ラルゴによる福音書

…主まーくん・ハリストスは、カトラナズ千年王国の神さまです。

世の中に神さまと呼ばれる存在はた〜っくさんいますが、…その中でも最もえらい。

神さまの中の神さまでした、主まーくん・ハリストスのお仕事は…。

カトラナズ千年王国をパトロールし…、悪さをしてる人がゆたら。

…諭してやめさせるだったのです、主まーくん・ハリストスはパパなる神ユフタルに造ってもらった。

スイッチを入れると赤いライトがグルグル回る、…専用のヘルメットを持ってゆたので。

早く使ってみたかったのですが、な、な、何とカトラナズ千年王国に住む人々は悪さをしなかったので…。

主まーくん・ハリストスにはちっと退屈でした…、主まーくんは口で「ぱーぷー」ゆいながら。

…現場に急行したかったのですが、みんなゆい人ばかりだったのです。

 

さて、…主まーくん・ハリストスは今日もカトラナズ千年王国を空飛ぶ雲に乗ってパトロールです。

もともとこの空飛ぶ雲は、主まーくん・ハリストスが想った方向に想った速度で飛ぶのですが…。

それだと主まーくん・ハリストスが…、運動不足になって少し太ってしまったので。

…パパなる神ユフタルが気を効かして、その奇跡でサドルとペダルをつけて下さり。

主まーくん・ハリストスがペダルを漕ぐと、…空飛ぶ雲に取りつけられたプロペラが回って。

神さまの風を起こし進みました、主まーくん・ハリストスはまぁるいハンドルで上手に操作して…。

どこでも好きなトコにゆっていたのです…、主まーくん・ハリストスがペダルを漕いでると。

…「あれは何でしゅか?おや事件でしゅ」、と何かを見つけました。

主まーくん・ハリストスは一生懸命ペダルを漕いで、…地上に近づきます。

そして程よい高さで停止させると、主まーくん・ハリストスは空飛ぶ雲に…。

指で隙間を作り…、地上を見下ろしました。

…主まーくん・ハリストスは、何を見つけたのでしょうか?

 

主まーくん・ハリストスが見つけたのは、…と〜ってもおっきなポインポインでした。

「すごい可愛いでしゅね、きっとお父しゃまは愛でる為にあなん美しいのをお造りになったんでしゅだから…!!!」

その女性は…、ご自分のポインポインを。

…主まーくん・ハリストスがじっと眺めてるとは想像もしてゆません、お店先に立ってお客さんを呼び込んでいます。

主まーくん・ハリストスが、…ポインポインを見詰めるその集中力と来たら。

一大手術をこなす、外科医の先生にも劣らないでしょう…。

主まーくん・ハリストスは…、それ程までに。

…おっきなポインポインが大好きで、その形をじっくり吟味してゆたのでした。

主まーくん・ハリストスの乗る空飛ぶ雲は、…見た目普通の小さな雲でしたから。

誰からも怪しまれませんが、あまりに長くおっきなポインポインを眺め過ぎた為…。

「おいあの雲いつまでも流れないな」と…、人が集まって来てしまったのです。

…それで主まーくん・ハリストスも、さすがに恥ずかしくなって再びパトロールを続けました。

 

日が暮れたら、…主まーくん・ハリストスは天空のお城に帰ります。

そこでは主まーくん・ハリストスのお母さん、聖母ゆ〜ちゃんが待ってゆて…。

美味しい晩ごはんを作ってくれてゆるのです…、主まーくん・ハリストスは聖母ゆ〜ちゃんのお料理が大好物でした。

…「今日はから揚げ作りすぎちゃったから、多かったら残してね」

聖母ゆ〜ちゃんは、…主まーくん・ハリストスにゆいます。

実際から揚げは少し多くて、主まーくん・ハリストスは食べ切れませんでした…。

「ぼくちん…、このから揚げ明日の朝食べましゅ」

…すると聖母ゆ〜ちゃんは、こ〜ゆいます。

「あらお肉悪くなっちゃうから、…残ったら捨てちゃうわ」

ガーン!!!、主まーくん・ハリストスは大ショックです…。

主まーくん・ハリストスの中では…、こんな考えが巡りました。

…「このから揚げは、もとはとゆえばにわとりさんの生命でしゅ。にわとりさんは、…ぼくちんの命の為に自分の生命を犠牲にしてくれましゅたね?それをぼくちんいただかなかったら、それはにわとりさんの生命への冒涜でしゅ…。ぼくちん知ってましゅ…、冒涜ってとってもいけないコトなんでしゅよ」

…主まーくん・ハリストスは決意して、残ったから揚げを無理におなかに押し込んだのです。

 

翌日主まーくん・ハリストスが目を覚ますと、…何とぽんぽがキリキリしました。

主まーくん・ハリストスは、ビービー泣きながら聖母ゆ〜ちゃんに訴えます…。

「あらあら昨日から揚げ食べ過ぎちゃったのね…、お薬飲んでゆっくりおやすみしなさい」

…主まーくん・ハリストスは、現在の年齢は1000歳でこれは人間に換算すると。

大体5歳児ぐらいですから、…から揚げ5個はちょっと食べ過ぎでした。

主まーくん・ハリストスは、ぽんぽがキリキリしていっぱい泣きましたが…。

その心は…、「ぼくちんぽんぽが痛いでしゅが」

…「ぼくちんのぽんぽより、にわとりさんはもっと痛かったんでしゅ」と神さまのみ心を心配してゆたのです。

主まーくん・ハリストスは、…食べ過ぎで三日間寝込み。

三日目のお昼に、よ〜やくおかゆが少し食べられたのでした…。

これが…、世にゆう「主のご受難」の全てです♪

…だから主まーくん・ハリストスは、マヨネーズなども最後までしっかり絞り切ってから捨てるのですよ。

 

テーマ…

ワンダーボーイ・モンスターランド〜ビーチ〜」 シンタン

https://youtu.be/IfiTS96EZkQ

アーシャの恋(inspired by 「MWⅣ」&「Wonderboy アーシャ・イン・モンスターワールド」)

