再臨物語again〜春馬町より愛を込めて〜 その52

…「ここが"幸楽苑"か、そこまで遠くない。このぐらいなら、…また走って通えるか」

国道4号沿いの、幸手の市街地から少し離れた…。のどかな田園地帯の中に…、ポツンと「幸楽苑」はあった。…「何か」あったら困るので、今日は自転車に乗って来たが。体を鍛える為にも、…再びラン通勤を良太は想定する。

「すいません失礼します、施設見学を約束した岡崎良太です…」

良太は建物に入ってすぐ左側にある…、事務所に挨拶した。

…「岡崎さんですねお待ちしてました、今係の者を呼びますのでお待ち下さい」

「想像よりずっとデカいなぁ」、…良太は「幸楽苑」の建物をそ〜想う。10床とゆわれても、具体的な大きさが思い浮かばなかったが…。一部屋が…、意外と広いのかも知れない。

…「お待たせしました、副主任の近藤です」

見たトコロ50代、…いや60代に差しかかっているだろ〜。白髪の男の人が、良太の対応に現れた…。

「はじめまして…、岡崎良太とゆいます。…介護については、学校で習ったコト以外、何もわからないのですが。今日は、…よろしくお願いします」

挨拶する良太に、近藤副主任は笑顔で応える…。

「心配なさらないで…、良太くんぼくもそ〜だったから」

…近藤副主任の朗らかな態度に、良太の緊張も多少はほぐれた。

「この時間のご利用者さん達は、…ちょ〜どお昼ごはん食べて。おトイレいったりおムツ代えてから、お昼ね中ですよ…」

良太は…、近藤副主任に続き「幸楽苑」の中に入ってゆく。

…「ここは、おウチでいえばま〜リビングです。ここでみなさんごはん召しあがって、…時間のある時はT.V.をご覧になったり」

入り口入ってすぐの事務所の、反対側のとびらを開くと…。そこは食堂になってゆた…、大きなテーブルが真ん中にあり。…窓に面したトコロに、これもまた大きなT.V.が設置してある。

「こんにちは、近藤副主任青井さんの便なんですが…。ここのトコロずっと水溶便が続いてて…、これで三日目ですよ」

…良太を案内する近藤副主任に、一人の女性介護士が近づいて来た。「こんにちは」、…挨拶を返す良太。

「やっぱり止まらないか、わかった取り敢えずナースさんに報告しといて…」

緊張する良太…、自分だって勤めたなら対応を迫られるのである。…その後も近藤副主任に、2カ所あるおトイレやお風呂を見学させてもらう良太。

「あらあなたが良太くんね、…はじめまして。私ケア・マネージャーやらしてもらってる。安藤です、ゆい体ね頼もしいわ…」

近藤副主任について施設内を回る良太に…、50代ぐらいの背の高い女性が声をかけた。

…「聞いてるわ、良太くんあの学校で抜群に成績優秀なんですって。ど〜、…"幸楽苑"は気に入ってくれた?」

返事に困る良太に、近藤副主任が助け舟を出してくれる…。

「安藤さんなんぼなんでも…、こんな軽く施設内を軽く見てもらっただけで。…ゆいも悪いもわからんですよ、ただでさえ緊張してるだろ〜に」

明るく笑う、…ケア・マネージャーの安藤さん。

「それもそ〜よね、これからおウチ帰って…。よくよく考えてご検討してみてね…、私良太くんにずい分期待してるんだから」

…ケア・マネージャーの安藤さんは、良太の背中をバシッと叩いた。「何だか話が大きくなってしまってゆる」と、…良太は気恥ずかしく想う。それでも、嬉しくないといえばそれはウソになるだろ〜…。