ドーナツ形の夢

初野隆代(はつのたかしろ)は、…千葉県の公立高校に通う二年性だ。

…学校のレベルはとゆえば、偏差値55ぐらいの。

よいともゆえないし悪くもない…、平均的な出来で。

その学校で真ん中ぐらいの成績だった隆代は、まさに平凡を絵に描いたような高校生だったといえるだろう…。

隆代の趣味とゆえば、…TVゲームで遊ぶぐらいで特に好きなコトはなかった。

…友達もいなくはない、普通に学校でも分け隔てなくといえば聞こえはよいが。

実際には単に自己主張が無かっただけである…、誰とでも付き合った。

そんな隆代に転機が訪れる、それは同級生のお家に招待され遊びにゆった時のコトだ…。

最初はTVゲームでワイワイと遊んでいたが、…途中で隣の部屋から音楽が流れてくるのに気がついた。

…「これ何の音楽?」

隆代は…、友人に尋ねる。

「あぁ親父だよ、部屋で大音量でJazzを聴くんだ…。うるさいだろ、…悪いな。」

…その通り隆代は初めうるさいと思った、ところが聞いているウチにだんだん気持ちよくなってしまった。

隆代は友人の親父さんの部屋へ失礼し…、アルバム・タイトルとミュージシャン名を教えてもらう。

アルバム・タイトルは「Full house」、ミュージシャンさんはWes montgomeryとゆ〜らしい…。

帰ってから隆代は、…早速iTunesでダウン・ロードした。

…しかし「何か」が違うと想った、言葉にするのは難しいが何とな〜く気持ちよくないのである。

「気の所為かも知れない」…、隆矢はそう考え終わりまで聴いた。

次の日通学する際、iPhoneで何をかけるか迷う…。

だが不思議と「Full house」を聴く気にはならない、…隆代は「あれっ?」と想った。

…高校生にとって1500円は決して安い金額ではない、それがたった一回聴いただけで終わるなんてそんなワケにはいかない。

無理して聴いてみたモノの…、退屈で眠たくなった。

その朝の一件を、例の友達に語ると…。

「親父が部屋で聴いてるのは、…レコードなんだよ」

…とのコトだった、隆代は友達に頼み週末にもう一度お家に連れてゆってもらう。

やはり友達の親父さんはJazzを流している…、隆代はまたあの昂揚感を味わった。

「レコードだ」と確信した隆代は、ネットで検索し何とか安く聴けないか調べる…。

するとど〜やらiON Audioとゆ〜メーカーから、…1万円ちょっとでスピーカーつきのモデルが手に入るようだ。

…隆代は両親に頼みこみ二年分のお年玉を前借りし、購入資金に当てた。

肝心のレコードはとゆえば…、「Full house」は手に入らなかったので同じWes Montgomeryの。

「Impressions」を買った、隆代はワクワクしながらレコードの針を落とす…。

するとやはりこれだった、…この体の奥から気持ちよくなる感じ。

…隆代は気がついた、「これJazzに限らないよな」と。

それ以来隆代は…、せっせと毎月のお小遣いを注ぎ込み。

毎月レコードを一枚ずつ購入した、誰のアルバムを買うかはネットでおススメを引きYoutubeで再生して決めた…。

 

隆代にもついに「好きなコト」が出来た、…すると不思議なモノで。

…この「好き」を誰かと共有したいの望み始める、クラス・メイトを片っ端から当たってみたが。

音楽好きはゆてもレコード好きはいない…、女子生徒から。

「レコード聴くのが趣味なんて、おシャレね…」

といった発言も聞かれたが、…隆代はど〜でもいいと想った。

…とにかく隆代にとって、現在大切なのはレコードだけである。

そんなある日の学校帰り…、敷地内に停まってゆる一台の車の中に目をやると何と!!

「Disk Union」のレコード・バッグが載ってるではないか、隆代は…。

「これは神さまがくれた、…チャンスに違いない!」

…そう確信し、この車の持ち主が現れるまで張った。

しかしなかなか車の持ち主は現れない…、やがて日も暮れおなかも空いてくる。

夜7:00を回った頃、誰かが近づいてきこう告げた…。

「おいっ、…俺の車に何してるんだ」

…声の主は数学教師の猪岳哲雄(いのだけてつお)である、しかし隆代は瞳をランランと輝かせてゆった。

「この車…、先生のっスか?」

哲雄は、尚も不審そうに隆代を半ばにらみつけている…。

「だとしたら何だ、…そもそもお前は何故こんな時間まで残ってるんだ」

…隆代にとっては、教師から叱られてゆるとゆ〜現実はどうでもよかった。

やっと「心の同志」を見つけたのだから…、隆代の心から喜びが堰を切って溢れ出る。

「先生、先生はレコードを聴くんですか…?」

隆代は哲雄に、…これまでの経緯を語って聞かせた。

…哲雄は警戒は解いたようだったが、同時に呆れてもいる。

「お前たったそれだけの為に…、こんな時間までここにいたのか?何でもゆい、話は明日だ昼休みに職員室へ来れば相手をしてやるから…。とにかく、…今日はさっさと帰れ」

…隆代はまるで天にも昇る気持ちで家路に就いた、とにかく明日になればレコードのの話が出来るのだ。

翌日隆代は…、先月買ったAretha Franklinの「Live at Filmore west」を下げて職員室へ向かう。

「お前はバカか、勉強に関係ないモンを学校の…。それも、…職員室に持ち込むヤツがいるか」

…そういいながらも、哲雄は隆代の差し出したレコードを手に取って眺める。

「確かに…、Arethaさんはいいミュージシャンだよ。このアルバム、俺持ってないんだよなぁ…」

隆代は、…その一言を待ってゆたのだ。

「…そのレコード貸しますよ先生、その代わり感想を聞かせて下さい」

こうして…、隆代と哲雄の交流は始まる。

 

