再臨物語again〜春馬町より愛を込めて〜 その34

「恋人ゆるんだ、…良太くん。…それならこの"コーヒー庵"に、連れて来なよ」

正社員の伊藤さんは…、片手で支えたトレーに。のせた空のカップやお皿を、洗い場に持ち込んだ…。

「そりゃ、…面白い。…おれが見てやるから、どんな女性なのか早く連れて来いよ」

お客さんがハけ…、店長はリラックスして笑う。

「申し訳ないですケドね、相当可愛いですから…。二人は恐らく、…"何でぼくにこんな可愛い恋人がゆるんだ?"って驚くでしょ」

…カウンターのうえをかたづけ、ダスターをかける良太。

「おっ…、お前自分でハードルあげやがったな。そこまでゆ〜なら、おれ達が二人…。揃ってるシフトの日に、…必ず見せに来い。…今さら、引っ込みはつかないぞ」

こ〜して…、良太は勝美を伴って。自分のアルバイト先である、「コーヒー庵」を訪れるコトになったのだ…。

「それで、…ぼくはさ。…店長に、"ぼくの恋人勝美さん可愛くてビックリしますよ"。って…、ゆっちゃったんだ」

姫宮駅を出発し、良太のおウチを越え…。「コーヒー庵」に向かって、…歩く良太と勝美。

…「そんな風にゆわれたら、恥ずかしいじゃないですか。私…、そんなに可愛くないです」

編み込みからたらした、おさげに勝美は…。良太からプレゼントされた、…スカーフを巻いている。

…「そんなん、おかしい。だって…、勝美さんは誰より可愛いモノ」

勝美は、何度も良太の言葉を否定し…。そして、…それを認めない良太。…そんなやり取りを繰り返しながら、二人は「コーヒー庵」に到着した。

「いらっしゃいませ…、良太くん遂に来たね。その娘が恋人の勝美さん、ど〜もいらっしゃいませ伊藤です…」

勝美は、…二人を出迎えた正社員の伊藤さんにすぐ丁寧に頭を下げる。

…「いつも良太くんがお世話になってます、私鈴代勝美です」

勝美の態度に…、ちょっと驚く正社員の伊藤さん。

「すごい、ゆい娘だ…。こりゃ、…確かに良太くんのゆ〜通りだわ。…早速、店長にご報告っと」

良太と勝美はテーブル席に案内され…、向かい合わせに座って。メニュー表に目を通した(とはゆっても良太は全部頭にはいってゆるが)、そしてそれぞれの飲みモノと…。二人のお約束、…一つのベイクド・チーズケーキを。…正社員の伊藤さんに注文し、お話をしながら待つ。

「お待たせ致しました…、さわやかな酸味のコーヒーになります」

そ〜ゆって、ホット・コーヒーを運んで来たのは何と店長だった…。返事をして、…受け取る勝美。

…「初めまして勝美さん、店長の山崎です。もしささいなコトでも…、ご要望がおありでしたら。何なりと、すぐにお申しつけ下さい…」

店長は、…深々とお辞儀をして去る。

…後日、良太は「コーヒー庵」に出勤すると。

「いや…、良太くん。今回の勝負は、ぼくらの負けだよ…。勝美さん、…お顔も可愛らしいけれど。…性格がゆい、いま時あんなキチンと頭下げられる女性は先ずいないね」

満面の笑顔の…、正社員の伊藤さん。

「お前にはもったいない、あんな素敵な娘は…。あと5歳年齢重ねてりゃ、…おれが付き合ってる。…ゆいか良太、大切にしてやれよ」

店長は…、淹れてるコーヒーから目を逸らさずに。勝美について、感想を述べた…。