここからだと木の陰になって、敵の数がわかりません。どうしましょう?」
こうしている間にも、サモン・ジェネレーターからは新たな悪鬼が姿を現そうとしていた。
ゼクは壮年の騎士に、簡潔に尋ねる。
「アンタ、来るかい?」
壮年の騎士は一瞬ビクッとしたが、すぐに気を取り直して答えた。
「行きましょう…。当然じゃないですか。」
ゼクは、笑った。
「よし、決まりだな。若いの、一っ走りお使いを頼む。ルカーシの所に走って、司祭と応援を呼んで来るんだ。ソクロとオッさんは、俺に着いてこい!」
若い騎士は、食い下がった。
「待って下さい!ぼくにも、戦わせて下さい。ぼくだって、やれるんです!」
ゼクは自分よりも年上の若い騎士に、優しく微笑んだ。
「もう少し強くなったら、な?さあ、行くぞ!!」
ゼクは先頭を切って、崖を駆け下りる。
三人はサモン・ジェネレーターのすぐ前に、飛び出した。
サモン・ジェネレーターの向こうには魔導士が一体、その両脇に魔導士を守る様に二体の悪鬼がいる。
ソクロは大声で、ゼクと壮年の騎士に呼びかけた。
「二人共、私を援護して下さい。これから神に祈りを捧げ、召喚を食い止めます。」
ソクロは、首に掛けていた「太陽を抱く月」を外すと、手の平に乗せて詠唱に入った。
「我等を護り、導きたまいし、偉大にして崇高なる至聖三者よ。その深遠なる叡智を、我等に示し給え…。崇敬者、生命と花木、主ストーム・ライダーせんさん。ラルゴに造られし、新たなる神々の長…。」
悪鬼はソクロの詠唱に気付くと、一体がこちらに近寄ってきた。
もう一体は、魔導士を守ろうとしているらしい。
ゼクは、ソクロと悪鬼の間に割って入り、白刃を抜き放った。
その頃ルカーシは、ヘムの村の発掘現場の自室で、ガウェイン将軍からの親書を紐解いていた。
挨拶の文言を読み飛ばし、早速内容に入る。
そこには、こうあった。
「今から約二週間後の○月×日、ザハイム研究所に関係する機関を、一斉に取り押えることが決まった。既に王ダヴィドの調印も済み、後は決行を待つだけである。ルカーシ、君の誠実な人柄を見込んで折り入って頼みたい。我が娘、ハウシンカのことだ…。恐らく、ハウシンカは承服しないであろう。抵抗し、拘束される可能性も充分に考えられる。その時は、よろしく頼む。必要な資金や人手に関しては、遠慮なく言ってもらいたい…。」
ルカーシは、震えた。
これは、夢ではないのか?
そんな気がした。
その時、ドアがノックされる。
「ルカーシ様!サモン・ジェネレーターが発見されたそうです。」
ルカーシは、現実に引き戻される。
「わかった。今行く…。」