いつものように、放課後隆代と哲雄はレコード談義に花を咲かせたある日…。

フと時計を眺める、…もう夜7:30を回っていた。

…「隆代送ってやるよ、俺の車に乗りな」

隆代も特に遠慮するコトせず…、哲雄に送ってもらうコトにする。

「先生、ティッシュない…?」

送ってもらう帰り道、…隆代ははなが垂れそうだった。

…「ダッシュ・ボードに入ってるよ、開けてみな」

ダッシュ・ボードを開けると…、そこからヒラリと一枚の写真が落ちる。

隆代が拾い上げると、そこに映ってゆたのは若い女性でなかなかキレイだった…。

「先生、…こんな若い奥さんいるんですか?」

…隆代の無邪気な質問に、哲雄は思わず声を上げて笑ってしまう。

「お前…、俺が陰で何て呼ばれてるか知らないのか?」

隆代は知るワケないと想った、何故なら先生は自分と同じレコード好きなのだから…。

「"女たらし"だよ、…だがそれは間違ってない。…俺はエッピ💝が大好きだからな」

「じゃあ結婚したらいいじゃないですか」…、と隆代は返事をした。

そ〜すればそ〜ゆう大人のゴニョゴニョも毎晩出来る、と隆代は考える…。

「いいか隆代、…俺はな新しい女性とエッピ💝がしたいんだよ。…結婚して、そんなコトしたら犯罪だろ?教師もクビになっちまって…、メシが食ってゆけなくなる」

隆代は想った、「先生は偉いなぁ」と…。

きっとそれは冒険家みたいな心情なのだ、…危険を顧みずに新たな冒険を求めるのだ。

…「隆代、お前は恋人いないのか?」

隆代はビックリした…、だからそれをそのまま口に出してしまう。

「ぼくまだ16歳ですよ、女性と付き合うなんて…。」

再び笑う哲雄、…どうやらこのおぼっちゃんは本当にレコードしか興味がないらしい。

…「何ゆってるんだ、俺が高校生の頃には。もう5人ぐらいとエッピ💝してたぞ…、こ〜ゆうのはな早くて悪いことはない。」

隆代は困った…、だって好きな娘いないし。

「お前レコード持ってるんだろ、…だったらそれで先ずムードを創るんだ。部屋で相手の好きそうないい音楽をかける、それから軽く冗談でもゆってリラックスさせたら…。美味いモノを食わすんだ…、手作りでも何でもいい。…そうすれば、女性は堕ちる。」

「だって先生、…ぼく好きな娘いないんですよ」

隆代は追い詰められて本音をゲロった、すると哲雄はこ〜ゆうのだ…。

…「女性のな、いいトコロを自分で見つけて。こっちから好きになるんだよ…、それが恋愛だ。俺は、その為にレコード聴いてるんだ…」

隆代は哲雄をすごく立派だと想った、…とても自分には真似出来ないとも。

 

…翌日の放課後、職員室にいくと哲雄はこう切り出す。

「なぁお前…、俺が顧問になってやるから"レコード同好会"を始めないか?」

隆代は感動した、それこそ自分の望んでゆた理想だと…。

「同好会にしちまえば、…お前や俺が学校にレコード持ってくるのも理由が出来るしな。…こ〜やってお前と話をするのも、周りの先生方の目を気にしなくて済む」

隆代は…、家に帰ると父親から教わって。

パソコンでチラシを作る、「レコード同好会発足」と銘打った…。

恥ずかしかったが、…一応会長として自分の名前を記載する。

…部(会)室は放課後の音楽室を借りられるコトになった、学校の吹奏楽部は体育館で主に練習していた為であった。

哲雄は…、隆代の所有するiON Audioのレコード・プレイヤーに興味を持ち。

「そんなに安いなら部室に置こう、お前予算取ってこいよ…」

春になって3年生になった隆代は、…レコード同好会の会長として学校の予算委員会に出席し。

…何とか6000円までは予算として獲得した、哲雄は。

「たったそれだけか…、全然足りねぇな。まぁいいお前の恋の為だ、残りは俺が出しといてやるか…」

こ〜して隆代は、大手を振ってレコードを学校に持ち込み…。

哲雄と二人でレコードをかけながら、…音楽の話に耽った。

…するとある日、一人の女子生徒が音楽室に入って来る。

「あの〜…、私一年生の。松岡慈雨(まつおかまな)ってゆいます、レコード同好会の部室ってここですか…?」

だから隆代は細かい話を聞く前から想う、…彼女はタイプだと!

