アーシャ南の大陸に舞う その22

朝になり目を覚まして、ぺぺの様子を見に山小屋の外に外に出るアーシャ…。すると外は雨です…、じっとりとしたイヤな雨。

…「大丈夫ぺぺ、何もなかった?」

「プイプイ」、…ぺぺは首を縦に振りました。

「ぺぺ、あとも〜少しお願いね…。私…、朝ごはん食べちゃうから」

…みんなで、順番に朝ごはんを食べ出発の準備を整えます。アーシャはレイン・コート、…ダンツと工作隊の職人さん達は笠とみのそれにそのままのぺぺ。

「お足元は悪いですが、それじゃ出発しましょうか…」

ダンツを先頭に…、職人さん達は車を引いて押し出発します。

…山道を登り続け、やがてお昼の少し前になりますが雨は降り止みません。

「ぺぺ、…ねぇ」

後ろを振り返る、アーシャ…。

「プイプイ?」…、「ううん、何でもないの」

…ダンツは、ひたすら前を見詰めて歩き続けました。そ〜なのです、…アーシャは雨が苦手なのです。アーシャが育ったエスタフ高原は、一年中カラッとしてゆて…。時折り降る雨も…、ほとんどは一時でした。

…「モンスター達が、襲ってくれば」

アーシャは、…そんなコトを考えています。モンスター達との戦いになれば、自然に集中出来る…。集中してしまえば…、この雨も気にならない。…アーシャは、相手が誰であれ。戦って「負ける」、…そ〜は思いません。冒険の旅に出発する以前の修行時代、師匠であるセーブ仙人との立ち合いで…。当然…、アーシャは毎日のよ〜に負かされました。…でも、アーシャは一度だって「負ける」とは思わなかったのでした。

 

今日の空模様のテーマ…

ペルソナ5より〜星と僕らと-Piano Version〜」 Lyn

https://youtu.be/usY03llq-J4

 

「プイプイ」、…アーシャに元気が無いのを察するぺぺ。工作隊は、どろに足を取られながら車を進めるのに必死です…。思えば、ダーナ川での冒険の時もそ〜でした。水の神殿の辺りは…、よく雨が降る。…あの時は、よくぺぺに弱音を吐きました。でも現在のアーシャは、…ダンツや工作隊を守らなければならない立場です。

「伝説の勇者である自分が弱音を吐けば、それは即座に士気に関わる…」

不意に…、メリクルを想うアーシャ。…実は、MWの天候は。天空の城の民が、…古くからのしきたりにのっとり厳格に決定してゆるのです。太陽や月を引く、天馬の馬車…。雨雲は…、海藻の一種であるカマーフを。…天空の城の地下(雲の中です)の工房で、職人さん達が編んでゆるのでした。アーシャは、…空を仰ぎます。

「この雨は、メリクル達が降らしてくれている…」

そ〜は想っても…、憂鬱は晴れません。…それでも、しばらくの間メリクルの言葉や姿が。浮かんでは消え、…ほんの一時気を紛らわせたのは事実だったのでした。

「アーシャ殿、安心せい…。この雨はじき止むわい…、雲ゆきを見ればわかる」

…アーシャは、恥ずかしくなりました。「ダンツさんは何も気づいてはいない」、…そ〜思ってゆたからです。

「ご心配をおかけして申し訳ありません、私雨が苦手で…」

振り返らないダンツは…、背中越しにアーシャに語りかけました。

…「苦手なモノぐらい、誰にだってあるわい。わしゃクモが苦手じゃ、…どんなにちっこくてもな」

アーシャの気持ちは、ほんのわずか和らいだのです…。