再臨物語again〜春馬町より愛を込めて〜 その32

…「良太、あなた一体。この一年間何やってたの、…この成績はど〜したってゆ〜の?」

3月の後半に入り、遂に今年一年の…。成績表がおウチに送られて来た…、そこでは良太が。…本来履修すべき単位の、1/3ぐらいしか。習得できてないのが、…明らかになったのである。お母さんは、思わず悲鳴のよ〜な声をあげた…。

「…」

…良太は、黙った。もちろん、…当の良太には。いずれこ〜なると、当然少し前からわかり切ってゆる…。

「あなたが…、大学に通うのにどれだけ。…お金がかかってると思うの、こんなんじゃこれ以上お金は出せません」

リビングの、…時計に良太は目をやった。そろそろ、アルバイト先の「コーヒー庵」に…。出勤しなくてならない…、それに今話してもらちは開くまい。

…「取り敢えず、おれも〜アルバイトだから。お話は、…また帰ったらにしよ〜よ」

そ〜伝え、「コーヒー庵」に自転車で出発する良太…。それにしても…、「コーヒー庵」から帰って来るまでには。…今後ど〜するのか、自分の中ではっきりさせておかなくては。

「コーヒー庵」でアルバイトが始まり、…途中お客さんもハけ。一段落すると、正社員の伊藤さんはホールへの…。出入り口のかげで…、煙草を一服し始めた。

…「伊藤さんは、大学どこ出てるんですか?」

失礼かな?とも想うが、…良太は何の気なく正社員の伊藤さんに聞いてみる。

「え、埼玉大学…。どう…、すごいでしょ?」

…煙草から煙をもくもくさせながら、答える正社員の伊藤さん。

「いやホントですね、…国立大学じゃないですか」

煙草はまだい〜かな、と良太はまだ吹かさなかった…。

「良太くん…、知らないでしょ。…ぼく頭ゆいんだから、大学出るまではそりゃあエリートだったのさ」

良太は、…内心「確かに」とうなずいてゆる。正社員の伊藤さんの、お客さんの細やかな…。ニーズをキャッチする力は…、経験の違いを差し引いても真似出来るモノではない。

…「ちなみに、店長はどこなんです?」

余計なコト聞くと、…怒られるから。良太は、声のトーンを落としてコッソリ尋ねた…。

「あの人は…、大学なんて出てない出てない。…高校すら、出てないから。中学卒業したら、…すぐどこかのお店で修行に入って。それ以来、料理一筋(今はコーヒーだが)だよ」

正社員の伊藤さんは、手にした灰皿で吸がらをもみ消す…。

「実はぼく…、今年全然単位採れてないんですよね」

…正社員の伊藤さんに、現在自分の置かれてる状況を良太は打ち明けた。

「そりゃ、…よくないね。大学くらい出といた方が、あとあと"何か"と便利だと思う…。まぁ…、ぼくがゆっても説得力無いケドも。…もしかして、大学サボって働いてるんじゃないよね?」

良太は、…笑ってごまかす。

「いらっしゃいませ、お客さま…」

正社員の伊藤さんに…、唱和する良太。…心の中は、すっきりしている。大学なんてやめてしまお〜、…何の夢も希望もないのに。お金ばかりかかって、本当にバカみたいじゃないか…?そして…、自分の就きたいお仕事が見つかるまでは。…この「コーヒー庵」に、お世話になればゆいのだ。