 

テーマ…

「ジャスタジスイ」 DJみそしるとMCごはん

https://youtu.be/-6SdQT0xj-Q

青春の悔恨

「お疲れさま、先に上がるよ…」

中島安裕(なかじまやすひろ)は…、今退社したトコロだ。

…都内の小さな出版社に勤めてゆて、制作進行のお仕事をしていた。

安裕は今日お家に帰りたくなかった、…何故なら昨日妻のうるうと喧嘩したからである。

原因は安裕にある、安裕が自転車仲間との飲み会を「会社の残業」と偽ったのだ…。

理由は大したコトではない…、単に自転車仲間とのツーリングが多かったからうるうがヤキモチをやきがちだったそれだけである。

…ところがうるうは元々同じ職場に勤めていたので、この時期は別に忙しくないと知ってゆた。

安裕は飲んで帰るコトにした、…一人で飲んでると想われたくなかったから「会社の同僚と飲んで帰る」とまたウソのメッセージを入れる。

 

安裕は実家の近くのバー「酒蔵」で一人飲んでいた、現在のお家は東京の下町にあるのだが実家は千葉県北西部の常磐線沿いにある…。

そこにある実家で暮らしてゆた頃から通っているバーだ…、常磐線一本でいけたし。

…何しろ都内の飲み屋は高くていけない、「酒蔵」なら2/3ぐらいの値段でゆけるから。

どうせ同じ金額出すならいいお酒飲んだほうがゆいと、…通っていた。

バーテンダーのお酒にまつわるウンチクを聞かせてもらいながらウィスキーをチビチビやる安裕に、突然声がかかる…。

「久し振り…、まだこのお店通ってるのね」

…安裕は驚いた、うるうと付き合う前の恋人元木玲(もときれい)がそこに立っていたからだ。

「隣、…座ってもいい?」

安裕は反射的に「よくない」と想った、しかし体は何もゆわず頷いている…。

玲は現在もまだ独身であり…、以前と変わらずアパレル・ショップで働いているらしい。

…安裕は玲と話してると、独身の頃の自由な生活を思い出した。

何の計画も無くお金を使い、…将来の展望も何も無い。

それは実は充たされない寂しさが常に同居していたのだが、それは記憶のトリックで都合よく思い返さない…。

そして既読のつかない…、うるうへのメッセージ。

…「煙草の銘柄も変わってないのね、私その香り好きよ」

うるうは気管が弱かったから一緒にいると煙草は吹かせない、…安裕は「いけない」と想ったがもうあとの祭りであった。

 

始発に乗って安裕はお家に帰った、昨晩の出来事については「バレるハズがない」とたかをくくってゆた…。

問題は帰りが遅いコトでうるうの怒りに油を注ぐ結果にならないか?だったが…、安裕のお酒好きは彼女もよく知るトコロである。

…薄暗いリビングでスマート・フォンをいじり、テーブルの上に置き忘れてシャワーを浴びて寝た。

お昼過ぎに目を覚まし、…リビングへ降りるとうるうが。

「スマート・フォン忘れてるよ…」

と声をかける…、「そういえば」と取り上げて何とな〜く待ち受け画面に目をやると。

…そこには、「昨日の夜は楽しかったね」と玲からのメッセージが表示されているではないか。

安裕は焦った、…そして考える「うるうはこれを見たのか?」と。

「見たのだったら怒るに違いないだから見ていないのだ」、安裕はそう結論しようとした…。

「お昼昨日の夕はんの残りでゴメンね…、急に飲むなんてゆうから」

…「もしかしたら自転車仲間との飲み会の怒りももう峠を過ぎたのかも知れない」、そう安裕は一瞬安堵しかけたが。

「何か、…しょっぱくない?」

うるうの運んで来たスパゲッティ・ミートソースを口にした途端、何か違和感を感じる…。

うるうには何もおかしなトコロはない…、いつものように微笑を浮かべて台所に立っていた。

…安裕は気のせいかと思う、そして「やはり見ていないのだ」と結論した。

それから安裕はサイクリングに出かけたり、…帰って来てゴロゴロしたりしてるウチにお休みは暮れてゆく。

そして夕はんとなり、メニューはサーモンのムニエルとシチューそれにサラダが添えられていた…。

サラダのドレッシングはいつもうるうの手作りで…、安裕は実家にいた頃野菜はあまり食べなかったが。

…うるうの手作りドレッシングの味が気に入りいつも楽しみにしている、ところが。

「何か、…酸っぱくない?」

そう今日のうるうは、味つけが「何か」おかしいのだ…。

シチューも薄いし…、サーモンのムニエルも味が濃い。

…安裕はやっと気がつく、「うるうはあのメッセージを見たのだ」。

 

夕はんを食べ終えた安裕は、…近所のコンビニまで。

うるうの好きな、森永「ビスケット・サンド」を買いに出かけた…。

その途中で…、スマート・フォンがメッセージを着信する。

…玲からだ、そこには「今度いつ会える?」とあった。

そこで安裕はハッとする、…昨日の晩の出来事は全て幻想でしかなかったのだから。

 

