再臨物語again〜春馬町より愛を込めて〜 その23

…「あぁこれだこれ、あとは経済学概論の教科書と」

参加はしなかったが、…大学の入学式も終わり。今日はキャンパス内に、設けられた…。特設会場に…、良太は教科書を買いに来てゆる。

…「こ〜んな分厚いの、荷物が増えるだけジャン?カンベンしてよ、…こっちは持って帰らにゃならんのだから」

良太は、経済学部に入学したのだ…。経済について学ぼう…、とゆ〜意欲があったワケではない。…第一志望は、同じ大学の。文学部史学科だったのだが、…残念ながら。不合格だった為、すべり止めの経済学部に通うコトとなった…。

「うわっ…、全部合わせると。…こんなになるのか、こりゃ純平に送ってもらって正解だった」

レジで、…生協組合の学生相手に。お金を払う、全部で2万円を超える出費に驚く良太(モチロン自分で出してはいない)…。購入した教科書を…、持参した大きなボストン・バッグに詰めると。…車で待ってゆる、純平の元へと向かう。

「おっ、…思ったより早かったな。何だ缶コーヒーおごって来れるのか、悪い悪い…」

キャンパス近くの…、車の来ない路地で。…路上駐車してる、純平の緑のコペンに良太は乗り込んだ。

「ま今日は、…教科書買うだけだし。そんなんより、帰りに新宿寄ったり出来ないだろ〜か…?」

純平は…、ハッキリ困った顔をする。

…「お前な、新宿とか渋谷みたいな。都心なんてのは、…車でいくトコじゃないんだ。道は混むうえ、駐車料金はべらぼうに高いわ…」

うっすらと想像してゆたので…、取り立てて落胆はしない良太。

…「やっぱ無理か、まぁゆいよ。ど〜せ、…これから毎日のよ〜に通うんだ。新宿には、Disk Unionたくさんあるだろ〜…。早く…、覗いてみたかったんだよ」

…ふところからお財布を取り出し、良太は中身を確認した。

「それは置いといて、…どっかでお昼ごはん食べよ〜ゼ?今日は、送ってもらったお礼におれが出すから…」

緑のコペンを…、発車させる純平。

…「珍しいじゃないか良太、お前がお金持ってるなんて」

良太は、…「セブン・スター」をくわえ火を点ける。

「何、今日の教科書代の残りさ…。ウチのお袋が気にしてるんだ…、"いつも純平くんにお世話になって申し訳ない"って」

…30分程車を走らせて、道沿いの適当なファミリー・レストランに。純平は、…車を乗り入れた。店員さんに案内され、テーブルに着く良太と純平…。

「せっかく…、お前のおごりなんだから。…何か美味いモノ食いたいが、何しろ土地勘が働かん」

全国チェーンのファミリー・レストランだから、…どこでもメニューは同じである。メニュー表を眺めながら、ボヤく純平…。注文を済ませると…、二人は早速それぞれの煙草を吹かした。

…「しっかし、おれも。こんな遠い大学、…よく受験したモンだ。ここしか合格しなかったから、しょ〜がないけれど…。この道程を毎日通うのかと想うと…、現在から気が重いなぁ」

…運ばれて来たホット・コーヒーを、良太はすする。

「ホントにそ〜だな、…おれは車の運転は。趣味みたいなモンだから、たまの遠乗りも悪い気分じゃないが…。この距離を…、毎日々々満員電車に揺られて通うんだ。…相当な根性だぞ、大丈夫か良太?」

良太にとって、…今のトコロ唯一の救いは。通学の途上に、新宿駅が挟まるコトだろ〜…。新宿の街ならば…、きっと自分が求める。…JazzのC.D.や書籍が、見つかるに違いない。