「日が暮れる前に…、山小屋に辿り着けて何よりでした」
工作隊を、振り返るアーシャ…。
「見たトコ、…どこも壊されてはおらんよ〜じゃな。…中は、ど〜じゃろ?」
ダンツは…、鍵を開けて山小屋の中に入りました。
「工作隊のみなさんも、中でおやすみ下さい…。ぺぺも先に夕ごはん済ませちゃって、…私は見張り番に立ってるから」
…ダンツに続いて、職人さん達とぺぺも山小屋に入ってゆきます。
「多少傷んでおるが…、これなら問題はないじゃろ〜。今夜は、ここで明かせそ〜じゃな…」
荷物からお皿とぺぺろぐぅ・フードを取り出し、…盛るぺぺ。
…「わしも、ゆうごはんにするか」
ダンツもほしいいを椀に開け…、お水で戻し塩こんぶを浸しました。
「プイプイ…?」
お椀に浮かぶ塩こんぶの香りに、…ぺぺは興味津々です。
…「何じゃお主、これは精進用のただの塩こんぶじゃぞ?」
ダンツは…、塩こんぶを一切れはしでつまみ口に運ぼ〜としました。
「プイプイ、プイプイ…!!」
ぺぺには、…ど〜やら塩こんぶの香りがたまらないよ〜です。
…「そんなに食べたいなら、一切れわけてやるわい」
塩こんぶを…、差し出されたぺぺの肉球の上に乗せるダンツ。
「プイプイプイプイ〜…♪」
ぺぺは、…塩こんぶを夢中でかみかみしました。…口の中に広がる、塩で引き立つこんぶの旨みと磯の香りに。人間の言葉に訳すと…、「こんなに美味しいモノがあるなんて信じられない!」とでも、ゆったトコロでしょう…。
「ぺぺろぐぅは、…草食動物じゃとゆ〜し。…精進モノがそんなに美味いなら、お主ゆい坊主になるかも知れんの〜」
そ〜ゆうと…、ダンツはワッハッハと笑います。それから、しばらく経って…。ダンツは、…アーシャと見張り番を交代しました。…乾パンと干し肉で、おなかを充たすアーシャ。すると…、アーシャは気になってゆる寝具の確認にゆきます。押し入れを開けると、ほのかに鼻につくカビのにおい…。
「何年も人が入ってなかったってゆ〜から、…やっぱりおひさまにさらさないとダメよね。…今晩は、床の上に直接寝ましょう仕方ないわ」
そこに…、山小屋に入って来るダンツ。
「アーシャ殿、今夜は一晩中…。誰かしら、…見張り番に立たざるを得まい。…ど〜致そうか、順番は?」
アーシャは…、あごに手を当て少し思案します。
「ダンツさんは、このまま見張りに就いてもらってもよろし〜ですか…?時間が来たら、…私が引き継ぎます。…明け方は、ぺぺお願いね」
「プイプイ」…、ぺぺはまだ塩こんぶの興奮の余韻が残ってました。
「中番が、イチバンしんどいじゃろ〜に…。わしとて、…修行で一晩中勤めるコトもある。…お主、それでゆいんか?」
冷静に落ち着いて…、自分の考えを述べるアーシャ。
「仰りよ〜、ごもっともですダンツさん…。しかし、…ダンツさんは戦いのご経験はあまりありませんから。…ここは私に任せてもらえませんか、ご安心下さい。三日三晩までなら…、眠らずに戦えます」
ダンツは、アーシャの意見にうなりました…。
「さすがに、…伝説の勇者じゃな。…ではお言葉に甘え、このまま見張りにたたせてもらうとしよ〜」
ホッとするアーシャ…、それはダンツが素直に納得してくれたからです。