プラプリル姫に従う戦士達や侍女達に連れられて…、よ〜やくペペに抱かれたアーシャはエスタハーンの村に帰って来ました。

アーシャのお母さんは、涙を流してペペに近寄ります…。

…「よかったアーシャ、お前がこのエスタハーン村に無事帰って来てくれて」

アーシャはお母さんにあいさつする為に、…ペペの腕から地面に降りました。

「お母さん、心配しないで…」

するとど〜でしょう…、アーシャは一歩二歩と歩くウチ。

…ひざから崩れ落ちて、その場で意識を失なってしまったのです。

 

エスタハーン村では、…村でただ一人のお医者さまがアーシャの容態を確認していました。

…「これはな、恐らくワレラ星人の邪眼の後遺症じゃ」

ベッドに横たわるアーシャの脇では…、お医者さまとアーシャのお父さんが話をしてゆます。

「ワレラ星人の邪眼とゆ〜と、あの一瞬で全身が石になってしまうとゆ〜…」

お医者さまは、…うなずきました。

「そ〜じゃ、…今のアーシャはな。…体にはどこにも異常はない、ところが邪眼の恐怖が心に残り。気力が体にみなぎらん…、これでは自由に動けないワケじゃ」

アーシャのお父さんはまだアーシャのことが心配ではありましたが、命に別状はないと知ると少し安心もしたのです…。

「ま、…大丈夫じゃろう。…戦いは終わった、あとはこの村でゆっくり過ごすウチ。自然と体も動くよ〜になるハズじゃ…、くれぐれも無理は禁物じゃがな」

お医者さまはそ〜ゆうと、診療道具をバッグに詰めて帰ってゆきました…。

 

それから一週間が過ぎた頃、…「ぴゅーい」とペペを呼ぶ口笛がエスタハーンの村に鳴り響きます。

…「アーシャ、お医者さまも無理するなとゆったでしょ。安静にして…、ゆっくり休んでいなさい!!」

アーシャはペペに抱き抱えられると、自分のおウチのテントを出てゆきました…。

「お母さん、…私大丈夫。…ペペとお水汲んでくるから、いってきま〜す!」

水汲み場まで来ると…、アーシャはペペに降ろしてもらい。

自分の力でお水を汲もうとします、ところが何度試しても…。

お水の勢いに負け、…おけを支えてゆるコトが出来ません。

…「こんな私じゃダメなんだ、今の私はみんなにとってお荷物になってしまう」

アーシャはぺぺと共に歩いて帰ろうとしますが…、3歩目にはもう倒れてしまうのです。

 

そんなある日、アーシャの元に一通のお手紙が届きました…。

アーシャが宛名を見ると、…それは天空の城の民(兄)メリクルからだったのです。

…「ぼく達、モンスター・ワールドに生きる全ての者を救ってくれたアーシャ。元気にしてゆるだろうか…、ぼく達天空の民も少しずつ平穏な暮らしを取り戻しつつある。ところでアーシャにはぼく達天空の民の為に、あれだけのコトをしてもらったのに…。ぼくらはお礼として何もしてない、…これでは全く恥とゆ〜モノだから。…今度天空の城で、アーシャへのお礼をしたい。来てくれるかな?…、メリクルより」

とありました、アーシャの小さな胸はささやかな悦びに染まったのです…。

 

アーシャのテントに、…メリクルからの使者が訪れました。

…「アーシャ、久し振りだね」

それは…、メリクルの弟マリクルだったのです。

「マリクルお久し振り、メリクルは…?」

メリクルは、…少し困ったよ〜に説明してくれました。

…「兄さんはね、天空の城の王子なんだよ。ぼくらの父さんと母さんは…、も〜ずい分昔になくなっちゃったんだケド。兄さんが後を継いで、まだ若いから王位には就いてないんだ…。大臣ゴンタと、…天空の城の執務に忙しいのさ」

…アーシャは驚きます、あのおとなしそ〜なメリクルが王子だったなんて。

ど〜りで…、マリクルも従者に天空の民を二人連れてゆます。

「マリクル、ごめんなさい…。私、…こんな体で」

ベッドの中のアーシャにマリクルは明るく「知ってるよ…、ぼく達天空の民はモンスター・ワールドのどこのコトも知ってるから。アーシャ、さ魔法のじゅうたんに乗って…」

アーシャはぺぺに抱きかかえられると、…マリクルの用意してくれた魔法のじゅうたんに乗りました。

…「さ出してくれ、メリクル兄さんがお待ちかねだ!!」

すると…、魔法のじゅうたんはあっとゆ〜間に空高く舞い上がり。

エスタハーンの村はすぐに見えなくなりました、マリクルは笑って…。

「アーシャ、…魔法のじゅうたんは気持ちい〜かい?」と尋ねましたが。

…アーシャはかつて自分が、自分の力で自由に魔法のじゅうたんを操ったのを思い出し、

「悔しい」…、そ〜想ったのです。

 

天空の城に着くと、早速王子であるメリクルの出迎えを受けました…。

「アーシャ、…よく来てくれた。…天空の民は、誰一人欠けるコトなくあなたへ感謝してゆる」

…そ〜語るメリクルの両の傍には、ビッシリと従者である天空の民が並んでゆます。

アーシャはメリクルの威厳のある態度に驚くのと…、自分の体が動かないのが恥ずかしくて何もゆえません。

「本来ならば、宴会を催し歓待の意を表明したいのだが…。あなたの体はそれを許さないよ〜だ、…取り敢えず寝室を用意させてもらった。…ゆっくり休んで欲しい、ご両親にはも〜お話は通してある」

寝室と聞くと…、アーシャの気持ちはドギマギしてしまいましたが。

「プイプイ…」

ぺぺと一緒なら、…と案内を受けたのです。

 

…メリクルの用意してくれたベッドは、天蓋つきのとても豪華なベッドで。

シーツは絹で出来てゆます…、毛布もとても見事な衣装で。

ベッドの豪華さにアーシャが目を見張っていると、侍女が部屋の扉をノックしました…。

「どうぞ、…入って下さい」

…すると侍女が部屋の扉を開け、そのあとからメリクルが入って来ました。

「アーシャ…、ベッドは気に入ってもらえたかな?」

アーシャは、自分の気持ちを素直に語ります…。

「あまりにも豪華過ぎて、…私は貧しい暮らしになれていますから」

…メリクルは、いんぎんに頭を下げました。

「気が回らなくて申し訳ない…、これは私からの贈り物だ」

メリクルは侍女に持たせてゆたお盆から、お香のセットをアーシャに渡します…。

「これは月読草から作ったお香で、…気持ちをリラックスさせ。…睡眠を促す効果がある、ゆっくり寝て欲しい。」

メリクルが部屋を出てゆったあと…、アーシャはすぐにお香を試しました。

部屋中に快い香りが充満し、ペペはすぐに眠りこけてしまいます…。

「もうペペったら、…気楽ね」

…しかしそ〜ゆうアーシャも、しばらくすると眠りに落ちてしまいました。

 