テーマ…

「Blue train」 John Coltrane

https://youtu.be/HT_Zs5FKDZE

はじめての◯◯

高天治(たかまがおさむ)は大学の2年生だ、…現在同じ大学・サークルの先輩で4年生の福原寧々(ふくはらねね)と付き合ってゆる。

…一人暮らしのアパートで朝目を覚ました、ユニット・バスの洗面台の鏡を覗き込むと。

「あれっ自分ってこんな顔だったかな?」と想った…、実は治は昨日の晩。

初めて寧々とエッピ💝しちゃったのだから!!、それも駅から離れたラブ・ホテルで…。

モチロン治が誘ったのだ、…それは当然としても。

…ホテルでのチェック・インの手続きは全て寧々任せだった、ど〜やら彼女は初めてではないらしく。

ちょっとリードされてしまった…、それを思い出すと恥ずかしいし情けなくもある。

しかし一方で「仕方ない」と考えざるを得ない、何せ初めてでまるで夢の中の出来事のようなのだ…。

 

治は大学で講義を受けた、…教授の声がまともに耳に入って来ない。

…その心は昨日の晩に起こったコトへ自然と向かう、いつものように街をブラブラと散歩し。

寧々が好きなモス・バーガーで夕食を食べて…、そこで切り出した。

「もうそろそろ付き合って3ヶ月になるだろ、このあとどうする…?」

寧々は最初何をいわんとしてるのかわからないようだったが、…そのまま五分経過し悟ったのだ。

「…まさか、そんなのが誘ってるつもりなの?」

「えっぇ?…、そうだよだからさ」

そしてタクシーを拾いラブ・ホテルに向かったのだ、場所は悪友である栗橋剛(くりはしごう)に教えてもらってある…。

 

治は大学の学食でお昼に定食を食べる、…寧々との関係はみんなには秘密にしてあるからここでは会わない。

…そこに例の剛がカップ・ラーメンを片手に現れた、剛も同じサークルで軽音である。

二人は音楽の話に興じ…、今度出る好きなバンドの新譜の話などをした。

話が一段落したトコロで、治は「昨日エッピ💝をした」と切り出す…。

剛は「でどうだった?」と問い返したが、…治は何も答えられなかった。

…だって無我夢中であんまりよく憶えていなんだから!、そんな治に剛はゆってはいけないコトを告げる。

「それはお前の夢なんじゃねーの?」

治のガラスの自尊心は木っ端微塵に粉砕されてしまい…、ホントに夢だったような気がしてきた。

 

治は剛の一言から立ち直れず、遂に彼女に確かめてみようと決心する…。

そして寧々にメールした、…「昨日のエッピ💝どうだった?」と。

…当然だが彼女には彼女の日常がある、そんなに早く返信があるハズない。

今日の講義も全て終わった治はサークルに顔を出した…、そこには当然寧々もいる。

治は寧々の表情から何かを読み取ろうとしたが、彼女は視線を合わさない…。

治はど〜しても落ち着かず早めに引き上げると、…帰りに立ち飲みの焼き鳥屋さんに立ち寄った。

…他のお客さんは誰もが楽しく談笑してゆる、ように治の目には映る。

生ビールのジョッキをすぐ飲み干してしまった治は…、日本酒を頼みチビチビとやる。

憶えたての煙草に火を点けると、その苦味が口の中を伝わった…。

この立ち飲み焼き鳥屋さんは老夫婦が経営してる、…夫婦ってコトはつまりそうだろ?

…当たり前だが口には出さない、治には酔えば酔う程自分の確信がぐらつくように想えた。

悶々とした気持ちがピークに達し徳利から直に日本酒を空けた頃…、スマート・フォンにメールの着信がある。

寧々からだ、そこには…。

「秘密💖。ねぇこれから治くんのお家ゆってもいい?そしたまたなでなでしてねだからお願い」

と、…あった。

 

テーマ…

「お陽さまみえたらふとん干して」 明和電機

https://youtu.be/eVqFAl0Y5jw

ドルアーガの塔に挑む黄金の騎士良太

小学生だった良太を魅了したのは、…何よりもファミコンである。

…まだ幼い良太に女性への興味はそれ程無い、それよりもファミコンこそどんな夢でも叶えてくれる「魔法の箱」だった。

良太の入学祝いに…、叔父さんはファミコンを買ってくれたのだが。

母である仁美は、「教育に悪い」とファミコンをお家のTVには接がなかった…。

だから良太は、…学校が終わると中古ファミコン屋さんに通う。

…そこで色とりどりのパッケージに囲まれ、一人興奮するのだ。

ある日一つのファミコン・カセットが棚に陳列されてゆるのを見つける…、タイトルは「ドルアーガの塔

すぐに手に取って眺める、「ドルアーガの塔」のパッケージは良太の心を捕らえて離さなかった…。

ドルアーガ」とは何なのか幼い良太にはわからなかったが、…ロゴに炎を吹き出すドラゴンが描かれている。

…「きっとコイツが悪いドルアーガなんだ」、そして黄金の鎧に身を固めた騎士とかよわそうなお姫さま。

パッケージ裏の画面写真には…、魔物で溢れる塔の中で。

たった一人立ち向かう、勇敢な黄金の騎士の写真が映ってゆた…。

良太の心はもう「ドルアーガの塔」から離れない、…だけど当然買うお金なんて持ってるハズがない。

…ど〜してもこの「ドルアーガの塔」で遊んでみたい良太には、考えがあった。

 

