…「我が七星宝剣の一撃を受けるとは、なかなかの得物を持ってゆるな」
七星宝剣を、…上段に構える金角大王。
「ふん、大きなお世話だよ…。お前こそ…、如意棒の由来を知らねぇのか?」
…対する孫悟空は、両手で如意棒を斜めに構えます。
両者、…にらみ合ったまま30分が過ぎました。
「ど〜して、兄貴仕かけないんだろ〜…?」
あまりの緊張感に…、ごくりとつばを飲み込む猪八戒。
…「金角大王に、隙がないんだよ。もっとも、…それは金角大王にとっても同じだろ〜ケド」
沙悟浄は、にらみ合う二人から目が離せません…。
「ど〜した…、かかって来い孫悟空。…さては、怖じ気づいたか?」
「うるせ〜な、考えてるコトはお前と同じだよ…」
孫悟空は…、口以外ピクリとも動かしません。
…そのまま、1時間が過ぎます。
「オイラ、…も〜疲れちまったよ」
「ダメだよ兄さん…、孫兄さんの戦いはみんなの為なんだから。…キチンと、立って応援しないと」
視線は、…にらみ合う二人に注いだまま。猪八戒を、とがめる沙悟浄…。
「そりゃわかってるけれど…、オイラが立ってても座ってても勝敗は変わらんゼ?」
…猪八戒も口では抵抗しますが、すぐに立ちあがりました。
「我が七星宝剣の鋭さなら、…お前の体など両断してくれよ〜」
「ところが…、おれさまの如意棒も。…本気で打てば、お前なんか粉々だよ」
孫悟空には、…おどしは通用しません。
それから、さらに1時間が経過します…。じょじょに…、金角大王から脂汗が滴り落ちて来ました。
…「あっ、こりゃあ決まったな」
一つあくびをする、…猪八戒。
「兄さんもそ〜想うかい、孫兄さんはきっと勝つだろ〜ねぇ…」
沙悟浄も…、ホッと息を吐きました。
…間もなく、金角大王は。稲妻のよ〜に踏み込み。七星宝剣を振りあげます、…しかしそこに。ちょ〜どあつらえたよ〜に、ピタリと孫悟空の如意棒が…。金角大王の…、脳天を捉えたのでした。…兜を破られ、そのままその場に倒れる金角大王。
それから、…半日程経って。金角大王が意識を取り戻すと、天の義勇兵に介抱されてゆます…。
「孫悟空は…、わしにとどめを刺さなかったのか?」
…介抱してゆる、天の義勇兵は答えました。
「"おれさまは妖怪退治してるワケじゃない"、…そ〜仰ってました。三蔵法師さま達と、既に旅立たれましたから…。どちらにせよ…、あなたの身柄は私達が拘束します。…罪状は、述べるまでもありませんよね?」
天の義勇兵達は、…金角大王を担架に乗せて。外へ、運び出したのです…。