再臨物語again〜春馬町より愛を込めて〜 その12

「おれはら減っちゃったな…、昼めし食お〜よ勝美さん。何か、食べたいモノある…?」

そごうの書籍売り場をあとにした二人は、…特にあてがあったワケではないから。…おしゃべりしながら、大宮の街をぶらぶらしていた。

「じゃあ…、モス・バーガーにしません?私、好きなんです…」

良太は何でもよかったから、…勝美の案内でモス・バーガーへと向かう。

…「モス・バーガー着いたら、良太さん何食べます?」

歩きながら…、良太に質問する勝美。

「おれ、モス・バーガー入ったコトないんだ…。いつも、…ミスター・ドーナツなの」

…勝美は、足を止めて振り返った。

「えっ…、それなら。ミスター・ドーナツでも、構わないですよ…」

頭を、…ぽりぽりかく良太。

…「いや、味とかで選んでるワケじゃないんだ。ミスター・ドーナツって…、コーヒーおかわり自由だから。煙草吹かしながら、何時間も居座るのにちょ〜どゆいんだよね…」

良太は、…勝美にモス・バーガーへの道案内を促す。

…「勝美さんの食べたいモノに付き合うよ、おれも初めてで楽しみだしさ」

そこからまた…、しばらく歩きモス・バーガーに入店した。

「てりやきチキン・バーガーが、大好きなんです…。私モス・バーガーではいつも、…てりやきチキン・バーガー食べてるんですから」

…レジ前に掲示してある、メニュー表とにらめっこする良太。

「じゃあ…、モス・チーズバーガーにしよ〜っと。この、オニ・ポテって美味そ〜だね…」

二人はレジに並んで、…それぞれのお金を支払い。…番号札を受け取ると、テーブルの席に座る。

「モス・バーガーのお店って…、何となくおシャレだなぁ。おれ、少し緊張する…」

良太は、…そ〜笑って。ポケットから「セブン・スター」を取り出すと、火を点けて吹かした。…しばらく勝美と、二人でお話をしてるウチに。やがて…、注文の品がテーブルに届けられる…。

「あっ何これ、…美味いジャン」

…一口かじつりついて、思わずもらす良太。

「よかった…、私もモス・バーガーは美味しいと想うんです。ちょっと、お高めですケド…」

勝美は、…美味しそ〜にてりやきチキン・バーガーをほおばった。

…お昼ごはんが済んだあとも、特別にゆくトコロも無かったから。二人は…、そのままモス・バーガーの店内でおしゃべりに興じる。勝美の語る言葉の中で、強く良太の印象に残ったのは…。

「私音楽は、…お父さんから。…Jazzのカセット・テープ作ってもらって、そればっかり聴いてるんですよ」

良太は…、「Jazzを聴く」勝美のその趣味のよさに、新鮮な感動を覚えた…。

「すごいね、…勝美さんJazzわかるんだ」

…恥ずかしそ〜に、勝美は手を振る。

「そんな大したコト…、ありません。ただ、ウチは私が生まれる前から…。お父さんの趣味で、…おウチの中でずっとJazzがかかってただけなんですから」

…良太の心は、「今だぞ」と告げた。

「あのさ…、おれカセット・テープ。自分で買って用意するから、もし手間じゃなかったら…。お父さんに頼んで、…おれの分も作ってもらえないかな?」

…勝美は、共通の話題が出来るコトを悦ぶ。

「もしよかったら…、お試しでお貸ししますよ。確かバッグの中に、一本入ってたハズだから…」

バッグの中から、…カセット・テープを取り出す勝美であった。