翌日登校した良太は…、広い人脈を利用し誰か「ドルアーガの塔」を持ってるコがいないか見つけるコトにしたのだ。

するとお昼休みに、隣の隣のクラスのカーくんと呼ばれる男の子が持っていると判明…。

良太はそのまま昼休みの間にコンタクトを取り、…半ば強引に今日の放課後お家に遊びにゆかせてもらうコトとなった。

…カーくんのお家は遠くて歩いて子供の足で1時間かかる、しかし「ドルアーガの塔」への情熱に燃える良太にとって決して長い道のりではない。

良太が尋ねるとカーくんは…、自分のファミコンで「ファミリー・スタジアム」で遊んでいた。

「自分のファミコン」、良太の目にそれがどれだけ魅力的に映ったろう…。

子供同士であっても先ずは付き合いから、…良太は「ファミ・スタ」でカーくんと対戦する。

…2ゲームほど遊んだトコロで、良太は遂に「"ドルアーガの塔"やらせて」とカセットを入れ換えてしまった。

表示されるロゴ…、良太はドキドキしながらスタート・ボタンを押す。

すると軽快な音楽が流れ(そこにも良太は魅了される)、本編が始まった…。

横長の塔の1階に、…トコロドコロに点在する緑のスライム。

…ボタンを押すと、騎士は剣を突き出した。

「あぁタイミングよく剣でやっつければいいんだ」…、ところがそれは大きな間違いである。

ドルアーガの塔」では魔物を攻撃する時、少し離れたトコから剣を抜き…。

ボタンを押しっ放しにして、…斬りかからなければならない。

…良太と来たら説明書を読まないモノだから、何度やっても最初のスライムに敗北した。

4、5回ほどやられると…、カーくんはもう飽きてしまいまた「ファミ・スタ」のカセットを差し込んで遊び始める。

 

その夜良太は横になってお布団に入ると、昼間の「ドルアーガの塔」が思い出された…。

「絶対にあんなハズはない"ドルアーガの塔"はきっと面白いんだ」、…ウトウトする良太の頭の中ではいつの間にか自身が黄金の騎士となっている。

…鬱蒼と茂る森の中にそびえ立つ巨大な塔、旅立ちを前に森に住む隠者から助言を受ける良太。

「黄金の騎士良太よ…、遂に憎き竜ドルアーガの潜む塔へ旅立つ時を迎えたな。あの塔には、可愛らしいプリンセスが捕らえられておる…。プリンセスを救えるのは、…勇者の血を引くそなただけなのじゃ。…いいか決して諦めるでないぞ。勇気を持ってドルアーガを退治するのじゃ」

ギィと軋みながら開く…、ドルアーガの塔の扉。

薄暗い塔の中でうごめく緑のスライム達、黄金の鎧に身を固めた良太は迷わずスライム達を斬り伏せてゆく…。

勇敢な良太の前にはスライムなどモノの数ではないのだ、…塔を登ってゆく良太の前に漆黒の鎧を纏った騎士が立ち塞がった。

…コイツは悪竜ドルアーガの親衛隊長で、この塔の中で最も手強い敵の一人。

良太と親衛隊長は…、数歩の距離を開けて対峙した。

二人は構えながら、お互い隙をうかがってゆる…。

良太の額から流れる汗が頬を伝い、…あごから床へと滴り落ちた時親衛隊長は踏み込んで来た。

…その稲妻のような一撃を何とか盾で受け止めると、お留守になった腹目がけて良太は力いっぱい剣を突き立てる。

親衛隊長は叫び声を上げると傷痕を押さえ撤退した…、良太はあえて追わなかった。

敵であっても情けをかけるのが騎士の道なのだ、とそんなコトを思い浮かべているウチに…。

良太はやがて、…安らかな寝息をたててゆた。

…幼い良太にとって憧れのファミコン・ゲームとゆえば、「ドルアーガの塔」「ドラゴン・クエストⅡ」それから「モンスター・ランド(これは近所の駄菓子屋さんにあって20円て遊べた。良太は牛乳クレートに乗っかってやり込みにやり込み「伝説の剣」の隠し場所がわからなかっただから「エクスカリバー」でメカ・ドラゴンを叩き潰していた。近所には良太より「モンスター・ランド」のうまい人はいなかったから)だったのだから。

テーマ…

「Super Xevious」 ナムコ/細野晴臣

https://youtu.be/sMhUfASCW4g

 

 

 

…こんにちは、森沢修蔵です。

ぼくのブログを読んでくれてありがとう、…このブログはこの2、3ヶ月アクセス数がとても好調で。

特に先日「正花楼の赤いチャーシュー」を発表してからは、1日のアクセス数が20を超えてゆます…。

これはひとえにみなさんのおかげで…、それ以前はアクセス数1日3ぐらいしかいかなくて。

…諦めかけてゆたぐらいなので、正直とても嬉しいです。

この作品は、…これまでぼくのブログを読んでくれたみなさんへのいわばファン・サービスとして用意しました。

これまで何作か書いて来て、「ぼくが作家として求められてゆる作風ってこうかな?」と想像し…。

敢えてそれに合わせて書いてみたんです…、楽しんでいただければ素直に嬉しいですよ!!