それから一週間程経つと…、メリクルが部屋を訪ねて来ました。

「アーシャ、だいぶ顔色がよくなった…」

それはアーシャも自覚してゆました、…メリクルからもらったお香とこのベッドのおかげで。

…この一週間、グッスリ眠れたのです。

「ありがとうメリクル…、でもこれ以上お世話になるワケには」

メリクルは侍女を呼ぶと、小さな木の実を手に取りました…。

「これは、…チカカの実。…南の大陸で取れる木の実なのだが、強精作用がある」

そ〜ゆうと…、アーシャに優しく手渡しました。

アーシャは早速口にするとその辛いコト辛いコト、驚いてしまいくしゃみが止まりません…。

「すまない、…説明が足りなかった。…味に少しクセがある、今夜からあなたの食事の際にこれを提供しよ〜と想う」

メリクルが出てゆってしまうと…、アーシャは自分の気持ちがどこか高ぶるのを感じます。

…「ペペ、メリクルって好きな人いるのかな?」

ペペは、…首を傾げて「プイプイ」と返事をしました。

 

それから一週間が経った頃、再びメリクルが訪れました…。

「アーシャ…、調子はど〜だろう?」

…アーシャの瞳には、爛々とした光が戻ってゆたのです。

「メリクル、…私元気かも」

メリクルは、伏し目がちにアーシャに言葉をかけました…。

「それがあなたのいけないトコロだ…、アーシャ。…あなたは、あまりにもがんばり過ぎる。とはゆえ、…気力が出て来たのなら。」

メリクルは…、アーシャの手を取って促します。

「今侍女達に準備をさせる、この部屋にこの鉄製の手すりを置いて…」

メリクルは、…自分でその手すりで体を支え実演して見せました。

…「リハビリをしよう、アーシャ。体は何でもないのだから…、気持ちがノった今こそ。体を動かしてみるべきだろう、がんばって欲しい…」

アーシャはペペに抱かれて、…手すりのそばまでやって来ました。

…「出来るかな、ペペ?」

手すりに寄りかかりながら…、アーシャは10歩まで歩けたのです。

「プイプイ」と、ペペも喜びました…。

 

それからまた一週間が過ぎて、…メリクルはアーシャの部屋を訪れました。

…「さすが、アーシャ。も〜部屋の中を自由に歩き回れるとは…、さすが鍛えられ方が違う」

アーシャは窓辺から、エスタハーンの村を眺めています…。

「アーシャ、…あなたへのお礼もこれで最後だ。」

…メリクルは侍女を呼ぶと、ギターを持たせました。

「これは私に出来る…、精一杯のあなたへのお礼だ。拙いが、聴いてもらいたい…」

その歌は、…こんな感じです。

 

テーマ…

「Don't think twice it's alright」 Bob Dylan

https://youtu.be/1iHhWh9FtsQ

 

…それから、毎晩寝る前にはメリクルがやって来て。

この歌を聴かせてくれました…、そしてアーシャの恐怖は少しずつ溶けていきました。

 

アーシャは、遂にエスタハーンの村に帰るコトに決めたのです…。

それをメリクルに告げると、…メリクルは止めませんでした。

…天空の城の大広間で、アーシャを送り出すべく。

多くの民が集まってゆます…、メリクルは王座から。

「本来ならば、勇者であるアーシャを送り出す為の…。祝典を開くのが礼節ではあるが、…アーシャの体はまだそれを許さないだろう。…これが、私からの天空の民として。最低限のマナーである…、ごあいさつとする」

メリクルは王座から降り、アーシャの前でひざまずくと…。

その手の甲を取り、…接吻を贈りました。

…アーシャの体は、その時恐怖から自由になったのです。

偉大なる勇者アーシャとその忠実な相棒ペペ新たなる栄光の旅の始まり(「Wonderboy アーシャ・イン・MW」付属の「MW4キャラクター・ブック」掲載されてゆる「あれから…」カヴァー作品)

「待ちなさ〜い…、うひょねこ団!!」

ラパダーナの街の路地裏を駆けるアーシャ、その少し前には「うひょねこ団」の三人…。

カンちゃん(ボス)、ミィちゃん(手下1号)、チィちゃん(手下2号)の三人が、…大慌てで逃げてゆく。

…「ヴァイル、私はこのまま"うひょねこ団"を追うわ。あなたは…、ここで折れて挟み撃ちにしましょう!」

アーシャと共に「うひょねこ団」を追う戦士の一人は、うなずくと角を折れ先回りする為離れた…。

「"うひょねこ団"は世界一の悪党だにゃ、…お前みたいなへっぽこ戦士には捕まらないのにゃ!!」

…調子に乗って「あかんべぇ」する「うひょねこ団」の目の前に、先程の戦士ヴァイルが立ちふさがる。

「待て…、ここは通さんぞ!」

「うひょねこ団」の三人はもう腰が抜けてしまって、おろおろしてゆる…。

「ぎにゃー、…ボス!…戦士だにゃ、戦士が突然現れたんだにゃ〜」

後ろから歩み寄るアーシャは…、腰に帯びている剣に手をかけた。

「いい加減にしなさい、"うひょねこ団"…。これ以上抵抗するなら、…力に訴えますよ!!」

…こ〜して戦士長アーシャの活躍により、街を荒らす「うひょねこ団」は捕らえられ。

ラパダーナの王宮の…、プラプリル姫の前に引き出された。

 

