アーシャ南の大陸に舞う その5

…出発の準備を整えたアーシャ(荷物はまだ宿に置いてあります)は、港街ベリートの朝を一人歩ってゆます。いつも一緒のぺぺも、…今日は宿に残して来ました。それには、こんなワケがあるのです…。

「えっ…、出発の時間を少し遅らせて欲しいって?

…驚いた、ホレロはアーシャに聞き返しました。

「この旅は、…私のじゃないからそれは構わないが。ダオカーナ寺院まで、ここから歩いて約3日はかかる…。出発するなら早いに越したコトはない…、それは急ぎなのかね?」

…アーシャ、小さく静かにうなずきます。

「それじゃ仕方ない、…まぁアーシャがゆい出すぐらいだ。相当大切な用事なんだろう、それじゃゆっておいで…」

「プイプイ」…、一緒に宿を出よ〜とするぺぺをアーシャは制しました。

…「ぺぺを連れてゆかないのかい、そ〜かそ〜かも〜何も聞かないよ。じゃぺぺは、…私とその辺をブラブラしよう。何か、美味しいお店でも見つかるかも知れないから…」

ホレロとぺぺを宿に残して…、アーシャは一人街へ出てゆきます。

…アーシャが向かう先は、果たして郵便屋さんでした。

入り口から、…受付に向かいます。

「私、エスタハーンのアーシャとゆいます…。私宛ての手紙って…、届いてないですか?」

…受付の年輩の女性はちょっと驚いて、でもすぐににっこり笑顔で応対してくれました。

「おはようございます、…伝説の勇者アーシャさんですね。えぇ、一通届いてますよ…。エスタハーンの村から…、ご両親からかな?」

…アーシャはガッカリです、いやモチロンご両親からのお手紙は嬉しかったのです。しかし、…アーシャが期待してゆたのは。肩を落としたアーシャが、その場を立ち去ろうとすると…。

「ごめんなさい…、アーシャさんちょっと待って。…も〜一通来てました、天空のお城からです。うっかりしてたわ、…私」

アーシャの瞳に輝きが戻りました、受付に駆け寄るとお手紙を大切に受け取りました…。

ドキドキしながら…、宛名を確認すると。

…それは、やっぱりメリクル(天空の城の民"兄")からだったのです!!

近くの喫茶店に席を取ると、…アーシャはソッと封を切りました。

そこには、「親愛なるアーシャへ…。無事港街ベリートに着いて…、このお手紙を受け取ってくれると信じてゆる。…アーシャ、南の大陸に着いても油断は出来ない。天空のお城にも、…近頃南の大陸のモンスター達が不穏だと。報告がたびたび入って来ている、君の今度の旅も困難を極めるだろう…。しかし諦めてはいけない…、私は君の旅の無事を。…いつもいつでも神さまに祈ってゆる、それでは」

アーシャは、…ここでいつまでもこ〜して。メリクルからのお手紙を眺めてゆたい、そ〜想ったのです…。懐から便箋を取り出すと…、こ〜ペンを走らせました。

「…尊貴なる王子、メリクルさまへ。南の大陸への船旅は、…つつがなく終わりました。仰る通り、この港街ベリートにも闇の気配が迫っています…。私は聖なる山アルクロドに抱かれた…、ダオカーナ寺院を目指し。…闇の根源を断つつもりです、…メリクルさまは日々のご政務いかがですか?ご体調など崩されてゆませんか、よろしくご健勝なる日々を…。私も…、日々神さまにお祈り致しております」

…アーシャはそ〜記すと、昨晩押しておいたコスモスの花を挟み封を閉じました。