「タイヘンだ兄者、三蔵法師がいなくなってる…!!」
ここは蓮華洞…、血相を変えた銀角大王が金角大王に走り寄ります。
…「何だと、一体ど〜ゆうコトなんだ。誰か、…三蔵法師の姿を見たモノはいないのか!?」
配下の妖怪達を、にらみつける金角大王…。しかし配下の妖怪達は…、みな黙ったままでした。
…「金角・銀角両大王さまにご報告致します、ど〜やらじょうろさまのお姿も見当たらないよ〜なのですが」
その中の1体が口を開く、…配下の妖怪達。
「じょうろだと、そんなのはど〜でもい〜黙っておれ…!!」
配下の妖怪達の1体を…、一喝する銀角大王。
…「いや待てよ、もしかすると。じょうろが、…"三蔵法師を捕らえたのは自分の手柄だ"と。思いあがり、独り占めする為に…。化け術で連れ出したのかも知れん…、山羊髭将軍!」
…山羊頭の妖怪が、金角・銀角両大王の前にひざまづきます。
「お前に兵50を与える、…草の根をわけても三蔵法師とじょうろを見つけ出し。何じょうろは殺してもかまわん、必ずや三蔵法師を生きたまま連れて参れ…」
得物の槍を手にし…、兵50を引き連れ山羊髭将軍は出発しました。
…「兄者、三蔵法師のお供の三匹はど〜するのだ。三蔵法師がいなくなってしまったら、…ヤツら必ず攻め込んでくるぞ!!」
銀角大王は、少々焦りを感じてゆます…。
「わかっておるわ…、こ〜なったら戦争だ。…我々も全力を出す、鹿角将軍お前に兵50を与えよ〜。蓮華洞の正面を守るのだ、…任せたぞ」
金角大王の言葉に、鹿角将軍は動揺を隠せません…。
「お言葉を返すよ〜ですが…、金角大王さま。…兵50では、三蔵法師のお供の三匹は倒せないと。前回虎徹将軍が敗退したではありませんか、…それをど〜なさるおつもりです?」
銀角大王は、カッとなって怒鳴りつけました…。
「バカ者が…、お前らはただゆわれたコトを。…ゆわれた通りに遂行すればい〜のだ、疑問をさしはさむなどもっての外!だがまぁゆい、…教えてやろ〜。このわしが自ら出陣するのだ。そして兵100を以て、蓮華洞の裏側を固める…」
ニヤリと笑う…、金角大王。
…「ど〜やら、納得しておらんな。それはそ〜だろ〜、…しかしな我らの敵はあの曲者。孫悟空だ、必ずや裏をかいてくる…。それでなくとも…、ヤツは雲に乗れるよ〜だから」
…それを聞くと、鹿角将軍は二振りの剣を手にし。兵50と共に、…蓮華洞をあとにします。
一方、こちらは三蔵法師とお供の三匹でした…。
「八戒、悟浄…、義勇兵50のウチ。…20ずつをお前達にわけ与える、それで蓮華洞を正面から攻撃してくれ」
「残りたった10人の義勇兵で、兄貴はど〜するのさ…?」
孫悟空は…、腕を組みました。
…「うまくゆくかど〜かわからんが、お前達はおとりなんだ。恐らく金角・銀角大王は、…蓮華洞の正面を守るだろ〜から。おれさま達は雲に乗って、その背後を衝き…。蓮華洞の金角・銀角両大王を…、直接討ち取るつもりさ」
…筋斗雲を呼ぶ孫悟空、つき従う10人の天の義勇兵達も。みな、…それぞれの雲に乗ります。
「あなた達には、全く申し訳がない…。私は戦いに臨んでは…、何の役にも立たないが。…あなた達が、全員で生きて帰って来るまで。ここで竜馬と共に、…座禅を組むとしよ〜。ゆいかい、くれぐれも無理はするんじゃないよ…。戦いでどんなに名誉を遂げても…、全ては生命あっての物種だからね」
…三蔵法師はあぐらをかいて座ると、静かに瞳を閉じました。