戦士長であるアーシャは、戦士の務めである街の警護を役目を終え…。

自らの守護するラパダーナの街にある、…家路に着いた。

…「ただいま」

アーシャの家の玄関をくぐると…、「プピープピー」と鳴き声がする。

「もうぺぺ、おなか空いたの…?」

鳴き声の主は、…アーシャのペットぺぺろぐぅだ。

…アーシャは戸棚から、ぺぺろぐぅが健康に育つと言い伝えられてゆる。

「ぺぺろぐぅ・フード」を取り出し…、お皿にてんこ盛りにする。

ぺぺはお皿に盛られた「ぺぺろぐぅ・フード」を、アッとゆ〜間に平らげた…。

「ねぇぺぺ、…あなた少し太ったんじゃない?」

…「それも仕方がない」と、アーシャは想う。

闇の勢力と…、命を懸けて戦ったのはもう2年半前。

それからとゆ〜モノ、ぺぺはエサを食べて散歩に出かける…。

それ以外にするコトがない、…アーシャは想った。

…「平和になってしまえば、戦士達には用が無いのだ」と。

 

翌日の朝アーシャは…、ラパダーナの王宮に登る。

また一日が始まる、平和であっても気を抜くコトは出来ない…。

そんな想いで気持ちを引き締めていると、…王宮の宝物庫に何かが運び込まれてゆるのを目にした。

…「あぁアーシャさま、これは昨日"うひょねこ団"に盗まれた"勇気の水晶"ですよ」

大切そ〜に抱えて運び込んでいる戦士の一人が…、答える。

「まったく"うひょねこ団と来たら、トンデモない…!よりにもよって我ら戦士に、…最初の試練をもたらすこの"勇気の水晶"を盗むなんて」

…戦士の懐で輝く「勇気の水晶」は、アーシャにとって初めての冒険である。

「沈黙の塔」を思い出させた…、エスタハーン村を出るあの不安とワクワクの入り混じった気持ち。

アーシャの中で、「何か」が弾けた…!!

 

「プラプリル姫の、…おな〜り〜!」

…王宮に居並ぶ戦士達の前に、侍女達を連れたプラプリル姫が姿を現した。

「戦士達のみなさん…、今日も一日ラパダーナの民をよろしくお願いしますよ。特に戦士長であるアーシャ、ラパダーナの平和はあなたにかかっているのですから…。」

アーシャは失礼であると知りつつ、…頭を上げ自分の気持ちを語ってしまう。

…「プラプリル姫、私は困ってゆる力弱い人達を助ける為に戦士を志ました!!しかし…、現在このラパダーナの都は平和そのもの。私は困ってゆる人達の為に、この剣を振いたいのです…!ど〜か、…この私に再び旅立つコトをお許しください!!!」

…プラプリル姫はしばし沈黙を保ったのち、慎重に口を開いた。

「アーシャ…、あなたのよ〜な本当に勇敢な戦士を。この平和になった、ラパダーナの街に残しておくのは無理なよ〜ですね…。わかりました、…旅にお出なさい。…でも憶えておくのですよ、このラパダーナの街と民は。かつてこの地を救った…、あなたのコトを決して忘れません。なつかしくなったのなら、いつでも帰っておいでなさい…」

アーシャは泣いた、…それも派手に。

…しかしプラプリル姫も戦士達も、それがアーシャらしさだととうの昔から知ってゆるのだから。

 

らくだを連れた…、かつての戦いではアーシャの為に。

いつもあつらえたよ〜な腕輪を用意してくれた商人(申し訳ありません、名前がわかりませんでした)は、旅支度を整えた魔法のランプを懐に抱くアーシャに語りかける…。

「お前さん、…ど〜やら南の大陸に闇の気配があるらしい。…まだ危機とは呼べん状況だが、いつ事態が暗転するかわからないそ〜だ」

アーシャは…、自らに従うぺぺを振り返って答えた。

「危険は承知の上です、ねぺぺ…。私達が力を合わせれば、…どんな危険も恐ろしくはないわ。…案内して下さい、困ってゆる人がいるなら私達はどこへでも旅に赴きます!!」

アーシャの懐で魔法のランプに収まっている…、ランプの精は想う。

「忘れてもらっちゃ、困るでごじゃりるよ〜…♪」

 

テーマ…

「Coriolan overture」 L.V.Beethoven/L.Bernstein

https://youtu.be/Vvn2oGyji8s

 

 

おまけ

こんにちは、…森沢修蔵です。

…ぼくには夢がいくつかあるんですが、その中の一つに。

この作品の元ネタである…、「モンスター・ワールド」のシナリオが書いてみたいとゆ〜のがあります!

この作品を書き上げた直後は興奮してますから、「これを"モンスター・ワールド"のゲーム・デザイナーである西澤龍一さんに読んでいただければ…。」

「きっとシナリオを書かせていただける」とか勘違いしてゆましたが、…少し時間が経ってみると。

…現在のぼくの実力では、「自分の書きたい作品を書く」のが限界なんですね。

ところがもし「モンスター・ワールド」のシナリオを書かせていただけるなら…、その時はゲーム・デザイナーの龍一さんの意向をガンガンに汲み取らなければぼくが納得出来ません。

龍一さんからお話をじっくり聞いて、「こ〜ゆうシナリオが欲しいんだ」と意向を引き出させてもらって…。

その上で自分の味つけで、…「こんなのど〜ですか?」とプレゼン出来なければ面白くない。

…だから反省したんです、やっぱり自分の力でちゃ〜んとプロ・デビューして。

作家として下積みを経て…、経験を重ね。

本当に実力がついたのなら、その時は「モンスター・ワールド」のスタッフに加えてもらうべく頭を下げて売り込もうと…!!

もしこの作品が、…「アーシャ・イン・モンスターワールド」のスタッフの方の目に留まって読んでいただけて。

…もし「面白いね」と想ってもらえたらぼくはもう充分満足です、その上で。

「いつか実力をつけて"モンスター・ワールド"のスタッフに名乗りを上げますから」と…、今はそれを宣言したいと想います。

だからぼく本当に「モンスター・ワールド」のスタッフに加えていただけたら、大空真紀さんのサインもらおっと…!!!

あぁ神さま、…何故ぼくはこんなにも真紀しゃまの大ファンなのでしょう♪

 

 

ぼくの天才論

世間一般では、…いわゆる「天才」って非常にもてはやされるワケです。

John Coltraneとかね、彼はまぁ天才で。

作品を聴けば誰でもわかる通り…、華やかで目立つ存在。

これDJしてるとわかるんだけれど、じゃあJohn Coltraneみたいな「天才」の作品を並べればうまくゆくのか…?

