再臨物語again〜春馬町より愛を込めて〜 その27

…「じゃぼく、外でお昼食べて来るから。あ〜おなか空いた、…じゃ良太くん。しばらく、お一人でホールよろしく…」

それだけゆい残すと…、正社員の伊藤さんは車でどこかへ。…お昼やすみに、出かけてしまった。9月の「コーヒー庵」、…良太初めてのホール独り立ちである。

「緊張するな、ど〜しょう…。何もないのを…、祈るしかない」

…とはゆえ、キッチンには店長がいるのだし。レジ業務も、…店長がやってくれるのだから。と良太は、そ〜考えて自分を落ち着けよ〜とした…。

「良太…、しっかりしろよ」

…キッチンから、店長が檄を飛ばす。これからの時間は、…お昼時程。忙しくはないが、何分喫茶店だから…。食事時からは外れても…、混む時はそれなりに混むのだ。…そして、今日はまさにそんな日だったのである。

「"ほどよいバランスのコーヒー"、…一杯出るぞ良太」

良太は、ホールとキッチンを結ぶカウンターから…。ホット・コーヒーを受け取ろ〜とすると…、お客さんがまた入店された。…これで3組目である、も〜良太の頭はいっぱいいっぱいだ。

「いらっしゃいませ、…お客さま。少々お待ち下さい、ただ今お冷やお持ち致します…」

コーヒーが冷めてしまっては…、と良太は先ず急いでホット・コーヒーを。…1人目のお客さんに、持ってゆく。それから3組目の、…お客さんのテーブルにお冷やを3つ運び。そして2組目の、お客さんのご注文を受けた…。

「ご注文繰り返させていただきます…、アイス・コーヒーお二つ。…ミル・クレープお一つ、いちごのショート。ケーキお一つで、…お間違いございませんか?」

携帯した端末を操作し、今の注文を送信する…。そこから…、さらに3組目のお客さんから呼ばれて注文をうけたまわり。…そのあと、2組目のお客さんにアイス・コーヒーをお持ちしたのだが。

「ウチじゃないよ、…"何か"の間違いでしょ〜?ウチは、アイス・コーヒーとアイス・ティーだから…」

が〜ん…、と良太は大ショックを受けた。…しかし、モタモタしてるヒマはない。慌てて店長に報告し、…アイス・ティ〜を一杯淹れてもらった。まだまだ忙しく立ち回り、よ〜やく一段落してから…。良太は一服しよ〜と…、休憩室の前の。…お客さんから陰になってる場所で、ポケットから。「セブン・スター」を取り出す、…するとカウンターのうえに置きっ放しになってゆた。アイス・ティーを、キッチンから指差して店長はゆった…。

「そのアイス・ティーは…、お前の責任だぞ。…お前、買い取れよ良太」

えっ、…と想うが。店長の語る内容は、全く正論であるから…。とレジを打ってもらい…、お金を支払う良太。

… (ウチの、アイス・ティー美味しいな)

「セブン・スター」を吹かしながら、…ヌルくなったアイス・ティーを。悲しみと共に飲んでいるウチに、正社員の伊藤さんが帰って来た…。

「ど〜だった良太くん…、楽勝だったろ〜?」

良太は、早速今の出来事を正社員の伊藤さんに話す…。良太の話に、…正社員の伊藤さんはこ〜答えた。

…「ぼく、店長とは付き合い長いから。店長の感情表現は…、初めてだとわかりづらいんだ。あの人、"このコ見込みあるな"と品定めしたら…。厳しく当たって、…鍛えよ〜とするのさ。それが、…店長流の人の育て方なんだよね。他のコ達は、買い取ってなんかいないよ…」

正社員の伊藤さんの…、答えは良太にはピンと来ない。…しかし良太は、自分をよいしょしても。何にもならないな…、とは考えた。