西遊記〜一人と三匹の愉快な旅〜 その26

「おかしいな、…全然妖怪達がいねぇぞ」

…蓮華洞の中を進む、孫悟空達。その先頭を進む、孫悟空が口にします。

「敵わないと思って…、逃げたんじゃないの?」

孫悟空に続く、猪八戒は深く考えず答えました…。

「バカなコトゆってんな、…気配はあるんだどこかに潜んでる」

孫悟空は、決して警戒を緩めません。

「もしかしたら…、奥に引き込も〜ってワナなのかも。それにしても、誰もゆないのはヘンだね…」

孫悟空の懸念に、…相づちを打つ沙悟浄

孫悟空達は、遂に金角大王の控える大広間までやって来ます。そこには金角大王に…、残された配下。50体の妖怪が、勢ぞろいしていました…。

「お前ら、…まさかここで総力戦をやろ〜ってんじゃないだろ〜な?…それならゆいゼ、引き受けてやる!!」

孫悟空は…、たんかを切りますが。その場にゆる妖怪達は、誰も手を出して来る様子はありません…。

「わしは、…既に三蔵法師を取って喰おうとは考えておらん」

玉座から立ちあがる、金角大王

「わしの配下には…、300体の兵がいた。それが、今となっては50体しかいない…」

金角大王は、…自らのおひげをなでます。

…「そんなんゆって、オイラ達を油断させよ〜ってはらだな。も〜オイラ達のが優勢なんだ…、かかって来ないならこっちからゆくぞ!」

九歯のまぐわを、突き出す猪八戒…。

「あれだけいた将軍も、…みな捕まってしまった。…今のわしには、作戦を話し合う仲間すらゆない」

…配下の妖怪50体を、見渡す金角大王

「もし何なら…、ぼくの水とんの術で。あなた達をみんな、水に流してしまうよ…。そのぐらい、…何のワケも無いんだから!!」

沙悟浄は、地面を降妖杖で地面を突きました。

「じょうろが…、三蔵法師とお前達のウチ二匹を。捕まえた時、わしは勝利を確信した…。これで、…我が一族は永遠に栄えると」

金角大王配下の妖怪が、きらびやかに装飾された。鞘に収められた、七星宝剣を運んで来ます。

「そりゃ悪かったな…、おれさまが全部ひっくり返しちまって。だがなおれさま達には、はるばる西天まで…。ありがたいお経を受け取りにゆく、…使命があるんだ!」

…如意棒を構える、孫悟空

「だからこそ…、わしは孫悟空!!お前だけは生かしておかん、わしと一騎討ちで勝負せよ…」

金角大王は、…振り返って大喝しました。

…「な〜んだ、そんなコトか。ゆいゼ…、受けて立ってやるよ。だったら長ったらしい前置きはさっさと止めて、すぐ取りかかるぞ…!!」

頭をポリポリかく、…孫悟空

…「まぁ待て、だがこちらの条件を聞くがゆい。わしが勝ったら…、おまえらは撤退し弟の銀角を返してもらう」

孫悟空は、如意棒を構えて前に進み出ます…。

「構わねぇんじゃねぇか、…そのぐらい。…おれさま達は、別に妖怪退治して回ってるワケじゃねぇし」

にらみ合う…、孫悟空金角大王

「その代わりではないが、わしが勝っても…。三蔵法師と残ったお供の二匹は、…この平頂山を無事通してやる。…死ぬのは、お前だけだ孫悟空

孫悟空は…、如意棒で地面をドンッと突きました。

「ごちゃごちゃうるせ〜よこのたこ、こっちはも〜その気になってんだ…!」

七星宝剣を鞘から引き抜くと、…素早く斬りつける金角大王。…それを受け止める、孫悟空の如意棒に火花が散ったのです。