そ〜でもないんだよね、…John Coltraneってのは定食に例えると「とんカツ」とか「ハンバーグ」みたいな存在なの。

…美味しいでしょ?インパクトあるし、でも一つの定食のお膳に。

「とんカツ」と「ハンバーグ」…、両方のってたら食べ切れないし。

「しつこいよね」ってハナシになっちゃう、だからやっぱりお漬物とか千切りキャベツとかも必要なのさ…。

Jazzに例えると、…Hank Mobleyなんてのはお味噌汁みたいなキャラクターで。

…地味なのハッキリゆって、でもやっぱり聴いてると落ち着くのね。

聴きやすいし…、Jazz評論家の後藤雅洋さんがすごくゆいコトを仰ってるんだケドさ。

John Coltraneは聴いてると疲れる」ってゆ〜の、これすごいなと想って…。

やっぱりDJしてみると、…「天才」の作品って聴いてて疲れるんだよ。

…「人生とは何か?」みたいな、テーマが難解で崇高だから。

そこへ来るとHank Mobleyなんて…、「今日はいい天気だから散歩して気持ちよかった」って感じの作風でしょ?

どっちも必要なんだよ、Hank MobleyとかJackie McLean、それにJohnny Griffinなんて中堅ドコロのハード・バッパーが散々ブロウしまくりんぐって…。

そこにJohn Coltrane御大が登場するから、…Showは面白くなる。

…改めて定食に例えると、中堅ドコロのハード・バッパー達はごはんでありお味噌汁でありお漬物なの。

じゃあ地味で目立たないから…、価値として劣るのか?

そんなコトないでしょ、そこに「とんカツ」がのっかってるから美味しいんじゃない…!!

ぼくが何をゆいたいかとゆ〜と、…新たなシーンとゆ〜のは確かに「天才」が切り拓くけれど。

…その大地をならして耕すのは、フォロワー達なんだよ。

だから「天才」だけじゃだめなの…、1950年代ぐらいのJazzがものすご〜く面白かったのは。

それ程才能がトンがってないフォロワー達ががんばったからなのさ、「天才」をありがたがるのもゆいけれど…。

ホントにカルチャーが盛り上がる為には、…そのあとに続く人達がどれだけバリエーションを形成出来るかにかかってる。

…要は支え合いなんだよね、「天才」なんて100万人に一人ぐらいで充分。

あとはもう自分の才能の限りを尽くして…、一生懸命シーンを盛り上げる。

「天才」じゃない、中堅ドコロがどれだけShowを盛り上げるのに一役買うか…?

それはぼくが前述した、…Jazz・ミュージシャン達を聴いてみてもらえれば。

…真に、「論より証拠」だから!

 

 

ぼくのバイト先の新しい店長

ぼくはスーパーでバイトしてるんだけれど、今度店長が新しい人に変わったのね…。

新しい店長は若い人で…、7:00ぐらいに出社してすぐに有線の店内BGMでJ-Popのヒット・メドレーを流すワケ。

…ぼくは思春期を迎えたあたりから、とにかくJ-Popが大嫌いで。

昔ツルんでた仲間と、…「あんなの大衆向けだよ本物じゃない」と散々悪口をゆってたんだ。

現在でもその意見は本質的には変わってなくて、いわゆるJ-Popのヒット曲がアートだとは考えない…。

でもぼくはその新しい店長の流し続けるJ-Popを聴き続けるウチに…、「それ程本格的な音楽ファンじゃない人が親しむ作品ってどんな感じだろう?」と想うようになったのさ。

…例えばぼくの介護士やってた頃の先輩は、ぼくのブログを「面白いよ」とほめてくれる。

でもその先輩はすごい読書家で頭がゆいの、…だからその意見はものすごく貴重なモノとして聞かせてもらってる。

でもその先輩はハッキリゆって特別なんだよ、才能があってお仕事出来ちゃう…。

そ〜ゆうお方にしかアピール出来なかったら…、ぼくはごはん食べてゆけないんだよね。

…そしてぼくのブログは全然お客さんついてなくて、ハッキリゆってそれは困るの。

だからちゃ〜んとお客さんが着いてとゆ〜結果を残してる、…J-Popのヒット・メーカーの人達をバカにするコトは出来ない。

いややっぱりそれもお仕事なんだから、尊重しなくてはいけないと想うようになって…。

ずっとBGMとしてヒット・メドレーが流れてる間中…、「うるせえなぁ」と心の中で悪態を吐いてたんだけれども。

…頭を下げて勉強させてもらないといけないな、と考えるようになりました。

確かに大衆向けなんだケド、…ほとんどの方は音楽だけじゃなくて。

映画も物語もそれ程興味が無いんだから、そ〜ゆった方達が楽しめる娯楽を創作しなければならないとぼくは想う…。

「これは崇高な芸術なんだからわかるヤツだけわかればい〜」なんて…、ぼくはプロはゆっちゃいけないと考えてる。

…現代の時代に必要なのは、ぼくは娯楽だと想うワケ。

本当に楽しくて時間を忘れてしまうよ〜な、…だって人生楽しまくちゃ損じゃない?

創作活動する人って、お祭りを取り仕切ってるよ〜なモノで…。

参加してもらって楽しんでもらう…、それで初めてお金がもらえるんだから。

…やはり商品として成立していないと、出版社とかレコード会社とかも食べてゆけない。

ヒットさせるにはそれ相応の手腕がいる、…そしてそれはそれとして評価されるべきだと胸に刻んで。

新たな気持ちで、これからも物語に取り組んでゆきたいと考えています…。

ウチの店長について…、何も書いてないじゃないかと仰る方がいらっしゃるかもわからないので。

…ちょっと書いとくと、ぼくはある日ウチの店長の隠された素顔を見てしまった!!

ぼくが勤務上がりに、…タイム・カード押そうと想ってバック・ヤードにゆくと。

ウチの店長が、掃除用具一式を抱えて涼しいお顔でおトイレから出て来るの…!

わかるかな…、バック・ヤードにあるんだから従業員用のおトイレだよ?

