西遊記〜一人と三匹の愉快な旅〜 その28

「孫兄さんすごいよ、奥の宝物庫には金銀財宝がびっしり…」

時間を…、少し戻します。…孫悟空金角大王の、決着がついてから少し経った頃。宝物庫の中を確認し、…その扉を閉める沙悟浄

「少しだけでももらっておきたいけれど、手を着けたらお師匠さまカンカンだろ〜な…」

沙悟浄は…、この蓮華洞に貯えられた金銀財宝に未練が残るよ〜です。

…「弟、すまんが。おれさまもさすがに、…くたびれちまって」

ぐったりと、…地面に座り込む孫悟空

「ごめん、気がつかなかったよ…。気にしないで…、ぼくのはただの独り言だから」

猪八戒は、三蔵法師を呼びにゆきました。

「食糧庫は、…ど〜なってるんだろ〜?わっ、すごい…」

食糧庫にも…、お米やお野菜がごろごろしてゆます。

…「カレー粉もあるな、よぉ〜しそれなら」

蓮華洞の後始末に追われる、…天の義勇兵の一人を捕まえる沙悟浄

「ここの食糧から、一人と三匹分食べ物をわけてもらっても構わないでしょ〜か…?」

にっこりと笑う…、天の義勇兵の一人。

…「あぁ、そのぐらい構わんですよ。蓮華洞に蓄えられてる全ては、…この平頂山付近の住民から。巻きあげたモノですから、我々の手でみんなお返ししよ〜と考えてるんですが…。それはみなさんのおかげですし…、ちょっとぐらいは問題になりませんから」

沙悟浄は、小さくガッツ・ポーズを作りました。

「孫兄さん、…ぼく食糧庫の食材で"根菜カレー(このレシピ後日公開します)"を作るよ!!」

疲れ切ってゆる、孫悟空の顔にも若干の笑顔が浮かびます…。

「おっ…、そりゃ〜ゆい。…疲れてる時は、美味いモノがイチバンだ。お前の作る"根菜カレー"は、…本当に美味いからな」

調理場で沙悟浄が支度してゆると、猪八戒に連れられて三蔵法師もやって来ました…。

「くんくん美味しそ〜だ…、この香りはカレーだね」

…調理場から、顔を出す沙悟浄

「お師匠さま、…この蓮華洞に蓄えてあった食糧をわけてもらって。"根菜カレー"を作ってるんです、ゆいでしょう…?みんな…、疲れてるから」

三蔵法師は、孫悟空沙悟浄の無事な姿を見届けると。ホッと一息、…吐きます。

「食材の元々の持ち主には申し訳ないが、今日ぐらいはあなた達も…。おなかいっぱいめしあがりなさい…、本当によくがんばった。…私も、あなた達のよ〜な弟子が持てて。それはも〜、…はなが高い。ここでしっかり元気をつけて、これからの旅に備えるんだよ…」

「根菜カレー」の香りをかぎつけると…、猪八戒はよだれを垂らしました。

…「兄貴、よかったじゃないか。兄貴は、…沙悟浄の作る"根菜カレー"。何よりイチバン大好きだろ〜…?」

つられて…、孫悟空のおなかもぐ〜っとなります。

…「バカゆえ、そりゃあお前の話だろ〜?お前、…よだれたらしてるじゃないか」

多少元気が出たのか、「よっ」と立ちあがる孫悟空でした…。