西遊記〜一人と三匹の愉快な旅〜 その4

「玉帝に、…お伝え申しあげます。…唐の都から旅立った三蔵法師らご一行は、間もなく平頂山へと差しかかります!!」

ここは…、空のうえにある天の都。その天の都にの中心、天の宮殿で…。天を統べる玉帝に、…重要なお知らせが届きました。

…「何、平頂山とな?あそこには…、この天の宮殿から三つの宝物を盗み。下界に降った、金角・銀角両大王の住処ではないか…!」

天を統べる玉帝は、…顔色こそ変わりませんが声は怒りに震えています。

…「金角・銀角両大王には、我らも手を焼かされてゆます。ヤツらは…、玉帝陛下のお師匠にあらせられる。太上李老君に仕える、ゆわば兄弟子ですからな…。元々さまざまな術を体得しているうえ、…天の宝物を用いる現在。…全く手がつけられないのです」

かつて孫悟空が…、天で大暴れした際に。コテンパンにやっつけられたコトのある、天の将軍が進み出ました…。

「ヤツらは、…下界で九尾の狐の息子として生まれ変わり。…平頂山の蓮華堂を根城に、暴れ回っているとか」

伝令の使いの表情にも…、心配の色がにじみます。

「うむむ、さすがの今度は…。三蔵法師殿も、…危ういかも知れん。…"何か"あれば、すぐにあの孫悟空が知らせに参るであろ〜。いつでも…、天の軍隊を出発させられるよ〜準備させておけ!!三蔵法師殿には、何としても西天に辿り着いていただかねばならん…」

一度言葉を切り、…玉座から立ちあがる玉帝。

…「よし、三蔵法師殿には私からの。直々の書状をお渡しする…、すぐに我が師太上李老君にお越し願う願うのだ。金角・銀角両大王の盗んだ天の宝物が、どんな不思議な力を秘めてゆるのか…。是非お聞きして、…対策を練らねばいかん」

…こ〜して、天では玉帝から太上李老君に使者が遣わされました。そのころ…、下界では。

「とゆ〜次第でありまして、我らはこの平頂山を越えよ〜とする…。三蔵法師一行を、…発見致しました。」

…こちらは、平頂山の蓮華堂。先ほど三蔵法師達を…、盗み見ていた。狼頭と山ねこ頭が、ひざをついて金角・銀角両大王に報告にあがってゆます。

「お前ら、でかしたぞ…!これからは、…外の見回りではなく我が親衛隊として仕えるがよい」

銀角大王の言葉に、狼頭と山ねこ頭は平伏してから下がりました。

「一体ど〜したのだ…、我が弟。坊主の肉など、これまで飽きる程喰らって来たではないか…?三蔵法師など珍しくもない、…今さら一人増えたからとゆってそれが何なのだ」

…長く伸びたひげをさする、金角大王

「兄者…、遂に我らにも運が向いて来た。この三蔵法師、そんじょそこらの坊主とは、ワケが違うのだ…。こいつはな、…天で一万年もの間修行を積み。…下界に仏法を広めるべく、生を受けたのだ。三蔵法師の肉を喰えば…、何と不老不死が得られるのだから!!」

銀角大王の話は、まだ続きます…。

「この三蔵法師は、…何とも愚かなヤツでな。…たかだかお経なんぞを取りに、わざわざ西天までゆくらしい。唐の都から西天まで旅するのなら…、この平頂山は必ず通るコトになる」

金角大王は、興奮を抑え切れずに思わず立ちあがりました…。

「そいつは、…何とも願ったり叶ったりだ!…それならば何としても、三蔵法師を取っ捕まえて。その肉を肴に…、我が一族みなで酒宴を開くとしよ〜ではないか。我が一族は未来永劫栄えるコトとなる、どわ〜はっはっは…!!!」

配下の妖怪に一べつをくれると、…銀角大王は指示を出します。

…「我が妹を呼べ、その化け術で必ずや三蔵法師を魔魅らせて来いと伝えろ」

配下の妖怪は…、一礼するとすぐさま駆け出してゆきました。