再臨物語again〜春馬町より愛を込めて〜 その26

ビッグ・リボウスキ、とっても面白かったですね…」

月日は9月に入った…、まだまだ残暑が厳しい頃。…良太は、勝美を誘い銀座までデートに来てゆる。「シネスイッチ銀座」から出て来た、…良太と勝美。

「単館モノの映画って、おれ初めて観るけれども…。やっぱり独特の世界だ…、でも楽しめたよ」

…「ビッグ・リボウスキ」は、良太のアルバイト先である。「コーヒー庵」の正社員の伊藤さん、…おススメの映画だった。正社員の伊藤さんは、大の映画好きなのである…。

「勝美さん…、そこのドトール寄ってかない?…おれ、ちょっと煙草吹かしたいんだ」

時刻は午後3時過ぎ、…ティー・タイムにはちょうどよかった。良太はアイス・コーヒー勝美はアイス・ココア、そして二人で食べよ〜と…。チーズ・ケーキを…、割り勘で注文する。

…「ビッグ・リボウスキは、現代のアメリカが舞台なのに。すごく不思議でさ、…まるでファンタジー映画みたいだ」

テーブルを挟んで、向かい合わせに座り…。それぞれの飲みモノを口にしながら…、先程観た映画の感想を述べ合った。…ちなみに、このあとのデート・プランは。良太には特にない、…このままこのドトールで。何となく、時間を潰そ〜と想ってゆる…。ところが…、勝美が。

…「良太くん、私このあと。三越デパートが、…見てみたいです」

と、申し出た…。モチロン…、良太には断る理由はないから。…「セブン・スター」を、都合二本吹かしたらドトールを出た。歩いてすぐの、…三越デパートの入口では。あの有名な、ライオン像が待ち構えている…。

「おれ…、何か緊張して来ちゃった。…春日部の、西武デパートとは勢いが違う」

三越デパートの、…高級なたたずまいに。圧倒される良太、勝美はそれ程気にならないのか…。先頭を切って…、中に入ってゆった。

「うわっ、…すごいなこのくつ下。1足3万円だって、普段どんな生活してるんだろ〜…?」

良太は…、とんちんかんな感動を覚えているが。…こ〜したいわゆる、ラグジュアリーなブランドに。心のどこかで、…憧れる勝美。

「すいません、試着してみたいんですが…」

デニムのひざ丈スカートを手に…、勝美は店員さんに申し出る。…勝美は、店員さんに試着室に案内され。しばらくして、…カーテンが開くと。良太でもはっきりわかる程、華やかな勝美の姿があった…。

「うんうん…、やっぱりセンスゆいね。…それに、可愛いから何着ても似合っちゃう」

良太が、…そのデニムのひざ丈スカートを。売り場に戻す際、何となくタグが目に入る…。価格は3万円を余裕で超える…、良太はおしっこをチビりそ〜になった。

…さまざまな婦人ブランド・ショップを、覗き歩くウチ。とある店舗の前で、…足を止め少し時間をかけて。「何か」を手に取り、真剣なまな差しで見詰めてゆる…。

(あれバンダナかな…、違う違う何つったっけ?)

…それは、一枚のスカーフだった。白地に、…濃いブルーとオレンジでチェック柄になっている。勝美は、しばらくするとそのスカーフを…。棚に戻して…、先へ進んだ。…スカーフとは、何に使うモノなのか?よく知らない良太、…しかし勝美さんが。そのスカーフを、本当に心から望んでゆるのはわかる…。手にしてみると…、肌触りもなかなかだ。…値段を確認すると、大体17000円。当然だが、…そんな金額持ち歩いているハズもない。取り敢えず、そのスカーフのカタチを目に焼きつけ…。売り場の位置を確認すると…、良太は勝美のあとを追った。