トコロ変わって、ここはダオカーナ寺院の僧房…。ダオカーナ寺院の僧房は…、倉庫の代わりも兼ねていましたから。…神さまに捧げる、さまざまな宝物に囲まれて。た〜っくさんの僧が、…お布団をしいてゆわば縦横に並んで寝ておりました。
「う〜んう〜ん、誰か誰か助けてくれ…」
そのウチ…、一人の僧がうめき始めます。…しかしまだ、誰もそれには気づいてはいなません。
「いったいここはどこなんだ、…誰かいないのか!!?」
僧は、夢を見ていたのでした…。光の一筋も射さない…、洞窟の中をひたすらさまよっています。
…「わしは、ど〜なってしまったんじゃ。みんなはど〜した!?」
ひたすら、…前に向かって歩みを進めると。どこからともなく、女性の声がしました…。
「誰かの声がする…、お〜いわしの名はダンツ。…もし、わしの声が聞こえるのなら返事をしてくれぇ!!」
声を頼りに前進し続けると、…ほのかな光が目に入ります。それは、うずくまってゆる女性でした…。彼女が…、光輝いていたのです。
…「先程から聞こえていたのは、あなたの声だったか。申し訳ないが、…わしにはワケがわからん。あなたは、"何か"ご存知ないだろ〜か…?」
「よく…、存じておりますわ。…ここは、私とあなたさまの永遠の楽園でございます」
光輝く彼女が、…面をあげるとそれは息を飲むよ〜な美しさでした。ダンツは、身を震わせると思わず見入ってしまいます…。長い金髪に…、真っ白なお肌。…パチッとしたお目に、スッと通る鼻立ち。
「何ゆうとるんじゃ、…わしは僧じゃぞ!」
気持ちを惹き込まれたのも束の間、ダンツはすぐに正気を取り戻しました…。しかし…、金髪の彼女は両の腕をダンツの首にしなだれかけます。
…「私達は、神さまからのご祝福により。夫婦となるべく、…運命づけられておりますの」
ふとダンツが目をやると、金髪の彼女は薄いローブを羽織ってゆるだけで…。その他には…、何も身につけてはいませんでした。
…「結ばれましょう、ダンツさま!!さぁ、…早く誓いのキスを!」
とっさに、金髪の彼女を突き飛ばすダンツ…。
「バカゆっちゃいかん…、わしは神さまに一生を捧げたんじゃ。…女体なぞ、言語道断!!」
ダンツは、…反対の方向に一目散に駆け出します。
「あらあら…、ツれないお方。でも、私から逃げよ〜なんて…。あまりにも、…甘いお考えね」
…金髪の彼女は、その淫らな表情をあらわにし。美しく見えた金髪は…、一斉にどこまでも伸びてダンツを追いました。
「神さまわしをお助け下さい、わしはこれまで一心にあなたのお為に精進してまいりました…!」
懸命に走るダンツの足元に、…彼女の金髪が巻きつきます。
…「ダンツさま、早く私を愛して下さいまし。私の胸は…、熱くあなたさまを望んでおります!!」
「おいっダンツしっかりしろ、ダンツ…!」
ダンツの意識は、…急に現に引き戻されました。…僧房の僧達は、みな心配そ〜にダンツの周りに集まってゆます。
「わしは…、わしは。あぁ、何じゃ夢じゃったか…。しかし、…これでわしは7日7晩同じよ〜な夢をみておる。…これが、わしの本性なんじゃろか?」
ダンツは…、そ〜思うと恥ずかしくて死にたくなりました。
「弱気をゆうな、ダンツ…!!僧正さまが仰ったろう、…これはワレラ星人の呪い。…ワレラ星人は、今お前を闇に堕落させよ〜と狙っているのだ」
別な僧が…、口を挟みます。
「しかし、この夢何とかならないのでしょ〜か…。始まりは、…ザハス殿から。…すでに、何人が闇に堕落させられたコトか。もしこの聖なる山アルクロドから祈りが失われれば、世界中の人々の心は闇に染まってしまう…」
また…、別な僧が発言しました。
…「みんな、元気を出せ!僧正さまが仰ったろう、…中央大陸のラパダーナ王国を救った。あの伝説の勇者アーシャさまが、こちらに向かわれてゆると…。それまでの辛抱だ…、あと少しだぞ!!」
…「伝説の勇者アーシャ」、その名が出るとどの僧もみんな勇気が湧いて来たのです。