西遊記〜一人と三匹の愉快な旅〜 その12

「ここは道もなだらかだし、悟空や少しやすも〜じゃないか…?そしてやすみながら…、私がみ仏の尊い教えについてあなた達に説いてあげるとしよ〜」

沙悟浄は、猪八戒の荷物からござを取り出し。それを敷いて、…三蔵法師を中心に。円の形になって、座りました…。

「み仏の尊い教えの中で最も大切なのは…、欲望に執着してはならないとゆ〜コトにあるのだ」

…穏やかな口調で、お説教を始める三蔵法師

「お師匠さま質問です、…オイラぶひぶひ。おなかが空いたら、ごはんが欲しくなっちまいます…。それでも…、いけないんですか?」

猪八戒は、始まるなり不満そ〜です。

「ゆい質問だよ、…八戒。私はね、おなかが空いたのなら…。ごはんは食べてもゆいだろ〜…、と考える。…しかし八戒、あなたはごはんをおなかいっぱい食べたがってしまうだろ〜?」

鋭く指摘する、…三蔵法師

「オイラのおなかは、こんなにおっきいから仕方ありません…」

ぽこぽこ…、猪八戒はおなかを叩きました。

…「それではゆけない、どんなに食べてもはら八分目までにしときなさい。みんな、…よく聞くんだよ。ここが、み仏の尊い教えの肝心なトコロなのだから…。欲望とゆ〜のは…、何でもたくさんたくさん気持ちよくなりたいと思う。…たくさんの評価たくさんのお金、た〜っくさんの女性」

沙悟浄は、…ドキっとして懐のお財布を握ります。

「ところがそれでは、人間いつまで経ってもシアワセにはなれない…。何でも…、"自分にちょ〜どゆい"がある。…それに満足なさい、とみ仏は教えてゆるのだね。だから昔の人はこ〜ゆったモノだ、…持って足るを知りなさいと」

沙悟浄に向き直る、三蔵法師…。

沙悟浄や…、真面目なのはあなたのゆいトコロだよ。…でも必要以上に、…金を大切にしてる」

孫悟空は、…嬉しそ〜に立ちあがりました。

「じゃあ、おれさま既に悟りを開いてるんだ…!!おれさまと来たら…、女性にもお金にもさして興味ないモンな」

…気持ちを落ち着けよ〜と、一呼吸置く三蔵法師

「あなたは戦いを好む、…悟空。あなたの戦いは、私を守る為…。それには…、私もいつも感謝してゆるよ。…しかし、自ら戦いを求めるてはよくないのだ」

孫悟空は、…しぶしぶそ〜に座ります。代わりに口を開く、沙悟浄…。

「それならば…、お師匠さまはきっとも〜お悟りでしょ〜?…だからこそはるばる、西天まで。ありがたいお経を受け取る、…旅に出発されたんですから」

三蔵法師は、目を伏せました…。

「みんな聞いて欲しい…、私は恥ずかしいのだが。…死ぬのが怖いのだ、本当に欲望が捨てられたなら。もし死んでしまっても、…〜運命〜として受け入れられるハズなのに。ところが不肖この私、死ぬの怖さに…。この旅の途上で…、夜目を覚ましてしまうコトが度々あるのだよ。…それを乗り越えさせる為に、み仏は。何度も妖怪に襲われる、…西天取経の旅を私に賜られたのだから」

その時、一人と三人のそばの木を突いてゆた…。キツツキが…、パッと飛び立ちます。

…「キキキ、このキツツキの姿が。あたしの化け術とも知らないで、…自分達の弱点を。み〜んなぺらぺらしゃべってくれたわ、これで…。お仕事がどんどこはかどっちゃう…、見てなさいあたしの知恵を!」

…キツツキに化けたじょうろは、蓮華洞目指して飛び去ってゆきました。