…ぼくは現在、プロになるべく持ち込み作として「聖石伝説神のいなづまパルツィバル」とゆ〜長編の準備に入ってます。

基本的にそちらに時間を割きプロとして活動出来ればと考えてゆますが、…ブログでの活動をやめるつもりはありません。

例えば商品にならないような小さなアイディアや、とてもお金をいただけない実験作みたいなのは…。

無料で公開させてもらって読んでいただき…、ぼくの創作とゆ〜「芸」の肥やしにさせてもらうと。

…ですのでまたお立ち寄りいただければ何よりですね、やっぱり作品はお客さんに読んでもらってナンボだなと。

ブログに閑古鳥が鳴いてた時期を経て改めてそのシアワセを噛み締めていますよ、…だから本当にみなさんに心からのありがとうを!

ぼくの魂の叫び、「一都's六県・Roll」…!!!

だから…、まぁいいってコトよ〜♪

正華楼の赤いチャーシュー

「あらお帰りなさい、…私も少し前に家に着いたばかりなのよ。」

…良太は千葉県野田市中野台にある、自宅のアパートの扉をくぐった。

すると妻であるつぐみの笑顔が出迎えてくれた…、良太は革ジャンを羽織ったまま手を洗うと電気ケトルのスイッチを入れる。

「あら上着も脱がずにどうしたの、部屋が寒い…?ごめんなさい、…私今日残業でホントに今帰ったトコだから。」

…Konoのとフィルターとペーパーをカチャつかせながら、背中で良太は語った。

「つぐみコーヒー飲んだらラーメン食べに行かないか?…、おごるよ。」

つぐみは小躍りして喜ぶ…。

「ありがとう良太さん、…今日は何だか疲れちゃって。…そうしてもらえると助かるわ、でも割り勘でいいのよ。」

お湯が沸き…、ドリップを始める。

「いいんだ今日は、ぼくがおごるそう決めてるから…。」

 

良太の淹れたコーヒーを飲みながら、…二人は和室のちゃぶ台で向かい合って座ってゆる。

…「今日はずい分お客さんが多くてレジ打つのタイヘンだったわ、ウチのスーパーのお客さんお年寄りがほとんどだから。お月見で…、何かと物入りなのね。」

良太は、煙草に火を点けた…。

据え置いてあるT.V.には、…「ヘラシヤス」と名乗るお笑いコンビが、銭形警部とクラリスに扮し。

「…いやヤツはとんでもないモノを盗みましたぞ、あなたのお通帳とご印鑑です」

「まぁ…、早く取り返して下さいそれがウチの全財産なんですから」

とゆ〜、ショート・コントを演じてゆた…。

「ぼくんトコの施設でも、…新聞紙を丸めたお月見団子なんか飾ってるよ。…さすがに本物はね、のどに詰まらせるとまずいから。」

…つぐみもずっと母親の介護をしてゆたから、事情はよくわかる。

「気分だけでも…、だいぶ違うわ。私の母もあなたのそんなトコロを…。」

良太は一度キッチンに向かい、…フィルターに残ったコーヒーをマグ・カップに空けた。

…「いや、もうレク係は終わりなんだ。」

驚いて…、目を丸くするつぐみ。

「どうして…、あなたレク大好きだったじゃない?」

良太はコーヒーを一気飲みすると、…つぐみに告げた。

「さもうゆこう、明日も仕事だろ…?」

 

良太とつぐみは…、連れ立って「正華楼」とゆ〜近所のラーメン屋さんまで歩いて来た。

…「いらっしゃい、お好きなお席にどうぞ♪」

高校生ぐらいの可愛らしい女性が、…愛想よく出迎えてくれる。

席に着くと、良太はつぐみにゆった…。

「ぼくはもう決まってるから…、君はどうする?」

…つぐみは、一応メニューに目を通したが。

「私もいつものでいいわ、…すいませ〜ん。」

先ほどの店員さんが、メモを手にして席までやって来る…。

「私は五目かた焼きそば…、良太さんあなたは?」

…良太はかつてつぐみに見せたコトが無い、威厳を湛えてこうゆった。

「チャーシューメン大盛りで、…それから餃子一人前ね?」

つぐみはハンマーで後頭部を撃ちつけられたような気分だった、結婚してからあれだけお金に関して…。

自分に厳しくだからラーメンしか頼まなかった良太がチャーシューメンを頼むなんて!!…、(ちなみに餃子は二人で一人前を食べるのだ正華楼は盛りが大きいから)

…「良太さん今日はどうしたの、チャーシューメンだなんて急に?」

良太は煙草に火を点けると、…気持ちよさそうに吹かした。

「いやね、ぼく今度副主任に昇格するコトになったんだ…!だからそのお祝いさ…、手当ても少しだけど着くから。」

…つぐみの胸にある種の感動が訪れた、誰よりもがんばってるのに不遇だった良太さんが。

遂に社会的に評価される日が来たのだ、…それは妻として。

つぐみにとっても何よりのコトだったろう、思わずつぐみは…。

「店員さん…、生ビールを一つお願いします!…いいのよ良太さん、今日は私が出すわ。」

良太は、…ニコニコしながら二本目の煙草に火を点ける。

運ばれて来たチャーシューメンのチャーシューをつまみに、美味しく一杯飲ったのだから…♪

 

