再臨物語again〜春馬町より愛を込めて〜 その13

…モス・バーガーを出てからも、特にするコトは無かったから。良太は勝美と共に、…一度ゲーム・センターに入ったっ切り。あとはひたすら、大宮中を歩き回ってはおしゃべりして過ごした…。

「じゃ勝美さん…、おれそろそろ帰るよ。…カセット・テープ、ありがとね」

17:00を回って、…良太は勝美に告げる。

「そ〜ですね、私達浪人生だから勉強もしないと…」

そ〜ゆう勝美は…、少し残念そ〜だ。

…「次、ど〜しょう?来週もまた会える、…どこへゆくかは適当に考えとくから」

ふし目がちにうなずいて、勝美も帰路に着いた…。

東武野田線大宮駅のホームに立つ…、良太は大々々満足間違いない。

…「いや〜、勝美さん可愛かったなぁ」

今日一日、…良太は勝美と特にこれとゆったコトな何もしていない。とにかく大宮を歩きに歩き、話し続けただけだ…。ただそれだけに過ぎなかったが…、勝美と過ごす時間は何にも代え難いと想う良太である。…良太は、勝美から借りたJazzのカセット・テープを。ウォーク・マンにセットすると、…再生ボタンを押す。途端にイヤフォンから流れ出す、華麗な即興演奏…。

「こりゃあすごい…、なんだかわからないけれども」

…文章の表現上、"即興演奏"と書かせていただいたが。今の良太には、…何の楽器なのかどころか。それが即興演奏であるのも、わかってはゆない…。何もわからないから…、面白いともツまらないともゆえずそのままかけ続けた。

…(おれはよかったケド、勝美さんにとってはど〜だったんだろ?)

Jazzの調べに身を委ねながら、…東武野田線に揺られてるウチ。ど〜しても、それが気になって頭から離れない…。

(おれがゆいだけじゃ…、"お付き合い"とはゆえない)

…今こ〜して聴いてるJazzも、勝美さんからもたらされたモノだし。勝美さんはお料理だって出来る、…今度はお弁当作ってくれるってゆってた。

(勝美さんに与えられるモノが、おれには何もない…)

ぼうようと…、良太は考える。…しばらくカセット・テープを聴き続けるウチ、このJazzとゆ〜音楽は。既存のポップスとは、…少々曲の構成が異なっているコトに気がついた。

「これ、サビはどこなんだろ〜…?」

良太がこれまで聴いて来た音楽では…、曲の後半に。…必ず、思わず口ずさみたくなるキャッチーなメロディが訪れる。そこがうまく盛りあがれば、…その曲は購入するのだ。そ〜思い込んでいた良太は、少なかず困惑する…。さらにゆえば…、ヴォーカルが入ってないから。…カセットテープの・ケースのインデックスに、曲名とミュージシャンさんの名前が書かれてゆても。現在の演奏が、…誰のどの曲なのかさっぱりわからなかった。

(だけど、Jazzだ…)

良太には…、確信がある。…この何にもやる気を見出せない、終わりのない退屈に。終止符を打つのは、…きっとJazzなのだ。勝美が、「Jazzのカセット・テープ」とゆ〜言葉を口にした時…。良太の心に…、そ〜さっと閃いたのだから。…とにもかくにも、とっかかりはこの一本のカセット・テープだ。これを繰り返し聴き続けて、…理解するコト。それといずれは、も〜少し気の利いたトコロに…。勝美さんを…、ご案内するコトだろ〜。…自分の心が少しずつ燃え始めてゆるのに、まだ気がつかない良太である。