「で…、結局。そのアイス・ティー、おれが買い取るコトになっちゃったワケよ…」
16号沿いの、…深夜のファミリー・レストラン。…先日の「コーヒー庵」での失敗を、笑いながら純平に話す良太。
「ははは…、そりゃ災難だ。だが、店長のゆ〜のにも一理ある…。小さくとも、…お店にとって損失は損失だからな」
…「マイルド・セブン」の灰を、純平は灰皿に落とした。
「まぁ…、おれもそ〜考えたよ。だから、支払ったんだ…。だけど店長の厳しさは、…悪意とは違う気がする」
…良太は、味わいも香りも「コーヒー庵」で。店長が淹れるコーヒーとは比較にならない…、お代わり自由のコーヒーをごくごく飲み干す。
「やっぱり、お前もそ〜想ったか…。おれもあの店長の淹れる、…コーヒーの美味さは知ってる。…あんなゆいお仕事為さる方が、そんなツまらない意地悪するハズがない」
続けざまに…、も〜一本「マイルド・セブン」に火を点ける純平。
「正社員の伊藤さん、ほらあのいつもホールにいる…。あの人は、…おれに。…"君を買ってるからだよ"、なんてゆってたケドあの人優しいからなぁ。純平…、おれ煙草買って来る」
店員さんに一言告げて、入口に備えつけてある…。自動販売機で、…良太は新しい「セブン・スター」を購入した。
…「だが、昨今の世の中じゃ。そ〜ゆう方は…、やりにくかろ〜。気骨のある方が、最近めっきり少なくなった…。それに代わって、…自分の出世しか頭に無い。…小モノばかりが、やたら跳梁してるからな。お前はゆいバイト先見つけたよ…、良太」
純平は、コーヒーを飲も〜として…。中身が、…空なのに気づく。
…「確かに、"コーヒー庵"でのアルバイトは楽しい。最近…、正社員の伊藤さんが。"好きな音楽かけてゆいよ"って、ゆったから…。勝美さんのお父さんに作ってもらった、…Jazzのカセット・テープ持ち込んでるんだ」
…良太のコーヒー・カップも、空なのを純平は見つけた。
「お前…、何でお代わり頼まないんだ?」
良太は驚いて、「セブン・スター」の灰がポロリと落ちる…。
「あっ、…やっちゃった。…いや、店員さん忙しそ〜だろ。落ち着いたら…、と想って」
落とした灰を、良太はおしぼりで拭った…。
「お前、…自分が接客のアルバイトしてるからって。…気を遣ってど〜する、今はお客さんだろ」
純平も…、そ〜ゆったモノの店員さんが。別のテーブルで、注文を取り終わるのを待つ…。
「ところで、…全然話題にのぼらんが。…大学はど〜したんだ、お前?」
あまり聞かれたくないな…、と思う良太。
「えっ、現在ラグビー・サークルから…。猛烈な勧誘受けてる、…ウチの大学ラグビー強いから」
…やって来た店員さんに、純平はコーヒーのお代わりを頼んだ。
「やったらゆいじゃないか…、また柔道とは目先が変わって。楽しいかもわからん、モノは試しだ…」
良太は、…「セブン・スター」のソフト・パックを開ける。
…「も〜スポーツはい〜よ、とはゆってもやりたい"何か"があるワケじゃないし。何なら…、バンドでも演るか」
「セブン・スター」に火を点け、煙を吐き出す良太であった…。