再臨物語again〜春馬町より愛を込めて〜 その63

「良太くん…、そろそろ村田さんのトレーお下げして。そしたらそのまま、お部屋にお連れして差しあげて…」

グループ・ホーム「幸楽苑」の夜勤のお仕事は、…引き継ぎが終わったら夕食介助だ。…お昼ごはんからお昼ねの流れは、良太自身日勤で何度も経験してゆるが。夕ごはんから就寝は…、夜勤と遅番二人しかいない為介護する側が一人少ない。今日に関しては飯高主任がトレーナーについてくれてるから三人いるのだが、一人立ちした時を考えるとその辺の要領も覚えなければならないのだ…。

村田さんはおムツなので、…おトイレ介助の必要はない。…そのままお部屋にお連れすると、歯みがきも自分ではなさらないので、こちらで介助してしまうのだ。そしてベッドに寝てもらうと…、歯ブラシと歯みがき用コップを回収し(あとで洗浄・消毒するので)食堂に戻る。良太も「幸楽苑」に勤めて半年近く経ち、入居者さん達一人一人にどの程度介助が必要か?大体把握はしてるのだが…。こ〜いったシーンでの「効率のゆい立ち回り」に関しては、…自分でも「苦手だなぁ」と想っていた。

…「それじゃ、就寝前のおムツ交換に入ろ〜か。ぼく手伝った方が早いケド…、自分でやった方が慣れるからがんばってみて。あぁパッドとかは教えるから、心配しないで…」

夕食が済んで、…入居者のみなさんが各お部屋で横になられると。…次は、就寝前のおムツ交換である。「幸楽苑」の入居者さんは…、夜おムツでやすまれるのは三人。日中からおムツの、梅沢さんと村田さんそれに良太が仲良くさせてもらってる石井さんだ…。おムツ交換の手順そのモノは、…お昼と夜にさしたる違いはない。…ただどの程度の容量の大きな尿取りパッドを使用するか?など、覚えるコトはいくつかあった。

「おっ今日は良太くん夜勤か…、そりゃゆっくり眠れるな」

飯高主任に見守られながら、石井さんをリハビリ・パンツからおムツに交換してゆると…。石井さんは、…「夜勤の介護士によってどのぐらい深く眠れるか違う」と語る。

…「ちょっと時間かかっちゃってるね、も〜少し早い方がゆいかなぁ。でもその辺は練習だし…、焦ってもれちゃったら余計手間がかかるから。じゃぼくユニフォーム洗濯してくるよ、良太くん歯ブラシ消毒しといてそしたら夕ごはん食べよ〜…」

そ〜ゆうと、…飯高主任は更衣室へ向かった。…良太は、給湯室でカゴに水を張りミルトンを注ぐと。歯ブラシと歯みがき用コップを水洗いし…、つけていく。この辺は別に急ぐコトもなく、ゆっくりだ…。

「先に休憩入ってゆいよ良太くん、…ぼくは食堂で待機してる」

…休憩室でソファに座り、お弁当を広げる良太。夕ごはんを食べてゆると…、おなかが満ちるにつれ。1日の疲れが感じられ、心地ゆく眠くなって来る…。食べ終わるとお弁当箱をバック・パックにしまい、…頼みの「濃いめのマキシム」の入った水筒を取り出した。

…「ぼくちょっと煙草吹かして来ます、飯高主任」

ユニフォームのうえから…、自分のMA-1ブルゾンをはおると。施設の外の喫煙所まで歩いていく、さてこの「濃いめのマキシム」が…。どれだけ頭をハッキリさせてくれるのか、…今の良太には何ともゆえない。