テーマ曲…

「スウィート・ソウル・レヴュー」 Pizzicato Five

https://youtu.be/8nv2wE1nu-E

 

 

こんにちは、森沢修蔵です…。

この作品はぼくが18歳の時に書いた…、「カンテラ」とゆ〜作品のリメイクなのでした。

…「カンテラ」とゆ〜作品はどんな内容かとゆえば、このブログで少し触れた「OVERLOAD」のゼクとハウシンカが。

山小屋の中で二人っ切りになり、…ひたすら自分の得物である日本刀を研いでいるゼクと。

それを眺めてゆるハウシンカが、終始無言で一晩を明かすって感じなんですね…。

これ手前味噌ですが…、アイディアとしては非常に面白くて意欲的な作品なんですが。

…当然18歳の若造にそんなカッコいいBluesが奏でられるハズもなく、20年以上過ぎてしまいました。

この作品のテーマは、…ゆわば「陽気なBlues」。

ぼくはカルチャーの原点は、やはり1900年ぐらいから始まったBluesにあると想うのですが…。

近年この「Blues」とオーヴァー・グラウンドなポップ・カルチャーは完全に乖離してる…、と考えたワケですよ。

…「Blues」の精神とはやはり「お仕事ツラいなぁ」であり、それは旧約聖書の「創世記」で神さまが罰として「働く労苦を加えた」と記述されているコトからもやはり人間の一大テーマなんですね。

ぼくはこの「Blues」を明るくしたかった、…そして「お疲れさま」の精神に鍛え直そうと想ったのです。

それが「Blues」がも〜一度、オーヴァー・グラウンドのポップ・カルチャーに影響力を持つ…。

たった一つの道かなぁ…、な〜んて酔った勢いで大きな口を叩いてみましたねだから。

 

超自己中心的享楽嗜好利己人間のぼく

「ライスマイル」 DJみそしるとMCごはん

https://youtu.be/_etEMlQxM5Y

 

ぼくはさ…、道徳観念とか「こ〜しなきゃいけない」みたいなのはほとんどないワケ!!

現在はスーパーのパン売り場でバイトしてて、自分でゆ〜のもナンだケドまぁまぁキレイに売り場を作ったりする…。

でもそれは、…決して「人間は真面目に仕事しなければいかん!」なんてのじゃないの。

…例えばその日お仕事があって、「お客さんに親切に出来た」とか「難しかったけれど何とかこなせた」な〜んてゆうと。

帰って来て飲む一杯のお酒がやたら美味しい!!…、ってのをぼくは知ってる。

逆に「メンドくさいからサボっちゃった」なんてゆ〜と、帰ってから吹かす一服の煙草が全然美味しくないのね…。

他にもそ〜で、…例えばぼくの好きな食べ物は納豆とか青魚で体にいい。

…これもさ、別に「長い健康寿命を」なんてご大層な代物じゃないんだよ。

ぼくは少し体が弱いんだ…、だからお惣菜のコロッケなんか買っても。

油が悪かったりヘンな添加物とかはいってると、すぐに気持ちが悪くなっちゃう…。

逆にスポーツのあとお味噌汁飲んだり、…おヤツに魚肉ソーセージ(ニッスイが好き)パクパク食べてると。

…体がやけに気持ちいい、でそれは結局体にいいモノなのさ。

スポーツもそう…、体を気遣ってサイクリングとか筋トレしてるんじゃなく。

やっぱり人間の体ってのは、活動したがってるんだろうね…。

もうぼくは、…スポーツしないと頭がモヤモヤする。

…家事だってそうだよ、別に誰かから叱られるとかじゃなくて。

例えばキレイなおトイレでおしっこ出すと…、と〜っても気持ちいいでしょう?

だからぼくは、超自己中心的な享楽嗜好利己人間なのさ…!!!

ぼくは自分にとって「何か」気持ちいいのか?を、…常に研究してるんだ。

…そ〜するとそれは、宗教的にゆっていわゆる「善に近いコト」になる。

それでぼくは…、自分自身の経験を通じて。

「人間の本性とは善に近い」と悟ったのであった!!!、最後に…。

だから今日の一言!!、…昨日天気がンダム。

…(ついでに、機動戦士チャングムってのはど〜?おまけで…、宮廷女官ボンジョビの誓いってのもあるよだから)

 

テーマ曲…

「Voodoo voyage」 Buscemi

https://youtu.be/UNrRAVb-Lyc

花夢語

今回の企画はまずまず新規かな、何と!!DJプレイで映画を撮ろうと…!

