三蔵法師ご一行が旅を続けると、やがて清水の湧いてるトコロに辿り着きました…。
「よし…、ここならちょ〜どゆいだろ〜。…さぁみんな、ここで先程恵んでいただいたお斎をいただこ〜じゃないか」
お供の三匹に、…呼びかける三蔵法師。
「おれさま、辺りに妖怪がいないかパトロールして来ます…!!」
孫悟空は…、筋斗雲に乗って出発します。
…「オイラは、あそこの森でまきを集めて来ます」
猪八戒は荷物を下ろし、…歩いて森の中に入ってゆきました。
「ぼくは、お野菜をお料理します…」
沙悟浄は…、猪八戒の下ろした荷物から。…包丁やら中華なべを取り出すと、お料理の準備を始めます。
「じゃあ私は、…みんなの為にお経をあげるとしよ〜」
竜馬から降りた三蔵法師は、「法華経」を沙悟浄から受け取り…。声に出して…、読みあげました。…そんな三蔵法師達を、茂みのかげから盗み見る者達がいます。
「おいっ、…あんなトコロに人間がおるぞ。しかも坊主じゃないか、さっさとブッ殺して喰っちまお〜相棒…!!」
その者は二本足で立ってゆますが…、その頭は狼でした。
…「待てよ、あれはど〜やら唐からやって来た三蔵法師じゃないか?」
も〜一体の姿は、…やはり両足で立ってますが頭は山ねこです。
「そりゃあなおゆい、心がけのゆいヤツはそれだけ味がゆいからな…。さぁゆくぞ…、早くしろ」
…茂みから出てゆこ〜とする、狼頭。
「待てとゆってるだろ、…そりゃあ三蔵法師を喰うのはワケない。アイツは何の力も無いからな、だがお供の三匹はべらぼうに強いんだ…!ここはあの孫悟空が筋斗雲から降りるのを待って…、金角大王さまにご報告よ」
…森から帰って来た猪八戒は、手近な石を重ねて。即席のかまどを造ると、…そこにまきをくべて火を起こしにかかりました。やがて火の勢いが強くなると、中華なべを置いて沙悟浄が…。油を引き…、刻んだお野菜を炒めたのです。
…「よしよし、そろそろ私はごはんをよそお〜かな」
三蔵法師は、…猪八戒の荷物から恵んでいただいたごはんとみんなのお茶碗を取り出すと。それぞれの分を、取り分けました…。
「あ〜おれさま…、まったくおなかがぺこぺこだゼ!!…悟浄、そろそろ出来たか?」
「本当にありがたいお話だ、何しろ2週間振りをごはんだもの…。みんな…、ちゃ〜んといただきますをゆ〜んだよ」
…「いただきます!!!」
みんなで唱和して、…待ちに待った夕ごはんでした。一人と三匹の召しあがるお野菜炒めには、みなさんの食べてるモノとは違って…。お肉が入っておりません…、何故なら三蔵法師とそのお弟子達は。…尊い仏さまに仕える身なので、生ぐさを断ってゆるのです。
「ぶひぶひ、…兄貴その残りのごはんをオイラにくれよ」
自分の分をすぐにたいらげてしまった猪八戒は、お茶碗にまだ半分残ってる…。孫悟空のごはんを見て…、ゆいました。
…「何をゆってやがる、お師匠さまがそれぞれの分を分けて下すったろ?それに、…お前のお茶碗はみんなの倍あるじゃないか!」
孫悟空は、如意棒を取り出して…。猪八戒の頭を…、引っ叩こ〜とします。…しかし、機先をを制する猪八戒。
「あれれ、い〜のかな兄貴…?兄貴が術を使って…、オイラに一人ずもうを取らせたと。…お師匠さまにゆいつけても、兄貴の怖い。緊箍呪が待ってるぞぉ、…頭が割れそ〜になるぞぉ」
悔しいのをこらえて、孫悟空はしぶしぶお茶碗を差し出しました…。