再臨物語again〜春馬町より愛を込めて〜 その20

「勝美さん、まだ暑いからしばらくモス・バーガーで涼んで…。それから…、花火大会向かお〜」

…浴衣姿の勝美を連れ、大宮のモス・バーガーに入る良太。自分はアイス・コーヒー、…勝美はバニラ・シェークを頼み。冷房の効いた店内で、お話をして過ごした…。二人の話題は…、主にJazzについて。…良太は、この頃勝美のお父さんから。2本目のカセット・テープを、…作ってもらってゆて。Jazzの魅力を、少しづつ理解し始めてゆる…。

「そろそろ…、浮間舟渡へ向かいませんか?…電車の中も涼しいし、着く頃にはゆい加減ですよ」

勝美にうながされ、…良太は勝美と共にモス・バーガーをあとにした。大宮駅から、埼京線上りに乗り込む…。電車に乗ってしまうと…、あんまり勝美を見ているワケにはゆかないから。…少々ツまらない良太であった、電車の中には。恐らく良太達と同じよ〜に、…花火大会の行われる。浮間舟渡に向かうのであろ〜、何組かのカップルが見受けられる…。そのウチの…、数人の女性は。…やはり浴衣を着てゆたが、断然勝美さんがイチバン可愛いと。胸を張って、断言できる良太なのだ…。

「多分屋台か何か出てるから…、そこで夕ごはんにしよ〜?」

浮間舟渡駅で下車し、荒川の河川敷へ歩いていく二人。も〜すでに、…そこそこ人が出て来てゆた。

「おれ、たこ焼きと焼きそば買うから二人で食べよ〜よ…」

それじゃ悪いからと…、焼きそばは勝美がお金を出す。…ついでに生ビールも一杯買って、少し離れた草むらに。良太が持って来た、…レジャー・シートを広げ腰を下ろす。勝美さんのお飲みモノを、忘れてたコトに気づく良太…。

「大丈夫です…、私"生茶"水筒に入れて持って来てますから」

…二人で分けるとゆっても、大半は良太が食べてしまった。食べ足りない良太は、…他にいか焼きまで買って平らげる。勝美はかき氷を買ったが、これも半分ぐらいは良太が食べてしまった…。そのウチに陽も沈み…、アナウンスが流れ花火大会の始まりである。

…「おっそろそろ始まるぞ、楽しみだね勝美さん」

良太は花火がよく見えるよ〜に、…人混みをさけわざと少し離れた場所に陣取った。初めは小さな花火があがり、徐々に大きくなってゆった…。

「すご〜い…、きれ〜です」

…ど〜んど〜んと、次々に夜空に大輪の花が咲き乱れる。花火を見詰める勝美と、…花火を見詰める勝美を見詰める良太。花火に照り返される勝美は、色っぽいなと良太は想った…。

「次で最後…、いよいよナイアガラ花火ですって」

…高い場所から、いく筋モノ花火が勢いよく流れ落ちる。ど〜やら勝美さんは愉しんでくれたよ〜だ、…と良太はほっと胸をなで下ろした。花火大会は無事終わり、ドッと大量の人々が浮間舟渡の駅に向かって動き出す…。

「まだ電車混むだろ〜から…、しばらく待ってよ〜。…おれ生ビールも〜一杯飲むから、"何か"飲み物いる?」

勝美は、…お茶を希望した。自分用の生ビールと勝美用の十六茶を、良太は買って戻る…。それぞれ飲んでいると…、何故だかお互い無言だった。…不思議な、喜びを感じる良太。

(あ〜これは、…勝美さんの悦びだな)

そ〜悟った良太は、そっと勝美のくちびるに自分のを重ねる…。二人共…、これが人生で初めてのキスであった。

 

二人の初めてのキスのテーマ…

「Memory」 Tom Misch

https://youtu.be/ka8efFrjfh4