再臨物語again〜春馬町より愛を込めて〜 その51

「当施設は、駅から歩いて25分と…。少々遠いですが…、通勤時間に合わせて。…専用の送迎バスも出てますから、ご心配の必要はございません」

ホーム・ヘルパー2級の資格を取得する、…福祉の学校の3ヶ月コースも。終わりに近づいてゆた、今日は資格を取ったのち…。就業する介護施設からの…、いわば就職案内である。

…「みなさん介護施設で働かれるのは、当然初めてかと存じます。しかし当施設におきましては、…必ず専任のトレーナーによる。トレーニング・プログラムがございますので、慣れるまでしっかりご指導させていただきます」

今紹介されてるのは、春日部にある150床を抱える…。大型の特別養護老人ホームだ…、ご利用者さんが多いのだから当然スタッフだってたくさん必要なのである。…施設紹介を聞きながら、良太は迷っていた。どんな施設での介護が自分に合ってるのか?、…決めかねてゆる。さて就職案内が終わってしまえば、本日の授業はおしまいだ…。

「どこにするか決まった…、良太くん?」

…隣の席の坂本さんが、良太の方を振り向く。

「まだ何も決まってないんですよ、…自分がどんな介護したいか?がわからなくて」

施設紹介のパンフレットを、自分のバック・パックに詰める良太…。

「私想うんだ…、良太くんは絶対介護士に向いてるって。…だって性格が優しいモノ、じゃ私先帰るね」

教室から出ていく坂本さんを、…良太は見送った。すると、そこへ担任の先生がやって来る…。

「良太くん…、就職希望先は決まった?」

…先程の坂本さんと同じ質問だ、何も決まってないコトを説明する良太。

「それなら良太くん、…私の友達がケア・マネージャーやってる施設を見学してみないかしら」

このお話は、何かしら良太の勘ドコロにピンと来るモノがあった…。

「モチロン…、良太くんのご都合と合わせてね。幸手にあるグループ・ホームで、10床しかない小さな施設よ…。ゆいトコロは、…そんなに業務が忙しくないから。…ご利用者さま一人々々のケアに、時間がかけてもらえる。ただあいにくと、…他の施設に比べてお給料が安くて」

まだお話だけだが、良太は惹きつけられる魅力を感じる…。

「いつでも大丈夫ですそんなに予定詰まってないですから…、何てゆ〜施設です?」

…良太の心は、既に大体は決まってしまってゆた。

「そ〜来なくっちゃ、…良太くん。あ〜よかったわ、良太くんが乗り気で…。いえね…、私この間その友達のケア・マネージャーと一緒にお食事して。…良太くんのコトお話したの、そしたらすごく向こうも乗り気で。"そんなにやる気があるなら是非ウチに欲しい"、…って。ちょっと待って、今パンフレット渡すから…」

パンフレットを受け取ると…、田んぼの真ん中にひっそりとたたずむのどかなグループ・ホームである。…〜運命〜を感じる良太、遂に自分も正社員として働く時が近づいているのだ。