アーシャ南の大陸に舞う その24

聖なる山アルクロドの、…かなり高いトコロまで登って来たアーシャ達。…しかし、アーシャには一つ気がかりになるコトがありました。

それは…、「今日の朝からモンスターによる襲撃が無い」です。

アーシャの実感からゆって、まだそれ程のモンスター達とは戦っていません…。もしザハスが率いる、…ワレラ星人の戦力がこの程度であるならば。…ダオカーナ寺院の僧達は、アーシャの力を借りるまでもなく。自力で解決出来るハズ…、それが何故?事態を怪しんだアーシャは、ダンツに相談してみよ〜と想いました…。

「ダンツさん、…ちょっとお話ゆいですか?」

…「一体、何の用じゃい?」

振り返るダンツの背後に…、キラリと光る「何か」がアーシャの目に入ります。「やじりだ」そ〜直感したアーシャは、とっさにダンツにタックルを浴びせました…。

「危ない、…ダンツさん!!」

…ダンツがよろめくと、ひょうっと矢が放たれ。アーシャの左脇ばらに…、突き刺さります。

「ちっアーシャめ、余計な真似を…!」

舌打ちしながら、…堕落僧が茂みから飛び出して来て。

…そのまま、走って逃げ去りました。

「お主…、待たんかい!!そ、そんなコトよりも、大丈夫かアーシャ殿…」

「プイプイ、…プイプイ!」

…倒れたアーシャのかたわらで、ぺぺがおろおろしています。ど〜やらアーシャは…、意識を失ってゆるよ〜でした。

「安心せい、ぺぺ殿…。わしには、…わずかだが医術の心得もあるし。…傷を癒すお経もある、ムッこれは」

傷口を拡げないよ〜に…、慎重にアーシャから矢を引き抜くダンツ。幸い堕落僧ですから、それ程剛い弓ではありません…。矢そのものの傷は浅いのですが、…この臭いは。

…「これはにごりへびの毒、猛毒じゃ」

このままでは…、アーシャは数時間で命を落とすでしょう。それを防ぐには、お経の前に何よりも迅速に毒を吸い出さなくてはなりません…。

「わしは、…ダオカーナ寺院に入門する時。…一生涯、女性には触れんと神さまに誓った。え〜い…、わしは何を迷っとるんじゃ!!アーシャ殿は、わしをかばったんじゃぞ…!」

アーシャの傷口の周りの衣服を破り捨てると、…口を当てるダンツ。…そのまま、何度も毒を吸い出しては吐き吸い出しては吐きを繰り返します。

「プイプイ」…、「まだじゃ、ぺぺ殿。血を浄化するお経があったハズ、確かここに…」

ダンツは巻き物を取り出すと、…開いてお経を唱え始めました。

…「摩訶不思議なる神さまわしらにそのみ力を

お示し下さい…、南無阿弥」

アーシャの左脇ばらに、手をかざすダンツ…。

「これで、…少しずつじゃが血液はキレイになる。…あとは、傷口をふさぐお経で」

ダンツは…、アーシャの毒矢による傷口の処置を終えます。荷物から取り出したござを敷いて、そこにアーシャを寝かせるダンツ…。

「アーシャ殿は、…も〜大丈夫じゃみんな。…しかし、しばらくは絶対安静。じゃから…、今日はここで野営とする…。工作隊は、…その準備にかかっとくれ。…ぺぺ殿は、わしと二人で不寝番じゃ!!ザハスは…、必ずモンスター達を差し向けて来る。アーシャ殿が戦えない現在は、ヤツらにとってまたとない機会じゃろ〜からな…。わしらは、…何としてもここを死守せんとゆかん!」

…「プイプイ!!!」

怒り心頭に達するぺぺ…、それはザハス達のやり方があまりに卑怯だったからです。