再臨物語again〜春馬町より愛を込めて〜 その36

「良太、ちょっとあなた大丈夫なの…。一昨日もずい分遅かったじゃない…、働き過ぎじゃないかしら?」

…アルバイト先の「コーヒー庵」に出勤する、良太に。お弁当を渡すお母さんは、…そ〜声をかけた。

「ヘーキヘーキ、週4日しか働いてないし…。走り込みも筋トレも欠かしてないから…、心配しないで」

…あまり気にせず、良太は「コーヒー庵」に向かって走り出す。体を少しでも動かしたかったので、…出勤はランであった。

「秋の午前中走るのは、ホント気持ちゆいなぁ…。スポーツの秋とは…、よくゆったモノだ」

…時刻は7:30頃、「コーヒー庵」は8:00開店だから。それに間に合うよ〜、…出勤しなくてはならない。直接お店に向かうと短か過ぎるので、わざと遠回りして距離を稼いだ…。

「店長、伊藤さん…、おはようございます」

…「コーヒー庵」の裏側、職員用の通用口から入り。あいさつを済ませる、…そしたら休憩室兼更衣室で。ユニフォームに着替え、「セブン・スター」で一服だ…。5分で喫煙を終え…、ホールに出ると。…お店の入口の前で、一人のおじいさんがスポーツ新聞片手に。開店を待ってゆる。毎日通って下さるお客さんだ、…正社員の伊藤さんが鍵を開ける。

「いらっしゃいませ、おはようございます…」

さぁいよいよ開店だ…、「コーヒー庵」の一日が始まる。

…「そろそろ休憩に入れ、良太」

時刻は午後1:30、…店長と正社員の伊藤さんそれに良太の三人は。それぞれ休憩時間があるから、先ずは良太からだ…。正社員の伊藤さんにアイス・コーヒーを注文し(これは毎回購入するウチ店長が150円まで負けてくれた)…、休憩室で。…良太は、お母さんの作ってくれたお弁当を広げる。

「まぁまぁ、…美味しいは美味しいんだケドね」

しかし、やはりお弁当となると…。いつも勝美さんが作ってくれる…、お弁当との比較になってしまう。…良太のお母さんは、決してお料理ベタではないのだが。良太とすると、…ど〜しても勝美さんのお味を思い出してしまうのだ。店長の淹れたアイス・コーヒーを、飲みながら…。煙草を二、三本吹かすウチに…、30分はすぐに過ぎてしまう。

…「お客さま、ラスト・オーダーのお時間です。"何か"、…ご注文はございますか?」

夜8:00、各テーブルを回ってラスト・オーダーを確認する良太…。それが終わったら…、閉店業務の準備だ。…空いてるテーブルにダスターをかけ、お砂糖とミルクを補充を始める。

「お疲れさまでした、…お先に失礼します」

それから二時間後の10:00、店長と正社員の伊藤さんを残し…。良太は時間なのであがった…、この時間になるとさすがに疲れを感じる。

…「良太くん、も〜ちょっと待ってくれたら車で送るよ?」

正社員の伊藤さんの申し出を、…良太は丁重にお断りさせてもらった。ありがたい申し出で、疲れてる良太にとって願ったり叶ったりなのだが…。良太は…、これまでずっと体を動かすのに慣れてしまっているから。…運動量があんまり減ると、何とゆ〜かモヤモヤしてしまうのである。