「なぁ弟分、…山道は狭いと来てるから。…どちらかが前衛を務めよ〜、じゃんけんで決めたらど〜かな?」
「い〜よ別に、それじゃゆくよじゃ〜んけん…」
…「オイラの勝ちだ、やったね。じゃ…、オイラ達はうしろで控えてっから」
「どちらにゆたって、…何が起こるのかわからないのが戦場なのに。…まゆいや、全体整列!!」
天の義勇兵20は…、一糸乱れぬ陣を形成しました。
「先頭には、ぼくが立つよ…。あとから、…着いて来て」
…沙悟浄を先頭に山道を登ってゆくと、平頂山とゆ〜だけあって。山頂の周りは…、平たく起伏がありません。そこには鹿角将軍が、配下の妖怪達50体と共に待ち構えております…。
「貴様沙悟浄だな、…我こそは鹿角将軍いざ尋常に勝負せよ!」
…鹿角将軍と配下の50体の妖怪は、一丸となって突撃して来ました。
「あのさぁ…、そんなにたくさんの妖怪を相手に。こっちは20人で、まともに戦うと思うの…?
降妖杖で、…地面をとんとんッと叩く沙悟浄。
…「いくよっ、水とんの術!!」
鹿角将軍と配下の妖怪50体の足元に…、水がすごい勢いで溢れ出します。
「な、何だこの水は、えぇ〜い泳げ泳げ…!」
鹿角将軍達は、…みんな鎧兜で武装してますから。…泳ぐのも容易ではありません、少なく共20体はそのまま水に流されてしまいました。そして…、やっと泳ぎ切ったと想ったら。
「妖怪達はへとへとだよ、全体突撃…!!」
沙悟浄率いる、…天の義勇兵達はここぞとばかりに襲いかかったのです。
…「そろそろ決着もついたろ、オイラも前へ出ないと。"猪八戒は何もしてない"…、なんてゆわれちゃうからな」
天の義勇兵達の最後尾で、猪八戒がつぶやいた時…。バリバリっと、…茂みの中から「何か」が飛び出して来ました。
…「お主は猪八戒ではないか、しまったこんなトコロにまで敵が押し寄せて来ておったか!」
それは山羊髭将軍と兵5で…、すぐさま逃げよ〜としましたが猪八戒は呼び止めます。
「待て々々、お前達みたいな少ない人数を…。こんな大勢で追ったとあっちゃ、…あとでお師匠さまから長い長〜いお説教をいただいちまう。…ど〜だここは一つ、オイラと一騎討ちで決着をつけないか!!?」
そ〜申し出られては…、山羊髭将軍にも名誉がありますから。そのまま逃げるワケにはゆきません、猪八戒は九歯のまぐわ…。山羊髭将軍は槍を手にして、…向かい合いました。
…「そらそら、オイラいつも兄貴に鍛えられてっからな。お前なんかに…、負けはしないぞぅ」
10合程打ち合ったトコロで、山羊髭将軍は猪八戒の馬鹿力に体勢を崩します…。
「これがとどめだ、…火とんの術!」
…猪八戒の吹き出した炎の柱をまともに浴びて、山羊髭将軍はご自慢のおひげがチリチリになってしまいました。
「降参だま、まいった…、命だけは助けてくれ」
九歯のまぐわで天を衝き、味方に勝利を示す猪八戒…。
「そりゃあ、…当然だとも。…生け捕りにして、オイラがどれだけ勇敢だったか。お師匠さまにご報告してもらわんと…、ゆいかいお前さん達は。オイラ達を背後から、奇襲攻撃したコトにするんだよ…。うまくしゃべらんと、…オイラの九歯のまぐわは鋭いゼ?」
…山羊髭将軍の配下の妖怪は、それを見るとどこかへ逃げ去ってしまったのです。