再臨物語again〜春馬町より愛を込めて〜 その48

「前回の小テストをお返しします、…名前を呼ばれた方から一人ずつ取りに来て下さい」

…月曜日は、小テストの答案が返って来る日だ。良太の通う学校では…、毎週金曜日にその週に学んだ内容が。小テストとして出題される、今日は始まってから数えて三度目の月曜日であった…。

「岡崎良太くん」

…「はい」

…席を立って、先生の手から返却された答案を受け取る。席に戻り表に返すと…、94点だ。

「たった94点か、なかなか100点満点とはゆかないモノだなぁ…」

賢明な読者さんは、…「94点なんて高得点じゃない充分だよ」と想われるかもわからない。…筆者だってそ〜なのが、この福祉の学校の小テストは。テスト中にテキストを参照しても構わない…、だから良太は100点取って当たり前だと考えたのだ。

その日の授業も終わり、良太が帰り支度をしていると…。

「良太くん、…ちょっと事務室までゆいかしら?」

…と、先生から呼び出される。良太は…、「きっとテストの点数が悪くてお叱りを受けるに違いない」そ〜思って、覚悟を決めた…。「失礼します」と事務室のドアを開けると、…担任の先生が待ってゆる。

…「良太くんは小テストの成績が、一度目が91点二度目が90点。そして今回三度目が…、94点だったでしょ〜?」

やはりそ〜か、とバツ悪く感じる良太…。

「申し訳ありません、…ぼくが勉強不足でした」

…驚いて、先生は目をパチクリさせた。

「えっ…、何ゆってるの逆よ逆。良太くんは、成績がゆ過ぎるのよ…。こんなに高得点を小テストでキープした生徒さんは、…この学校始まって以来いないの」

…今度は逆に良太がビックリしてしまい、何をゆったモノかわからない。

「他の講師の先生とも相談してみたんだけれど…、良太くんずい分真面目に勉強してるみたいだから。もしよければ、もっと本格的な…。介護福祉士の資格が取れる、…専門学校に入学したらど〜かと想って。…もちろんここのお金は全額返金するし、推薦もさせてもらうわ」

ボーッとしていた良太だが…、よ〜やく事態が飲み込めた。

「あ、あぁそ〜なんですね…。ただ、…ぼくお金が無いんです。…先生達のお気持ちは、すごく嬉しいんですが」

先生は…、悲しそ〜な顔をする。

「あら、本当に残念…。でも介護福祉士の資格は、…ホーム・ヘルパー2級をここで取って。…実務を積んでからでも、試験で間に合うから。是非がんばってね…、良太くんみたいにやる気あるコが増えないと。介護業界はよくならないし、何よりご利用者さまが窮屈な想いをされてしまうモノ…。現在の気持ちをわすれないで、…良太くん」

…事務室を退出すると、良太は非常階段の喫煙所に向かった。「セブン・スター」をポケットから取り出して火を点けると…、何とも味わい深いなと想う。