再臨物語again〜春馬町より愛を込めて〜 その9

勝美へと、…良太が愛を告白してから数日が経った。…しかし、依然として勝美からの電話はない。

「あ〜ぁ…、やっぱり勝美さん可愛いから。おれなんかに、興味ないのかね…?」

夕方、…良太は自宅の部屋で。…その日の授業の、復習をしている。良太は相変わらず…、大宮校には通ってゆるが。講師が違う別な授業の為、勝美には会わない…。

「良太、…純平さんからお電話よ」

…良太の部屋の、ドアをノックするお母さん。良太は…、一瞬(勝美さんからか?)とドキッとした。

「もしもし、純平か…?」

まぁ純平でもゆい、…何かしら気分を晴らしたいのだから。

…「もしもしおれだ、急で悪いが。これから…、夕ごはん食べにいかないか?」

受話器の向こうから、純平の威勢のゆい声が響く…。そ〜ゆえば、…今日は土曜日だ。…純平は、高校を卒業したあと運送会社に勤務している。

「いつものコトだけどさ…、おれお金無いんだよ」

一応浪人生だから、アルバイトを良太はしてゆない…。両親からの、…お小遣いでやり繰りだ。

…「そんなの気にすんな、おれが出してやる。お金なんて…、持ってるヤツが払えばゆいんだ。18:30には迎えにいくからな、ちょっと待っててくれ…」

良太は受話器を下ろすと、…お母さんに告げる。

…「おれ今日夕ごはん、外で食べて来るから。お金…?、そりゃあ悪いケド純平のおごりでね」

いつもより、…少し早い時間に。…走り込みと筋トレを、済ませる良太。ラジオをかけて部屋で待ってゆると…、やがて車のクラクションが聞こえた。

「早めに着いちまったが、準備は大丈夫か…?」

緑色のダイハツコペンが、…純平の愛車である。…純平ゆわく、「安くて女性が口説ける車はこれしかない」んだそ〜である。良太を乗せると…、純平はコペンを発進させた。二人のゆきつけの中華屋さんは、良太の自宅から歩いてもいけるが…。駐車場が無い為、…ゆきつけの中華屋さんまで車でゆく。

…「いらっしゃいませ〜」

女子高生っぽいアルバイト店員さんに案内され…、二人はテーブルの席に向かい合わせで着いた。

「何でも、好きなモン頼め…。またチャーシュー麺大盛りか、…何ならギョーザもつけよ〜ゼ?」

…二人のゆきつけの中華屋さん、「来福亭」は味もさるコトながら。盛りもふんだんだったから…、いくら良太でも。そんなには食べられない、ギョーザは二人で一皿にする…。

「おれの役立たずの上司がよ、…出世に目がくらんで。…余計なお仕事引き受けちまったモンだから、今現場はてんてこまいなのさ」

良太は…、純平に予備校での出来事を打ち明けた。

「おっ、そりゃめでてぇ…。それなら、…生ビール飲もうや。…おネーさん、生ビール二つね」

厨房に立っている…、ダンナさんが顔を覗かせる。

「こらっ、良太お前まだ未成年だろ…。そっちのもそ〜なのか、…全く悪ガキ共が」

…「来福亭」には、良太は子供の頃から両親と通ってたから。お店のダンナさんは…、しょせん顔なじみであった。「来福亭」のダンナさんは、口ではやかましくゆっても…。結局は飲ましてくれるのを、…二人はよく知っていた。

…「良太、よしよし乾杯だぞ」

運ばれて来た生ビールを…、一気に半分ぐらいまで空ける純平。良太は、まだ返事もらってないと申し訳なさそ〜に伝える…。

「それはな、…勝美さん恥ずかしがってるんだ。…そのぐらい奥ゆかしくなきゃ、口説く価値のある女性とはゆえないな」

女性になれてる純平から…、そ〜ゆわれれば一時的に。そんな気になる、良太であった…。そしておずおずと、…生ビールのジョッキに口を着けるのである。