再臨物語again〜春馬町より愛を込めて〜 その60

…「良太今度おすし食べにゆこ〜、もちろん回転してないヤツな」

お仕事おやすみの日に会う純平は、…ほくほくしながら良太に提案する。

「おっ面白そ〜じゃないか、どこだ春日部…?」

良太が車に乗り込むと…、純平は車を発進させた。

…「いや今回はちょっと遠い、柏だよ千葉県の」

威勢のゆい性格の純平だが、…車の運転はいたって安全である。

「おれはかまわないケド、ど〜してそんなトコに…」

車の免許は持っているが…、運転自体はほとんどしない良太。

…「この前ウチの倉庫に納品に来たドライバーさんと、やたら気が合ったんだ。そしたらゆきつけのおすし屋さんを教えてくれて、…安くて美味しいらしい」

お話の調子から、純平は期待を寄せているらしいのがわかる…。

「しかも全席喫煙席だぞ…、それならゆっくり飲めるじゃないか?」

…純平は、満足そ〜に語った。

「えっ、…それって当たり前じゃないの?」

純平の満足が、良太にはわからない…。

「あぁそ〜か知らないんだな…、ちゃんとしたおすし屋さんは基本禁煙だ。…煙草の煙がかかると、ネタの味が変わっちまうらしい。当然電車でゆくぞ、…いやホントに楽しみだよ」

わからないなりに、うなずく良太…。回転しないちゃんとしたおすし屋さんなんて…、前回いった記憶なんて残ってゆないのだ。

「ここだここ、…何だ微妙にわかりづらい場所にあるなぁ」

…それから3ヶ月経ち、東武野田線に乗り。駅前から少し離れたトコロにある…、おすし屋さん「みこし」(実在のお店です)に良太と純平はやって来た。

「おぉ、結構おシャレな店構えじゃないか…」

お店の場所の書かれたメモを、…ポケットにしまう純平。

…「そんなコトより、さっさと中に入ろ〜。一時間も電車に揺られてたんだ…、も〜はらペコだよ」

弱音を吐く良太を引き連れ、純平はおすし屋さん「みこし」の扉を開ける…。

「いらっしゃいませ、…2名様で?」

…うなずく純平を板さんがテーブル席に案内してくれた、ど〜やら板さんがご店主のよ〜である。

「店内の内装や備品も…、気が利いてる。まぁここを紹介してくれたドライバーさんは、相当遊んでるっぽいから…。へぇ〜、…ホントに安いぞ」

…メニューや店内に張り出されてるポップを見ても、良太にはそもそも相場がわからなかった。

「こんなに安いと…、逆に味が心配になるが。ど〜する良太、何にする…?」

二人はあれこれ話しながら、…いか刺し、あなごの白焼き、めひかりの唐揚げ、それに生ビールを二つ頼む。…すぐに運ばれて来た生ビールに口をつけると、そのままそれぞれの煙草に火を点けた。

「あ〜ラクだな…、味が心配なのはわかるが。こ〜して生ビール飲みながら、煙草吹かせるのがサイコーだよ…」

美味しそ〜に煙草を味わう純平とはうらはらに、…良太は一刻も早く「何か」おなかに入れたいのである。

…「お待たせしました。いか刺しです」

しばらくして…、板さんがいか刺しを運んで来てくれた。小皿におしょう油とわさびを準備し、良太と純平はいか刺しを口に運ぶ…。

「あぁ美味い、…何だやっぱり当たりじゃないか」

…うなる純平に、同意する良太。これはいずれ…、勝美さんを連れて来なくては。