西遊記〜一人と三匹の愉快な旅〜 その27

…「我が七星宝剣の一撃を受けるとは、なかなかの得物を持ってゆるな」

七星宝剣を、…上段に構える金角大王

「ふん、大きなお世話だよ…。お前こそ…、如意棒の由来を知らねぇのか?」

…対する孫悟空は、両手で如意棒を斜めに構えます。

両者、…にらみ合ったまま30分が過ぎました。

「ど〜して、兄貴仕かけないんだろ〜…?」

あまりの緊張感に…、ごくりとつばを飲み込む猪八戒

…「金角大王に、隙がないんだよ。もっとも、…それは金角大王にとっても同じだろ〜ケド」

沙悟浄は、にらみ合う二人から目が離せません…。

「ど〜した…、かかって来い孫悟空。…さては、怖じ気づいたか?」

孫悟空を挑発する、…金角大王

「うるせ〜な、考えてるコトはお前と同じだよ…」

孫悟空は…、口以外ピクリとも動かしません。

…そのまま、1時間が過ぎます。

「オイラ、…も〜疲れちまったよ」

精神的に疲労し、座り込む猪八戒…。

「ダメだよ兄さん…、孫兄さんの戦いはみんなの為なんだから。…キチンと、立って応援しないと」

視線は、…にらみ合う二人に注いだまま。猪八戒を、とがめる沙悟浄…。

「そりゃわかってるけれど…、オイラが立ってても座ってても勝敗は変わらんゼ?」

猪八戒も口では抵抗しますが、すぐに立ちあがりました。

「我が七星宝剣の鋭さなら、…お前の体など両断してくれよ〜」

今度は、孫悟空を動揺させにかかる金角大王…。

「ところが…、おれさまの如意棒も。…本気で打てば、お前なんか粉々だよ」

孫悟空には、…おどしは通用しません。

それから、さらに1時間が経過します…。じょじょに…、金角大王から脂汗が滴り落ちて来ました。

…「あっ、こりゃあ決まったな」

一つあくびをする、…猪八戒

「兄さんもそ〜想うかい、孫兄さんはきっと勝つだろ〜ねぇ…」

沙悟浄も…、ホッと息を吐きました。

…間もなく、金角大王は。稲妻のよ〜に踏み込み。七星宝剣を振りあげます、…しかしそこに。ちょ〜どあつらえたよ〜に、ピタリと孫悟空の如意棒が…。金角大王の…、脳天を捉えたのでした。…兜を破られ、そのままその場に倒れる金角大王

それから、…半日程経って。金角大王が意識を取り戻すと、天の義勇兵に介抱されてゆます…。

孫悟空は…、わしにとどめを刺さなかったのか?」

…介抱してゆる、天の義勇兵は答えました。

「"おれさまは妖怪退治してるワケじゃない"、…そ〜仰ってました。三蔵法師さま達と、既に旅立たれましたから…。どちらにせよ…、あなたの身柄は私達が拘束します。…罪状は、述べるまでもありませんよね?」

天の義勇兵達は、…金角大王を担架に乗せて。外へ、運び出したのです…。