「ど〜しちまったってゆ〜んだ、二人共戻って来ないなんて…。まさか妖怪達が…、大群で押し寄せて来てるのか!!?」
…自ら陣を張った場所で、ゆったり来たりうろうろ繰り返す孫悟空。
「落ち着きなさい、…悟空。八戒や悟浄が心配なお気持ちは、私とて同じだよ…」
その時です…、突如若い女性の叫び声が響きました。
…「きゃ〜助けて、私が虎に襲われてるぅ!」
三蔵法師は、…ガバッと立ちあがります。
「ご、悟空、聞いたかね…!!?若い女性の叫び声だった…、助けを求めてゆる」
…こめかみを、ポリポリかく孫悟空。
「"何か"おかし〜と想いません、…お師匠さま?"私が襲われてる"って、そんな余裕ありませんよフツーは…。おれさまの考えでは…、絶対妖怪のワナですね」
「確かに、…あなたのゆ〜通りかも知れないね。しかし、もし実際に若い女性が虎に襲われてゆたら…。ど〜なると想う…、もはやありがたいお経など何の意味もなくなってしまうよ!…荷物の類は、ここで竜馬に任せるとしよ〜。私も走るから、…是非ゆっておやり」
三蔵法師と孫悟空は、声のする方へ走ってゆきます…。すると今にも…、虎が若い女性に襲いかかろ〜としてるではありませんか。
…「誰か助けて下さい、虎が今にも私に襲いかかりそ〜なんです!!」
悲しみの涙を、…ハラハラ流す三蔵法師。
「悟空や、この光景をご覧…。こ〜して今にも…、尊い生命が失われかねないんだから」
…孫悟空は、はなくそをほじってました。
「お師匠さま、…今にもって。最初の叫び声を聞いてから、お師匠さまとおれさまが到着するまで…。どれだけ経ってると…、お考えですか?」
…「ゆいから助けておやり!」
仕方なく虎のおしりを、…軽く引っ叩く孫悟空。虎は、「キャインッ」と鳴くとどこかへ逃げ去りました…。
「ありがとうございます…、孫悟空さま!!」
…若い女性は、両拳を握り合わせ。熱心に、…孫悟空を見詰めます。
「悟空、あなたは一体何故返事をしないのかね…?」
改めて如意棒を構える…、孫悟空。
…「おれさままだ名乗っていないじゃありませんか、それなのに名前を知ってるなんて。こいつは間違いなく妖怪で、…例の。"名前を呼ばれて返事をすると中に閉じ込められてしまう"、っつ〜紅ひさごを隠してるに決まってます…」
しかし若い女性は…、大して気にも留めない様子でした。
…「あなたのおかげで私の命が助かったんです、二枚目の孫悟空さま」
「悟空、確かにあなたのゆ〜通りかもわからない…。しかし人から名前を呼ばれたのに…、返事すらしないとは。…それでは、やはりありがたいお経も何の意味も持たないだろ〜」
少し、…イライラし始める孫悟空。
「じゃあ、お師匠さまが為さったらゆいじゃありませんか…?おれさまは…、責任取りませんよ」
「私の命の恩人、…素敵な三蔵法師さま!!」
「うんうんよかったね…、生命が助かっうわ〜!」
…あっとゆ〜間に、紅ひさごに吸い込まれてしまう三蔵法師。何とこの若い女性とゆ〜のはじょうろで、…三蔵法師を計略にかけたのでした!!じょうろは、すぐさまキツツキに化けると…。あッとゆ〜間に…、飛び去ります。
…「あっ待てこん畜生、逃さねぇぞ!」
筋斗雲に飛び乗り、…あとを追う孫悟空。しかしこの平頂山は、ゆわばじょうろ達のなわばり…。キツツキに化けたじょうろは…、木立ちの中に紛れまんまと逃げおおせたのでした。
悔しくて地団駄を踏む孫悟空のテーマ…
「Go easy now」 The Hellacopters