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気の向くままに… (ボーナス・トラック)

オープニング…

「Oh Yeah」 noodles

noodles / OH YEAH PV - YouTube

 

舞台は、東京。

とある下町の高校…。

放課後美術室ではたった一人の美術部員にして部長の、天和聡也(あまが さとや)がデッサンの練習に励んでいた。

机の上に置いたバスケットの中のフルーツを、HBの鉛筆でスケッチ・ブックに写し取っていく…。

聡也は、ピカソゴッホムンクらの画家に憧れていた。

彼は愚かにもいきなり自分の画風を求めたりはしなかった…。

とにかく表現する為には、先ずは技術だともうわかっていたからだった。

この学校には、彼以外美術部員はいない…。

以前は名前だけ登録してある幽霊部員がうじゃうじゃいたのだが、みんな除籍にしてしまっていた。

聡也のいる美術室の外では、女子硬式テニス部員達がキャッキャやっている…。

「ほら美綱、早く行きなさいよ〜!!」

「だってさぁ…、ホントに本気にされたらどうすんのよ!」

「昨日の練習でアタシに負けたでしょ?罰ゲームよ!!!」

彼女達がハシャいでる理由は、こうだ…。

クラスで孤立している聡也に、自分達から声を掛ける。

すると人との付き合いに飢えているであろう聡也は、自分に気があるのだろうと勘違いする。

それを見てみんなで笑い、ヒマ潰ししようというのだ…。

「わかったから…。じゃあみんな見てて、私のウデを!」

彼女の名前は、竜崎美綱(りゅうざき みね)。

女子硬式テニス部の部長である。

この高校の女子硬式テニス部は、決して全国大会を目指して汗を流す様な本格的な部ではない。

ヒマを持て余した女子生徒らが群れ集う、いわば社交部の様な存在であった…。

「こんにちは…、聡也さん?ほとんど、はじめましてだけど…。」

美術室に入るなり、美綱は聡也に声を掛けた…。

「…?君は誰だっけ。記憶に、無いな…。」

これには美綱も、面食らった。

彼女は自分の容姿に、絶対の自信を持っている。

誰も、自分の存在を記憶しない者などいる筈もない。

「あの私、学級委員の竜崎美綱です…。話したコトないから、憶えてないですよね?」

美綱は、聡也の顔をジッと熱く見詰めた…。

もちろん、自分を印象付けようとしての事である。

「何の用だろう…?別に忙しいワケじゃないが、する事がない訳でもない。大体君だってその出で立ちを見れば、これから部活動なんだろう?」

彼女は、硬式テニス部のユニフォーム姿だった。

別に、これから練習しようと考えていたワケではない…。

ただこの方が可愛いから…、誘惑するのにちょうどいいだろうと思ったまでである。

「何の絵を描いてるんですか…?私も、絵に少し興味があって。」

美綱には、「絵画」への興味等まるでなかった。

そう言えば調子に乗って、聡也が何事か語り出すだろうと目論んだのだ…。

「何の絵かって…?君は、人をバカにしてるのか!?そこの机の上に、篭に入った果物が載ってるだろう!」

彼女は心の中で「このカタブツ!!」と毒づいたが、当然笑顔は崩さなかった。

それでも、美綱はもうウンザリだった。

何を言っても正論が帰って来るだけで、取り付く島もない…。

しかし仲間達の手前、このゲームを降りる事は出来なかった。

彼女には、まだ奥の手が有ったのだ。

それは…。

「もし良かったら…、私のコトデッサンしてもらえませんか!?」

美綱は、勝ち誇った…。

これだけの栄誉を与えられれば、どんな男だってよだれを垂らして彼女を求めるだろう!!

