三蔵法師一行は、平頂山を差しかかりました…。三蔵法師は…、前後に歩く三匹のお供にこ〜呼びかけます。
…「この山は、どんな山かわからない。だが、…山とゆえば妖怪の住処と決まってゆる。あなた達、くれぐれも用心するよ〜に頼むよ…」
山道をえっちらおっちら登ってゆく…、一人と三匹。…すると、木を切り倒すきこりと出会いました。
「ちょ〜どゆい、…あの方にこの山について尋ねてみよ〜。悟空やちょっとゆって来なさい、ちゃんとごあいさつは忘れないよ〜に…」
…「おいオッさん、この山はどんなだ?」
きこりは、…孫悟空の姿に驚き。手にしてゆる斧を、思わず取り落としました…。
「ずい分まっ赤なお顔だな…、あんたと来たら。…まさか妖怪の一味で、取って喰いにやって来たんじゃなかろ〜か」
きこりのゆった言葉に、…孫悟空はカンカンです。
「何ゆってやがる、このおたんちん…!!このおれさまはな…、あちらにいらっしゃる。…かのえら〜い三蔵法師の、一番弟子よ。おれさま達はな、…これから西天までありがたいお経を取りに参るんだ。わかったら頭を下げやがれ、さもないと引っ叩くぞ…!」
孫悟空は…、耳から如意棒を取り出すと。…くるくる回して、きこりのはな先に突きつけました。
「ずい分、…乱暴なお坊さんだなぁ。とはゆえ、あんたがどれだけ強くとも…。お坊さんなら…、この山を登るのはよした方がい〜。…この山の妖怪は、大層力が強くてそのうえお坊さんが大好物と来てるから」
顔を、…真っ青にするきこり。
「おれさま、わかったぞ…!!お前天からのお使いだな…、やいっ正体を現せ」
…すかさず、如意棒で打ちかかる孫悟空。
「ちょっと待って下さい、…何事にも段取りがあるんですから。ちぇっ孫悟空さん、あなたはせっかち過ぎる…」
きこりは…、きこりから鎧兜に身を固めた。…天からの使いの姿を現し、すっと雲に乗ります。
「あっあちらのお方は、…天からのみ使いであらせられたのか!!あなた達も、早く失礼のないよ〜に平伏なさい…」
三蔵法師の言葉に従い…、一人と二匹は地面にひれ伏しました。
…「悟空さん、私は天をお統べになられる。玉帝陛下から遣わされてるんですよ、…あなたにも平伏してもらわないと。玉帝陛下の、ご権威に関わるじゃありませんか…」
如意棒の…、構えを解かない孫悟空。
…「へっ、何が"玉帝陛下"だ。仏さまのお力がなかったら、…このおれさまに敵わなかったクセしやがって!」
天からの使いは、しょんぼりしてしまいます…。しかし気を取り直して…、三蔵法師に語りかけました。
…「三蔵法師殿、面をあげられたい。この私が、…はるばる玉帝陛下から遣わされたのは。この平頂山に棲む、金角・銀角両大王とゆ〜…。妖怪の持つ力について…、お伝えする為なのです。…かの金角・銀角両大王は、てんから三つの宝物を盗み出しました。詳しくは、…この玉帝陛下からのじきじきのご文書に目をお通し下さい」
立ちあがって、「玉帝からのご文書」を受け取る三蔵法師…。早速開いてみると…、長いごあいさつのあとにこんなコトが書いてあります。
・金角・銀角両大王が天から盗んだ三つの宝物について
1.七星宝剣:どんな鉄の鎧も、どろのよ〜に斬り捨ててしまう
2.芭蕉扇:一つ扇ぐだけで、何もないトコロが火の海になってしまう
3.紅ひさご:最も危険な宝物。ふたを開けて名前を呼ばれて、返事をすると中に閉じ込められてしまう
…「お気遣い全くありがとうございます、と玉帝陛下にお伝え下さい。陛下からのご忠告を心に刻み、…この三蔵玄奘。必ずや、弟子達と力を合わせてこの平頂山を無事越え…。西天へ至り…、み仏のお手から般若心経を受け取って見せましょう」
…去ってゆく天からの使いに、三蔵法師は一人再び平伏したのです。