再臨物語again〜春馬町より愛を込めて〜 その35

…「なぁ、純平。オーディオ買いにゆくから、…車で運んでくれない?」

携帯電話越しの純平に、頼み込む良太…。

「お前のゆってるオーディオって…、スピーカーとかコンポのコトだろ。…バカゆ〜な、あんなのコペンに積めるかって」

困惑しながらも、…純平は話だけは一応聞いてくれる。

「そ〜ゆえば、そ〜だ…。それなら…、レンタカーでも借りるかなぁ?」

…良太は知り合いに、車の運転を買ってでてくれそ〜なのは。純平しかいない、…だからここはやすやすと引き退れなかった。

「しょ〜がねぇ、それならおれが…。会社の軽トラ借りてやる…、それなら間に合うだろ?」

…良太は、お礼をゆって電話を切る。やった、…これで遂にオーディオ・コンポで。Jazz・レコードが、愉しめるのだ…。その為に…、良太は半年で12万円貯めたのである。

…コトの始まりはこ〜だ、ある時勝美を。自分のおウチに来てもらい、…良太のミニ・コンポで二人でJazzを聴いてゆる。

「おれさ、自分でC.D.買って…。Jazz聴いてるけれど…、勝美さんのお父さんの作ってくれた。…カセット・テープと、"何か"音が違うんだ。勝美さんのお父さんのは、…何ちゅ〜かマイルドでゆいよね」

正直な感想を、勝美に述べる良太…。

「あぁ…、それは。…ウチのお父さん、レコードから録音してるからじゃないですか?」

「えっ」、…と良太は想った。良太は、C.D.の方が音がクリアでキレイだと思ってたのである…。

「C.D.は…、デジタルだから音が硬いんですよ。…便利ですケド、私はも〜レコードに慣れちゃってるますから」

勝美にお話を聞いていくと、…良太の気に入ってゆた。あのプチプチする音も、レコードだかららしい…。これが…、良太に一大決心をさせる。

…そのコトを「コーヒー庵」でのアルバイト中に話すと、店長はゆった。

「おれは、…自宅にMarantzのアンプとJ.B.L.のスピーカー置いてソウル聴いてるよ。お前と違って、C.D.の音質に不満は無いがな…。あんなの中古で充分だ…、ハード・オフにゆってみろ。…お前の給料でも、何とかなるだろ〜」

それで、…良太は電車とバスを乗り継いで。三郷のハード・オフにゆってみる、すると確かに…。10万円も出せば…、見た感じ立派なのが手に入るのだ。

…あとは、レコード・プレーヤーであるが。これはレコードを物色しに、…良太が大宮のDisk Unionを訪れた際。ION Audioとゆ〜メーカーのが、15000円ぐらいで店頭に陳列されている…。これが木目調でおシャレっぽかったのと…、ライン出力出来る便利さに。…すぐにお金を下ろして、買ってしまった。もちろん、…肝心のレコードも2枚程みつくろって。おウチに帰ると、すぐにION Audioのプレーヤーを…。自分のミニ・コンポに…、接ぐ。…そして購入したレコード、Wynton KellyWes Montgomeryが共演してる。「Smokin' at the Half-Note」のうえに、…針を落とした。

「うぅ、気持ちゆい…。これこれ…、この音だよ」

…針がレコード盤に触れると、良太が楽しみに待ってゆた。あのプチプチする音が響き、…アナログでしか愉しめない角の取れたまるっこいサウンドが流れる。良太は、ぶっちゃけ「これで充分だ」と想った…。しかし…、自分は未来に投資をいているのだと考える。…Jazzの素晴らしい名演奏を優れたオーディオで再生するのは、本当の贅沢な財産であると。