西遊記〜一人と三匹の愉快な旅〜 その24

「なぁ弟分、…山道は狭いと来てるから。…どちらかが前衛を務めよ〜、じゃんけんで決めたらど〜かな?」

並んで歩く沙悟浄に…、のんきな提案をする猪八戒

「い〜よ別に、それじゃゆくよじゃ〜んけん…」

猪八戒はパーで、…沙悟浄はグーです。

…「オイラの勝ちだ、やったね。じゃ…、オイラ達はうしろで控えてっから」

天の義勇兵20を率いて、うしろへ退がる猪八戒…。

「どちらにゆたって、…何が起こるのかわからないのが戦場なのに。…まゆいや、全体整列!!」

天の義勇兵20は…、一糸乱れぬ陣を形成しました。

「先頭には、ぼくが立つよ…。あとから、…着いて来て」

沙悟浄を先頭に山道を登ってゆくと、平頂山とゆ〜だけあって。山頂の周りは…、平たく起伏がありません。そこには鹿角将軍が、配下の妖怪達50体と共に待ち構えております…。

「貴様沙悟浄だな、…我こそは鹿角将軍いざ尋常に勝負せよ!」

…鹿角将軍と配下の50体の妖怪は、一丸となって突撃して来ました。

「あのさぁ…、そんなにたくさんの妖怪を相手に。こっちは20人で、まともに戦うと思うの…?

降妖杖で、…地面をとんとんッと叩く沙悟浄

…「いくよっ、水とんの術!!」

鹿角将軍と配下の妖怪50体の足元に…、水がすごい勢いで溢れ出します。

「な、何だこの水は、えぇ〜い泳げ泳げ…!」

鹿角将軍達は、…みんな鎧兜で武装してますから。…泳ぐのも容易ではありません、少なく共20体はそのまま水に流されてしまいました。そして…、やっと泳ぎ切ったと想ったら。

「妖怪達はへとへとだよ、全体突撃…!!」

沙悟浄率いる、…天の義勇兵達はここぞとばかりに襲いかかったのです。

…「そろそろ決着もついたろ、オイラも前へ出ないと。"猪八戒は何もしてない"…、なんてゆわれちゃうからな」

天の義勇兵達の最後尾で、猪八戒がつぶやいた時…。バリバリっと、…茂みの中から「何か」が飛び出して来ました。

…「お主は猪八戒ではないか、しまったこんなトコロにまで敵が押し寄せて来ておったか!」

それは山羊髭将軍と兵5で…、すぐさま逃げよ〜としましたが猪八戒は呼び止めます。

「待て々々、お前達みたいな少ない人数を…。こんな大勢で追ったとあっちゃ、…あとでお師匠さまから長い長〜いお説教をいただいちまう。…ど〜だここは一つ、オイラと一騎討ちで決着をつけないか!!?」

そ〜申し出られては…、山羊髭将軍にも名誉がありますから。そのまま逃げるワケにはゆきません、猪八戒は九歯のまぐわ…。山羊髭将軍は槍を手にして、…向かい合いました。

…「そらそら、オイラいつも兄貴に鍛えられてっからな。お前なんかに…、負けはしないぞぅ」

10合程打ち合ったトコロで、山羊髭将軍は猪八戒の馬鹿力に体勢を崩します…。

「これがとどめだ、…火とんの術!」

猪八戒吹き出した炎の柱をまともに浴びて、山羊髭将軍はご自慢のおひげがチリチリになってしまいました。

「降参だま、まいった…、命だけは助けてくれ」

九歯のまぐわで天を衝き、味方に勝利を示す猪八戒…。

「そりゃあ、…当然だとも。…生け捕りにして、オイラがどれだけ勇敢だったか。お師匠さまにご報告してもらわんと…、ゆいかいお前さん達は。オイラ達を背後から、奇襲攻撃したコトにするんだよ…。うまくしゃべらんと、…オイラの九歯のまぐわは鋭いゼ?」

…山羊髭将軍の配下の妖怪は、それを見るとどこかへ逃げ去ってしまったのです。