…「汚れてゆたら気づいた人がやりましょ〜」、そ〜ゆうのよくゆ〜じゃない?

でも自分でやっちゃう店長さんって、…少なく共ぼくは初めてだね。

しかも掃除担当はちゃ〜んとゆて、たまたまその日休みだっただけで…。

偉いよね…、自分がおトイレ入って。

…「汚いな」と想ったんだろうケド、ウチの店長はすごいこんな方ちょっといないよと。

お客さん用のおトイレなら話はわかるの、…汚ければ売り上げに影響する。

ところが「従業員の為に」、こ〜ゆうコトされちゃうとぼくもかんばらないといけないって…。

想っちゃうよね…、だから〜♪

 

テーマ…

「Superfly」 Curtis Mayfield

https://youtu.be/heky9JxNsSs

お母さんのお誕生日大作戦だから

小学5年生の飯高安和(いいだかやすのり)は、…夕ごはんを食べた後宿題の算数を解いてゆた。

…「直方体の体積はたて×よこ×高さだから、まだいたいこのぐらいかな?」

安和は若干の後ろめたさと共に…、ノートと教科書を閉じる。

「宿題は今日はいいんだ、もっと大切なコトがぼくを待ってるんだから…」

妹と一緒の2階にある子供部屋を出て、…階段を降りる安和。

…「安和、宿題終わったの〜?それなら…、早くお風呂に入っちゃって」

安和のお母さんが声をかける、普段ならゆう通りするのだが…。

「智美(ともみ)、…ちょっと話がある。部屋まで、来てくれ…」

と…、妹の智美を子供部屋に呼んだ。

…「ブー、何でちお兄ちゃん話って?」

智美はTVを観てゆる途中だったから、…続きが気になって仕方ない。

「いいか智美、明日はお母さんの誕生日だろ…?」

智美は…、嬉しそうにバンザイした。

…「そうでち、お父さんが美味ちいケーキを買って来てくれるんでち。」

安和は、…真剣な面持ちで智美に告げる。

「だからぼくは、カレー・ライスを作ってプレゼントしようと想うんだ…。明日智美が帰って来たら…、ぼくはカレー・ライスを作ってる。…だから、そのコトは秘密にしておいてくれよ」

途端に、…泣きそうになる智美。

「お兄ちゃんまだ子供だから、ガス・コンロ使っちゃいけないんでち…。包丁だって…、あぶないんでちよ」

…うつむきながら、安和は確信を込めた。

「ぼくなら大丈夫、…一度家庭科の調理実習で演ってるから。そんなコトよりもバレたら全て終わりだ、黙っててくれよ…?」

智美はコロッと泣きやむと…、途端に笑顔になる。

「…ぢゃあたち、お兄ちゃんのゆ〜コト聞いて。お手伝いするんでちブー、…何だか楽ちくなって来まちたね」

その時一階から、お母さんの怒る声が聞こえた…。

「よしわかった…、それでいいから。…明日帰って来たら、買い物にゆくぞ?」

そして、…安和はお風呂の支度をして下に降りる。

 

次の日、先に家に帰った妹の智美は安和を待ってゆた…。

「ただいま智美…、ちょっと待ってろ今お金を取ってくる。」

…安和は学習机の引き出しから、100円玉を五枚取り出す。

「これはこの日に備えて、…ぼくが一生懸命貯めた500円だ。これで、お肉とカレー・ルーを買うぞ…。」

不思議そうに安和を眺める…、智美。

…「お兄ちゃん、カレー・ルーなら戸棚に入ってるんでち?」

安和は、…首を横に振った。

「ウチにあるカレー・ルーは、甘口だろ…?お母さんは…、ぼくらに合わせて甘口を食べてるんだ。…ホントは大人なんだから、中辛の方が好きに決まってる」

…そして二人は、近所のスーパーまで歩いて出かけた。

中辛のカレー・ルーをカゴに入れると、…次はいよいよお肉売り場である。

「本当は牛肉が欲しいケド、ぼくのお小遣いじゃ買えないから豚肉の小間切れを買うよ…。智美…、脂身の多いお肉が美味しいってお母さんゆってたよ」

…困った顔で聞き返す、智美。

「ブー脂身って何でち、…お兄ちゃん?」

安和は、得意になって答えた…。

「お肉の白いトコロだよ…、お肉には赤いトコと白いトコあるだろ?…白い部分が多ければ多いほど、食べ応えがあるんだって」

しかしそ〜はゆってみたモノの、…安和にはどれがど〜違うのか見ても全然わからなかった。

安和は悩みに悩んだがこれ以上時間はかけられない、その時智美が一つのパックを安和に手渡す…。

「お兄ちゃん…、あたちが見た感じ。…これがイチバン脂身が多いんでちブー」

ゆわれてみれば確かに、…際立ってはいないがうっすらと白い部分が多かった。

安和は智美を連れて、レジを済ませるとおウチに帰った…。

 

おウチに着いた二人は…、早速キッチンに向かう。

…「智美ぼくはお米研ぐから、お前お野菜の皮をむいててくれ」

智美はキッチンまで背が届かなかったから、…床に新聞紙を広げボールを置いて。

ピラーで皮をむきはじめた、安和はお米を研ぎ始めたが…。

ある程度慣れてゆた…、何度か調理実習で演ってゆたから。

…研いだお米の入ったお釜を炊飯器にセットして「炊飯」ボタンを押すと、智美のむいたお野菜を手に取り。

包丁で切り始めた、…これは慎重に運ばなければゆけない。

まだ慣れてゆない安和は、時間をかけてお野菜を切ったが…。

ど〜にも形が均一にならない…、だがあまり時間をかけると。

…お母さんがお仕事から帰って来てしまう、だから遅くとも。

そこまでには、…お鍋を火にかけてゆる必要があった。

お野菜を切り終えた安和は、お肉とお野菜を炒める為にガス・コンロの火を点けようとする…。

「ダメだ…、何で火が点かないんだ?…まさか、故障してるのか」

安和が何度スイッチを入れても、…ガス・コンロはシーシーゆうばかりで火は点かなかった。

焦る安和、しかしその時家庭科の先生の顔が浮かぶ…。

「ガス・コンロは使い終わったら…、必ず元栓を締めるよ〜に」

…「それだ」と想った、お母さんは元栓を締めてるからガス・コンロに火が点かないんだ。

ガス・コンロの裏側を覗くと、…確かに元栓は締まってる。

指先でツまんで元栓を開き、スイッチを入れると…。

やっと火が点いた…、そして安和はお肉とお野菜を炒め始め。

…あとは順調に進む、さぁこれでお母さんの帰りを待つだけだ。

 

