アーシャ南の大陸に舞う その3

…と、その時でした。

「うわぁ、…誰か誰か助けてくれ〜!!」

港街ベリート平和な静寂は、誰かの叫び声により打ち破られます…。

「ぺぺ…、ぺぺはホレロさんをお願い!…ホレロさん、ちょっとゆって来ます!!」

「プイプイ」、…ぺぺはホレロさんを片手で抱え上げました。

アーシャは、騒ぎのする方へまっしぐらに駆け出します…。

「あっちだあっち…、兵士さん達はまだ来ないのか!?」

…アーシャが辿り着くと、頭にターバンを巻いたオジさんがウェア・ウルフに襲われているではありませんか!!

アーシャは木の葉が風に舞うよ〜に剣を腰から引き抜くと、…目にも留まらぬ早さでウェア・ウルフに一撃をお見舞いしました。

「ぎゃい〜ん、邪魔するならこ〜だぞ…!」

すぐさまカウンターで…、アーシャに向けて何発ものパンチを繰り出すウェア・ウルフ。

…「そんなのも〜ずっと前から知ってるわ、それっ!!」

アーシャは華麗にバク転を決めると、…ウェア・ウルフから距離を取りました。よく周りを見渡すと、モンスターは一体ではなく集団ではありませんか…!体の大きなサイクロプスとウェア・ウルフ…、それにやや小柄でも力は強いオークが2体。

…「こいつは、アーシャだぞ!!お前達、…取り囲んでやっつけてしまえ!」

モンスター達の影から、…男の怒鳴り声がします。ここからではよく見えませんが、ど〜やら頭を丸めているよ〜でした…。

「そ〜はさせない…、こっちからいくわよ!!」

…アーシャは素早く距離を縮めると、再びウェア・ウルフに斬りつけます。

「ぐわ〜、…やられた!」

ウェア・ウルフは、今度こそバッタリ地面に倒れました…。

「さぁかかって来なさい…、モタモタするなら!!」

…アーシャは勢いよくジャンプして飛び込むと、着地の際に左右のオークを次々に斬ってやっつけます。

「こ〜よ、…んっ?」

「ぐお〜っ…!」

アーシャの着地を狙って…、サイクロプスが自分の体に劣らない巨大な金棒を振り下ろして来ました!!

…「重い、一撃!」

アーシャは盾を宿に置いて来てしまったので、…剣を水平にして片手を刃の峰に添えて受け止めます。

そのままサイクロプスは、力でアーシャを押し潰そ〜としました…。下手に降り被れば…、自分よりアーシャの方がずっと素早いとわかっていたからです。

…「これならど〜、思い知りなさい!!」

両手で支えている剣に角度をつけ、…金棒を受け流すアーシャ。するとアーシャは、全力で体ごとぶつかってサイクロプスを突きました…。

「ぐぉぐぉ…、ぐぉ〜ん!」

…地響きを立てながら、地面に倒れ伏すサイクロプス

「くそっ、…おのれおぼえていろ!!」

頭を丸め僧衣に身を包んだ男は、口の中で「何か」ゴニョゴニョと唱えます…。

「見ろ…、あれは魔法陣だ!」

…頭を丸めた男の前に、魔法陣が浮かび上がりました。

「あいつは魔法使いか、…いや闇に堕落した僧だ!!」

集まって来た兵士さん達が、周りを取り囲み始めます…。

「くくく…、ではさらばだぁ〜!」

…頭を丸めた男が、魔法陣の上に歩みを進めると。

不思議なコトに、…そのまま体が沈んでいき煙のよ〜に消えてしまいました。