ツイッターで試してみたのですが、…さすがに音楽だけではなかなか伝わらないっぽいなので。

…先にこれからかかる曲がど〜ゆうシーンなのか、テキストで表現したいと想います

 

「Lolo」 Rocket juice & The moon

主人公の一馬くんは…、小学三年生。

三年生になる時にクラス換えがあり、それまでの友達とは別のクラスになってしまった…。

新しいクラスにはまだ馴染めない、…それドコロか軽いイジメに遭っているのだ。

…一馬くんが給食のパンを牛乳で流し込む(ドラえもんで見た)のをクラスのみんなでクスクス笑ったり、学校に持って来た古事記のマンガがエッチだと委員長に指摘されたり。

お母さんは「すぐに収まるわよ」とゆ〜…、今日の学校は終わった。

沈んでゆく夕焼けがやけにバカでかく、何だか図々しい態度にも思えるのだった…。

 

「Bein' friends」 鈴木慶一/Michell Hearfy

暗く憂鬱な学校は終わった、…でも一馬くんにはゆくトコロがないのだ。

…お母さんはパートで出かけていて、まだ帰って来ない。

本当はお家で…、一人ファミコンでも遊びたかった。

去年の誕生日に買ってもらった「スーパー・マリオ3」、まだ全然クリアしていない…。

お母さんは、…「一馬くんがまだ幼いから鍵を預けられない」とゆ〜のだ。

…ゆくトコロのない一馬くんは、荒川の土手を目指しトボトボと歩いてゆくのだった。

 

「A life」 大貫妙子/坂本龍一

荒川の土手を一人歩いてゆると…、河川敷に人影が見える。

あれは同じクラスの春奈ちゃんだ、春奈ちゃんはクラスのみんなとは少し距離を取っている…。

一馬くんはよく知らないケド、…何でもすごい地主の一人娘で大切に育てられてゆるらしい。

…一馬くんは見て見ぬフリして立ち去ろうとすると、春奈ちゃんに見つかった。

「アンタ何よ…、同じクラスなのに挨拶もしないワケ?」

 

アナログ・ラバー〜Dig-Dug remix〜/Fat Smith

一馬くんもそこまでゆわれてはと、河川敷に降りてゆく…。

「ど〜したのこんなトコで、…お家帰らないの?」

「…何でアンタにそんなコト詮索されなきゃならないのよ、アンタこそ家にでもどこにでも帰りなさいよ!!」

一馬くんは…、春奈ちゃんがクラスのみんなに交わらないのはこの性格が原因だと悟った。

「ぼく、まだお母さん帰って来ないんだよ…。」

「何よ一人でお留守番も出来ないの、…もう三年生でしょ甘やかされ過ぎよ!」

…一馬くんは、春奈ちゃんのこの勢いが別に嫌いではないと気がついた。

「何で春奈ちゃんは…、お家帰らないの?」

 

Atoms for peace」 Thom Yorke

春奈ちゃんは顔を真っ赤にして、絶叫した…。

「私はねぇ、…今日生まれて初めてピアノのお稽古サボったのよ!!!」

…そう言葉を吐き出すと、春奈ちゃんはまるで子供のように泣き出した。

一馬くんは気に留めなかった…、そんなにタイヘンなコトだと想わなかったからだ。

「別にいいじゃないそのぐらい、誰だってたまには気が向かない日ぐらいあるでしょ…。」

そ〜語ると一馬くんは、…草むらに座り込んで夕焼けを眺めた。

…春奈ちゃんもしばらくビービーしてゆたけれども、やがてそれに倣ったのだった。

 

「Good bye」 advantage Lucy

「私もうお家帰らなくちゃ…、夕ごはんになっちゃう。」

「春奈ちゃん…!!」

春奈ちゃんは不審そうに一馬くんを眺める、…一馬くんはわかったここが男の魅せ場だと。

「…またお稽古サボりたくなったら、ぼくにゆいな。」

「そしたら…、また二人で夕焼け眺めるの?」

一馬くんは、微笑んで頷く…。

春奈ちゃんは、…だから力無くうつむいた。

「…そんなのおかしいわ、だって恋人みたいじゃない?」

そ〜ゆうと…、頬を紅く染めた春奈ちゃんは走っていってしまったのだ。

 

「さくらの季節」 奥田民生

一馬くんはお家で、夕ごはんを食べていた…。

お父さんはまだ帰って来ない、…お母さんと妹と三人。

…TVにはサンドウィッチマンのコントだから「哀川鳥」が映ってゆる、その一言々々に妹は笑う。

「学校はど〜なの…、一馬。」

一馬くんは上の空で、しばらくしてから気がついた…。

「うんまぁね、…まぁまぁだよ。」

…お母さんは心配そうだ。

「あなた少しイジメられてるってゆってたじゃない…、もしあんまりなら先生にでも相談する?」

一馬くんは、キッパリ断言した…。

「それはもういいよ、…ぼくが何とかする。」

 

「ひこうき」 Fishmans

…翌朝一馬くんは、目覚ましより早く目が覚めた。

不思議といつも重い体が…、テキパキと動く。

お父さんはまだ寝てる、しばらくしたら起きてまた会社だ…。

「おはよう一馬、…今朝は早いのね。」

…トーストとベーコン・エッグ、それにコーン・スープ朝ごはんは毎日同じ。

「あら初めてじゃない…、朝ごはん全部食べたの?」

一馬くんはランドセルに腕を通し、玄関の戸をガラガラ勢いよく開けた…。

「行って来ま〜す、…ほら朋美早くしろよ!」

 

…それでは🐁だから、はじまりはじまり〜♪

https://www.youtube.com/playlist?list=PLWCErtfD9n76UDOB-j4Yq0nChREymNs0F