30分程待ってゆると、…やがてお母さんが帰って来る。

「ただいま〜、あれ何このいい香り…?あなた…、まさか早く上がったの?」

…キッチンにお母さんがやって来るのを、安和と智美はいまかいまかと待った。

「ジャンジャジャ〜ン、…お母さんお誕生日おめでとう!!!」

安和と智美は精一杯囃したが、お母さんは目の色を変えて怒る…。

「バカッ…、何やってんの!!…まだ子供なのに、包丁使って火を点けるなんて!」

智美は、…すぐに泣き出してしまった。

「びぇ〜ん、お母さんごめんなちゃい〜」

しかし、安和は負けずに自らの行為の正当性を主張する…。

「お母さん…、ガスも包丁も何度か調理実習で使ってるから。…それに見てよ、わざわざ中辛のカレー・ルーを買って来たんだよ?」

お買い物の話が出ると、…お母さんの怒りにますます油を注いだ。

「あなた、そのお金はど〜したの…?そんなお金…、持ってないでしょ?」

…安和は、「待ってました」と想った。

「貯めたんだよ、…お母さん。でもあんまり貯まらなかったから、こ〜ゆうプレゼントになったのさ…!!!」

それを聞いた時…、お母さんの怒りは解ける。

…「まぁそ〜よね、そんなに上げてないから。まぁもうやったコトはしかたないわ、…でももう二度としないでね。寿命が三年は縮んだわ…」

イタズラっぽく笑う…、安和。

「あれっ…、お母さん嬉しくないの?…まだ、お礼を聞いてないよ。」

お母さんは、…肩の力が抜けた。

「そうねゴメンなさい、ありがとうとっても嬉しいわ…。でもこれからは…、どんな理由があっても。…お父さんとお母さんの見てないトコロで、ガスと包丁は使っちゃダメよ。」

調子に乗った安和は、…軽口を叩いた。

「えっ、それじゃ調理実習はど〜するの…?」

呆れた顔で…、注意するお母さん。

…「へ理屈ゆ〜んじゃないの。ところで、…智美中辛のカレー・ライス食べられるのかしら?」

お母さんはそ〜ゆうと、お鍋からカレーのルーを小皿に一口よそって智美に渡した…。

「ブぎょぇ〜…、あたちまだ二年生でちから」

…お財布から千円取り出し、お母さんは安和に渡す。

「安和、…悪いケドこれから智美とスーパーにゆって。智美の好きなお惣菜を一つ買ってやって…。それから今日のプレゼントのお礼に…、二人共好きなアイス・クリーム買っていいわよ」

…安和は、飛び上がって喜んだ。

「ほらな智美、…ぼくのゆった通り。お母さん喜んだろう、さいくぞ…。何のアイス・クリームにしようかな…、そうだ今日の気分は丸永の"あいす・まんじゅう"だな!!!」

 

テーマ…

「Tell me baby」 Red Hot Chili Peppers

https://youtu.be/oDNcL1VP3rY

 

天に咲く百合の花

「お母さん、デートするからお金ちょうだい…」

小学6年生の良太は…、台所に立つ母にそうねだった。

…「何ゆってるの良太、ウチには余計なお金はありませんよ!!」

良太の母親はそっけなく突っぱねる、…いつもならすぐに引き下がる良太だが用件が要件だけに退かない。

「勝美がさ今度誕生日なんだよ、そのプレゼントを買いたいんだ…」

良太の母は…、イラ立ちを隠さない。

…「鈴代さん家はお金持ちなんだから、何でも好きなモノ買ってもらえるでしょ?ウチはお金無いんだから、…そんなコトする必要ありません」

良太はいつも想う、お母さんは本当にぼくを愛してるんだろうか…?

「そ〜ゆう問題じゃないよ…、プレゼントって気持ちでしょ?…たくさん出してってゆってるワケじゃないんだから、頼むよ」

いくら親でもゆってはいけないコトもある、…だが良太の母はその一線を越えてしまった。

「そんなに買って上げたいなら、自分のお小遣いから出しなさい…。毎月々々…、ちゃんと上げてるでしょ」

…良太は「お母さんツまらないな」と想う、しかしこれは粘っても無駄だろう。

良太は居間にゆきTVを点けた、…内容が頭に入って来ない。

確かにお小遣いはもらってる、でも月々500円のお小遣いではどう貯めたってデートは出来ない…。

そりゃあそうさ…、勝美は欲しいモノ買ってもらってるだろう。

…でもそんなの関係ない、お母さんは女性なのにそんなコトもわからないのかな?

良太は取り留めも無く想いを巡らせる、…しかし諦めはつかない。

せめてプレゼントだけでも、そう想い「いっそ万引きでもするか」そんなコトを考えた…。

 

やがてお父さんが帰って来る…、お父さんが帰って来れば夕ごはんだ。

…恋に悩んでゆてもおなかは減る、お父さんは上着を脱ぎ母親に渡す。

すると母は、…お父さんにこうゆった。

「お父さん良太がね、"デートするからお金を出してくれ"なんてゆ〜んですよ…。まだ小学生だってゆうのに…、あなたからちゃんと叱ってやって下さい」

…良太は「ゲッ」と想った、お父さんは母に比べればあまり怒らないが。

いざ怒り出すとどんな言い訳も通用しない、…覚悟を決める良太にお父さんはゆう。

「へ〜どの娘だ、良太…?」

拍子抜けしながら…、良太は答えた。

「…勝美だよ、鈴代勝美」

お父さんは、…嬉しそうに笑う。

「あぁ鈴代さんトコのお嬢さんか、良太お前なかなかいい趣味してるな…。もう…、デートに誘ったのか?」

良太は…、悔しくて泣きそうだ。

…「まだだよ、だってお金無いモノ」

お父さんは、…財布を取り出すと良太にその場で3000円差し出す。

「よし、これでうまく演れ…」

呆気に取られた良太は…、ボソッと呟く。

…「でも、返せないよ?」

お父さんは、…大笑いして答えた。

「このお金を返すぐらいなら、しっかり口説き落とせ…。あと結果は直に俺に報告しろ…、それでいい」

…良太の心に、再び希望の光が灯る。

「ありがとうお父さん、…大切に使うよ」

良太のお父さんは、真面目な顔でゆった…。

「良太…、恋愛は城攻めと同じだ。…命懸けで演れよ」

 