聡也は、アッサリと言ったモノだ…。

「ああ、いいね…。面白いかも知れない。いみじくも画家を志すならば、何だって描ける様でなくっちゃならないから…。」

美綱は椅子に座って、笑顔を作った…。

彼はスケッチ・ブックに向かい、鉛筆を走らせる。

彼女は、退屈で仕方なかった。

ハッキリ言って、自分の申し出を後悔していた…。

あくびをかみ殺すのに必死で、その間何が起きていたのか全く記憶にない。

彼は、リラックスしながらも集中した面持ちで彼女の人物画を仕上げていく…。

日も暮れていき、辺りは夕闇に包まれていった。

「出来たよ…、はい。」

聡也は彼女の笑顔が描かれたスケッチ・ブックのページを千裂ると、美綱に手渡した。

「これが…。私?」

スケッチ・ブックのページに描かれた彼女は、聡明で透明感があり間違いなく美しかった。

「まあ、何だね…。君は美しいと思うよ。古の偉大な美術者達も、皆美しい女性を求めた…。その気持ちは良くわかる。」

…彼女の心に…稲妻が落ち、今すぐこの場で…操を奪われたいという望みがもたげる。

美綱は、体の震えが抑えきれない程悔しかった…。

それだけ美に陶酔する資質がありながら、何故?私を口説かないのか!

日も既に落ちていたから、聡也は美綱を駅まで送って行った…。

駅までの帰り道、彼は彼女に美術論を語って聞かせた。

「美術というのは、定まったカタチ等ないのだと思うよ…。そこに表現されている本物の感情や情熱さえあれば、それは何でもアートなんだね。だが人間としてその段階に到達するためには、基礎・基本に裏打ちされた巧みな技術を必要とする…。つまりは簡単な事で、何でも練習なのさ。その辺は美術であってもスポーツであっても、まぁ変わらんね…。」

学校からの最寄駅…。

美綱は電車に乗ると、窓に反射する自分の顔を眺めた。

歪んだ窓ガラスに映る彼女の顔もまた、奇妙に歪んでいて滑稽な情緒を偲ばせた。

次の日の朝…。

高校に登校した美綱は、友達に挨拶する。

「おはよー!私さ、あの罰ゲーム続けてみようかと思うの…。アイツカタブツでさ、なかなかクリア出来そうもないから。もし私に靡いて来たら、サイッコー!!に笑えると思わない…?」

彼女の仲間達は、皆愉快そうに笑った…。

 

テーマ曲…

「Polynasia」 石野卓球

Takkyu Ishino - Polynasia 【PV】 - YouTube

 

おまけ

どうも、こんにちは。

森沢修蔵です。

この作品はこのオートマールスム・ブログでは、ミュージシャンのアルバムでいうトコロのボーナス・トラックになります…。

本編は全ての話に相関関係があり三層からなる一つの世界観を形成していますが、この物語はそ〜じゃありません。

この物語は、ある日風呂入ってたら何となく思い付いてヒマだったから話書くの好きだし書いたまでの事です…。

無理矢理関連づければ出来なくはないんですが、まぁそれは物語への冒涜かな?と。

ぼくの作品は基本的にいつも同じ一つのテーマです。

恋に落ちる瞬間が、どうしても書きたくて…。

やっぱり人間にとって、イチバン気持ち良いじゃないですか?

それが愛に成就する可能性を予感させて終わるという…。

まあどうなって行くのかは、勝手にしてねって言うね。

一人一人想像して違うだろうから…。

そこまでは、責任持てないよね?

何故?従順な女性を描かないのか?と問われれば、腐ったオタク共が吐き気がするホド妄想を撒き散らしているからです。

もう飽き飽きなんだわ、そ〜ゆうのは!!

何でも言うなりになる芯の折れた女性なんて、俺は欲しく無いよ!!!

"じゃじゃ馬"なくらいで、ちょ〜どいい…。

同時に彼らは絶対に手に負えないから、気位が高く気の強い美しい女性を描写出来ない…。 

男として、大したコトねーからだ!!

だから、ざまーみろと思ってカウンター・デザイン・カルチャーしてるんですよねー!

それを毎回切り口を変えたり、お話の展開を捻ったりして制作するのを楽しんでます。

ワン・パターンだと造ってるのに飽きちゃって、最後まで書き切れないので…。

物語を制作する手応えの一つの指標として、造ってるのがどれだけ楽しいか?とゆ〜のがあるのではないでしょうか?

やっぱり書いてる側が本当に楽しんで造ってれば、読んでくれてる方もきっと楽しめるハズだって信じてるんですよ…。

なので今回も…、表現の幅を広げる為に色々とトライしています。

もっと想像力へ訴求する作品を目指しているので、その練習なんです。

もっと文章のリズムだけで気持ち良くなれる表現を、身に着けたいモノですね…。

それでは、失礼します👋。