寸劇 七夕

例によって、以前勤めていた施設のレク用に脚本を書きました。
取り敢えず、アップしてみます。

 

シーン1
昔々ある所に、彦星という若者がおりました。
ある日彦星は畑から帰る途中、木にかかっている羽衣を見つけます。
彦星「何という美しい羽衣だろう…。持って帰って、宝物にしよう。」
それから何日かして、彦星の家の戸を叩く者がありました。
織姫「トントン…。私は、織姫。彦星さん、私の羽衣を帰してもらえませんか?あれがないと、天に帰れないのです。」
彦星「何と美しい娘さんだろう…。よし、決めた!織姫さん、あなたが私と結婚して私に尽くしてくれたら返してあげよう。」
こうして、彦星と織姫は夫婦になりました。
 
シーン2
彦星と織姫が夫婦になって、何年か過ぎました。
二人の間には子供も生まれ、幸せな日々を過ごしています。
子供1「母ちゃん!オラ、腹減ったー!」
子供2「アタシ、ハンバーグ食べたい!」
子供3「バブー!」
織姫「はいはい…。じゃあ今晩は、ハンバーグにしましょう。あら、あなた。お帰りなさい…。」
彦星「うん、ただいま。いつもありがとう、織姫。お前がいてくれると、とても助かるよ。」
しかし、ある日織姫は彦星が隠していた羽衣を見つけてしまいました。
織姫「これは、私の羽衣…。彦星たちのことは名残惜しいけど、私は天に帰ります。さようなら、みんな!」
こうして、織姫は一人天に帰ってしまったのです。
 
シーン3
織姫は天に帰りましたが、何となく気分が晴れません。
織姫「はあ…。彦星たちは、今頃どうしているかしら?」
天神さま「どうしたんだ、織姫や…。何か心配事でもあるのかね?天の神さまであるワシに、相談してみなさい。」
織姫「お父さん…。私は彦星たちに、会いたくて仕方がないのです。どうにかしてもらえませんか?」
天神さま「ウム、よくわかった。それでは、七夕の日まで待ちなさい。その日になったら、天の河に橋をかけてあげよう。そうしたら、みんなに会えるだろう…。」
織姫「ありがとうございます、お父さん!」
 
シーン4
さて今日は、待ちに待った七夕の日です。
織姫「今日は、久し振りに家族で過ごせるわ。早く彦星たち、来ないかしら!」
彦星「おーい、織姫!久しぶりだな。」
子供1「母ちゃん、オラ会いたかったー!」
子供2「アタシもよ、お母さん!」
子供3「バブー!」
織姫「まあ、あなた達…。私も会いたかったわ!」
彦星「俺たちは、仲良く暮らしているよ。お前はどうだい?」
織姫「私も、お父様と幸せに暮らしています。よかった、みんな元気で…。」
しかし、もうお別れの時間が近づいて来ました。
織姫「あなた、また来年もみんなで会いに来て下さいね!」
彦星「うん。七夕の日を楽しみにして、一年過ごすとしよう。また会おう、織姫!」
こうして、一年に一度。
七夕の日だけは、幸せに家族水入らずで過ごせるのでした。
 
テーマ曲「飛ばしていくよ」 矢野顕子