そしてデート当日、…良太は待ち合わせ場所である駅に向かう。

待ち合わせとゆ〜と遅刻しがちな良太であったが、この日は気を遣って10分前に到着してゆた…。

「早いね…、もう来てたんだ」

…5分程すると勝美がやって来る、良太は白のTシャツにジーンズそれにデニムのジャンパー。

勝美は紺のワン・ピースの上に、…レモン・イエローの薄いカーディガンを羽織ってゆる。

良太は先ず、自分のゆきつけの中古ファミコン・ショップに案内した…。

棚から一つずつファミコン・カセットを取り出しては…、勝美に評論を聞かせる。

…「良太くんのイチバン好きなカセットは、どれなの?」

勝美の問いに、…良太は待ってましたとばかりに答えた。

「そりゃあモチロン、ドラゴン・クエストⅡだね…。これは面白いよ…、悪い神さまをやっつける為にたった三人で旅をするんだ。…最後険しい山の上に闇の神殿があるんだケド、その山道が厳しくて。何度もやり直して、…ようやく辿り着くんだ。でもそこが面白いのさ、勝美はファミコン持ってる…?」

事実をありのままに答える勝美だったが…、良太にはあまりに残酷だった。

…「持ってないよ、でもこの前スーパー・ファミコン買ってもらったから」

 

少し時間が経ってお昼時、…良太は家族でゆきつけのお好み焼きやさん「みさと」に勝美を連れてゆく。

ベビースターもんじゃ一つね、勝美は何にする…?」

メニューを眺めてゆる勝美も…、すぐに決まった。

「私、…紅生姜焼きにしようかな」

…すぐに器に盛られたもんじゃとお好み焼きの素が運ばれる、鉄板が熱くなるまでよくかき混ぜて待つ。

「勝美はさ…、お好み焼き焼いたコトあるの?」

勝美は、首を横に振った…。

「いつもお母さんにやってもらってるから、…良太くんはあるの?」

…良太は、誇らしく胸を張ってゆう。

「ウチは…、自分の分は自分で焼くんだ。もし何なら、勝美の分も焼こうか…?」

笑顔になる、…勝美。

「…ありがと、良太くんは偉いね何でも自分でやって。私も見習わなきゃ…、自分でやってみる」

良太は勝美を…、「しっかりした娘だな」と想った。

しかし、それは口には出さない…。

 

お昼を食べた二人は、…ゲーム・センターに向かう。

…良太は、得意な「モンスター・ランド」に100円入れて。

たちどころにクリアしてみせた、…しかし勝美はそれ程面白がっていないようだ。

それはそ〜だろう、単に良太がゲームをクリアしただけのコトだから…。

良太は少し悩み…、U.F.O.キャッチャーのコーナーに勝美を連れてゆった。

…これは効果があった、勝美も女性だけあって。

可愛いぬいぐるみやキー・ホルダーには、…興味が湧く。

「私、このくまのぬいぐるみ欲しいなぁ…」

それには良太が困った…、良太はビデオ・ゲーム専門でU.F.O.キャッチャーは手を出したコトがないのだ。

…良太がまごまごしてると、勝美は自分のお財布から100円玉を取り出しU.F.O.キャッチャーに入れる。

「U.F.O.キャッチャー得意なんだ、…見ててね」

だが勝美の操作するクレーンは、ぬいぐるみを取り損なった…。

もう一度トライするが…、それも失敗に終わる。

…良太はそれをわきで眺めてゆて、「あぁそ〜ゆうコトか」と何とな〜くやり方はわかった気がした。

良太がお金を入れて、…U.F.O.キャッチャーのアームを操作すると一発でぬいぐるみが獲得出来る。

当然だがそれは勝美に上げた、くまのぬいぐるみはキー・ホルダーになってゆて…。

勝美は…、それを肩にかけてゆるバッグに留める。

…「ありがとう、とっても素敵な誕生日プレゼント」

良太は、…慌ててそれを否定した。

「いや、もっとちゃんとしたのを考えてあるから…」

驚いたように…、目を丸くする勝美。

…「このくまさんでもう充分なのに、ゴメンね良太くん」

良太は、…カラッと笑った。

「ケチ臭いコトゆうなよ、あと二日でもう誕生日なんだろ…?」

勝美は自分の境遇が恵まれてるのを知ってゆた…、そして良太がそ〜ではないのも。

 

…ゲーム・センターをあとにする頃、まだ陽は明るかった。

「このあと、…ど〜するの?」

勝美の問いに、良太の心は緊張に引き締まる…。

おもちゃ屋さんにゆこう…、そこでプレゼントを買う。」

…勝美の心に悦びが湧いた、遂に来るべき時が来たのだ。

おもちゃ屋さんの扉を開ける良太、…ドキドキする勝美。

「良太くんは、一体何を贈ってくれるのだろう…?」

おもちゃ屋さんに並ぶ無数のおもちゃには目もくれず…、良太は勝美の手を引き真っ直ぐに奥へと向かってゆった。

…「買って贈るのが本当だと想うんだけど、さすがに何の絵柄がゆいのか選べなくて」

振り返った良太の向こう側にあったのは、…スヌーピーのジグソー・パズルである。

スヌーピーは、勝美のイチバン好きなキャラクターなのだ…。

「ぬいぐるみはさすがに手が出ないから…、これで勘弁してよ」

…ぬいぐるみはもうもってゆるのだ、それも子供ではとても買えない大きなモノを。

「ジグソー・パズルなら遊べるし、…飾れるからいいかなと想って」

3種類ある絵柄の中から、勝美は迷いに迷って決める…。

迷うのがこんなに気持ちゆいとは…、想像したコトもなかったのだから。

 

テーマ…

「Weather report」 フィッシュマンズ

https://youtu.be/p1HhkyYgLkw