アーシャ南の大陸に舞う その7

アーシャ達は…、牛を引いた男にタマラン村の村長のおウチに案内されました。村長は、すでに白髪でしたがなかなかガッチリしたゆい体格です…。座敷の上座にあぐらをかく村長は、…アーシャにタマラン村の事情を打ち明けました。

…「このタマラン村を、災いが襲ったのが三年前」

村長は話し方こそボソボソしていますが…、その調子には毅然とした態度が見受けられます。

「この村から北西に進み、半日程ゆったトコロにある日突然塔が現れた…。塔は、…ねじくれていて先端に進むにつれ細くなってゆく。…私達は、それを竜の角のよ〜だと想った。塔の主はボヘム…、闇に堕落した僧だ」

アーシャは、とっさに港街ベリートでの戦いを思い出しました…。

「噂では、…ボヘムは元々ダオカーナ寺院で神さまに仕えていたらしい。…だが、ワレラ星人による"闇の誘惑"に勝てなかったのだろう。現在ではその手先となり…、このタマラン村にワレラ星人への供物を要求してゆる」

敵について少しでも知っておきたい、アーシャはそ〜想い質問します…。

「そのボヘムは、…どんな力を振るうのですか」

…村長はそのたくましい肩を落とし、うつむきました。

「魔法陣からモンスターを喚び出し…、意のままに操る。アーシャさま、あなたも知っておいでだろう…。このMWでは、…モンスター達は決して人間に悪意を持ってはいない。…モンスター達が暴れるのは、全てワレラ星人に操られてだから」

ぺぺは立ち上がって…、力を込めてうなずきます。

「プイプイ!!」

かつて、ワレラ星人に操られ"闇のしもべ"にされていた…。仲間のぺぺろぐぅ達を、…想ったのでした。

…「アーシャさま、是非我らが娘ソーナをお助け下さい!」

その時です…、いつの間にか村長のおウチの戸口の周りに出来てゆた人だかりから。

一組の夫婦が、アーシャの名を呼び訴えます…。

「タネシとフレルか、…まぁ入りなさい。…アーシャさまに、話を聞いてもらうとゆい」

夫婦は…、村長のおウチの座敷に上がると。涙を流しながら、アーシャに頭を下げました…。

「アーシャさま、…是非お聞き下さい!!…ボヘムはこれまで三年間、ずっとこのタマラン村に。無理な供物を捧げさせて来ました…、俺達はずっとそれに耐えてたんです。でも、今度ばかりは許せません…」

タネシは、…座敷のたたみをドスン!と叩きます。

…「ヤツは、私達の可愛い一人娘ソーナを。自分の妻として迎え入れるから差し出せ…、そ〜使いをよこしたのです!!逆らえばワレラ星人の呪いがある、そんな脅しと共に…。何とぞそのお力でソーナをお救い下さい、…アーシャさま!!」

…アーシャは、立ち上がって胸を張りその場にゆる全員に告げました。

「わかりました…、私は力の限りあなた達の為に戦います。私の戦いには、常に神さまのご加護があります…。闇に堕落したボヘムがどれだけのモンスターを操ろうと、…私は決して退きません!」

…村長のおウチの周りに集まってゆた人々は、一斉に歓喜につつまれます。しかし…、村長はフゥッとため息を吐きます。

「しかし、アーシャさまのお名前はあまりに知られ過ぎてゆる…。もし、…アーシャさまが戦いを挑めばボヘムは逃げ出してしまうかもわからん。…そして、アーシャさまがお去りになったら再び舞い戻ってくる。それでは同じコトの繰り返しだろう…、何の解決にもならない」

一人の若い娘が、声をあげタネシの胸に飛び込みました…。

「何かよい知恵をいただけませんでしょうか、…アーシャさま!!」

…「おぉソーナ、何てかわいそ〜な子だろう!!でも安心おし、…このアーシャさまは伝説の勇者だ。きっと、何とかして下さるから…」

ソーナを見たアーシャの頭の中に…、一つのアイディアが閃きます。…パッと見たトコロ、アーシャとソーナは年恰好が似てゆるそれなら。

「村長、…それならこんな案はいかがでしょう?ソーナさんの代わりに、別な若い娘を妻として捧げればよいのではないでしょうか…」

村長は…、びっくりたまげてひっくり返りそ〜になりました。

…「と、トンデモない!何と罰当たりなコトをおっしゃるのだ、…先程の勇気はど〜なされたのか?」

アーシャは、おしりをふると片目でウィンクします…。

「みなさん…、ど〜か勘違いなさらないで!!…妻として捧げられる別な娘とは、私です私♪」