勝美へと、…良太が愛を告白してから数日が経った。…しかし、依然として勝美からの電話はない。
「あ〜ぁ…、やっぱり勝美さん可愛いから。おれなんかに、興味ないのかね…?」
夕方、…良太は自宅の部屋で。…その日の授業の、復習をしている。良太は相変わらず…、大宮校には通ってゆるが。講師が違う別な授業の為、勝美には会わない…。
「良太、…純平さんからお電話よ」
…良太の部屋の、ドアをノックするお母さん。良太は…、一瞬(勝美さんからか?)とドキッとした。
「もしもし、純平か…?」
まぁ純平でもゆい、…何かしら気分を晴らしたいのだから。
…「もしもしおれだ、急で悪いが。これから…、夕ごはん食べにいかないか?」
受話器の向こうから、純平の威勢のゆい声が響く…。そ〜ゆえば、…今日は土曜日だ。…純平は、高校を卒業したあと運送会社に勤務している。
「いつものコトだけどさ…、おれお金無いんだよ」
一応浪人生だから、アルバイトを良太はしてゆない…。両親からの、…お小遣いでやり繰りだ。
…「そんなの気にすんな、おれが出してやる。お金なんて…、持ってるヤツが払えばゆいんだ。18:30には迎えにいくからな、ちょっと待っててくれ…」
良太は受話器を下ろすと、…お母さんに告げる。
…「おれ今日夕ごはん、外で食べて来るから。お金…?、そりゃあ悪いケド純平のおごりでね」
いつもより、…少し早い時間に。…走り込みと筋トレを、済ませる良太。ラジオをかけて部屋で待ってゆると…、やがて車のクラクションが聞こえた。
「早めに着いちまったが、準備は大丈夫か…?」
緑色のダイハツ・コペンが、…純平の愛車である。…純平ゆわく、「安くて女性が口説ける車はこれしかない」んだそ〜である。良太を乗せると…、純平はコペンを発進させた。二人のゆきつけの中華屋さんは、良太の自宅から歩いてもいけるが…。駐車場が無い為、…ゆきつけの中華屋さんまで車でゆく。
…「いらっしゃいませ〜」
女子高生っぽいアルバイト店員さんに案内され…、二人はテーブルの席に向かい合わせで着いた。
「何でも、好きなモン頼め…。またチャーシュー麺大盛りか、…何ならギョーザもつけよ〜ゼ?」
…二人のゆきつけの中華屋さん、「来福亭」は味もさるコトながら。盛りもふんだんだったから…、いくら良太でも。そんなには食べられない、ギョーザは二人で一皿にする…。
「おれの役立たずの上司がよ、…出世に目がくらんで。…余計なお仕事引き受けちまったモンだから、今現場はてんてこまいなのさ」
良太は…、純平に予備校での出来事を打ち明けた。
「おっ、そりゃめでてぇ…。それなら、…生ビール飲もうや。…おネーさん、生ビール二つね」
厨房に立っている…、ダンナさんが顔を覗かせる。
「こらっ、良太お前まだ未成年だろ…。そっちのもそ〜なのか、…全く悪ガキ共が」
…「来福亭」には、良太は子供の頃から両親と通ってたから。お店のダンナさんは…、しょせん顔なじみであった。「来福亭」のダンナさんは、口ではやかましくゆっても…。結局は飲ましてくれるのを、…二人はよく知っていた。
…「良太、よしよし乾杯だぞ」
運ばれて来た生ビールを…、一気に半分ぐらいまで空ける純平。良太は、まだ返事もらってないと申し訳なさそ〜に伝える…。
「それはな、…勝美さん恥ずかしがってるんだ。…そのぐらい奥ゆかしくなきゃ、口説く価値のある女性とはゆえないな」
女性になれてる純平から…、そ〜ゆわれれば一時的に。そんな気になる、良太であった…。そしておずおずと、…生ビールのジョッキに口を着けるのである。