「休憩室に来い…、良太」
良太は、いつものよ〜に「コーヒー庵」でアルバイトしてゆる…。すると、…突然店長から呼び出された。…時刻は夕方4:00を回った辺り、店内には誰もお客さんは来ていない。正社員の伊藤さんに…、「店長に呼ばれました」と声をかけ良太は休憩室に入った。
「座れ…」
休憩室のちゃぶ台をはさんだ、…反対側を示す店長。…ど〜やらお叱りではないみたいだ、もしそ〜ならも〜とっくに火が点いてゆる。
「一服しながら…、話を聞くんだ」
良太は座って、「セブン・スター」をポケットから取り出した…。何も、…店長はいわない。…一本目に火を点けた「セブン・スター」が燃え尽きる頃、口を開く店長。
「お前…、ウチで正社員にならないか?」
良太は、度肝を抜かれた…。思わず、…も〜一本煙草に火を点ける。
…「お前は使いモノにはならんが、取り敢えずは真面目にやるからな。社長にまだ話してないんだが…、おれから直に推薦する」
混乱してしまって、何をゆったらゆいのか頭がまとまらない…。そんな良太に、…店長は続けた。
…「この場で決めろ良太、そ〜でなければ必要ない」
良太の頭の中に…、この三年間「コーヒー庵」で起こった様々が巡る。だが考えがまとまるより先に、ゆわば反射的に答えていた…。
「ぼく、…介護士になると決めてるんです」
…すぐに、店長は立ちあがる。
「そ〜か…、それならがんばれ。それが、お前の選んだ道だから…」
良太は一人取り残され、…しばらくぼんやり煙草を吹かしてゆたが。…やがて勤務中であると思い直し、吸い殻をもみ消すとホールに戻った。
「店長…、何のご用だった?」
まだ、お客さんは来ていないよ〜である…。煙草を吹かしながら、…正社員の伊藤さんは良太に話しかけた。
…「いやぁ、ぼくそろそろ"コーヒー庵"を辞めさせてもらお〜と考えてるんです」
びっくりする…、正社員の伊藤さん。
「えっえっ、ど〜したの…。ぼくのコト、…キライになった?」
…良太は、カウンターにもたれかかった。
「何ゆってるんですか…、ぼく介護士目指してて。今度福祉の学校に通おうと想ってるんですよ、その資金が貯まったらです…」
正社員の伊藤さんは、…ほっとおちついたよ〜である。
…「よかった、それなら助かる。良太くんには…、フツーのアルバイトのコの。3人分ぐらい働いてもらってるから、いなくなるとシンドいなぁ…。店長、…ど〜するつもりなんだろ〜?」
…ど〜にもお客さんがやって来そ〜にないので、良太も改めて。「セブン・スター」を取り出して…、火を点けた。
「ぼくが辞める前に、一度店長と三人で飲みにいきませんか…?お店終わったら、…軽く近くのお店で」
…にっこり笑う、正社員の伊藤さん。
「おっ…、それゆいね。遅くなっちゃうけれども、たまにはゆいよねぇ…。最近飲んでないからぼくも、…よしよしパーッとやろ〜」
…良太がお店でかけていた、Jazzのカセット・テープの。回転が止まる…、それもこれもあと数える程なのだ。