まだ曇り空ですが、アーシャの苦手な雨は何とか止んでくれました…。アーシャ達がぬかるんだ山道を登ってゆくと…、キレイな泉がコンコンと湧いてゆます。…これを見たアーシャは、も〜大興奮!!
「みなさん、…申し訳ありませんが。ここで、私に水浴びをさせていただけませんか…?」
突然の申し出に…、ダンツはびっくりしてアーシャを振り向きました。
…「しょ〜がないのぅ、これだから女性は。まぁゆいわい、…わしらはこの先で待っとるからの。ゆこう、ぺぺ殿…」
「プイプイ」…、ダンツ、ぺぺ、それに工作隊の職人さん達三人が見えなくなると。…アーシャは、荷物から手桶とタオルそれに石けんを二つ取り出し。着ている服と下着を脱ぎます、…そして手桶に水を汲んで。ザブン、と一浴びしました…。
「くぅ〜…、最っ高!」
…美味しいモノを食べるのもおシャレも、アーシャはモチロン好きでしたが。何よりの大好物とゆえば、…それは体をキレイにするコトだったのです。タオルを濡らし石けんを泡立て、体を優しく洗い始めます…。石けんは…、アーシャの生まれ故郷エスタフ高原の特産品で。…お肌がもちもちし、タオルで拭いたあとも乾燥しません。
「これこれ、…これがたまらないのよ!!」
アーシャは、も〜一つのシャンプー石けんで髪もワシャワシャと洗いました…。全身と髪を…、たっぷりの水ですすいだアーシャは。…気分爽快、また冒険への意欲がむくむく湧いて来ます。
「冒険して、…体をスッキリさせる。こんなシアワセは、人生で他にないわねぇ〜…♪」
荷物から…、バス・タオルを取り出して。…全身の水気を、丁寧に拭い取りました。本当は、…アーシャはお洗濯もしたいのですが。さすがに、そこまでみんなを待たせるワケにはいきませんから…。髪の毛を後ろでフワッと束ねると…、荷物を背負ってみんなに追いつきます。
…またしばらく山道をゆくと、アーシャの視界に光り輝く鳩が入りました。
「ダンツさん、…素敵ですね。南の大陸には、あんなにロマンチックな鳥が飛んでるんですか…」
ダンツは…、アーシャの言葉にハッとします。
…「あれは、わしらダオカーナの者達が連絡に使う。"魔法の鳩"じゃ、…恐らく僧正さまからじゃろう。ダオカーナ寺院に、何かあったのかも知れん…」
空中で何度か旋回したのち…、「魔法の鳩」は降り立ってダンツの腕に留まりました。…ダンツは、「魔法の鳩」相手に「ムムッ」とか「おぅ」などとやってゆました。
「アーシャ殿、…た、タイヘンなコトになった!ザハス殿が、あのザハス殿が…」
ダンツの肩をユサユサし…、気をつけるアーシャ。
…「ダンツさん、しっかりして下さい。ど〜なさったんです、…みなさんは無事ですか?」
アーシャの言葉に、正気を取り戻すダンツ…。
「次の僧正に選出されると噂だったのに…、すまん取り乱してしまったわい。…みんなは無事じゃ、しかし恐ろしい真実が明らかになった。"何故ワレラ星人は神さまの像を破壊出来たのか?"、…やはりわしらの仲間に裏切り者がおった。真犯人が、わかったんじゃ…!!」
みんなに…、緊張が走ります。
…「それは、一体何者なんですか?」
口を切る、…アーシャ。
「最も最初に、闇に堕落した僧はザハスとゆ〜者だったんじゃ…。ヤツは…、ダオカーナ寺院の書庫を預かっておった。…そこを丹念に調べた結果、わしらにとって禁忌とされている。禁断の巻き物、…"ワレラ星人にコンタクトする呪文"の封が破られておったそうじゃ。わかるか、アーシャ殿…。これは…、これは」
…ダンツは、のどをゴクリと鳴らしました。
「ザハスは、…ワレラ星人の闇の誘惑に屈したのではなく。な、何と、自らの意志でワレラ星人を喚んだのじゃから…!」
この事実は…、全員にとって少なからずのショックです。…何故なら、これまでは誰もが。「悪いのはワレラ星人であって、…人間ではない」そ〜考えてゆたのですから。
「私は、そのザハスと戦います…。それでゆいですね…、ダンツさん?」
…アーシャは、静かに決意と覚悟を定めました。